※前回の熊本の記事はこちら(17節・山形戦、0-1)
※前回の愛媛の記事はこちら(19節・水戸戦、1-0)
※前回の両クラブの対戦はこちら(3節、愛媛 2-3 熊本)
<熊本スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 今節で基本フォーメーションを変更、前年までの3-3-1-3を採用する。
- 藤井の負傷が発表され、20節(岡山戦、0-1)で発生して全治約6週間との事。
- 14節(水戸戦、0-2)以降欠場していた松岡が8試合ぶりに復帰、ベンチ入り。
<愛媛スタメン>
- 20節(清水戦、3-0)以降、基本フォーメーションを3-4-2-1へと変更。
- GK黒川がJFL・FCティアモ枚方へ育成型レンタル移籍となり、今節をもって登録抹消。
前年から違いを見せようと、新たなフォーメーション(3-4-1-2)に舵を切って今季に臨んでいた熊本。
しかし成績的は前年とあまり変わり映えせず、敗戦数の方が多くなる状況を止められず。
そして前節の大敗(横浜FC戦、0-5)で、その目論見は完全に崩された格好に。
前年まで慣れ親しんだフォーメーションへと戻し、再起を図らんとする一戦となったこの試合。
一方の愛媛は、後半戦に入り清水・甲府と個の力に長けたチームを揃って撃破。
こちらも、3バックへの布陣変更を試みてそれが巧くいく格好となり。
しかしまだ石丸清隆監督の中では、4バックに未練が残っているらしく(清水戦の試合後コメントから)、この日はそれが噴出するような内容となりました。
立ち上がり、愛媛は前半6分までの間に攻撃機会が4度。
その内訳は、反則によるフリーキックでの放り込みが1度・左コーナーキックが1度で、残りは中盤でこぼれ球を拾ってからの縦に速い攻めが1度(CKに繋がる)・敵陣でのカットからのショートカウンターが1度でした。
ノンストップ・フットボールに相応しい縦に速い運びは見られたものの、逆にそれが根底の部分での不安定ぶりを醸し出していた感があり。
そしてその後熊本へ主導権が移り変わり。
8分の右スローインで奥を突き、右CKに持ち込んでから長く続くセットプレー攻勢に。
CK2本ののち、スローインを挟んでさらにCK2本と、自陣ゴール前での凌ぎの時間が長く続く事となった愛媛。
ここまではどちらも流れの中での攻撃が冴えないという展開ですが、以降その評価を変えたのは熊本。
その後は裏狙いのロングパスを適度に混ぜながら、持ち味の地上での繋ぎを展開していきます。
右サイドはウイングバックの大本が、左サイドはウイングの小長谷が奥を突くという左右非対称の姿勢に、3バックにしてから日の浅い愛媛(といっても、パクゴヌが右WBを務める可変式3バックは経験ありますが)は手を焼いていた節が伺えました。
17分には大本が縦突破では無く敵陣浅い位置でのカットインで中央に託し、石川が右ポケットへスルーパス。
受けた伊東がそのまま奥を突いたものの、小川のディフェンスに阻まれ。
それ故に、この後18分過ぎぐらいから愛媛は純正4バックへと変更します。
茂木を右サイドハーフ・曽根田をFWとした4-4-2(守備時、恐らく曽根田はトップ下であろう)を基本とし、果敢なプレッシングで熊本のビルドアップを阻みにいきました。
しかし守備はそれで良いとして、攻撃時はより深刻となり。
マンツーマン基調で激しく寄せて来る熊本に対し、まともに前進出来ない状況に追い込まれます。
頼みの松田が降りてのポストプレイに対しても、センターバック(江崎か岩下)が何処までもという感じで付いて来るため自由にさせて貰えず。
その裏を突くという状況も、タイトな寄せの前に中々やって来ません。
直ぐにボールを失うため、結果的に熊本の攻撃を受け続けるという流れに。
そして27分、ゴールキックでロングフィードを選択する愛媛ですが、江﨑の跳ね返しでまたも熊本の攻撃機会に。
石川のポストプレイを倒してしまい反則、と思われましたが伊東が拾い継続し、今度は小長谷のポストプレイを挟んで切り込む所で谷本に倒され。
今度こそ反則の笛が鳴り、中央やや右寄りながらも距離のあるFKになると、キッカー豊田が横パスで目線を変えたのちに小長谷の放り込み。
石川が松田と競り合い、こぼれ球となった所を倒れながらクリアにいった松田ですが、逆方向へと流れてしまい。
これが愛媛選手に当たり続けるピンボール状態が生まれると、その隙を突いて最後は江﨑がボレーシュートを放ち、ゴールネットを揺らします。
愛媛選手に当たり続けた結果オフサイドとも関係無く、先制を果たした熊本。
雨が降り注ぐなか、セットプレーの連続で集中力も切れてしまった感のある愛媛。
そこから何とか立て直さんとしていた31分でした。
熊本の最終ラインにプレッシャーを掛けるも、左に展開ののち豊田のロングパスで裏を取られ。
小川の裏に2人が走り込むという絶望的な状態となり、竹本のスルーを経て石川に渡り、そのままエリア内を突く石川。
それを小川が反則気味に止めるも、右にこぼれたボールをすかさず大本が折り返し、最後は走り込みを止めなかった竹本が押し込んでゴールに突き刺し。
先制から間も無い追加点と、理想的に得点を重ねます。
愛媛サイドは竹本の動き(最初の抜け出し)がオフサイドと主張するも、判定は覆らず。
反撃に出たい愛媛ですが、僅かなパスのズレにより好機をフイにするシーンが目立ち。
悪天候の影響か、ないしは熊本のプレッシャーの中どうしてもアバウトな繋ぎを余儀なくされる、「ノンストップ」の弊害か。
それでも37分、ハイプレスを嵌めて深澤がボールカットに成功すると、その刹那上村周に倒されて反則。
左ハーフレーンからの直接FKとなり、直接シュートかクロスかの二択という位置から、キッカー茂木はシュートを選択。
ゴール上を襲うボールとなりましたが、GK田代のセーブに阻まれゴールはなりません。
その後も苦労しながらボールを前に運ばんとする愛媛、44分に自陣での右スローイン、降りてきた松田のポストワークからの繋ぎで逆サイドへ展開。
ここから窪田がドリブルで、大西を剥がして奥に持ち込んでクロスにまで繋げましたが、クリア→谷本落とし→深澤と尚も攻めようとした所ハンドで途切れ。
続く45分にはパスミスを拾われて熊本のショートカウンターとなる(小長谷が左ポケットへ切り込んでシュート、サイドネット外)など、細かな部分でのズレは改善されず。
結局2-0のまま終了した前半。
巻き返したい愛媛は、ハーフタイムで2枚替えを敢行。
谷本・曽根田→菊地・パクゴヌへと交代します。
これにより「パクゴヌシステム」というべき、攻撃時4バック・守備時5バックの可変システムへと移行。
そして菊地はボランチに入ると思いきや、FW気味に立ち位置を取り。
つまりは谷本をアンカーとした3-3-2-2(3-1-4-2)という布陣だったでしょうか。
布陣変更の効果を背に攻めたい愛媛、最初の好機は後半3分。
左サイドからの繋ぎを経て窪田が中央へ縦パス、これを松田が(岩下に)倒されながらポストプレイで繋ぎ、尾崎がドリブルから右へ展開。
相変わらず激しい熊本の寄せを受けながらという、ラグビーにも似た運びを強いられる中、パクゴヌのクロス(ブロック)にまで持っていき。
アドバンテージとなっていたため岩下に警告が出るも、松田はそのまま痛んでしまい1分以上倒れ込む事態となり。
何とか起き上がり継続した松田ですが、徹底マークに難儀するその色を変えられません。
その後も好機を作り続け、5分に山口がミドルシュートを放つ(菊地に当たってこぼれる→GK田代キャッチ)も、前半同様に攻勢の流れは途切れる事となり。
最終ラインからボールを運ばんとしても、サイドに出しては監獄状態を強いられるの繰り返しで、主体的な攻撃を繰り出せなくなります。
一方の守備では、最終ラインに降りるパクゴヌとともに、前線に入った菊地が常時アンカーの上村周をマークするという体制に変更。
それが奏功してか、熊本に中々攻撃機会を渡さない流れが続いていましたが、11分に最初の熊本の攻撃。
浮き球を拾った大西から右サイドを素早く運んでクロス、という単純なものでしたが、このクロスをヘディングでクリアした尾崎に異変が起こり。
接触は無かったものの足を痛めてしまったようで、筋肉系トラブルの疑いも膨らむなかピッチ外へ。
その後無事に復帰を果たしたものの、不安を抱えながらのプレーとなりました。
これを境に、ひたすら熊本の攻撃を受け続ける流れに突入してしまう愛媛。
システムの肝であるパクゴヌは激しい上下動を繰り返すものの、それ故にトランジションの部分で戻るのに間に合わない場面も目立ち。
15分右サイド奥へのロングパスを伊東が収めて好機、一旦は小川の反則気味のアタックで途切れるも、縦パスを大西がカットして継続。
拾った小長谷がパスを散らしながら前進し、左ポケットで彼のパスを受けた豊田がグラウンダーでクロス、中央の竹本に収まり。
ディフェンスに掻き出されるも上村周のミドルシュートで追撃し、小長谷に当たってこぼれた所をさらに豊田がシュート(深澤がブロック)と連撃を浴びせる熊本。
その後も小長谷や竹本がカットインからミドルシュートを放つ(前者はブロック・後者は枠外)など、強烈なフィニッシュ攻勢に一向に反撃の機会が巡って来ない愛媛。
19分に再びベンチが動き、茂木・窪田→舩橋・浜下へと2枚替えを敢行するもさしたる効果は見られません。
21分の熊本、愛媛のプレッシングを引き込んでのGK田代のロングフィードが伊東に収まり。
薄い守備を突かれる事となった愛媛、その伊東に対し小川が反則アタックで止めるも、こぼれ球を石川が拾いアドバンテージ。
そしてその石川をも深澤が倒してしまい反則と、前掛かりにならざるを得ない苦しさが滲み出る展開に。
これで得た遠目からのFK、キッカー小長谷の放り込みから、上空に浮いたクリアボールを左から大西が折り返し。
さらにクリアされた所を伊東がダイレクトでシュート、パクゴヌがブロックするも江﨑が拾ってすかさずシュート、山口がブロックするも竹本が拾うという具合にひたすらボックス内で継続。
そして竹本の右ポケットからのシュートもパクゴヌがブロックし何とか防いだ愛媛ですが、CKで継続と完全な脱出にはまだまだ遠く。
そしてこのCKが2本続き、2本目の右CKで豊田のクロスを中央で大西が合わせヘディングシュート。
ゴール左へと突き刺さり、蓄積ダメージによりついに決壊というような絵図で3点目が生まれます。
これで勝利はほぼ不可能となってしまった愛媛。
キックオフ直後に何度か攻め込むも、フィニッシュには繋げられずに再び熊本へと戻る流れ。
クロスの跳ね返りを大西がミドルシュート、というパターンを量産と、CBらしからぬ更なるゴールの匂いを醸し出し。
30分に熊本は石川→大﨑へと交代。
FWをフレッシュな選手へと代え、その匂いをさらに強めに掛かります。
一方愛媛の最後の交代は36分で、足を痛めた事を引き摺っていた風の尾崎に変えて谷岡を投入。
追う立場の方が、後ろ向きな交代を強いられるなど苦境は続きます。
そしてその流れの通り、熊本に4点目が齎され。
39分、自陣で大本がボール奪取すると、そのまま右サイドをドリブルで突き進み一気に奥へ進入。
上げられたクロスが(小川のブロックを掠めたのもあり)ふわりとニアサイド・ゴール付近に上がると、GK徳重がファンブルしたボールがポストを叩いて跳ね返り。
すると詰めていた大﨑がヘディングシュートで無人のゴールにねじ込み、止めを刺す事に成功しました。
キックオフの前にさらにカードを切る熊本、大本・竹本→三島・松岡へと2枚替え。
松岡が左WGに入った事により、伊東が右WGに・小長谷がトップ下にと玉突き的にシフトします。
しかしその後小長谷が足を攣らせた事で、神代と交代して(44分)結局伊東がトップ下に戻り。
依然として愛媛は攻撃の手掛かりすら掴めず、守備では(大﨑・神代が前線に入った事で)ロングボール攻勢へと傾倒する熊本のその単純な前進も止められない状況に。
セカンドボールも拾われて、尚も追加点の危機を招き続けます。
44分に大﨑がドリブルで持ち運び、ペナルティアークでパスを受けた神代のシュートをGK徳重が何とかセーブ。
これによる左CKからも、キッカー豊田の大外へのクロスを足下で合わせシュートを放ったのは神代。
グラウンダーでゴール左を襲うもポストを直撃と、短時間でもゴールを目指す姿勢を果敢に示します。
結局4点目以降、愛媛は攻撃機会を一度も掴む事無く、試合終了の時を迎え。
4-0のスコアのみならず、シュート数(熊本18・愛媛3)でも示す通りの完勝で、前節のリベンジはある程度果たされた熊本。
前年まで貫いた基本フォーメーションの下、巻き返しへのレールを築けるでしょうか。
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