再読のための覚え書き
焼跡のイエス・処女懐胎
石川淳(1899-1987)
表題作はどちらもキリスト教が主題の一部となっているものの、そこに神学的な深みがあるわけではない。むしろ、「かよい小町」の方に聖書的なヒューマニズムを感じる。
《かよい小町》
前を歩く女が看板のない料理屋に入ったので、自分もまた入ってみる。女は染香という名の芸者だった。
そのまま夜を共にするが、寝ている女の胸に、この世に見るべからざるものを見た……。
「檀那もいろおとこもあるだろうが、そんなもの、追ってきれいにかたづける。一切引受けた。まず女房になれ。」
2022.11.19読了
焼跡のイエス・処女懐胎
新潮文庫
昭和45年5月15日初版発行
昭和46年8月5日4刷
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