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DAZN観戦 2023年J1昇格プレーオフ決勝戦 東京ヴェルディvs清水エスパルス

2023-12-04 16:00:55 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回のヴェルディの記事はこちら(PO・千葉戦、2-1)
※前回の清水の記事はこちら(PO・山形戦、0-0)

<ヴェルディスタメン>

<清水スタメン>

  • 正GKの権田は今週も間に合わずベンチ外。

世紀の一戦、その舞台は新国立競技場。
そのキャパシティの大部分を埋める53,264人もの観衆を集めた、泣いても笑ってもJ2最後の試合。

アウェイ・清水のサポーターも大集結する事により、ホーム・ヴェルディのアドバンテージは希薄となり。
補強費における両者の戦力差は言うに及ばず(選手の年俸差は4倍以上だそうな)、今季行われたリーグ戦での戦いも、清水の2戦2勝と結果に表れ。
よってヴェルディの利は、「引き分けでも勝利扱い」の一点のみといった感がありました。

キックオフの前に、国立のその特異なスタジアム構成により生まれる日光を嫌ってか、ヴェルディはコートチェンジを敢行。
映像から見て左側の日向部分が大きかったものの、右側のゴール付近にもいかにも「その部分のみから降り注ぐ」日向が円周状に存在しており。
そんな画面からも、サッカーをするには?な構造が窺えました(おまけにコート内の芝も乱れがち)が、これがどう左右するか。

いきなりの前半1分、ヴェルディは清水のキックオフからの攻撃を遮断し、反転して攻めるもシュートには持ち込めず。
すると清水は(主にスローインから)サンタナをターゲットとした攻めへと切り替え、その効果から押し込み始め。
何度もセットプレーで好機を迎えると、ヴェルディサイドはその処理に手間取り、中々綺麗なクリアが出来ずと周囲に冷や汗を掻かせる立ち上がりに見えました。

そんなヴェルディですが、8分にGKマテウスのフィードによるビルドアップで、硬さを取りつつポゼッションを高め。
11分にはGK大久保のフィードを染野がスライディングでブロック(そのままゴールライン割る)と、前線にも勢いが出始めます。

今度は清水が難儀する時間となり、15分には山田がホナウドから反則気味にボールを奪うと、そのままドリブルに入った山田を乾が倒してしまい反則。
これによりホナウドが「何で向こうのチャージは反則じゃないんだ」と言わんばかりに主審に異議を唱える、今季のお決まりのような絵図が生まれ。
判定へのフラストレーションとの戦いも強いられるなか、その後はヴェルディのアバウトなスルーパスを、最終ラインがセーフティにクリアするなどミスをしない立ち回りを目立たせます。

21分に右スローインから攻めるヴェルディ、(コーナーキックの直後で)右に回っていた齋藤が中央への縦パス、良い位置で受けた森田がミドルシュート。
これを高橋が前に出てブロックした清水が反転攻勢に入りますが、素早く戻った森田が中盤で遮断と、自分の責任を自分で処理する働きぶり。
激しい攻防シーンを彩った両者が、試合を(逆に)動かすキーマンとなるとはこの時は露知らず。

中々ペースを掴めずにいた清水も、25分にGK大久保からのビルドアップ、素早い運びで右サイドに持ち込んだのち原がドリブルで齋藤を剥がして一気に奥へ。
そしてマイナスのクロス気味に中央へ戻し、受けたカルリーニョスがペナルティアークからシュート。(枠外)
30分には最終ラインからビルドアップ、距離の長いパスでヴェルディのプレッシングをいなして右から攻め。
中山の斜め方向へのドリブルを経て逆サイドへ展開し、敵陣左サイドでパスワークを続けたのちに、乾がその逆を突くミドルパスを右ポケットへ。
受けた原がカットインからシュート、深澤のブロックで浮いたボールをサンタナがバイシクルにいくもミートせずと、連撃に持ち込むも決められず。(その後左サイドから山原クロス→サンタナヘッドもミートせず)
ヴェルディの前線の守備に慣れて来た感があり、しっかりと後方からチャンスを作る流れを形成しつつありました。

そのヴェルディの守備は28分の清水のFKの際に、一度跳ね返したのちのラフな放り込みを、エリア内でヘッドでクリアにいった山田が前述の部分的な日光を気にしてかミート出来ず。
これでエリア内での空中戦となり、サンタナがこぼれ球を繋いだ所を乾がダイレクトでシュートしましたが、こちらも日光が気になったかふかしてしまい先制ならず。
後方でやや乱れが見られると、それが前線にも波及したか、左サイドハーフの齋藤が穴になっていた感があり。
原の前進を阻めずに好機を作られるシーンが膨らみます。
ベンチも危機感を覚えるその絵図に、たまらずピッチサイドでの城福浩監督の指示が齋藤に向けて飛ぶ事となり。

それでも清水が攻め込む流れが続き、守勢を強いられるヴェルディ。
端的に良くない流れながらも、リーグ終盤からこのプレーオフにかけて、内容が悪くても勝ち抜いてきた経験は健在であり。
中央をしっかり固め、ワイドからのクロスは多少大目に見たうえで、ポケットへの侵入を許さない事を第一に考える姿勢で堰き止めます。
実際上げられたクロスも、ブロックを掠めてズレる(30分のサンタナのヘッドの場面とか)など際どいながらも防ぎ。

迎えた終盤、清水サイドも埒が明かないと踏んだか、ワイドからのクロス攻勢を改め。
右サイドからの攻撃を貫くなか、ヴェルディの対応をパスワークでかわし、ポケットを突く事で崩しに掛かるという攻めを繰り返し。
44分には中山が、45分には原がそこからマイナスのクロスを入れ、後一歩で合わずという惜しいシーンを演出するに至りました。
しかし後者が防がれたのち、山田がドリブルでカウンターに持ち込みかけた所をホナウドが倒してしまい反則・警告。
最初のカードを貰ってしまい、不安材料も抱えて前半を終える事となりました。

1点が流れを変えかねない、最終決戦に相応しい展開。
ハーフタイムでの交代も無く、何処で動くかという采配も注目される事となったでしょうか。

ヴェルディのキックオフ、戻し→谷口の右奥へのロングパスから、細かく繋ぐ攻め。
タッチに出ると山田がロングスローを敢行する等、強引な姿勢で押し込みに掛かった立ち上がり。
しかしその意識が仇となったか、後半3分中原のボールキープからのバックパスが短くなった所を突かれてカルリーニョスが奪取。
そして右サイドを駆け上がったカルリーニョスのクロスがニアサイドを突き、サンタナがヘッドで跳び込んだものの林が防ぐという具合に、肝を冷やすヴェルディ。

やはり敵陣でのボール奪取は緊迫感を生み出すものですが、以降それを立て続けに起こしたのはヴェルディの方。
6分にCKからの流れで宮原が中央でカットすると、そのままミドルシュートを放ちましたがGK大久保がキャッチ。
これで好循環を得ると、以降9分に清水ディフェンスの連係ミス?(裏へのロングパスにGK大久保が前に出てクリアも鈴木・高橋と交錯)で、高橋と鈴木が痛み倒れ込む絵図が生まれ。
その隙を突くように、要所でパスカットに顔を出す宮原。
12分にはホナウドからボール奪取した宮原、そのこぼれ球を拾った齋藤が右ポケットからシュート(枠外)という具合に、ショートカウンターで脅かす流れを続けます。

13分には再びホナウドが反則を犯し、判定に異議を唱えるシーンを作るなど、厳しい展開となってきた清水。
すると秋葉忠宏監督は手を打ち、15分にカルリーニョス→北爪へと交代。
同時にお決まりのパターンである、原を右センターバックとした3-4-2-1へのシフトを敢行します。

前回の試合では見られず、シーズン終盤にはそれが裏目に出る場面が目立つなど、(自分の中で)良い印象が無かったこのシフト。
しかし続く16分敵陣でポゼッションに入る清水、ホナウドのエリア内へのスルーパスは遮断されるも、セカンドボールを確保して右からの攻め。
人数を掛けてパスを繋ぐ清水に対し、ヴェルディは森田・稲見も最終ラインに降りての厳しい対応を強いられ。
そしてポケットへ北爪が浮き球のパスを送り、走り込む乾の前で森田が蓋をして防がんとし。
しかし確保したかに見えた森田、左腕にボールを当ててしまった事でハンドを取られ、一転PK献上という事態を招いてしまいます。
VARチェックが挟まれるも判定は変わらず、絶好のチャンスを得た清水。
キッカーはサンタナで、独特のステップから放たれた右へのシュートがGKマテウスの逆を突いてゴール。
これで先制に辿り着き、一歩前に出る事となりました。

1点が必要となったヴェルディ。
21分に反撃の矢として新井を投入、齋藤と交代で同ポジションに入ります。

しかしPKを与えた森田の動揺は想像以上のようで、22分には浮き球を収めにいった中山に対し、後ろから圧し掛かる様な形となってしまい反則という彼らしくもないプレー。
その後も精彩を欠くなかで、どう攻めるかという課題を突き付けられているようでした。

清水は25分に山原・中山→吉田・岸本へと2枚替え。
守備固めとも取れる采配でしたが、当初は前線の守備も正して反撃の芽を摘みに掛かった節があり。
ヴェルディのビルドアップに対しては、アンカー的に位置取る森田に対してサンタナが付き。
そしてシャドーが規制を掛けてサイドに追い込むというスタイルで、前進を阻みにいった清水。

最初はそれが機能するも、26分に縦パスを受けにいった山田を高橋が倒してしまい反則・警告を受けた辺りから潮目が変わり始め。
これにより倒れた際に山田が足を攣らせる事態となったヴェルディは、29分に再度交代、林・山田→平・綱島へと2枚替え。
その直後に、新井にアフターチャージを犯してしまった原も反則・警告と、後手に回る要素を自ら生んでしまった清水。
サンタナの森田へのチェックも曖昧になり、ボールタッチが増えて来た事でヴェルディも森田自身も落ち着きを取り戻したでしょうか。

それでも3-4-2-1の清水は、最終手段の「5バックでリトリート」が残されており。
パスは回るようになったヴェルディですが、清水のその姿勢によりひたすらブロックの外での繋ぎを強いられる状況に。
33分にはその状態から乾に奪われてカウンターになりかかる所を、岸本の前進を稲見が反則気味のアタックで止めて何とか防ぎ。

ヴェルディの最後の交代は36分で、深澤・稲見→山越・長谷川。
長谷川がFWに入った事で、綱島が降りてボランチに。
時を同じくして、清水は原が足を痛めた事でこちらも最後の交代に。(38分)
原・乾→北川・神谷へと2枚替えして両者シャドーに入り、岸本を原の位置(右CB)に入れる最終布陣となりました。

これにより森田が最終ラインに降り、FWというよりはセカンドトップの役回りとなった長谷川が降りるという形が基本となるヴェルディのビルドアップ。
清水の前線五角形の内側に位置取る長谷川を軸に、崩しを図らんとします。
それでもじっくりと回す反面、エリア内を突ける局面は減ったままなのは変わらず。
44分に清水のパスミスからその場面が訪れ、宮原のアーリークロスが、最終ライン裏に抜け出す格好となった染野に収まる絶好機に。
しかしワントラップから反転シュートを撃ちにいくも、高橋の決死のブロックに阻まれ同点ならず。

時間も押し迫り、こうしたアーリークロスを上げる機会を増やすヴェルディ。
アディショナルタイムに突入し、8分という長い目安となるも、得点の匂いは膨らまず。
CKからのこぼれ球を森田が拾いミドルシュート(ゴール左へ外れる)と、自身で取り返すという積極性も実らず、時間は進んでいき。

それでもパワープレイには出ず、一矢に賭けるという姿勢を貫くヴェルディ。
そして+4分という所で、清水が神谷のキープで前に出た所を囲んで奪うと、中原のミドルパスが最終ラインの裏で染野に収まり。
今度は位置も浅く自分で持ち運びを強いられる所、裏を取られた鈴木が中央へ戻るのを受け、右ポケットへ切り込んだ染野を防ぎにいったのは高橋。
先程はブロックに成功した高橋でしたが、その余勇からかスライディングを敢行したのが完全に仇となり、確保せんとする染野の左足を削ってしまう格好に。

これが試合後の大きな議論を呼ぶシーンとなり反則・PK献上に繋がったのは言わずもながですが、土壇場故にヴェルディサイドのプレッシャーも半端無く。
このJリーグ史上最も重要といっても過言では無い程のPK、キッカーは反則を受けた染野が務め。
そして利き足方向へ強く蹴る事を選択した結果、読んだGK大久保の右手を掠めてゴールに突き刺さり。
息を吹き返す、そして清水を半歩追い抜く同点弾を齎しました。

昇格に近付いたはずが、一転して緊急事態という清水。
しかし出来る事は少なく、逆にパスミスを拾ったヴェルディに左コーナーに持ち込まれて時間を稼ぐ絵図も作られてしまい。
何とか遮断しロングボールを送るも、ヴェルディの染野に対するそれとは精度も距離も圧倒的に足りず、好機を生み出せません。

AT内の時間ロスもあり10分が過ぎた所で、決着を告げる主審の笛が鳴り響き。
1-1の引き分けで勝ち抜きという形で、悲願の昇格に辿り着いたヴェルディ。
その瞬間キャプテン・森田が感涙し倒れ込み、首脳陣一同はピッチサイドで歓喜の和を作り上げ、沸き上がるスタンドの大観衆。
激戦に次ぐ激戦を経て、最後の最後に勝ちきる(スコアはは引き分けでしたが)力を発揮して幕が閉じられました。
16年ぶりとなるJ1の戦いは相当な厳しさを予感させるものの、城福監督の「J1に定着、そして優勝を目指すクラブになる」というコメントを、その気にさせてくれる戦いは貫けたシーズンならびにPOとなったでしょうか。

これにて全日程が終了する事となった今季のJ2リーグ。
来季は2クラブ減少で、J1と同数の20クラブでの戦いとなる一方で、降格が3クラブとなるなどその座を守りきるのも難易度は上がり。
1年で復帰の願い叶わずとなった清水もその渦中に放り込まれる事となりましたが、そこから脱するのに不足しているものは何なのか。
今季のような巨大戦力を抱える事が、絶対では無いのを証明する形となりましたが、オフを経てどういった編成になるか色んな意味で楽しみです。

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