利用者のE子さん
幼い頃から超がつくお嬢様育ち、女学校を出てから保母さんとして定年まで働いておられました
未婚。
現在週3回人工透析を受けながら高齢者専用賃貸住宅で生活、透析のない日は
デイに通所されます。
穏やかで、いつも優しいE子さんは利用者さんの間でも人気者
そんなE子さんの生き甲斐は同じデイ利用のJ子さんの存在
J子さんは、レビー小体型の認知症で重度
私がここで仕事を始めた頃は、毎日暴れる!暴言!奇声!と手をつけられない
難しい利用者さんでした
足腰はしっかりされており、一日中職員の手を握り徘徊。
力が強く、自分の行きたい方へ職員の腕を引っ張り、少しでも違う動きをこちらがすると
目がすわり、怒り始め、奇声。。。
そんなJ子さんをE子さんは我が子のように可愛がり
どんな時も優しく手を握り諭すように話しかけたり、歌を唄って聴かせていらっしゃいました。
すると不思議な事に、通常なら眉をしかめてもおかしくはない他の利用者さんも
誰1人としてJ子さんを蔑むような視線や言葉を投げる事はありませんでした。
『今日はJ子さん穏やかだね~^^』
『J子さんが笑った!笑った!』と喜び合い。。。
みんなでJ子さんを支える
そんなムードが自然と出来ていたのはE子さんのお陰かもしれません
そうして穏やかに過ごせる日が少しずつ増え
いつの間にかJ子さんは最も穏やかな利用者さんに大変身されていました。
先月末、J子さんが入院することに。
E子さんは腎臓病で何度も入院されていますが、その都度枕元にJ子さんの写真を持参して乗り越えてこられました。
今度は逆・・・・
E子さんの心の支えはどうなってしまうのか・・・
E子さんはデイに来られると穏やかですが、
実は住まいである高専賃では、被害妄想等精神状態が不穏で大変との事
認知症も一気に進んでいます。
物事は思い通りにはならないものですが
意外な展開になる事も多々あるものですね
E子さんは毎日J子さんを探していらっしゃいます
でも・・・・・その視線の先は
お世話をしてきたJ子さんではなく
幼き日の我が弟さんと化して
『うちの○○(弟)はどこに行ったのでしょう?まだ5歳なのに・・』
等々
昔々をなぞるように弟さんを心配されています。
今までソファの隣に座っていたJ子さんは、E子さんにとって
たった1人の肉親の弟さんに、どの時点からかすり替わっていました
そして私たちはその時の状況に合わせて、心配を共感したり、気を紛らわすように
一緒に歌を唄ったりして過ごしています
どんな時も深刻になることはない
《なるようにしかならない》のではなく《なるようになる》
人は人によって変われる、自分も。
日々お年寄りと接していて、たくさんの事を学ばせていただいている事に
感謝です