ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第40節 ジュビロ磐田vs東京ヴェルディ

2023-10-31 16:01:45 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の磐田の記事はこちら(36節・岡山戦、1-2)
※前回のヴェルディの記事はこちら(38節・大分戦、1-0)

<磐田スタメン> ※()内は前節のスタメン

<ヴェルディスタメン>

  • 長期離脱していた梶川が8節以来の復帰、ベンチ入り。同じく深澤も11試合ぶりに復帰、ベンチ入り。

自動昇格枠を巡る3つ巴の対決。
清水・磐田・ヴェルディという3クラブの顔ぶれを見て、「ああ、昔の名門の揃い踏みなんだな」と「クラブ規模で劣るヴェルディが頑張ってるな」とどちらの思いが先に立つか。

そんな訳で、清水と磐田が一年でのJ1復帰を目指している中、割って入って異彩を放っているヴェルディ。磐田の一年間新規登録禁止も別の意味で異彩ですが
2008年以来16年ぶりのJ1を目指す、過去の栄光は何処かに置いて来たという状態であり。
その15年間で様々な事があり、クラブ維持すら覚束なくなる状況もありましたが、ノスタルジックに浸るのはシーズン終了後で良いでしょう。
前節(千葉戦、3-2)は終盤奇跡的な逆転勝利を演じたものの、その得点は決して綺麗なものでは無く。
サイドからのクロス攻勢を執拗に貫き続ける、まさに執念の一言で勝ち点3を奪いました。
それでも追い掛ける立場は変わらず、尚も奇跡が必要ならば起こし続けるしかない中で、アウェイ・ヤマハスタジアムに乗り込み。

試合が始まると、共に目標の2位しか視野に無いというような入りとなり。
つまりはボールに対する激しい寄せと、それをとにかくかわすべくのラフなボールの蹴り合いという絵図が描かれます。
その副作用というべきスローインの量産から、磐田は前半5分に好機。
右サイド奥での執拗な繋ぎを経て、スルーパスで右ポケットへ走り込んだ松本がクロス、逆サイドへ流れた所をドゥドゥが再度クロス。
これをジャーメインが合わせたものの、放たれたヘディングシュートは左へ逸れて先制はなりません。

原始的なぶつかり合いを経て、抜け出すのは個人の力に勝る磐田か、ないしは前節同様の乱戦に持ち込まんとするヴェルディか。
そんな展開を想像していた刹那、ファーストシュートを放ったジャーメインをアクシデントが襲います。
こぼれ球を追い掛けていったジャーメイン、林との交錯で倒れ込むと、その際に足を変に捻ってしまった影響で動けなくなり。
これから試合を動かす(放送席でもこの日の注目選手として扱っていた)どころか、早々に途中交代を余儀なくされる無念の一日となってしまいました。
代役の1トップには後藤が起用され。

そんなトラブルもあり、白兵戦のなかペースを握らんとするヴェルディ。
度々起こるデュエルにより、例によって磐田は松原が苛立ちを隠せないという様相を見せるのを尻目に先制を狙い。
15分に染野の前進が鈴木雄に反則で止められ、中央からの直接フリーキック。
距離は結構あったため、キッカー中原は放り込みを選択すると、その染野がヘディングシュートを放ちましたがGK三浦がセーブ。
以降も攻め上がるヴェルディ、敵陣で攻撃が途切れてもすかさずのゲーゲンプレスで磐田に主導権を渡さず。
19分には左サイド深めで磐田がボールを確保し、凄まじいプレッシャーを受けるなかドゥドゥがヒールパスでそれを脱出させるという苦しそうなシーンも見られ。

それ故に先に試合を落ち着けようとしたのは、当然ながら磐田。
中々ボールを繋げられれない中で、23分頃から鹿沼・上原のドイスボランチが縦関係の位置取りを見せる等、ビルドアップでの修正を図り。
25分での繋ぎは、最終ラインで中央→右→中央と渡し、左を窺う姿勢からグラッサが中央へ斜めの縦パス。
山田大フリック→後藤ポストプレイ→松本と渡って左へ展開し松原が前進に入るというもので、ヴェルディの最前線に中央への意識を高めさせたうえでサイドを激しく振りにいったでしょうか。
結局ここでの攻撃は、左サイド奥まで進んだもののそこからの繋ぎを遮断されて実らず。

ビルドアップの下地を作らんとした磐田ですが、28分にはドゥドゥが敵陣で反則気味にボール奪取してショートカウンター。
拾った上原がドリブルでそのままエリア内を突いてシュート(ブロック)と、やはり最短距離での攻撃の方が効率は良く。
しかし防がれた結果ヴェルディがカウンターに持ち込む(河村が右サイドでドリブルからカットインを経て、こぼれた所を稲見がミドルシュート・枠外)という具合に、反動の怖さが常に付きまといます。

その後はヴェルディもボール保持の時間を増やす等、常時ハイテンションな姿勢を貫く事は不可能であり。
お互い落ち着きを見せた事で、30分台はフィニッシュが放たれる事は無く、前半も終盤戦へ。

43分の磐田、右サイドで鈴木雄のミドルパスを山田大が収め、その後戻しを経て鹿沼縦パス→松本ポストプレイと同サイドで上下に激しく振り。
そして中央への展開を経て、ドゥドゥがペナルティアークからシュートを放ちましたがGKマテウスのセーブに阻まれ。
しっかりとした組み立てで好機を作り、その後のコーナーキックではクリアボールを拾った齋藤のハンドをアピールするもPKとはならず。
ヴェルディもアディショナルタイムに、GKマテウスからショートパスの連続で左サイドを前進。
加藤の縦パスはカットに入られるもそれを拾って継続と、繋ぎの分野でも泥臭さを見せていき。
そして入れ替わりで左奥を取った稲見がマイナスのクロス、クリアボールを拾ったのち再度の齋藤功のクロスもクリアされてCKに。
ここからの二次攻撃でも長らく繋いだ末に再度左サイド奥を取った齋藤功がクロス、ブロックで方向が変わるも加藤→稲見と経由し、河村がシュートに辿り着き。(ブロック)
終盤にはお互いパスワークから好機を作る流れとなるも、得点は入らず前半を終えました。

共にハーフタイムでは交代無しを選択する中、1時間前のキックオフとなった2位・清水は(熊本に)敗戦という結果に。
これにより文字通り2位浮上がかかる試合と化した中で、迎えた後半。
磐田はキックオフからの攻撃でGK三浦が左へロングフィード、これを後藤が足を伸ばして繋ぎ、拾ったドゥドゥがクロス(クリア)と形にします。
ここから磐田がペースを握り、最終ラインが受けるヴェルディのハイプレスもいなして好機を作り。
次々とアタッキングサードまで進入していき、ヴェルディを守勢に追い込みます。
後半4分には一旦攻撃が途切れるも、伊藤槙が前に出てボール奪取し継続、CKを得るなど得点まであと一息という状況に。

しかしこの右CKから齎されたのは、ヴェルディの得点でした。
キッカー上原はニアに低いクロスを入れ、中央へ流れた所をグラッサが拾い。
2タッチ目でポストプレイしたものの、ダイレクトでの叩きをシュートにいくつもりで足を振ったドゥドゥは空振りしてしまい。
すると拾った中原がドリブルした事でヴェルディがカウンターに突入し、中央を一気に切り裂いた末に左ポケットにスルーパスしたのちも走りを止めない中原。
走り込んだ齋藤功の折り返しをそのまま合わせシュート、GK三浦がセーブした跳ね返りをすかさず詰めたのは、同じく止まるのを止めなかった林。
強烈なスピードで完遂させ、とうとう試合を動かしました。
磐田はゲーム支配に成功しつつあっただけに、助っ人2人の意思疎通の乱れが悔やまれる事となり。

反撃に掛かる磐田ですが、ビハインドとなった影響は大きく。
10分には右サイドで鈴木雄→松本のパスが遮断されると再度ヴェルディのカウンターとなり、カットした加藤がそのまま一気にドリブル。
そして左ポケットへのスルーパスに染野が走り込みましたが、ここはGK三浦が抑えて何とか防ぎ。
後半開始からここまで磐田の攻撃機会9度に対し、ヴェルディはカウンターの2度以外は全く無しと、「ゲームを支配するも、相手のカウンターに沈む」展開が現実のものとなりかけていたでしょうか。

しかしヴェルディベンチの方が先に動き、12分に齋藤功・河村→平・山田剛へと2枚替え。(加藤が左サイドハーフに上がる)
激しいサッカーを貫くのは、やはり消耗激しいものであり。
それを見る形となった磐田も、15分にベンチが動き松本・山田大→藤川・古川へと2枚替え。
2列目の立ち位置が一新され、右=ドゥドゥ・トップ下=藤川・左=古川となりました。

早速威力を発揮したのが古川の突破力で、17分に左サイドをドリブルで突き進み奥でカットイン、ポケットからマイナスのクロスを入れた事で好機を演出。(クリアされた後も繋ぎ、右からのクロスのクリアボールを松原が拾いシュート・ブロック)
19分にも左ポケットを突いてカットイン、今度は自らシュートを放った古川。(ブロックされたこぼれ球を上原がシュート・枠外)
その威力に掻き回される格好となったヴェルディ、すかさず加藤→綱島へと交代(森田が左SHへシフト)して守備を固めんとします。

その後23分に、再び磐田の攻撃をエリア内で切ったのち中原のドリブルでカウンターに持ち込むヴェルディ。
今度は早めの仕掛けを選択し、スルーパスに走り込んだ染野がダイレクトでロングシュートを狙う(右サイドネット外側)も惜しくも決められず。

しかし古川の突破力を警戒させた磐田は、逆の右からの攻撃を続け。
それが結実したのが直後の24分で、ドゥドゥの前進から中央へ展開し、受けた松原がミドルシュート。
GKマテウスにセーブされるもクリアボールをドゥドゥが拾い、カットインを交えながのパス交換でフリーとなった上原がポケットで持つ決定機に。
そしてワンテンポ置いて放たれたシュートが豪快に左サイドネットを揺らし、同点に追い付いた磐田。
古川の逆サイドでの攻めのみならず、彼がワイドで張るのを受けて松原が中央で好機に絡むという具合に、効果が最大限に発揮されたゴールだったでしょうか。

同点となった事で、地力に勝る磐田が(追い付いた勢いも得て)有利となったのは明らかであり。
28分には再び右サイドからの攻めでドゥドゥが奥を突き、ディフェンスに遭いスローインとなったのちも素早くリスタート。
受けた藤川がカットインでポケットを突き、マイナスのクロスをニアで合わせたのは古川。
しかし放たれたシュートは右サイドネット外側と、惜しくもモノに出来ず。
ヴェルディは劣勢をカバーせんと、磐田のボール保持に対し一層圧力を掛けてプレッシャーにいき。
それでも32分にはGK三浦からの繋ぎで、磐田選手はそれを縦パス→ポストプレイなどのダイレクトプレイで紙一重でいなしていくなど、「各人の頑張りで戦力差を埋める」行為の限界も露わになり始めます。

最早守勢のなか凌いでカウンター、というのが唯一の勝ち筋に見えたヴェルディ。
32分にその通りにカウンターチャンスが訪れ、クリアボールを拾った鈴木雄のトラップ際を山田剛が奪って抜け出す絶好機。
そして脇を追い越す染野にスルーパスを送ったもののオフサイドを取られてしまい、染野はそのままエリア内でグラッサを剥がしシュートまで放ったために警告を貰い。

磐田もヴェルディのハイテンションぶりに応戦してきた結果か、ここから急激にペースを落とし。
パスが繋がらなくなり、中盤~自陣でカットされてショートカウンターを浴びるシーンも増え始めます。
ヴェルディサイドも、39分に森田が上原との激突で痛んで2分近くも倒れ込む事態が発生したためか完全には流れをモノに出来ず。
終盤には前述のカウンターチャンスも何度か見られましたが、スルーパスの精度も乱れがちで疲労度の高さを感じるのみに終わります。
その終盤のベンチワークは、磐田は42分に鹿沼・ドゥドゥ→藤原・ゴンザレス。(後藤・ゴンザレスの2トップによる4-4-2に)
ヴェルディは43分、森田・林→梶川・山越。

勝負のATも目前に迫った所で磐田が、縦パスに入れ替わったゴンザレスがエリア内を窺う好機を迎え。
しかしクリアに入った山越をチャージする結果となり、得点どころか警告を受ける事となったゴンザレス。
その山越も1分以上倒れ込むに至った事で、目安(6分)よりかなり長めになるのが予想されたAT。

古川のドリブルを反則チャージで阻止した谷口も警告を受ける等、劣勢ぶりは隠せないヴェルディ。
しかし磐田もパスの精度を欠き、強引な繋ぎに活路を見出す他無く。
ヴェルディのクリアを鈴木雄がヘッドで跳ね返すと、藤川が逆向きでのヒールでダイレクトで裏へ送り、それを後藤が受け。
ディフェンスに遭い倒れるも、こぼれたボールをゴンザレスが拾いシュートを放ったものの、これも後藤がオフサイドを取られた事で無効となります。
その後ヴェルディにもGKマテウスのロングフィードからエリア内へ運ぶ(中原が左ポケットからクロスも繋がらず)シーンが見られるなど、乱戦に相応しい様相に。

そして7分台が近付いた所で、試合終了を告げる笛長り響きます。
熱狂ぶりが冷めやらない状態故に、そのATが短いという異議が磐田・横内昭展監督、ヴェルディ・城福浩監督の双方から飛ばされる事態となり。(審判団の言い分(予想)は、山越が倒れたのはATに入る前だった事で既に加算済みだったという所でしょうか)
お互い2位浮上のチャンスを失ってしまった状況も手伝った、珍妙な絵図となりましたが、引き分けで終了という事実は変わらず。

勝ち点差が1となったものの順位は変わらなかった3クラブ。
残り2試合の相手は、3クラブとも水戸・栃木・大宮のいずれかという運命の悪戯に。
相手サイドにも3すくみが生まれるスリリングな日程となりましたが、運も味方にして2位となるのは何処か。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第40節 清水エスパルスvsロアッソ熊本

2023-10-30 16:01:55 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の清水の記事はこちら(37節・藤枝戦、0-2)
※前回の熊本の記事はこちら(34節・藤枝戦、0-2)
※前回対戦時の記事はこちら(20節・熊本 0-1 清水)

<清水スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • この試合に勝てないと首位・町田の優勝が確定。勝利しても、町田が今節勝利すれば優勝確定。
  • 森重の負傷が発表され、10/18に発生して全治3ヶ月との事。
  • 加藤の負傷が発表され、9/3に発生して全治10ヶ月との事。

<熊本スタメン>

  • 平川の負傷が発表され、34節に発生して全治3週間との事だが既に復帰済み、今節もスタメン出場。
  • 38節(徳島戦、1-0)で負傷交代した大本の詳細が発表され、全治約4週間との事だが、今節復帰してベンチ入り。
  • 大崎の負傷が発表され、10/1に発生して全治3週間との事だが、今節復帰してベンチ入り。

天皇杯では準決勝で敗退となったものの、何とか残留まで後一歩の所までこぎ着けている熊本。
ゴール裏サポーターにも「OURS BOSS」と称される程の拠り所絶対的存在感となっている大木武監督。

その大木氏、過去にこの日の対戦相手である清水の監督を務めていたという事実は果たして世間にどれだけ認知されているか、という事をふと考えてしまい。
始めて監督に就任したのが甲府で、見事初のJ1昇格に導く大業を成し遂げたものの、その時は再就任であり。
2002年・2005年の間の空白期間に一年だけ清水の監督を務めた(2003年)ものの、J1という舞台で結果を出す事が出来ず、シーズン終了を待たずして解任。
以降2期目の甲府・京都・岐阜そして熊本と監督業に邁進する中、この清水時代のみ不本意な成績と異質に映る事となりました。
かくして優秀な人材でもその力を発揮出来ない、近年の清水の負の空気はこの頃から顕在していたのではないかという疑惑が浮かび上がり。

そんな空気を振り払いながら、J1復帰を目指す戦いを続けている今季の清水。
シーズン序盤で途中就任した秋葉忠宏監督のキャラクターは、まさにそれにうってつけの人材といえたでしょう。
それでも「圧倒的個の力」に相応しい成績とはいえず、今節終了後にも首位・町田に優勝を許してしまう状況であり。
何とか自動昇格を確定させたいという戦いの終盤戦。

試合が始まると、その個の力に対し熊本は対抗姿勢を見せるものの、それが反則チャージという形に表れてしまい。
特に降りてボールを受けるサンタナに対し、岡崎が激しく食い付いて防がんとするなど、必死の形相で食い止めに掛かります。
しかし前半3分、乾に対する大西の反則で清水が左サイドからフリーキックの好機。
キッカー山原のクロスに対し中央で高橋・鈴木のセンターバックコンビが走り込むと、跳んだ高橋のヘディングシュートが鈴木の後頭部に当たってコースが変わるという2人掛かり?でのフィニッシュ。
意表を突いたものの、ゴールバーを直撃して惜しくもゴールはならず。
10分にも、山原のミドルパスに裏抜けした中山を岡崎が倒してしまい、これがエリアからすぐ手前という位置だったため絶好の直接FKを与える事に。
横位置は左ハーフレーンで、キッカーは同じく山原が務めて当然ながら直接シュート、ゴール上部を襲ったもののGK田代が辛うじてセーブ。

何とかセットプレーによる失点は避けた熊本でしたが、前回対戦時とは裏腹に、清水のビルドアップに対しプレスを嵌める事が出来ず。
この面は清水サイドがしっかり修正を図ってきたという印象で、前回はボランチが降りて3枚の最終ラインで、かつサイドバック双方が高い位置を取っての繋ぎ。
それが熊本の3トップ+トップ下にガッチリ嵌められ、「個の力vs組織力」で劣勢に映る要因となってしまいました。
しかしこの日はSBが上がらず、幅を取ってパスワークに加わる事で熊本はマーカーが曖昧となり。
天皇杯準々決勝・神戸戦(1-1・PK4-3)が顕著でしたが、純正4バックに対してのプレッシングに難が見られる熊本。
しっかり幅を取られると、特にウイングが中央かサイドかどちらにいくかの選択を迫られてしまい、そこから運ばれる隙が生まれ。

そんな状態により最終ラインから繋げる下地が生まれていた清水ですが、あくまで狙いは速攻との事であり。
前節(いわき戦、7-1)そのスタイルで最良の結果を出したとあり、またシーズンも佳境という時期で、昇格へ最後まで突っ走る状況を後押しする意味合いもあるでしょう。

一向に状況を改善出来ない熊本でしたが、20分に原のトラップ際を突いてボール奪取した松岡、そのまま原に倒された事で反則に。
これで得た左サイドからのFKで、キッカー平川のクロスを阿部海が合わせヘディングシュート、これでゴールネットを揺らしたものの残念ながらオフサイドに。

劣勢を跳ね返すチャンスは費え、迎えた25分。
ここも清水はGK権田からショートパスで繋ぐビルドアップを成功させ、縦パス→ポストプレイやサイドチェンジも交えながら右サイド奥へ運んだのち、一旦戻して作り直し。
そして左サイドに移したのち、またも山原縦パス→カルリーニョスポストプレイを経て空いた中央から崩し、乾のラストパスを受けた中山が反転しながらシュート。
ゴールネットを揺らし、しっかりと繋ぎ崩しきった攻撃で先制を果たします。

先制された事で焦りも見え始める熊本、そのビルドアップもまるで冴えず。
常時アンカー上村に対してサンタナが付く事で、サイドから運ばんとするも詰まりは避けられず。
27・28分に立て続けに自陣で奪われるなど、反撃どころか追加点の危機も膨らみます。

追い打ちをかけるように、36分に岡崎が足を痛めて倒れ、続行不可能となってしまい。
前節(町田戦、0-3)初のスタメンに抜擢されて間も無い岡崎、清水のクオリティ高い攻撃にかなり振り回されており、内容的にも無念の交代だったでしょうか。
江﨑が投入され、同じ3バックの中央に入り。

光明が見えない熊本ですが、その中でもビルドアップの際に、島村・松岡の両ウイングが中央寄りの位置取りをする等やりたい事は朧気ながら見え始め。
そして43分、島村が下がった所にそのスペースへ黒木がロングパスを送り、受けたのは上がっていた阿部海。
これで深さを取り攻撃開始、戻しを受けた伊東の中央へのパスを竹本がスルー、受けた平川が右ポケットへスルーパスと細かい繋ぎ。
そして走り込んだ島村のシュート気味のクロスをファーで伊東が合わせヘディングシュート(枠外)と、この日初めてといっても良い有効打を放ちます。

一度成功体験を得れば、結果が出るのも早く。
アディショナルタイム、左サイドでスルーパスを受けた松岡がポケットへ切り込んだ事で得た左コーナーキック。
キッカー平川はニアサイドにクロスを送り、阿部海が捉えてヘディングシュート。
GK権田がセーブするも、その位置はゴール内という事でゴールが認められます。(その後詰めた伊東のシュートがネットを揺らしたためどちらにしろゴール)
ワンチャンスを活かした格好の同点弾でしたが、その道筋は事前に得ていた熊本。
終了間際に追い付くという最高の流れで、前半を終えました。

そして後半が始まると、熊本が内容を改善し押し込み始め。
後半2分に早速平川が敵陣右サイドでボール奪取し、細かな繋ぎを経て阿部海が奥を突き低いクロス。
ニアサイド奥での伊東のポストプレイを経て平川がシュート、ブロックされ左へ流れた所をさらに松岡がシュート(枠外)と波状攻撃。

課題だった前線の守備は、前半はボランチを切る事が多かった平川が最終ラインのプレッシャーに加わり。
これでWGもサイドまでチェイスできるようになり、その分後方の選手の連動もスムーズとなった事で、逆に清水がビルドアップに難儀する展開となります。
それでも5分の清水、自陣でのスローインからダイレクトでの繋ぎを経て、乾のスルーパスを受けたカルリーニョスがドリブルに入り。
そして一気に左ポケットを突いてそのままシュート(サイドネット外側)という具合に、個の力に屈しかねない雰囲気は健在でしたが。

前半の終盤に良い流れを作った阿部海、後半も高い位置で攻撃に絡み。
大本の離脱(この日復帰)が右サイドでの攻撃力減退の要因と思っていましたが、この日ようやく形になって来た感がありました。

そして11分、ここも右サイドからの前進で奥を窺う熊本、一旦戻して中央からの攻め。
松岡パス→伊東スルー→島村という流れでチャンスエリアを突くも、ここで奪われてしまいホナウドがドリブルに。
しかしすかさず戻った島村が奪い返すと、間髪入れずにエリア内へスルーパスを出し、走り込んだ平川がシュート。
小さくループさせて前に出たGK権田を抜いてのゴールゲットで、逆転を果たします。

勢いに乗る熊本は、直後の清水のキックオフからの攻撃も敵陣で遮断し好機に持ち込み。
左奥での細かな繋ぎから、逆サイドから張り出してきた島村がポケットを突いてマイナスのクロス、受けた上村がシュート。
ブロックに遭うも、すかさず拾った上村の再度のシュートもブロックに阻まれ、さらに平川が追撃しシュート(ブロックに当たり枠外)と3連撃。
その後のCKでも二次攻撃で島村が右ポケットを突くなど、執拗な攻めを続けて形成はすっかり逆転といった展開に。

苦しくなった清水、15分に中山→北爪へと交代。
前回同様、後半途中からの3バックへの変更(3-4-2-1)で流れを変えんとします。
しかしこれで熊本サイドも、清水の3枚の最終ラインに3トップを当てるだけで良くなるという具合に、良好なプレッシングが保たれる事に。

こうした状況では、ビルドアップを修正してボール保持の道筋を整えるべき、というのが個人的な感想であり。
しかし清水はここから速攻狙いの意識をさらに強めた節があり、それが追加点に直結する事となります。
焦って縦パス・ミドルパスを送らんとしては、熊本がそれを立て続けにカットして好機を作ったのが20分。

これを見た秋葉監督、修正を図らんとしたのかサンタナ・カルリーニョスを退かせる交代策を準備します。(個の力での打開を諦めたのがその修正に映った)
しかしその手は間に合わず、22分にも敵陣でのボール奪取から好機を作る熊本。
一旦カルリーニョスに奪われ途切れるも、そのカルリーニョスのドリブルがすぐさま竹本に奪われてしまい継続。
そして伊東のミドルシュートが炸裂し、ゴールネットを揺らします。
浮足立つ清水の隙を突く組織力を、豪快な個人技で締めての追加点となりました。

これでキックオフ直後での交代となった清水、サンタナ・カルリーニョス→北川・神谷へと2枚替え。
その後も24分にパスミスから危機を招き、島村のミドルシュート(ゴール左へ外れる)で脅かされる等苦境は続き。

流れを変えたい清水、26分に松岡のプレッシャーが甘くなった所を右サイドから運び。(シュートまでは繋がらず)
熊本の前線にもやや疲労が見られ、ここからポゼッションを高めて反撃体制に入る流れとなります。
(29分にホナウド・山原→宮本航・岸本へと2枚替え)

29分に中央を縦パスの連続で突き、北川のラストパスから乾がシュート体勢に入ったもののディフェンスに遭い撃てず。
33分には執拗にエリア内を窺う攻撃の末に、右から上がった原のクロスを北川が収めてボレーシュートの体勢に。
しかしトラップ際を江﨑にクリアされ、その勢いのまま江﨑を蹴る形となってしまい反則を取られて終わり。
ボックス内で好機を作っても、熊本最終ラインの粘りもこの日は凄まじく。
35分にも決定機を迎え、原のクロスをボレーで合わせにいった岸本が空振りするも、奥で乾が拾いエリア内で継続。
最初のシュートこそブロックされるも、すかさ中央へ横パスを送り、放たれた北爪のシュートをコース上で北川がフリックで流し込み。
決まったと思われましたがライン寸前で伊東がブロックして防ぎ、どうしても熊本ディフェンスを上回れません。

2度目の交代を我慢し長く引っ張った熊本、36分にようやく竹本・上村→大本・田辺へと2枚替え。(田辺はアンカー、大本は左ウイングバック)
41分に伊東・島村→粟飯原・東山へと2枚替えと、勝利を確実なものにすべく運動量を担保していきます。

そしてゴールを奪えないまま、最終盤を迎えた清水。
採った手は鈴木・高橋を最前線に上げてのパワープレイで、左WBに移った乾から、幾度となく彼らが合わせるべくのロングボールが上がり。
その中で、手前から上がったクロスをファーサイドで鈴木が合わせにいき、GK田代が跳び出して弾いた所を神谷がボレーシュートと繋がったものの枠を捉えられず。
負けられない戦い故に、形振り構わないというその姿勢も報われる事はありませんでした。

結局1-3のまま試合が終わり、熊本が勝利。
一方で敗戦した清水により、首位に立つ町田の優勝が試合前に確定する事となりました。
初の昇格に沸く傍らで、降格した名門クラブが死に物狂いで一年での復帰を目指すという、J2初期(2000年代前半)のリーグ戦らしい様相にも見える今季。
浦和もセレッソも広島も辛うじての2位昇格を強いられた、あの頃を思い出させるノスタルジックぶり、とは言い過ぎでしょうか。(自動昇格を争っているのが磐田・ヴェルディというのも拍車を掛ける)

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DAZN観戦 2023~24AFCチャンピオンズリーグ グループH第3節 浙江FCvsヴァンフォーレ甲府

2023-10-27 18:14:10 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 甲府の直近は39節(長崎戦、1-1)で、蓮川・小林・飯島の3人が継続してスタメン。
  • 浙江のメンバー表記はyahooスポーツナビに準拠。

甲府ベンチメンバー=GK山内 松田 山本 エドゥアルド・マンシャ 荒木 長谷川 松本孝平 クリスティアーノ 内藤

前回のACLの記事=2節・甲府vsブリーラム(1-0)


再び海外遠征となった甲府、今度の旅先(?)は中国・浙江省。
しかし浙江のホームスタジアムである黄龍スポーツセンターは、他のイベント開催のため使用不可という状況。
よって、そこからかなり距離のある(放送席の談では、約70㎞との事)湖州オリンピックスポーツセンターでの試合となりました。

浙江は、過去に元日本代表監督・岡田武史氏が監督を務めた(2012~13年)というクラブ。
そのルートからJ3・今治と業務提携を結ぶなど、日本とは浅からぬ縁があり。
今回が2度目のACL出場と、未だ発展途上といった所でしょうか。
そんな国際戦の経験不足からか、連敗スタートとなった今大会ですが、ホームでの戦いで何とか浮上の足掛かりを掴みたい状況。
なお前年蔚山でACLに出場していたレオナルドが、レンタルで在籍中であり。

試合開始から、その意気込みとともに押し込む浙江。
早々の前半3分に得た左コーナーキック(キッカーはリーティシャン)から、ニアへのクロスをアンドリヤシェビッチが脚で合わせ。
これがこぼれた所を、拾ったクアシが追撃のシュートを放ちますがここは神谷がブロックで防ぎ。
すると甲府がカウンターに持ち込んだものの、ドリブルで左サイド奥を突いた鳥海の戻しが飯島に繋がらずに終わり。

この日も過去2戦同様、相手のポゼッションに対して前線がどうディフェンスをするかがキーとなる甲府。
しかし浙江は、甲府がハイプレスに来た所でロングパスを使い、前線のフィジカルを活かしてそれを確保。
すると甲府の後方は必然的に薄くなるので、間延びした状態から素早く戻らなければならないという、まどろっこしい守備を強いられていた感がありました。
綺麗に繋がらずとも、遠距離アウェイに臨んできた相手を疲弊させる事に趣を置いていたでしょうか。

甲府は8分敵陣左サイド深めでジェトゥリオがボール奪取(その後ウタカへの中央のパスがカットされる)と、ハイプレスの成果は見られましたが、それを確実に決める事が出来ず。
そして与えたくなかった先制点を奪われたのが9分、再びCKから。
キッカー・リーティシャンの中央ややファー寄りのクロスを、センターバックのポッシニョロが合わせヘディングシュート。
小林のブロックでやや方向が変わったのもあり、GKウッドのダイブも届かずゴール右へと突き刺さります。

今大会初めて追い掛ける立場となった甲府。
12分にパスミスをジェトゥリオが拾ってショートカウンター、左サイド奥を突いてカットインからマイナスのクロスと、一人でゴールへの道筋を作り上げ。
しかし中央で合わせたウタカのシュートはジャストミートせず、GKジャオボーがキャッチ。
その後も、リトリートはしない浙江に対し縦に速い前進でチャンスを作らんとします。
一方の前線の守備も、しっかり嵌めてサイドに追いやり、タッチに出させてスローインを得るというシーンも多く見られ。

しかし時間が進むと、浙江も前線のマンパワーを活かして裏を突くというサッカーをやり始め。
26分にクリアボールをリーティシャンがヘッドで前に送ると、そのボールを走り込んだアンドリヤシェビッチがさらに裏へ浮き球を送り、ムシェクウィが走って受けるというやり方でアタッキングサードへ運び。(その後ボールキープから左へ展開、ユェシンのクロスがクリアされCKに)
33分には縦パスをカットしたアンドリヤシェビッチが素早く浮き球を送り、走り込んだリーティシャンがさらに裏へ落とした所にムシェクウィが走り込むという同様の攻め手。
そして今度はエリア内からダイレクトでシュートにいくムシェクウィ、ここも神谷がブロックで何とか防ぎ。
次第に圧力に押される形となっていく甲府ディフェンス。

それでも34分に決定機が訪れ、左サイドから小林が斜めの縦パスを送ると、手前で受けにいった飯島がスルーしてウタカが抜け出して受けるという願っても無い状況に。
そのままGKと一対一に持ち込んだウタカでしたが、放たれたシュートはGKジャオボーにセーブされモノに出来ません。

早めに追い付かんと応戦体勢を見せる甲府ですが、逆に守備ではその意識が仇となる事も。
43分甲府の攻撃を切った浙江が左サイドから前進、クアシ→ジャンジャチーのスペースへのパスを、林田が前に出て防ぎにいくも果たせずに繋がれ。
そしてユェシンがポケットへスルーパス、走り込んだムシェクウィにまたもシュートを打たれましたが、GKウッドがキャッチして防ぎます。
前からいく⇔後ろで守るの使い分けで、奔走されている状況を払拭出来ず。
45分には浙江の右CK、ショートコーナーを経てのクロスをクリアするも、その後パスミスで直にシュートチャンスを与えてしまう事態に。(リーティシャンがダイレクトでシュートも枠外)
頭の中も掻き回されているように映り、展開以上に劣勢という印象を受けました。

結局1-0のまま前半が終わり。
甲府はハーフタイムで、飯島→クリスティアーノへと交代。
前節は契約関係上で出場禁止だったクリスティアーノ(長崎からのレンタル)を、後半頭から起用し反撃の狼煙とします。(右SHに入り、鳥海がトップ下に回る)

浙江のキックオフで始まると、いきなり浮き球のパスをムシェクウィが収めてポストプレイ、受けたクアシがミドルシュート(ブロックに当たりGKウッドがキャッチ)とマンパワーを前面に押し出す攻撃。

一方の甲府はその直後、敵陣でクリスティアーノのカットからショートカウンターに持ち込み、ウタカのポストプレイを受けた品田が右ハーフレーンでから前進する好機に。
しかしエリア手前でリーティシャンのプレスバックでこぼされると、そのまま交錯した事で足を痛めて倒れ込んでしまう品田。
反則とはならず、ボール確保した浙江もプレーは続けずにすぐラインアウトを選択。
この試合はどうにも主審の判定が緩い面が見られました(この場面ではこぼれた後の交錯だったので反則無しは妥当ではある)が、粗いと噂される特定東アジアのクラブでも、流石に紳士的な対応を採り。

それでも、一旦ピッチ外に出て復帰となった品田は、ピッチに戻るもすぐさま再び倒れ込み続行不可能に。
早くも2人目の途中交代を強いられた甲府、山本が代わって出場します。

前半同様、浙江のパワーある攻撃を受けながら、何とか反撃の道筋を見出すという立ち回りの甲府。
後半8分に小林の縦パスを受けたウタカ、ジェトゥリオへパスを送るも彼がオフサイドの位置だったため、中央に流れるジェトゥリオを尻目に自ら走って拾い直し。
そして左ポケットを突いてそのジェトゥリオへ横パスと、偶発的ながら絶好機が生まれたものの、前方へややズレてしまい撃てず。

交代策の結果、甲府は守備面で苦戦の色が濃くなったでしょうか。
浙江はチョンジンの多彩な動きが絶妙で、彼を捕まえられずに中継を許して前進されるシーンが膨らみ始め。

そして13分、最終ラインからの組み立てから、敵陣でチョンジンを中心に繋ぐ浙江。
そこから一瞬のスキを突きアンドリヤシェビッチが中央で持ち運び、エリア内へスルーパスを送ると、例によって走り込むのはムシェクウィ。
GKウッドが前に出るのを見てのループシュートで、ゴールネットを揺らして追加点を齎します。
痛い失点となった甲府、キックオフの前にウタカ・鳥海→長谷川・荒木へと2枚替え。

ウタカの抜けた1トップにはクリスティアーノが入り、攻め手を探す甲府。
2点差となっても浙江は守備重視の姿勢は採らず、その後も度々ゴールを脅かされながらも、その隙を突いて持ち運び。
それでも劣勢を打開できず、25分にはポッシニョロに一気にエリア内右へロングパスを通され、受けたチョンジンの横パスからクアシがシュート。
これを神谷が顔面ブロックで防ぐという具合に、際どい凌ぎが尚も必須な状態。

そして27分に最後の交代を敢行する甲府ベンチ、ジェトゥリオ→内藤へと交代。
それとともに、ベテラン・山本が入ったドイスボランチが緩いと判断したか、その山本を中央とした3バックへシフトして荒木がボランチへ。
FWはクリスティアーノ・内藤の2トップなので、長谷川をトップ下とした3-4-1-2という布陣だったでしょうか。(放送席では、蓮川右サイドバック・関口右SHの4-4-2と言っていた)

浙江が最初のカードに手を付ける前に、全ての交代策を行う事となった甲府。
それでもこれ以降ペースを握り、山本も最終ラインからのロングフィードにより好機を生み出し貢献していきます。
30分中央の長谷川に縦パスを打ち込み、左への展開を選択すると小林がカットインで左ポケット奥からクロス。
シュートとも取れそうなグラウンダーでのボール、GKジャオボーが弾いた所、エリア外で拾った林田がジャンジャチーに倒され。
今度は反則の笛が鳴り、エリアからすぐ手前という絶好の位置での直接フリーキックとなります。
これをモノにするべくキッカーはクリスティアーノが務めたものの、放たれた直接シュートはあろう事か、壁の前に位置取っていた小林に当たってしまい跳ね返り。
そしてその小林が倒れ込んで治療を受けるという具合に、消化不良に終わってしまいます。(小林は一旦ピッチ外→復帰)

小林が復帰した直後の浙江の攻撃。(33分)
カウンター気味に持ち運び、ムシェクウィのポストワークを挟んで前進したチョンジンが右ポケットへのスルーパスを送ると、今度はクアシが走り込んでシュート。
3点目かと思われたこのシュートは右ポストを直撃と、命拾いとなった甲府。
直後にようやく最初のカードを使う浙江、Jリーグに馴染み深い存在のレオナルドを投入します。(ムシェクウィと交代、同時にクアシ→ヤオジュンシェンに交代)

GKウッドが、ボール保持の際にエリアラインを踏んだとして浙江サイドがハンドをアピールする事2度と、細かな判定の面でかなり緩いという印象のこの日の主審。(キムジョンヒョク氏)
36分、2人掛かり(山本・林田)のスライディングでリーティシャンを倒しながらボールを奪う甲府、これも反則となはらずショートカウンターに。
拾った関口が中央からミドルシュートを放つも、左ゴールポストを叩いてしまい惜しくも決まらず。

終盤を迎えても、41分に決定機(レオナルドのスルーパスを受けたアンドリヤシェビッチがエリア内からシュート、ブロック)を作ったように尚も攻める気満載の浙江。
それを突きたい甲府、44分に右サイドから山本縦パス→林田スルーで素早く奥を突くと、関口がスライディングで繋いでエリア内へ。
これをクリスティアーノがダイレクトでシュートしますが、ゴール左へ外れとどうしてもモノに出来ず。

アディショナルタイムも目前という所で、浙江はリーティシャン→ワンヤンへと交代。
時間も押し迫り、尚も浙江にカウンター気味に決定機を作られる(ロングパスをレオナルドがエリア内で受けてのキープから、アンドリヤシェビッチがシュート、枠外)などしながら諦めずに攻める甲府。

最終盤、クリスティアーノの浮き球パスを受けにいった内藤が、ポッシニョロに倒されて反則・警告。
これで再びエリアから直ぐ手前の直接FKとなりましたが、これにより目安の時間も迫り。
先程のキックから、クリスティアーノはキッカーの位置には行かず長谷川が蹴り。
そして放たれた直接シュート、カーブが掛かってゴール左を襲ったものの、GKジャオボーのファインセーブで防がれます。

結局最後までこじ開けられず、2-0のまま試合終了。
依然として勝ち点4で2位はキープした甲府ですが、他グループの2位チームが既に勝ち点6を確保しているのが多く。
予選突破は難しくなったものの、今後のホームゲームで巻き返したい所でしょう。

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DAZN観戦 2023年J3リーグ第32節 ガイナーレ鳥取vsカターレ富山

2023-10-26 16:04:50 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • コイントスによりコートチェンジし、↓とは逆のコートで前半スタート。

シーズン途中で監督交代を行ったクラブが、とうとう半数(10クラブ、なお琉球は2度行う)に達する事となった今季のJ3。
それだけあれば、所謂「監督交代ブースト」の恩恵を実体験するクラブも当然表れる事に。

そしてそれを最も味わっているであろう鳥取。
14節(北九州戦、0-1)終了後に金鍾成(キンジョンソン)氏を解任する運びとなりましたが、昇格に向けて勝負の3年目という位置付けでも結果が出せない以上その是非は「仕方ない」で片づけられるものであり。
後を継いだ増本浩平氏、前監督の方向性・メンバーを継続したうえで微調整を図るという選択を採り、チームを上昇機運に乗せる事に成功。
就任してから7戦無敗(4勝3分)と建て直し、その後小休止(1勝3敗)を挟んで再び6戦無敗(4勝2分)という現状で、昇格争いの輪に加わるまで浮上を果たしています。

そんな勢い盛んなクラブと相対するのが、常時上位をキープしてきた富山。
鳥取とは対照的な安定性で、最後の勝負所を乗り切らんとしています。
結果をシビアに求められる立ち位置故に、サッカーの内容的には浮き沈みが激しいという印象で、駄目な時は全く攻め手に欠けるような上位らしくない試合も見られ。
しかし前節(沼津戦、1-2)は、最終盤で相手の変化を見誤ったぐらいで内容は完全に勝ち試合そのものと、逆のパターンの試合となり。
願わくば、その内容を継続しつつ結果に繋げて終盤の起爆剤としたい所。

立ち上がり、鳥取は左サイドバックの文のオーバーラップを利用しての攻撃。
それに対し富山は、文の上がる右サイドから攻め、松岡の推進力を前面に押し出して対抗というぶつかり合いに。

試合が動いたのは前半7分で、鳥取は最終ラインから左に展開する姿勢を取ると、その逆を突き飯泉が右へロングパスを送り。
田中が受けたのちの繋ぎを経て、世瀬の裏へのボールに走り込んだ牛之濱がグラウンダーでクロスを入れ、富樫がニアで収めて撃ちにいき。
それを防がんとした今瀬ですが、足でのクリアがあろう事が逆方向に飛んでしまい、ゴールに吸い込まれる形でのオウンゴール。
明確なミスとは言えない状況ながらも、前節に続き早期に先制を許す事となりました。

追い掛ける立場となった富山、前節同様に最終ラインから繋ぐ姿勢を取りつつ、左サイドで安光が「偽SB」の位置取りをするシステムから反撃体制。
彼とは逆にワイドに立つ伊藤の突破力で抉る体制ながら、安光自身にも突破力があるので、判り易い2段構えとなっていたでしょうか。
17分にシルバの縦パスを受けた安光がドリブルで推進し、彼のパスをボックス横で受けた伊藤がポケット奥へ切り込む(その後グラウンダーでクロスもGK糸原が抑える)という具合。
そして松岡やレイリアもドリブル突破を持ち合わせており、繋ぐというよりは彼らの仕掛けを大いに利用して前進を果たします。

それ故に前への意識がやや過剰になっていたでしょうか。
21分右スローインからの攻めでしたが、受けにいったレイリアがダイレクトで素早く前に送るもカットされて逆に鳥取の攻撃を受け。(右サイドに展開ののち牛之濱がスルーパスを受けるも奪われる)
早めに追い付きたいという意識から、追加点を献上してしまうのは避けたい状況となり。
それを改めたか、25分に敵陣でサイドを振りながら繋ぎ続け、仕掛けようとした松岡も切り返しから戻しを選択。
そして最終ラインから作り直して左サイドから前進の末に、伊藤がカットインから中央へパスを出し、受けたシルバのミドルシュートがゴールを襲うも左へと外れ。
しっかりと遅攻で組み立てて反撃機会を窺う、讃岐戦とは全く逆の落ち着いた振る舞いを見せる富山。

こうした富山の姿勢に鳥取は押し込まれ、攻撃自体が機能しなくなり。
裏狙いのロングパスを送るも、GK田川が前に出てのクリアを目立たせるだけに終わり。
逆に重松狙いのボールも、富山のタイトなディフェンスでボールを確保できず、攻撃機会をロクに得られない状況となります。

そして31分の富山、敵陣でシルバのボール奪取から重厚な攻め。
右サイドで細かく繋ぎ、松岡が右ポケットを突いてクロスを入れ、クリアされるも安光が拾って今度は左サイドから。
またも伊藤がカットインを仕掛けると、今度は自ら中央まで流れた末にミドルシュート。
これを飯泉がブロックするもエリア内にこぼれ、すかさず末木が詰めてボレーシュート、ゴールに突き刺します。
これも前節同様に、前半のうちに追い付く事に成功した富山。

鳥取はビルドアップの形を変更し、文を最終ラインに残した3枚の体勢を取り、その代わり普光院が上がり目に位置し。
恐らくは文を残す事で松岡への対策としたのでしょうが、反対に左サイドの伊藤の威力は尚も冴え渡り。
37分に再度カットインの姿勢に入る伊藤、中央へのパスを選択して松岡がペナルティアークからシュート(ブロックの末にGK糸原キャッチ)と、両翼が絡む攻撃。

対策後も迷いが見られる展開に、ビルドアップの際にも富山のプレッシングに悩む状況となり。
40分にGK糸原からショートパスで前進を図るも、プレッシャーを受けた末に普光院が何と逆方向へのミドルパスを選択。
右サイド深めで鈴木が受けたのちも富山のプレッシャーを浴びましたが、その間に上がっていた文に(世瀬が)ロングパスを通した事で脱出。
そのまま文はアーリークロスを入れましたがシュートには繋がらず。
これを境に、最終ラインからの繋ぎで富山のプレッシングをどう打開するかが鳥取のテーマとなったでしょうか。
アディショナルタイムに得た鳥取のコーナーキックで、飯泉がヘディングシュート(GK田川キャッチ)と一矢を放った所で前半が終了となり。

ともに交代無く迎えた後半戦。
富山はギアを高めハイプレスの色を前面に押し出すようになり、鳥取にとっては課題を乗り越えなければ勝てないという展開に。
後半2分に早速左サイドで詰まってシルバに奪われると、拾った松岡がそのまま持ち運んでカットインシュート(GK糸原セーブ)とショートカウンター。
何とか対抗したい鳥取は5分にGKへの戻しから組み立て直し、ショートパスでプレッシャーをかわすように右サイドを運んでいき。
そして再び戻しを経て左→中央→右とサイドをくまなく使い、右サイド奥からの田中のクロスにまで辿り着きます。(ブロックされCKに)

それでも苦しい状況は変わらず。
7分に自陣で大山がカットして富山が前進に移ると、松岡のドリブルを文が腕で止める格好となるも、止められずに繋がれアドバンテージという具合にデュエル勝負でも劣勢となり。(その後高橋がクロスもクリア)
球際勝負の影響で、8分には異議で長谷川アーリアが警告を貰ってしまう(おまけに4枚目で次節出場停止)など、上手くいかない苛立ちも露わになり始めます。

そして10分、GK田川のロングフィードから、セカンドボールを確保し敵陣でサッカーを展開する富山。
右ハーフレーンで松岡がボールを持つと、エリア内を窺う姿勢からカットインでシュートレンジへと流れ、そのままミドルシュート。
左に流れながらゴール右を狙ったそのシュートに逆を突かれたGK糸原は反応できず、豪快にゴールに突き刺さります。
この日右翼で再三突破力を発揮してきた松岡、これが今季初ゴールと、にわかには信じられない(もっと決めていても可笑しくないと意味で)成績であり。

一方これも今季初めてという、先制しながらも逆転される展開となった鳥取。
13分にGK田川のフィードを普光院が遮断し、拾った牛之濱がエリア内中央を突いてシュートという好機が生まれましたがゴール右へと外れ。
この直後にベンチも動き、長谷川アーリア・重松→田村・吉井へと2枚替えを敢行します。

直後の14分に吉井のプレッシャーでGK田川のパスミスを誘い、奪ったもののショートカウンターには繋げられず。
この交代策の前後が富山サイドもバタバタしていたという状態で、17分には普光院が松岡に反則を受けた事で中央からのフリーキック。
かなり距離があったものの、富山の壁が1枚のみという状況を見てキッカー普光院は直接シュートを放ちましたが、GK田川が正面でキャッチ。

その後整え直した富山のコンパクトな守備布陣の前に、シュートすらままならなくなります。
サイドから前進しても、しっかりとスライドしてくるブロックの前にクロスにすら辿り着けず。
間を通しても、素早い寄せの前に難しい繋ぎを強いられて奪われるの繰り返しで、反撃のペースを掴めない鳥取。
そのタイトなディフェンス故に富山サイドを反則を量産してしまうものの、結局その(サイドからの)FKからクロスを上げるのが関の山、といった状態に。

時間が進み、富山ベンチも交代カードを切る状況が訪れ。
26分にシルバ・高橋駿→碓井鉄平・大野へと2枚替え。
しかし直後の27分にアクシデントが発生し、再三良い流れを作っていた松岡が足を攣らせる事態に。
足を伸ばしてもらうものの結局起き上がれず、担架で運ばれて続行不可能となってしまいます。
早期に再度カードを切る破目となった富山、同ポジションで野口を投入します。

一向に攻撃権を支配出来ない鳥取、この辺りから再度ビルドアップの形を弄り。
世瀬が最終ラインに降りる3枚の形を基調とし、再び文が上がる体制を採る事となります。
右サイドの田中も当然ながら攻撃参加が目立ち、何とかサイドから圧力を掛けんとする攻撃。

32分にその体勢から、敵陣でボール奪取した田中が伊藤に倒された事で反則。
しかしその際素早くリスタートしにいった田中が、中々ボールから離れない伊藤の脚ごと蹴ってしまう事案が発生し騒然となるピッチ。
FK妨害という判定で伊藤に警告が出される事となりましたが、鳥取サイドの苛立ちも感じられる消化不良のシーンに映り。

ひたすらサイドを突かんとするも、富山の守備の硬さは相変わらずで、クロスに辿り着いてもブロックされ上げる事すらままならず。
35分に再びベンチが動く鳥取、牛之濱・富樫→東條・小澤へと2枚替え。

硬いブロックを崩さんと、左サイドでの小澤の仕掛けを交える事で毛色を変えんとする鳥取。
41分にそのチャンスが訪れ、ワイドで受けた小澤がカットインでエリア手前に流れると、シュートのようなクロスを入れ。
これを吉井がヘッドで合わせたものの、ボールはマイナス方向へ浮かんでしまいミート出来ずに終わってしまいます。
正直ここはシュートの方が良かった気がしましたが、それも結果論であり。

しかしこれ以降、小澤が試合を動かせる状況すら作れなくなる鳥取。
大野狙いのロングボール(その後大野がフリックで繋げる)や、レイリアのボールキープを敵陣で時間を稼ぐ事に利用する富山。
攻撃カードをこうして守備に利用される事程、追い掛ける側にとっては嫌な事は無く。
ATに残っていた交代カードを使い、末木・伊藤→林堂・神山へと2枚替え。
5バックシステム(林道をボランチとした3-4-2-1)で逃げ切り体制に入ります。

何とか矢印を反転させる鳥取、左からの文のアーリークロスがエリア内を突き。
今瀬がヘッドでクリアするも、これがゴール上へ際どく逸れるボールとなり、またもオウンゴールかという際どいシーンが生まれましたが決まらずCKに。
GK糸原も前線に上がり、最後の意地を見せたい所でしたが、二次攻撃でのクロスを強引に合わせにいった吉井はボレーシュートを空振りしてしまい万事休す。

結局1-2で試合終了となり、勝利を飾った富山。
2位以下の混沌とする状況は変わらず、ここまで来れば白兵戦で駆け抜けるだけ……という意識が高まる中、サッカーの内容で明らかな良化が見られるのは好材料でしょう。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第39節 ツエーゲン金沢vsモンテディオ山形

2023-10-25 16:05:44 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の金沢の記事はこちら(再試31節・群馬戦、1-1)
※前回の山形の記事はこちら(37節・徳島戦、0-1)

<金沢スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • この試合が降格リーチ。(※)引き分けなら熊本が引き分け以上and山口と栃木がともに勝利で降格決定。敗戦ならば山口と栃木がともに引き分け以上で降格決定。

※正確には降格枠確定で、J3上位クラブのJ2ライセンス云々についてはここでは語らない。

<山形スタメン>

  • 前節(栃木戦、2-0)出場停止だったイサカがスタメン復帰。
  • 宮城が前節9試合ぶりのスタメン出場。
  • 小西が今節8試合ぶりにベンチ入り。

低空飛行どころか急降下という歩みで、とうとう降格まで後が無い状況に追い込まれてしまった金沢。
9戦未勝利という書き方では生温く、その9戦のうち8敗で引き分けすら1試合しか無い成績では、こうなってしまうのは当然であり。
上を見れば首位・町田が昇格リーチと盛り上がり、光と闇が激しく対比する状況で今節を迎えました。

その相手に対しても、プレーオフ出場のために手加減・油断は許されない山形。
立ち上がりは、金沢のマンツーマン基調の守備システムを窺いながらという立ち回り。
ストロングポイントのイサカにボールを出しながら、そのイサカに付くバイーアの習性を確かめている節がありました。

そんな、ある意味スローペースに映る山形を尻目に、後が無い状況らしく攻め上がる金沢。
上記のマンツーマンも立ち上がりは上手く嵌り、前半5分にはバイーアの敵陣でのパスカットから、梶浦のポストプレイで受け直したバイーアがミドルシュートを放つも枠外に。
その他の選手もチャンスがあれば撃つという感じで、積極的なミドルシュートでゴールを狙います。

しかし12分、これまでイサカへのパスが悉くバイーアにカットされていましたが、ここでは後藤優のスルーパスに走り込み背後を取る事に成功したイサカ。
すかさずグラウンダーでアーリークロスを入れ、手前でクリアされるもコーナーキックとなり最初の好機。
キッカー高江はショートコーナーで大きく戻しを選択し、川井が再びアーリークロスを送ると、ファー奥へ走り込む宮城の前でGK白井が何とかパンチング。
すかさず金沢ディフェンスの陣形の乱れを突く山形でしたが、エリア内で拾った後藤優のシュートはポストを直撃し、跳ね返りをダイレクトで放った南のシュートは枠を捉えられず。

冷や汗をかいた金沢でしたが、これによる心の乱れは整えられなかったか。
14分ここでも高江の縦パスがイサカに渡って好機となる山形、バイーアを振り切り例によってアーリークロスを送るイサカ。
ファーサイドへ流れるも、拾った宮城が左ポケットでキープ、小島との対峙を経て中央への戻しを選択。
受けた南、今度はワントラップで適所に置いてグラウンダーでシュートを放つと、ゴール右隅へと突き刺さるボール。
早くも山形が先制に成功した一方で、窮地に追い込まれる金沢。

焦りとの戦いも強いられる中、18分に再び山形の右サイドアタック、今度は細かなパスワークで攻め上がり。
その最中にイサカが加藤潤のアフターチャージを受け、アドバンテージが取られた末に藤本の奥からのクロスが上がり。(シュートは撃てず)
途切れたのちに加藤潤が警告を受けるという具合に、早速その被害が表れます。

それでも積極的に仕掛けるしかない金沢。
22分に前に出た庄司が後藤優から反則気味のアタックで奪い、そのまま縦に素早く運んでエリア内を突かんとするも、杉浦→梶浦へのパスが繋がらず。
この際に後藤優が足を痛めてしまった山形サイド。
無事に継続するも、前半の終盤にも何度か金沢のディフェンスを受け脚を気にする仕草をするなど影響を引き摺る事となり。

救いは山形が、1点リードしたからといってリトリートの意識を高めるチームでは無い事だったでしょうか。
守備を固められては、金沢の持ち味である縦に速い運びが殆ど出来なくなり詰みに近い状態となりますが、そうはならなかったこの日。

26分左のバイーアから組み立て、縦パス→林フリック→杉浦ポストプレイ→林と、2トップの縦関係も絡めて前進。
その最中に奥田のスルーパス?が眼前の林に当たるアクシデントもありましたが、それでも強引に繋いだ末に梶浦がミドルシュート。(野田がブロック)
距離感の近いパスワークで、まるでラグビーを彷彿とさせる運びのシーンも見られます。
ハイプレスも積極的に仕掛けるようになり、それに対しても山形はあくまでGK後藤雅を使いながらのビルドアップで対抗姿勢。
30分に金沢が巧く嵌め、左右を切った状態でGK後藤雅に中央に縦パスを出させ、梶浦がカットにいきましたが高江との接触で反則を取られ実りません。

金沢が同点を狙いに行く一方で、当然ながら山形も追加点を挙げんと攻め込み。
28分に決定機を迎え、南のスルーパスで左ポケットを取った宮城、ここでも戻りながらのキープから中央へパスを選択。
そして高江の縦パスをイサカがエリア内で受けて中継し、藤本のシュートが放たれるもGK白井がセーブ。
34分には高江→小野へのスルーパスが遮断されるも、後藤優が奪い返してヒールで繋いだのち、上げられた小野のクロスを藤本がヘディングシュートで合わせ。(枠外)

相変わらずの積極姿勢を見せる山形ですが、その分隙も出来。
39分中央でこぼれた所を藤村がダイレクトで縦パスを送り、杉浦のポストプレイから再び近い距離間で運ぶ体勢に突入。
強引にエリア内へ進入した奥田のラストパスはズレるも、拾った加藤潤から左ワイドで繋いだ末に藤村がクロス。
そしてファーサイドで杉浦がヘディングシュートを放ちますが、GK後藤雅のセーブに阻まれ同点ならず。

以降も積極的な金沢、サイドでも、数的優位を作るべく藤村が果敢に突破を図るなど中々見られないシーンを交え攻め込み。
42分には左サイドでの繋ぎのなか加藤潤が内寄りに絞った事で、イサカがピン止め状態となりワイドが空いた所を藤村がドリブルと、そんな意識を巧く組織的な崩しに絡めた攻撃も見せます。(その後パスワークを経て藤村がクロスも合わず)

良い攻撃はかなり見せましたが、それでも結果に繋がらない金沢。
前半は0-1で終了となり、ハーフタイムで山形サイドが交代を敢行。
度々足を気にしていた後藤優を退かせ、高橋を投入する運びとなりました。

金沢にとって運命の後半戦が始まり。
先制攻撃は山形でキックオフ→野田ロングパスからの攻めで、上手く繋いで左サイド奥に持っていき。
宮城を追い越した小野が小島を股抜きでカットインし、そのまま入れたグラウンダーでのクロスを藤本が合わせるも左へ逸れ。
早めに追い付きたい金沢は、後半4分に左サイドからのフリーキック。
キッカー・バイーアのクロスが流れた所、走り込んだ小島が右ポケットからダイレクトで入れましたが誰にも合わず。

前半と比べ、中央を縦に速く運べる状況は少なくなる金沢。
こうなると力量の差が表れ、山形が追加点を狙いにいく流れに突入します。
11分にイサカの突破を、この日初めてバイーアが直接阻んで奪うというシーンが生まれましたが、依然としてここでのマッチアップは不利であり。
13分に縦パスを受けたイサカ、バイーアをかわすようにカットインしてそのまま中央からシュート。(ブロック)

優勢のまま決めきりたい山形、14分に宮城のパスカットから、金沢のお株を奪うように中央で素早い運び。
そして高江のスルーパスで右ポケットに高橋が走り込み、放たれたシュートがゴールネットを揺らしたもののオフサイドを取られ、惜しくも追加点はなりません。
やり返したい金沢、直後の15分に中央から運ぶ状況を作り、右にこぼれたボールを拾った小島のクロスはエリア内へと見せかけて外のバイーアに渡り。
するとバイーアも、クロスと見せかけてグラウンダーで直接シュートと意表を突く行動の連続となりましたが、GK後藤雅が辛うじてセーブし実らず。

続く16分には山形のビルドアップvs金沢のプレッシングという対決のなか、間を通すパスの連続で中央から前進に成功。
そして右へ展開してイサカがグラウンダーでクロス、藤本のポストプレイを経て高橋がシュートしましたがブロックを掠めてゴール左へと外れ。
しかし尚もCKで、ショートコーナーを経ての高江のクロスがGK白井の飛び出しでこぼれ、右奥へ転がった所を宮城がシュート。
2点目かと思われたこのフィニッシュも、ゴール寸前で庄司がブロックして決まりません。
18分に双方選手交代し、金沢は杉浦・林→木村・加藤大へと2枚替え。
山形も宮城・イサカ→チアゴ・横山へと2枚替え。

16分の好機を境に、GK後藤雅は金沢のプレッシングの間を通す縦パスを連発していく体勢に。
金沢は何とかそのビルドアップを遮断し好機に繋げたいという状況で、21分にはGKに戻される所を、果敢にエリア内へ詰めにいく加藤大。
しかしスライディングで後藤雅を倒してしまうと、反則を取られ警告を受ける事となり。
後が無いという状況を痛感するシーンであり、刻一刻と試合終了まで迫る時間。

それでも、金沢のマンツーマン基調の守備により、後藤雅の縦パスを受けた先で難しい繋ぎを強いられる山形。
激しく寄せられた末のダイレクトでの繋ぎが乱れた所を回収され、思うように攻撃できない状況に陥ります。

そして26分に決定機、敵陣でのこぼれ球を藤村が繋ぎ、パスワークを経て受け直した藤村が転倒してこぼれた所を山本が縦パス。
受けた加藤大を経由し、加藤潤がミドルシュートを放つもGK後藤雅がセーブ。
エリア内へこぼれたボールに梶浦が詰めにいきましたが、あろう事か抑えにいった後藤雅と交錯し倒れ込む事態が発生します。
しかしこれに反則の笛は鳴らずと、判定的にも際どい一幕となってしまい。

一転して守勢となった山形、30分に藤本→デラトーレへ交代するも流れを変える事は出来ず。
34分に再びビルドアップの乱れを突かれ、加藤潤→加藤大と経由して中央からエリア内に進入する金沢の攻撃。
そして加藤大のシュートが放たれるも、西村がスライディングでブロックして防ぎ、こぼれ球をGK後藤雅が石原(奥田と交代で出場、33分)と交錯しながら掻き出す際どい凌ぎとなります。
これ以降、GKからの縦パス攻勢を諦め、ロングボールで逃げる事を第一とするようになった山形。
金沢は容易にボールを確保できるようにはなりましたが、同時に苦手分野である最終ラインからの遅攻を強いられる事となり。

39分にショートパスでのビルドアップで左サイド奥を突かんとするも、結局戻して作り直しを選択。
しかしその後中盤でデラトーレにカットされると、南の裏へのミドルパスを受けた横山がGKと一対一に持ち込みます。
右ポケットに切り込んでシュートした横山でしたが、GK白井が前に出てセーブと好判断で防ぎ。
するとカウンターの隙が生まれ、藤村のロングパスに木村が走り込んだ所、蓋をした西村がクリアミス。
これで拾った木村がドリブルに入り、逆にGKと一対一を作るという願っても無い好機が生まれます。
こちらも右ポケットに切り込んだ木村、GK後藤雅を右にかわしにいきましたが、振り切られずしっかりとキャッチに成功した後藤雅。
一対一の応酬という慌ただしい絵図になりましたが、スコアは動かず。
(42分に山形は高江→小西に交代)

しかし逃した事が大きく響くのは金沢の方。
とうとうリードされたまま、迫る試合終了の時に怯えながらの戦いを強いられます。
44分には自陣左サイドでパスを受けたバイーア、コントロールミスで横山に詰められた末に、ラインアウトで山形のスローインとなるなど疲労感も隠せず。

そして突入したアディショナルタイム。
流石に中央を固める意識が強まった山形に対し、流れの中ではクロス攻勢しかやれる事が無くなる金沢。
何とかCKに持ち込むも、クリアボールを拾った梶浦が横山に奪われると、溜まらずその横山を倒してしまった梶浦がカウンター阻止で反則・警告を受け。
カードが出る前に横山の方がヒートアップを見せた事で、それを宥めるという落ち着く作業を強いられるなど、どうにも噛み合わないというシーンになってしまい。

それでもその後、山形の左サイドでのパスワークを遮断すると、小野・野田が前に出た隙を突いて素早く運ぶ状況を作ります。
スルーパスに木村が走り込むも、先程失態を見せてしまった西村がここで踏ん張り、カバーした末にこぼれ球を確保と未然に防ぐ好守備。
負けられない状況は山形も同じである、という事を再認識させる一幕だったでしょうか。

そして最後の好機である、FKからのキッカー・バイーアのクロスも実らず。
試合終了の笛が鳴り、0-1で山形が勝利。
それと同時に、山口・栃木がともに引き分けとなったため、敗戦の金沢は20位と勝ち点差が10に広がる事となり。
残り3試合ではどうにもならず、降格圏が決定してしまいました。

既に町田が勝利した事で、同時に昇格・降格が決まるという一日となり。
初のJ1に沸き上がる町田という要素の方が大きくなったのは、ネガティブよりもポジティブなニュースバリューが求められる世間の常態か。
あるいは、未だJ3の昇格クラブ数が決まっておらず残留の可能性がわずかながら残されている事からか。

なお後日の24日に、それを判定するJ2ライセンスの発表がついに行われ。
これにより、未交付となったFC大阪次第という限りなく厳しい状況となりましたが、金沢はまず気を取り直して21位浮上を目指して欲しいものです。

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