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永井荷風「花火・雨瀟瀟」

2021-06-27 18:53:00 | 

再読のための覚え書き


花火・雨瀟瀟

永井荷風(1879-1959


《雨瀟瀟》

手紙や日記や漢詩などを織り込んだ、随筆のような小説。


「此れから先わたしの身にはもうさして面白いこともない代りまたさして悲しい事も起るまい。秋の日のどんよりと曇つて風もなく雨にもならず暮れて行くやうにわたしの一生は終つて行くのであらう」


《花火》

聞こえるのは、第一次世界大戦講和記念日の花火の音。社会の擬似西洋化を批判した随筆。


《二人妻》

二人の人妻、千代子と玉子。彼女たちの夫はそれぞれ、外に愛人がいる。夫の愛情を一身に受けたい女たちと、妻に欠けたものを他に求める男たちの心理劇。


《夜の車》

日比谷で車を拾うが、言いつけた行き先とは違う方向に車は進む。運転手は小声で、「お遊びになるならご紹介します。実は、若い後家さんで、美人で……」と言い、車は住宅街に入ってゆく。


・・・・・・・・・・・・


最近、外国文学というか翻訳ものばかり続けて読んだので、無性に日本文学が読みたくなった。そして手にしたのが、なぜか永井荷風。


旧仮名遣いで書かれたものは、やはり旧仮名遣いのままを読む方が、その字面のおもしろ味を味わえる。


特に《夜の車》は、江戸時代の洒落本のような書き方で、その古風な筆致がおもしろかった。



2021.6.27読了


花火・雨瀟瀟

岩波文庫

195665日初版発行

198621716

旧仮名遣い


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