※前回の群馬の記事はこちら(33節・町田戦、0-0)
※前回の金沢の記事はこちら(32節・徳島戦、0-1)
<群馬スタメン> ※()内は前試合のスタメン
- 再開前からの変更はベンチの山中→高木のみ。(山中が負傷で出場不可のため)
<金沢スタメン>
- 再開前からの変更はベンチの木村→杉浦のみ。(木村が負傷で出場不可のため)
- 来季加入が内定している沖崎(関西学院大)が特別指定となり、34節(水戸戦、0-3)から登録される。
再開試合といえば、思い出されるのが前年の山形vs岡山。
しかしその原因が、審判団の誤審が試合(と、出場停止になったGK後藤の今後)を大きく左右したためのものだったのに対し、今回は落雷による中止という自然災害。
「異例」と称された前年とは打って変わって、普通に考えられる要因でありました。
まずは8/19に行われた31分までの展開を軽くおさらいする事に。
立ち上がりゲームを支配したのは金沢で、プレッシングによるロングボールを蹴らせて回収という流れから、ボールを保持して攻め上がる。
全員敵陣に進入してパスを繋ぐという、ややもすると金沢らしくないポゼッションによる攻めを展開するも、群馬の堅守に対し戻して作り直すシーンも多く。
フィニッシュを放てないまま、時間経過とともに群馬のターンに。
前半18分中塩縦パス→風間受けてスルーパス→川本という流れで中央を突き、庄司の反則によりエリアからすぐ手前という絶好の位置で直接フリーキック。
キッカー佐藤が直接シュート、壁を直撃した跳ね返りを再度シュート(ブロック)と自ら連撃を浴びせるも決められず。
以降も群馬は攻勢を掛けるも、24分の飲水タイムにより流れは途切れ。
最終ラインからボールを繋がんとする群馬に対し、金沢は悉く敵陣でパスカットからのショートカウンターを連発。
29分には深めでカットした奥田がそのまま左ポケットへ切り込んでクロス、合わずに流れるも加藤潤が拾ってバックパス、これを藤村がスルーしたのち受けた小島がシュートするも杉本のブロックに阻まれる。
金沢→群馬→金沢というターン制のような流れを描くと、31分に雷鳴が響いたという所で中断。
そしてそのまま中止の断が下される事となった。
そして再開までに5試合を行ったものの、群馬はさらに32節が落雷により、今度は試合前中止となる有様。
以降4試合で2敗(1勝1分)を喫し、昇格争いの最中にまさに雷様に邪魔に入られた格好となりました。
しかし深刻なのは金沢の方で、5試合の成績は何と全敗。
おまけに得点もゼロと、開幕直後の深刻さ(4連敗スタート)が蘇ったようであり。
当然ながら、残留争いのなか日に日に沈んでいき、現在21位。
何でも良いから勝ち点が欲しい、という状況でこの試合は再開される事となりました。
群馬ゴール前でのドロップボールから始められる事となった再開試合。
当然金沢ペースの流れは途切れるかと思われましたが、33分に左スローイン→豊田フリックから敵陣で攻撃開始。
パスを繋ぎながら逆の右へと展開し、小島がアーリークロスを選択するとこれが中央の奥田に収まり。
ワントラップから、酒井と縺れながら放たれたシュートがゴールネットを揺らします。
中断明け最初の好機を見事にモノにし、先制に成功しました。
リードを奪った金沢、以降もマンツーマンを嵌める事で群馬にペースを握らせず。
特に最近の群馬の戦いぶりを良く研究しているようで、ドイスボランチにもしっかり2枚が付く事で、2トップのタスクを(ボランチへのコースを切るという)一つ減らしたうえで最終ラインの3人に規制を掛けさせる体勢に。
そして左へ降りて来るFWの平松に対してボランチの梶浦が付くという具合に、群馬の可変システムにも対応を見せます。
ただしボランチに付く人選が変わっており、天笠に対しては同じボランチの藤村ですが、もう一人の風間に対しては加藤潤が中に絞って付くのが目を惹きました。
当然ながら梶浦が平松を担当するため付けないので、誰が付くかで柳下正明監督も相当頭を捻った(と思われる)上での答えがピッチ内に表れていました。
左サイドバックの中塩は最終ラインに残るので、2トップの規制内に入れれば良い。
左サイドハーフの杉本は高めに上がるため、そのまま右SB(小島)が担当。
そして残された選択が加藤潤であり。
言わば加藤潤がトップ下・梶浦が右に位置する、以前金沢が採っていた「ダイヤモンド型4-4-2」のような立ち位置へ自然となっていたでしょうか。
しかし群馬はこれを見て、金沢2トップに対し必然的に1人空く最終ラインからの前進を仕掛け。
それでも2トップは奥田が中塩・豊田が酒井と両サイドを見ていたため、中央を城和がドリブルするシーンが膨らむという、こちらも一見変わった体勢での運びとなりました。
これで攻撃権は再び訪れた群馬ですが、タイトに付いて来る姿勢を崩さない金沢の前に攻めあぐみ。
前を向けずにバックパス、という事を繰り返して時間を浪費します。
45分にこれまでとは一転し、杉本が降りてパスを受ける事で金沢の変則マンツーマンを崩しにかかり。
ここから左サイドを前進していきCKを獲得、と同時にアディショナルタイムへ突入。
その後フリーでパスを受けた天笠が前進から際どいミドルシュートを放つ(ゴール左へ外れる)など、フィニッシュへの道筋が見えたという所で前半終了となります。
ともに交代無く始まった後半も、システム的に大きな変化は無く。
強いて言えば、群馬のドイスボランチで天笠が左に回る事が多く、それに伴い加藤潤は天笠に付くという状況が増えた事ぐらいでしょうか。
入りこそ群馬が仕掛けるも、フィニッシュを放てないままターンが移り変わり。
すると追加点を狙いにいく金沢、後半5分に右サイド深めからのスローインで、奥でキープしたのちパスを繋ぎにいき。
その最中に、奥田にパスを出した加藤潤を杉本がアフターで倒した事で反則を取られ、金沢のFKとなり。
このCKに近い位置からのキック、藤村のクロスがクリアされた所を梶浦がボレーで撃ちにいきましたが、ミート出来ず終わり。
その後も金沢の攻撃が続いた事で、苦境に至ると思われた群馬。
しかし8分の攻撃、ここも城和の中央の持ち上がりからでした。
前進を果たしたのち右へと展開し、受けたエドオジョンが奥を窺う位置でカットインの体勢からクロス。
このボールが直接ゴールを襲うと、GK白井の頭を越えたボールは左ポスト内側を叩いてゴール内へと吸い込まれます。
狙ったかどうかは不明ですが、芸術点の高いシュートで同点に追い付きました。
直後に金沢が反撃に入り、加藤大のクロスを腹部でブロックしたエドオジョンが痛み倒れ込むという一幕(11分)があったものの、それでもタイスコアに戻した事で落ち着きを取り戻す群馬。
12分に小島の右からのクロスが合わなかったのちカウンターを仕掛け、川本がドリブルを仕掛ける所長峰のチャージを受けて反則。
このFKはフィニッシュに繋がらず、直後(13分)に金沢ベンチが動いて豊田→杉浦へと交代。
しかしその後も群馬は、14分に自陣で反則を受けると素早くリスタートさせて左サイド奥に運ぶ(杉本が奥に切り込むも奪われる)という具合に反則絡みで相手を揺さぶりに掛かります。
金沢は自陣での凌ぎを余儀なくされる展開が続く苦しい状況となり。
この時間帯の群馬はサイドから裏を狙う攻撃を頻発させ、フィニッシュには繋がらずも、再三城和のドリブルで中央を意識していた事で押し込む事に成功していた感があり。
20分には杉本のボールキープを倒してしまった小島が警告を受けるという具合に、目に見えた被害も出始めます。
21分に群馬ベンチも動き、佐藤・川本→北川・高木へと2枚替え。
ともにこの日変更されたベンチメンバーが真っ先に投入されるという運びとなりました。
ともにシュート数が膨らまず、外野からはややもすると退屈に見えるような展開ですが、それだけに次の1点の価値はとてつもなく大きく。
そんな膠着状態を打ち破るように、再び城和を軸としての前進に舵を振る群馬。
23分にはパスを選択した城和から、高木のポストプレイを交えながら左サイドを繋ぎ、中央に送られた浮き球を平松が収め。
ディフェンスに入られるも拾い直した平松、ペナルティアークからシュートを放ちましたがブロックに阻まれ、浮いたボールをGK白井が抑え。
以降も城和が持ち上がるシーンを膨らませる群馬、金沢の前線の守備を無効化させに掛かりましたが実らず。
そのためロングボールを直接届けにいく攻撃が目立ち始めると、そこからのクリアを繋げることで金沢が攻撃機会を得始めます。
こうなると群馬もロングボール直後は間延びするので、縦に速い攻めが有効となり。
29分にはクリアされたボールを加藤潤ポストプレイ→小島ダイレクトで縦パス→受けた奥田スルーパスで一気に右サイドを運び、杉浦がグラウンダーでクロスを入れた先に藤村が走り込むも、その手前でクリアされてモノに出来ず。
時間が進んでもシュート数は思うように伸ばせない両チーム。
34分にともにベンチが動き、群馬は平松・杉本→畑尾・白石。
金沢は奥田・加藤大→林・石原と、2枚替えの交錯となります。
町田戦の最終盤で見せ、結果が出かかった畑尾のFW起用をこの日も敢行した群馬でしたが、その執念の采配もさしたる効果は無く。
この交代以降金沢がペースを掴むようになり、代わって入った石原が跳梁を見せる事でSBの長峰もフリーになる事が多く、左サイドから押し込みを掛けます。
何度もポケットを突きに掛かり、37分には長いパスワークを経て上がってきた藤村が左ポケットに進入、奥に切り込みましたがディフェンスに阻まれ。
たまらず群馬は39分に最後の交代を敢行。
エドオジョン→武へと交代し、北川・白石がウイングバックを務める3-4-2-1へとフォーメーションを変えて対抗せんとします。(畑尾が1トップ)
勢いを得ているうちに勝ち越したい金沢、41分に左CKからの二次攻撃で、今度は右からのスルーパスでポケットを突いた末に走り込んだ石原がマイナスのクロス。
ニアサイドで加藤潤がワントラップからシュートしますがブロックに遭い決められず。
それでも群馬の采配を受け、43分に加藤潤→孫大河へと交代した事で、こちらも3-4-2-1へとシフトした金沢。(孫が3バックの中央に)
あくまでミラーゲームで勝負を付けにいくといった、この日の柳下監督。
そして決定機が訪れたのが45分、ここも左サイドから繋いでいき、一旦は長峰のアーリークロスが跳ね返されるも尚も拾って二次攻撃。
そして藤村が左ワイドからのカットインで隙を窺いつつ、中央まで流れて送ったエリア内へのミドルパスから、杉浦のポストプレイを経て林がシュートチャンス。
しかし右に流れつつ放った林のシュートはふかしてしまい、勝ち越しはなりません。
そして突入したAT、お互いクリアボールを繋ぎ、オープンになっている隙を運ばんとする攻めの応酬となり。
そんな中、群馬は最終ラインからの運びで白石が左サイドをドリブルで突き進む状況を作り、奥へと進入して上げられたクロス。
これをファーサイドで畑尾が合わせにいくも、勢い余って手前でクリアした山本の頭部をチャージしてしまい反則に。
おまけに畑尾自身が頭部を負傷し倒れ込む事態に陥り、二重に流れを切る結果を招いてしまいました。
畑尾は治療を受けたのちピッチ外へ→復帰という流れになるも、脇で復帰を待つ畑尾と、それを促すように主審に対し異議を飛ばす大槻毅監督を尻目に攻撃権を得たのは金沢。
右サイド奥まで辿り着いて(石原が)クロスを入れるも、やはりフィニッシュには繋がらず。
その後の長峰のロングスローによる攻めが防がれた所で、試合終了を告げる笛が鳴り響きました。
短時間ながらも終盤はオープンさが目立つなど、スタミナ配分的にも難しい試合となった感があり。
勝ち点1という結果を良しとするも否も、今後の展開次第となったでしょうか。