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DAZN観戦 2019年J2リーグ第29節 アルビレックス新潟vsツエーゲン金沢

2019-08-29 16:11:56 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の新潟の記事はこちら(25節・町田戦)
※前回の金沢の記事はこちら(27節・町田戦)

新潟でのホーム・デンカビッグスワンスタジアムで行われたこの試合、距離が近い事もあってアウェイ・金沢のサポーターもかなりの数が押し寄せていた模様。
金沢のホームでの前回の戦い(19節)では、試合前に面白イベントが行われていたようで。

新潟側にとっては特別な思いを抱きながらの応援となった(と思われる)このカード。
現金沢監督である柳下正明氏が、過去に3年半監督を務めた(2012途中~2015年)クラブが新潟であり、J2降格後の前年からこうして敵として相ま見える事となりました。
今季は天皇杯も含めて3試合目であり、過去2試合はいずれも金沢の勝利に終わっているヤンツー(柳下氏の愛称)ダービー。
ホームで意地を見せたい新潟(前年は2勝)、その試合内容も壮絶なものになっていきました。

試合開始早々(前半3分)、金沢が先制に成功します。
元新潟である金沢右サイドバック・長谷川のクロスから得たコーナーキック、キッカー藤村のニアへのクロスを山根がフリックして逆サイドへ。
FW垣田が囮になりボールはフリーの廣井に向かい、左足でダイレクトでゴールに突き刺した廣井。
早くもリードを奪った金沢、以降は新潟の攻めを出足の速さで潰しつつ、縦に速い攻撃で追加点を狙うというスタイルを展開します。

新潟は川口がレンタルで柏に移籍、川崎から舞行龍ジェームズを獲得(出戻り)したものの、これによりSBが手薄・センターバックが過剰という陣容に。
舞行龍が登録された前節・岡山戦(0-3で敗戦)はディフェンスラインの組み方に難儀し、岡本が右SBをやったりしていましたが、結局は舞行龍右SB(堀米左SB)という答えに落ち着きました。
尚前節左SBだった新井は、この日はベンチにも入らず。
中盤では高木が出場停止になっていた事もあり、前節のドタバタぶりが継続されたのか、序盤は金沢のサッカーに翻弄され押され気味に。

落ち着きを取り戻したのは前半16分、4-2-3-1のトップ下であるシルビーニョがチャンスを作った場面から。
中央でレオナルドとのワンツーを繰り返してエリア内に抜け出すも、GK白井がキャッチ。得点にはなりませんでしたが、以降は新潟が自慢の攻撃力を発揮します。
18分にはカウンター、戸嶋縦パス→レオナルドポストプレイ→渡邊新太ダイレクトでスルーパスという流れるような攻めで右サイドでシルビーニョが抜け出してクロス。
グラウンダーのボールにファーサイドでレオナルドがスライディングシュート、GK白井にセーブされた後も尚シュートしますが、ゴール上に外れます。
23分には金沢陣内でフランシスがボール奪取、その後戸嶋→渡邊新→シルビーニョと繋がり、シルビーニョはワンタッチでエリア内へパス。
これを受けたフランシスがシュートを放ちますが、これもGK白井に阻まれます。

サイドハーフである2人、右のフランシスがライン際に張る一方で、もう一人の渡邊新は中央近くでプレーする場面が目立った新潟。
その空いたスペースに堀米がオーバーラップするのが左サイドでの組み立ての基本なのでしょうが、フランシス・シルビーニョの個人技もあり、中央から右サイドでの攻撃が強く出ており堀米は自重気味な前半でした。
そんな新潟の同点ゴールは前半30分。
まずは左サイドで堀米がボールを持ち、渡邊新→戸嶋と繋がりますが、その後のシルビーニョへのパスは繋がらず。
しかし拾った金沢・加藤からシルビーニョが奪うと、今度は右サイドから攻撃。
フランシスがシルビーニョとのワンツーで奥に進入してクロスが入り、これにレオナルドが合わせてゴールゲット。
特徴が如何なく発揮されたゴールシーンでした。

その後の34分にも決定的なチャンスを迎え、金沢コーナーキックからのカウンター
レオナルドがドリブルで中央突破の後左にパス、エリア内左でフランシスがボールを持つ決定機を作ります。
フランシスは金沢DF・長谷川をかわしてシュートを放ちますが、GK白井が足でセーブし得点ならず。

一方の金沢も山根を中心に何度かチャンスを作るもののゴールはならず、1-1のまま前半を終えます。
すると後半頭、金沢はその山根に代えてクルーニーを投入。
柳下氏曰く「後半から2トップの守備のやり方を修正した」との事で、恐らくは動き回る山根では無く中央で張ってからプレスするクルーニーに代える事で、中央のシルビーニョ近辺へのパスの抑制を狙いたかったのか。

その効果が現れる前に試合が動きますが、それも金沢がワンチャンスを生かしての追加点。
新潟がペースを握ったままの立ち上がりでしたが、後半4分に敵陣で小島縦パス→クルーニー左へポストプレイ→大石とボールが渡り、大石がエリア内にスルーパスを送ります。
そこに走り込んだ加藤に対し、彼に付いていたフランシスがたまらずバックチャージして反則・PKに。
キッカーの大石が冷静にゴール右に蹴り込み、押され気味の展開で得た勝ち越し点。

その後の金沢は前述の前線からの守備の他、シルビーニョへのチェックを早める事で新潟の攻撃を防ぎにいきます。
シルビーニョに頼れなくなった新潟はサイド攻撃を軸に攻めますが、右サイドはフランシスの突破力頼みで、ようやく左サイドで堀米が奥まで進入する形が見られ始めます。
しかし堀米のクロスは精度を欠き、有効打とはなり得ず。

結局最も有効と思われたのはレオナルドを狙った縦のボールで、後半8分に舞行龍のロングパスをレオナルドが落とし、渡邊新がシュート。(DFがブロック)
21分には堀米の縦パスをレオナルドが収め、シルビーニョとワンツーでエリア内進入を狙うも奪われます。
その直後、スローインからの舞行龍のクロス→レオナルドヘディングシュートはGK白井にセーブされますが、その後の堀米の縦パスでエリア内でボールをキープしたレオナルド。
前を向こうとした所を金沢CB・山本にチャージされて倒れ、笛が鳴って反則・PKを獲得。
これをレオナルドがゴール左隅に蹴り、GK白井の反応及ばず2-2の同点に。

ペースを握りながらもビハインドの展開が続いていた新潟、この得点でホッとしたのか、その直後は一転して金沢の攻勢になります。
シュートは撃てないものの、相手に自陣に進入させない出足の速さでペースを掴み、25分に大石の右サイドからのクロスがブロックされてコーナーキックを獲得。
するとそのコーナーキック、キッカー・藤村がニアに送った高いボール、跳んだクルーニーの頭を越えた先で山本がヘディングシュート。
新潟・戸嶋にブロックされたボールが丁度加藤の足元にこぼれ、躊躇無く蹴り込んだ加藤が三度の勝ち越しゴールを挙げました。

その後31分、ネジを巻き直さんとばかりに新潟が2枚替え。
舞行龍→渡邊凌磨、渡邊新→本間へと交代し、戸嶋右SB・渡邊凌ボランチ・本間左サイドハーフへとポジションチェンジし、同点ゴールを狙いにいく体勢に。
金沢も34分に加藤→金子に交代、直後の35分に金子のクロスからクルーニーがヘディングシュートを放った場面を作りましたが、これは枠外に終わります。
そして以降金沢はシュートは無く、新潟の怒涛の攻撃が展開。

37分、レオナルドのパスを受けた渡邊凌がシュートもブロック。
38分、かなり手前の直接フリーキックでキッカー・シルビーニョがシュート気味にゴール前に入れるも、GK白井が冷静にキャッチ。
40分にはフランシス→矢野に交代し、2トップにしてのパワープレイ体勢という総動員を見せる新潟。

そしてそれが実ったのが45分でした。
岡本のロングフィードを矢野が落とし、レオナルドがエリア内でキープした所金沢・大橋に倒されて笛が鳴り、再びのPKを獲得した新潟。
当然キッカーはレオナルド、決めれば負けは消える事が濃厚になる重要な場面。
これを先程と同様ゴール左へとシュートしますが、結果は同様にはならず。
GK白井も先程と同じ方向へと飛び、今度は見事なセーブを魅せて最大のピンチを防ぎました。

その後の怒涛の攻撃も凌ぎ切り2-3で金沢が勝利、シーズンダブル(天皇杯含めるとトリプル)を達成しました。
勝ち点46となり、現実的にも昇格を狙える位置(8位)に着けてきた金沢。

一方の新潟はここに来ての3連敗。
この日も攻撃は助っ人頼みという印象が強く、それは首位・柏の助っ人構成を見れば間違いでは無いですが、助っ人をサポートする選手・守備面の組織の強化が欲しい所です。
前節から闘病を経てベンチに復帰してきた早川が注目されていますが、彼が起用された日には、その課題の解決は成されるのでしょうか。

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DAZN観戦 2019年J1リーグ第24節 浦和レッズvs松本山雅FC

2019-08-28 16:53:20 | サッカー視聴記(2020年以前)

表面だけを見れば、残留争い組の松本が、強豪・浦和相手に金星を挙げた。
そんな試合結果になりましたが、果たして現在の浦和はそれに値するのかどうか。

攻撃の中心であった前田は海外移籍で21節以降登録抹消。
切り札として期待された助っ人レアンドロ・ペレイラは、戦術面で折り合いがつかず16節以降スタメン出場無し→広島に移籍。
ただでさえ低い攻撃力に、手詰まり感を増幅させるかのような夏の移籍期間を過ごした松本。
代役としてJ2・山形から阪野を獲得、陣容は整えたものの阪野自身は未だ結果を出せておらずと、苦しい台所事情が続きます。

そんな状況下での浦和のホーム・埼玉スタジアムでの試合とあってはかなり厳しいものでしたでしょうが、この日の観衆は金曜という事もあり2万7千人台と平凡。
全方位アウェイのような雰囲気とはいかなかった事が幸いしたでしょうか。

それでも試合は序盤から浦和ペース。
強豪にしてはビルドアップ・ボールポゼッションの面で難が見られる今季の浦和ですが、リトリート・ラインコントロールが守備のベースである松本に対しては、プレスに嵌る事無くしっかりとボールを回していきます。
この日3センターバックの中央に入ったのが森脇とは少々意外でしたが、サポートに入る大ベテラン・阿部の存在もあり問題無くボールを散らし、左右のCB槙野・橋岡がワイドに開くビルドアップの形を作っていく浦和。

ファーストシュートは松本でしたが(5分・セルジーニョ)、その後はペースを握っていた浦和が攻勢に。
1トップの興梠がシュート・ポストプレイでチャンスに絡むなど、前節(神戸戦)での停滞感は見られず。

それでも松本が17分、パウリーニョのミドルシュートで浦和ゴールを脅かす場面を作ります(GK西川セーブ)が、その直後に浦和の先制ゴールが生まれます。
19分、後方でのパス回しから森脇の縦パスを宇賀神がスルー(フリック?)で流し、橋岡が裏に抜ける事に成功。
彼のグラウンダーのクロスに合わせたのはファブリシオ、綺麗にゴールに流し込みました。
前年夏場の救世主として名を上げたファブリシオ、故障もありこれがリーグ戦今季初ゴール。

与えたくない先制点を与えてしまった松本。
その直後フリーキック・コーナーキックのチャンスを掴み、阪野・永井がそれぞれヘディングを放つもののゴールは割れず。
逆に25分、再び右サイドからの浦和の攻撃で柏木→宇賀神→興梠とパスが回り、エリア内のファブリシオにラストパスが渡る絶好機に。
ファブリシオはダイレクトでシュートするもGK守田がセーブ、何とか2点目は防いだものの、「攻撃力の無い下位チームが、無理に前掛かりになって追加点を与えてしまう」という敗戦のパターンを歩んでしまうのは時間の問題に思えました。

しかし浦和もここ最近は不調であり、その後は追加点を匂わせるシーンは無く。
前半アディショナルタイムの攻撃、ファブリシオが再びエリア内でボールを受けるものの左へパス、左ウイングバックの山中がクロス。
このこぼれ球に槙野がオーバーヘッドでシュートを放つ(枠外)、CBなのにともいかにも槙野らしいとも言える攻めっ気が発揮されました。
一見微笑ましい場面でしたが、結果的にこの攻めっ気が死を招いたのではないかと……

強度が失われている最近の浦和に対し、松本も攻める事が出来るもののコーナーキックを得るのが精一杯という攻撃。
最初のターニングポイントとなる浦和・柏木の負傷交代(後半19分)まで、得たコーナーキックは7本に昇ったものの、得点に結びつく事は無く。
このまま無得点・敗戦で試合を終える雰囲気が漂い始めます。

その流れに暗雲が立ち込めたのが前述の柏木の負傷で、16分に敵陣でボールを奪い、そのままエリア手前でシュート体勢に入るも松本・阪野に止められた際に痛めたもの。
これまで黒子の如くパス回しに徹していた柏木、自らシュートを狙いにいったのが仇となってしまった格好で、無念の途中交代となります。(武藤が交代出場)
その直後の20分、町田も最初のカードを切り藤田→町田に交代、ボランチを切って攻撃的な選手を入れる事でフォーメーションも3-3-2-2にシフトします。

投入された町田ですが、前年までは千葉で背番号10を付けていた選手。
今季松本に加入したものの、故障で長期離脱もあり存在感は殆ど示せず。
しかしここに来て前線の選手の移籍もあり陽の目が当たってきました。
前田の移籍以降の4試合のうち、3試合で出場。(いずれも途中出場)

今まで殆ど起用されなかっただけに浦和側も意外と思ったのか、フォーメーションチェンジにも大した対処もされずに松本は攻勢に出る事に成功します。
24分、水本のロングパスをポストプレイで落とした町田、すぐにセルジーニョからボールを受け直すと左に展開。
高橋がアーリークロスを上げますがこれはGK西川がキャッチ。
26分には阪野とのパス交換で敵陣右サイドに進入した町田、クロスを上げるとファーサイドで高橋がトラップ。
そこからカットインしてシュートを放ちますが宇賀神のブロックに阻まれます。

地味ながらも着実に良い流れが生まれてきた松本、それが実ったのが後半30分でした。
ここも町田が中央やや左をドリブルで持ち上がり左へパス、高橋からクロスが上がると、エリア内で阪野がヘディングシュート。
これが槙野のブロックでコースが変わった事もあり、バーに当たりながらもゴールラインを割るゴールとなり、阪野の嬉しい移籍後初得点で同点に。

この直前に青木の交代を準備しており試合を閉めに掛かっていた浦和、まさかの同点劇だったらしく、その直後慌てて交代選手を関根に代えます。(宇賀神と交代)
夏の補強で得た(といっても出戻りですが)関根、加入直後は浦和の閉塞感を打ち破る存在と成り得ましたが、その効果も最近は途切れ気味。
この日は36分、橋岡のパスを右奥で受けた後手前にカットイン、その後パス回しから再び右サイドで受けて低いクロスを入れますがわずかに合わずと見せ場を作った関根。

しかしそれでも浦和は失った流れを取り戻すまでには至りませんでした。
38分の松本右サイドからのスローイン、町田→永井と渡ってクロスが上がると、ボールは中央に走り込む宮坂(セルジーニョと交代で出場)の頭を越えてフリーの場所へ。
この落下点に入った高橋、逆ベクトルが働いた体勢ながらボレーシュートを放つと、強烈な速さでゴールマウス右隅を捉えついに逆転に成功した松本。

その後は守りを固める松本に対し、浦和も反撃に出ますが既に天運は無く。
興梠のポストプレイ・山中のクロス・関根の突破力などを駆使して同点弾を獲りにいったものの、それが果たされる事は無く、試合終了の時を迎える事となりました。

今季は「リーグ戦・ACLの二冠を」と意気込んで臨んだ浦和でしたが、リーグ戦では停滞そして低迷を余儀なくされる破目になっています。
13節・広島戦での大敗(0-4)を受けてオズワルド・オリヴェイラ監督を解任し、その後は前年監督代行で結果を出した大槻毅氏が正式な監督に就任。
前述の関根獲得に見られるように、「かつての輝きをもう一度」と言わんばかりの方策でこの苦境を脱しようとしている浦和ですが、根本的な解決を見ないまま再び低迷期に陥らんとしているかのようなここに来ての連敗。
特に松本の町田投入以降、対処の遅れが露わになっての逆転負けは非常にダメージが残るものでしょう。

関根以外には大きな補強には動かなかった浦和、いや正確には動けなかったと言った方が正しいでしょうか。武富獲得直後故障で長期離脱とかありましたが
関根獲得はかなりの移籍金を支払っての事だったらしく、開幕前の杉本・山中といった補強策とも相成って、これ以上資金を投じるのは厳しいという事情があったのだと思います。
この日の埼玉スタジアムの空席の目立ちぶりからも、浦和の支えであった豊富な資金源はもはやあるかどうか疑わしいという状況が窺えてしまいます。今や資金力ではすっかり神戸にお株を奪われていますし
ここから残留争いに足を踏み入れる、なんて事は……無いと信じたいですね。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第29節 モンテディオ山形vs栃木SC

2019-08-27 17:10:25 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の山形の記事はこちら(22節・京都戦)
※前回の栃木の記事はこちら(24節・柏戦)

グラウンド内での規律。

今季から栃木の監督を務めている田坂和明氏。
テクニカルエリアに立っている際も、常にスーツを身に纏いチームを見守るその姿は、規律に厳格な指揮官という雰囲気を醸し出しています。(流石に猛暑の時期はワイシャツ姿でしたが)
大分での監督時代(2012~2015年途中)も、チームを纏め上げる際はクラブハウスでの生活から厳しい規律を持ち込む事で果たしていったという話を聞きます。

今季栃木でそれが実施されているかどうかは不明ですが、上位クラブとの地力の差は如何ともしがたく、ここまでシーズン4勝と低調な成績。
ある意味残留争いの主役的存在になってしまっているここまでの栃木であり、近況は4試合連続で引き分け。
下位クラブだけに「勝ち点1をもぎ取るしぶといサッカー」と評されがちですが、2点リードを追い付かれた27節・京都戦など、勿体無い展開を演じてしまっているのも確かです。まあこの試合はボール保持で圧倒されていたので追い付かれたのは当然といえば当然でしたが

残留を果たすための補強は積極的で、前回述べた乾・瀬川・三宅・キムヒョンに加え、ブラジルのクラブからユウリをレンタルで獲得。
そして早速ボランチとしてスタメン起用しているように、即効性を期待されているのは確かでしょう。
今日でスタメン2試合目ですが、残念ながらこの日はその効果は表れていませんでした。

試合が始まるやいなや、早くも流れが山形に傾きます。
開始1分で左サイドからのコーナーキックを得ると、キッカー・中村のクロスがクリアされた後二次攻撃が開始されます。
右センターバックの加賀が中央をドリブルで進み、左に残っていた中村へパス。
その中村の再びのクロスはファーサイドへ上がり、合わせたのは守りの要・栗山でした。
ヘディングシュートはループ軌道を描いて逆サイドのゴールネットに突き刺さる、ベテランらしい味わいのあるゴールで山形が先制しました。

開始早々ビハインドの展開になってしまった栃木。
その後大黒のポストプレイを軸に攻め上がり、クロスを何度か上げますがシュートまではいけず。
そしてその攻撃も、前半10分で打ち止めとなります。

以降は山形の前線プレスに対して四苦八苦するビルドアップ、というのが主たる姿。
センターバックの3人、乾・藤原・メンデスは山形のプレスに完全に封じ込まれ、その一列前の選手のサポートも薄く中々ビルドアップの出口を作れません。
メンデスは2017年夏から在籍はしているものの、この日が栃木でJ2初出場という経験の浅い選手であり、この苦境を跳ね返すだけの力は無く。(前所属・金沢では15試合に出場)
そんなDF陣のサポートをすべきボランチ2人はというと、ヘニキ・ユウリという助っ人が並んでいました。
その姿は一見壮観だったものの、この状況でカギとなるであろう降りてくる動きはあまり見られず。
ヘニキがロングボールのターゲットというタスクを背負っていた事と、起用されて日の浅いユウリが周囲との連携不足という問題を抱えていた事がその事態を招いていたのでしょう。

相手の山形もポゼッションという観点では難のあるチームですが、同タイプの「ボールを持たせるチーム」の典型で、さらに早々に先制を許したとあっては「ボールを持たされる」状況になってしまうのは必然とも言えました。
試合前のカードからもそんな展開が予想できただけに、連携に難のある新戦力を多数起用した事は、この試合勝ち点を得るためには逆行していたものとしか言いようが無かった。
果たして規律というものが感じられずに過ごす事となった前半の栃木。
山形の大槻・坂元・南のプレスをかわす事が出来ずに、敵陣にボールを運ぶ事すらままならず。

一方の山形、ボールを奪っても無理なポゼッションはせず、縦に速い攻撃を見せるという姿勢を一貫。
堅守のクラブの最適解ともいえるそのサッカー、後方でパスミスの危険性が拭えない栃木はまさにその格好の餌食だったでしょう。
前半30分の追加点はまさにその通りになり、左ウイングバック・山田の仕掛けからの攻撃は一旦カットされますが、その後栃木・藤原がパスミス。
拾った坂元がエリア内へパスを送ると、そこにはボランチの位置から駆け上がっていた中村。
シュートは難なく決まり、ショートカウンターを見事に完遂させました。

攻撃で良い所無く時間を浪費していた栃木、40分過ぎからようやくペースを掴み、何度か山形ゴールに迫ります。
願わくばここで反撃の狼煙となる1点が欲しかったですが、最大のチャンスだった左サイドからのロングスロー→ヘニキフリック→大黒ヘディングシュートは僅かに右に外れます。

結局2-0のまま前半が終了。
栃木サイドから見ても問題が明らかだったのか、後半頭からユウリに代えて枝村を投入します。
32歳のベテランで、かつ2015年に清水で田坂氏の下プレーした経験ありと、連携・戦術理解度ともに問題の少ない選手。
状況打開のためにはうってつけだったでしょう。

その通りに壊滅的な状況だった前半からは幾ばくか改善されましたが、それでも山形に決定的なシーンを作られた立ち上がり。
後半4分、栗山のクリアから大槻→南へと繋がれ、大槻がエリア内に進入するもメンデスに潰されてシュートは撃てず(反則も無し)。
7分にもクリアから南・大槻に繋がれ、右サイドから坂元が低いクロスを上げると、大槻が鮮やかに収めてから反転シュートを撃ちます(GKユヒョンがキャッチ)。

応戦したい栃木は13分、ヘニキのカットから枝村→西谷和希と繋ぎ、三宅がミドルシュート(ゴール右に外れる)。
17分にはゴールキックを敵陣で大黒が収め、彼のパスを受けた西谷和希がミドルシュート(当たりが弱くGK櫛引キャッチ)と、遠目から積極的に撃つ事で活路を見出さんとします。

17分、栃木は三宅→久富に交代、右WBの浜下をシャドーにシフト。
突破力のある浜下を攻撃的な位置に上げ、点を取る姿勢を見せます。
しかし山形側も21分、大槻→山岸へと交代。
やや落ちていたプレスの強度を保つべくの交代だったでしょう、その後再び試合の針は山形に振れていきます。
25分には山田のパスを受けた坂元、エリア手前右からミドルシュートを放ちます(枠外)。
その後栃木も、シャドーの浜下・西谷和希を軸に攻勢をかけます。
31分、自陣から西谷和希がドリブルで中央突破した後、右の浜下→左の大黒へと繋がりエリア内から大黒がダイレクトでシュート(GK櫛引キャッチ)。

しかし栃木はミスから流れを失います。
33分自陣でメンデスのミスから奪われると、柳→坂元→南と繋がれ、エリア内で南にシュートを撃たれます(ゴール右に外れる)。
このプレー以降栃木は辛うじて繋がっていた糸が切れたかの如く、流れを引き戻す事はありませんでした。
見せ場は44分、枝村のミドルシュートぐらいでしたか。
交代枠を使い切った後、メンデス・浜下と故障が続発したのも痛かった。

反対に山形は、以降中村や山田も積極的にシュートを放ちにいき、あわよくば追加点を……という姿勢を見せつつアディショナルタイムに突入。
そこで3枚目の交代(坂元→岡崎)・相手陣内奥でのキープという逃げ切り体制に入り、最後は相手陣内でフリーキックを得た所で無事に試合終了を迎えました。

一時期は阪野の松本移籍により混乱も伺えた山形ですが、この日のピッチ上ではそうした事は微塵も感じられず、下位相手に貫禄の勝利を挙げる事に成功。
昇格争いは激しさを増す事となりそうです。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第28節 FC琉球vs横浜FC

2019-08-23 18:50:53 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の琉球の記事はこちら(23節・水戸戦)
※前回の横浜FCの記事はこちら(26節・福岡戦)

今節を前に一気に3選手が移籍となった琉球。
前節・長崎戦でようやく連敗を止める逆転勝利を挙げただけに、冷水をぶっかけられたような心境ではなかったでしょうか。
その内訳も、長崎戦で決勝ゴールを挙げた和田(鹿児島)と、センターバックのレギュラーだった増谷(岡山)と貴重な面子が並んでいます。
そしてチーム得点王でリーグ全体でも2位の鈴木がセレッソへ移籍というのが最大の悲報となり、沖縄県のサッカーファンにとってはこの度の小野獲得とどちらが重大なのか、という事を考えさせられます。
小野の他は岐阜から風間宏矢をレンタルで獲得し、現所属の宏樹とともに風間兄弟が揃い踏みとなったり、ブラジル人の若手ハモンもレンタルで獲得したりという補強。

横浜FCはというと、トップ下には売り出し中の斉藤光毅ではなく、齊藤功佑を選択。
水曜の天皇杯でフル出場したのは齊藤功の方でありましたが、この日も齊藤功がスタメンで、ベンチに置いたのは斉藤光でした。
沖縄という特殊な気候のため斉藤光に無理をさせないという采配だったのか、あるいは天皇杯でゴールを挙げた齊藤功を起用してみたくなったのか。
その齊藤功はリーグ戦では実に9試合ぶりのスタメンで、ベンチにも入れない試合ばかりだったので、天皇杯を考えなければ本当に突然の起用という印象。

ボール支配を好むチーム同士の対戦で、横浜FCは今季途中からそのサッカーに挑み始めたのですが、その練度は琉球に劣らず。
当初はポゼッションスタイルにありがちな3トップでしたが、現在は4-2-3-1の形に落ち着いた模様。
期せずしてミラーゲームという形になったのが、経験豊富な選手が揃う横浜FCにとって追い風となり、序盤からゲームを支配していきます。

伊野波がCBに定着し田代がボランチに回った事で、田代がCB2人の間に降りてきてサイドバックが前に出る、所謂「逆丁の字型」のビルドアップをスムーズに形成。
GKの南・一列前の松井とともに、琉球のプレスをかわしていきます。

横浜FCの先制点は前半10分でした。
右サイドからのコーナーキック、キッカー松井はショートコーナーで北爪→齊藤功と繋ぎ、中央から放たれた齊藤功のミドルシュートはGKカルバハルも反応できない程の美しい軌道で右ゴールポストをかすめてネットに突き刺さりました。
これと前後して、8分にロングスローをエリア内でイバが胸で落とし、そのボールに齊藤功が走り込むもクリアされた場面。
11分に中盤で齊藤功がボール奪取に成功し、その後イバ→松尾と渡り、松尾がカットインしてシュートを放つも左に外れた場面。
久々の出場とは思えないぐらい積極的なプレーを見せる齊藤功、先日の天皇杯での得点で吹っ切れたのか、あるいは何かを掴んだのか。

その後19分、琉球のフリーキックからの2次攻撃。
自陣からの風間宏樹のロングフィードに、セットプレイで上がっていたCBの西河がトラップしエリア内に入った後松尾、カルフィン・ヨン・アピンと競り合い。
このボールがゴール方向にこぼれると、鈴木の後を受けての1トップで出場の上門が走り込み、GK南に触れられる前にコースを変えるシュートをゴールに入れます。

これで同点となりましたが、その直後の22分。
琉球陣内でイバがプレスバックしてボールを奪い、これを拾った齊藤功がエリア内左へスルーパス。
走り込んだ松尾に対しGKカルバハルも飛び出しますが、松尾は落ち着いて浮かせたシュートで彼を抜きゴールゲット、再びリードを取った横浜FC。

その後もゲームをコントロールする横浜FC、琉球のプレスを落ち着いたビルドアップでかわし、両SBが上がってのサイド攻撃を軸にしながら無理にクロスを上げずにボールキープ。
一方の琉球も、マイボールになると相手の隙を伺うべくパスワークを軸に攻めますが、リードされている以上「ボールを持たされている」状況にしか映らず。
特に前半37~40分の間、ずっとボールを保持しているものの中々アタッキングサードまで進めないもどかしい時間が続いていました。

そんな時間も40分、琉球・上里のミドルシュートで終わりを告げました(GK南がキャッチ)が、前半終了間際にまたスコアが動きます。
年齢が近い齊藤功・松尾のゴールに発奮したのか、中山がエリア手前中央からミドルシュート。
外側からカーブしてゴール右隅を捉える、これまた1点目同様に美しいシュートでネットに突き刺さり、前半で3得点を挙げた横浜FC。

後半もこの流れは変わらず、ボール支配で2点リードを存分に生かす試合運びを見せる横浜FC。
対する琉球は攻撃チャンスを得ても、縦パスの部分で選手に合わないミスが目立ち、リズムを掴めず時間を浪費していきます。
むしろ齊藤功がワントラップでDFの裏をとってエリア内からシュートを放つ(後半6分)、イバの直接フリーキックがバーを直撃する(19分)など、横浜FC側に追加点が生まれそうな空気ばかりであった後半の20分間。

琉球はそんな状況を変えるべく、ここで小野が投入されます(越智と交代)。
この日の琉球のホーム・タピック県総ひやごんスタジアムには、今季最多記録大幅更新となる1万2千人を超える観衆を集めていましたが、それを齎した最大要因がこの小野と言ってもいいぐらいの大歓声が鳴り響きました。

「小野投入で流れが変わった」というのがこの試合の戦評の一つですが、厳密に言えば後半29分、風間宏樹→ハモンの交代からでしょうか。
投入直後はポジションが曖昧だった小野が、風間宏樹の後を受けてボランチの一角に収まった事で、得意のパスが猛威を振るうようになりました。(ハモンは右サイドハーフに入る)
一方横浜FCは、小野投入の直後からビルドアップがCB・ドイスボランチによる四角形への変更が目立ち始めます。
GK南もこれ以降はロングフィードを送るシーンが増えるなど、緻密なビルドアップが無くなりつつありました。
小野に対するリスペクトの表れかもしれませんが、この消極的ともとれる姿勢がこの後の琉球のゲーム支配に一役買ったのだと思われます。

小野はショートパスを繋ぎつつも、一発のサイドチェンジのフィードで相手守備を崩さんとする司令塔らしさを存分に発揮します。
それにつられたのか、上里もそのような一発のパスを多用してチャンスメイク。
これにより横浜FCを押し込み一方的にペースを握る事に成功します。

最も惜しかったのが44分、小野の拾ったボールを上里が相手DF裏へロングパス。
これを上原(富所と交代で出場)がエリア内左で収める事に成功し、落とされたボールを風間宏矢がシュート。
しかしこれはGK南がセーブし、詰めにいった小野がオフサイドを取られ得点ならず。

主導権を握りながらも無得点に終わったのは、やはり鈴木を失ったのが大きいと思いました。
サイドチェンジを多用し横浜FCの目線を振っても、そこからサイドハーフのハモン・風間宏矢がカットインしてのシュートという、守備を固められている状況では苦しい形でシュートを撃つしかなかった。
上原が交代出場してから、ようやくFWにターゲットが出来てポストプレイという攻め手が増えましたが……

スコア上は1-3ながら、勝った横浜FC側も後半の試合運びに課題を残す事となった内容でした。
「レジェンドへのリスペクト」は、三浦・中村を擁しているクラブらしく微笑ましい光景でもありましたが、それだけでは勝ち抜く事が出来ないのは両者を起用して敗れた天皇杯3回戦で経験した事でもあります。
激しい昇格争いの一翼を担う事が予想される今後、非情な気持ちで勝ちを重ねていきたい所でしょう。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第28節 ヴァンフォーレ甲府vsレノファ山口FC

2019-08-22 15:50:46 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の甲府の記事はこちら(24節・岡山戦)
※前回の山口の記事はこちら(21節・町田戦)

水曜(8月14日)に行われた天皇杯3回戦で、J1首位・FC東京に勝利という見事なアップセットを達成した甲府。
ターンオーバー具合では甲府の方が「全とっかえ」に近いメンバーだったので、金星といって差し支えないでしょう。(FC東京は林・高萩・渡辺がスタメン、永井・橋本が途中出場)

一方リーグ戦では、昇格争いの先頭集団から一歩置いていかれたという位置で、必死に食らいついている状況。その先頭集団も柏が独走態勢に入りかけているのですが
夏の補強でも特に大きな動きが無かっただけに、今後はサブメンバーの働きがチームを活性化し浮上させるための絶対条件だと思います。

そんな中、大ベテラン・山本が最近になって出場数を増やしているのが目をひきます。
千葉(当時は市原)でプロ生活をスタートさせましたが、2003年に移籍してきてからは甲府一筋で今季が17年目、ディフェンスリーダーとして長い間活躍してきました。
今季は故障だったのか4節以降はベンチ外が続き、スタメン復帰したのが19節・琉球戦で、その後もレギュラー復帰とまではいっていない模様。
25節・水戸戦では劇的な同点ゴールを挙げており、ベテランの意地でチームに活力を与える事で、J1昇格に繋げたい甲府。

この日のこの試合、いつものように甲府は堅守速攻のスタイルで挑みます。
そのキーマンである前線3人(1トップ2シャドー)も、前節同様ピーター・ウタカの1トップに、ドゥドゥと曽根田の2シャドーを起用。
能力的にはこの3人が最適に違いないのでしょうが、その分彼らの個人技あるいはコンビネーション頼みな攻めになりがちな欠点もあるでしょう。

その期待とは裏腹に、序盤は山口が試合の主導権を握ります。
これまでの3バックでの戦いから、この日は一転して4-3-3のフォーメーションによるポゼッション重視のサッカーを魅せます。
3バックの一角である菊池の出場停止に則しての措置ととれますが、とりわけ急造という訳でも無く、守備重視の甲府に対してしっかりとパスを繋いでいきます。

3トップといえど、佐々木はパスを受けに色々な位置に顔を出し、CFの宮代は積極的に降りてきてポストプレイを担当するなどで中盤を厚くする役割を担っていました。
ヘッダーの山下が左ウイングに位置するなど、所見では不思議に思えるフォーメーションも、パスをしっかりと回す姿にその違和感も無くなり。
ちなみに後方も、リーグ序盤の4バックの際にはサイドバックを担当していた前がこの日はセンターバックを務めていたりしましたが……

ともかく、攻撃サッカーを理想とする霜田正浩監督の牙が再び剥かれたというようなこの日の前半戦。
1タッチパスの連続で繋ぐサッカーに甲府守備陣も苦戦しがちで、カウンター攻撃も中々繰り出せず。
前半17分にようやく山口コーナーキックの攻撃を切ってのカウンター、曽根田が中央突破から左に展開し、ボールを受けたドゥドゥがカットインして遠目からミドルシュート。
シュートは枠外で、俗に言う「シュートで終わる」攻撃を達成できましたが、枠外という結果がこの日最後まで甲府を苦しめる事となります。

その後は甲府も攻撃ペースを掴みますが、決定機は中々作れず。
山口CB・楠本の奮闘もあり、ウタカはシュートチャンスを貰えず、時間を浪費していきます。
ようやく35分、佐藤和弘の左サイドへのフィードをドゥドゥが受け、ドリブルで進んでからエリア内のウタカへパス。
ウタカは切り返してからシュート体勢に入りますが、最初のトラップが乱れた影響かミートできず、こぼれ球を内田が走り込んでシュートするもブロックに防がれます。
最大のチャンスは45分、内田のロングパスをドゥドゥがトラップしてエリア内へ進入、そこから反転シュートを放ったもののGK吉満がセーブ。
一方の山口は高いボール保持率で押し込むものの、シュートまでいけない場面が目立ち、結局前半は0-0で折り返します。

今年も猛威を振るった夏の移籍、山口は中心選手だった高木がガンバに移籍したのが最大の痛手で、これにより2年連続でガンバに主力を引き抜かれるという惨事に。(前年は小野瀬)
その反撃としてか、ガンバから高の獲得に成功しますが、育成型レンタルという形なのでその場凌ぎなのが辛い所です。
そして山口は現状この形での補強策が多い。(永石・廣末・佐々木・川井)

その他、ウイングバックでレギュラーに定着していた瀬川が栃木に移籍。
陣容を保たんと、J1クラブから石田(磐田)・宮代(川崎)をレンタルでの獲得に成功しレギュラーで起用していますが、果たして翌オフに完全移籍に移行させる事は可能なのか。
先程述べた3バック→4バックへの変更は、こうした移籍の背景に合わせての事なのかもしれません。

後半が開始し、早速突破口を開いたのは山口の新戦力コンビでした。
敵陣左サイドで宮代が甲府・小柳のクリアを防ぎボールキープ、味方の上がりを待ってからパス回し。
その後ボールを持った石田はクロスでは無くエリア内左のスペースに位置取った山下へパス、ボールを受けた山下が斜めから豪快にシュートを放つと、GK河田が一歩も動けずゴール右へ突き刺さるゴールを挙げて先制します。

その直後(後半2分)にも石田縦パス→宮代ポストプレイ→佐藤健太郎右へ展開→川井グラウンダーでエリア内へ→佐々木走り込むという流れるような山口の攻撃が展開され、ここはエデル・リマが止めるものの、佐々木が倒されて一歩間違えれば反則PKという際どい守備でした。
山口の追加点は時間の問題かと思われましたが、この後は先制された甲府が攻勢に出ます。

後半6分、佐藤和から左に展開されたボールを受けたドゥドゥが、エリア手前でカットインから低いクロス。
中央でウタカがトラップしてシュートするもブロックに阻まれます。
14分には小椋が右サイド奥へロングパス、ウタカが収めてからクロスを上げ、内田の落としをドゥドゥが拾ってエリア内左からシュートするも枠外に。
何時ごろからか、システムを4-4-2気味にシフトして山本がボランチに上がり、SBは右が湯澤・左が内田となっていた効果が出たでしょうか。

一方攻められっぱなしの山口、反撃は23分でパス回しから佐々木が中央でボールキープして攻撃開始。
高の縦パスは一旦跳ね返されますが、佐々木が拾ってからもう一度高が縦パスを送り、収めた宮代がシュートを放ちます。(枠外)
このプレーと同時に飲水タイムで名実ともに一息ついた山口、その後は川井と石田の位置が入れ替わっていました。
理由は不明ですが、ドゥドゥが左サイド中心で攻めていたので、それに対抗するためだったのでしょうか。

しかしドゥドゥはその後何処でも攻撃に絡んだため、山口側は止める事が出来ず。
29分は左サイドを内田・佐藤和のワンツーで突破し、中央にドゥドゥを置いた上でクロス。これを収めたドゥドゥが横パス、受けたウタカがバックパスすると、エリア外から小椋がミドルシュートを放ちますがブロック、そのこぼれ球を曽根田が打ちますがゴール右に外れるという結果に。
33分には自陣でダイレクトで小椋→山本→小椋→ドゥドゥと繋がり、中央のウタカに渡したドゥドゥは右からスプリントしてウタカを追い越す動き。
ボールを持ったウタカはドリブルした後そのドゥドゥにスルーパスを送りますが、あろう事かドゥドゥは楠本とぶつかって反則を取られて攻撃終了。(ドゥドゥはオブストラクションを主張していましたね)

その後34分に甲府は最初の選手交代、山本に代えてFW佐藤洸一を投入、ドゥドゥを左サイドハーフの位置に回す事で佐藤洸・ウタカとの共存を図ります。
しかし結果的にその後ドゥドゥは効果的に攻撃に絡む事が出来ず、チャンスゾーンまで走る距離が長くなった事で山口ディフェンスに対処され、その度にチャージして反則してしまう有様に。
そんなイライラが募ったのか、44分にはボールとは無関係の所で山口選手に腕を上げたとされ警告を受け、次節出場停止になってしまいました。

アディショナルタイムに突入、ひたすらボールをクリアするだけになった山口に対し猛攻を仕掛ける甲府ですが、内田が放った2本のシュートは枠外と最後まで枠外だらけの結果になりました。
そして凌ぎきった山口はウノゼロの勝利。

停滞感が見受けられた甲府の攻撃ですが、これはドゥドゥが前年所属していた福岡でも感じられたものです。(前年の主な福岡のメンバーは森本・石津・松田・ユインス・レオミネイロ辺りか)
前線にタレントを集めたものの、相手の対策が進むにつれて点を取れる気配が薄れてきているという印象でした。
福岡の場合は次第にベテラン・城後頼みの布陣になっていき、最終的に昇格を逃してしまった前年。

ともかく、次節でドゥドゥの出場停止による代役の起用で、攻撃の違いを見せる事は出来るでしょうか。

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