再読のための覚え書き
枯木のある風景・枯野の夢
宇野浩二(1891-1961)
43歳で亡くなった洋画家の小出楢重をモデルとした創作話。
画家の島木新吉は写生旅行に出かけ、かつて親交を結んだ画家の古泉桂造(小出楢重がモデル)のことを回想する。
島木は、古泉の優れない健康を心配して古泉の家を訪れると、吃りのために不自由な言葉遣いで、自分の新たな作品の構想を話し出した。
「今度の風景は、裸婦に横たわっている辺に、枯木の丸太を四五本横倒しにおいたろ思てんね。これからは、芭蕉風に、写実と空想の混合酒(カクテル)を試みてみようと思うんや。題して『枯木のある風景』というのはどうや。」
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小出楢重の絶筆である『枯木のある風景』には、近景には大きな枯れ木が横倒しに転がっており、遠景には送電線があるのだが、その送電線の上に、一見、鴉が止まっているのかと思いきや、よく見るとシルクハットを被ったかのような人物が腰掛けている。
それは小出楢重自身ではないかと言われているが、一体どのような意図で描いたのだろうか。
2022.1.16読了
枯木のある風景・枯野の夢
岩波文庫
1954年9月5日初版発行
1984年11月7日3刷
旧仮名遣い
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