遊びをせんとや

人生総決算!のつもりで過去・現在のことなどを書きます
といっても肩肘はらずに 楽しく面白く書きたいと思います

こんな人がいた~『岡本太郎その21 「対談集その4 團伊玖磨』

2023年12月18日 | 読書



 今日の岡本太郎の対談相手は作曲家の團伊玖磨(だん いくま)
 対談の見出しは「おれの本職は人間だ!」 (おれ とは太郎のこと)
 対談は議論するのではなく 團が太郎から色々の話を聴き出す形式
 小見出しは無いので 私が勝手に【】でつけた  

 團伊玖磨(だん いくま) 1924(T13)-2001(H13) 作曲家・エッセイスト 

太郎とピアノ】
 ピアノを始めたのは慶応幼稚舎3年の頃
 母(かの子)がその頃声楽を習い始めて 家にピアノを買った
 習いたかったが 勉強しなくなるから と習わせてもらえなかった
 ピアノが上手い同級生の家に遊びに行き 教わりながらショパンを弾いた
 パリへ行っていた時も 女の先生からモーツァルトを習った
 でも指が不器用で思うように動かないので ピアノから遠ざかった

【ピアニストとの恋物語】
 太郎がパリから日本へ戻って来た頃 ピアニストの日本女性を好きになった
 結婚を申し込みに彼女の家へ 弟が出て来てメチャクチャに顔を殴られた
 どうやら彼女の母が反対 太郎はロクでもない男 と弟に吹き込んだらしい
 太郎は諦められず再び結婚を申し込みに・・・運悪くその日戦争が始まった
 戦争に行って5年 別れ別れになってしまったが と思い出を話す


 太郎のアトリエにあるピアノは与謝野晶子から譲り受けたピアノだという

【カラスと一緒に遊びましょ】
 太郎と團は共にカラスを飼っていた(対談時 團のカラスは死んでいた)
 

 團はへびを飼っていて 'みんなから嫌われて可哀想’ と太郎にも勧める
 '今度来る時に持ってきますよ'
 何事にも物怖じしない太郎が 'それだけはダメ 頼むからやめてっ!'

【鐘が鳴ります鐘が鳴る】
 團「去年つくられた鐘はいまどこに?」
 太「去年のやつは伊豆の山の上 富士見ランドというところにある」
 團「そういえば通ったことがある 見に行けばよかったなぁ」
 太「おととしのやつは 名古屋の久国寺にあって これは音がいい」
 團「仲間の黛君が鐘の音が好きでね 涅槃交響曲というのを作った」 
 太「黛君なら去年うちへ来て 10分の1のひな型を叩いて喜んでいたよ」
 團「やっぱりちゃんと調べてるんだなぁ」



 (余談) 
 黛敏郎は '5~60年代はどちらかといえば革新派で安保改定にも反対した
 ’70年代になると保守派に転向 安倍政治の母体になった'日本会議'に属し
 その活動の中心を担った

【團はやむをえず音楽家になった】
 團伊玖磨は 生まれながらにして強度の紅緑色弱だった
 理系の大学は色盲はダメ 現在の東京芸大の音楽部を受けた
 ここも試験でひっかかったが 校医は’絵は描かんから’と合格させてくれた
 太「やむを得ず音楽家になったってわけだ」
 壇「色の区別が出来ずに悔しいことが2つ 一つは人の’顔色がわからない’ 
 とくに'女がポッと頬を染めた'なんて わかりたいなあ わかりたい!」

目から耳へ抜ける?】
 目の色弱の話から 耳の音弱(音痴)の話に移る
 團夫人は元ピアニストだが 歌う時は音痴になるそうだ 子供も同じ
 團「ぼくはそれをほのぼのと聞いて楽しんでる」
 太「ぼくも音階を知っている曲は正しく歌える よく知らない歌は音痴に」
 團「それだけ敏感なんだってことですよ みなさん」

 座談会が終わり速記者も帰って 二人は西銀座へ行って飲んだ
 太郎さんらしい面白く鋭い話が出て 終電に乗り遅れて東京に泊まった
 ・・・團は後書きでそう書いている

 最後に 團伊玖磨作曲「花の街」
 

 今日はここまで それでは明日またお会いしましょう
[Rosey]