※前回の秋田の記事はこちら(17節・群馬戦、1-1)
※前回の清水の記事はこちら(18節・山口戦、0-2)
<秋田スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 小野原が累積警告により出場停止。
<清水スタメン>
- 19節(藤枝戦、1-0)から3-4-2-1へと布陣変更していたが、この日は再度4-4-2へ戻す。
- アブドゥル・アジス・ヤクブのポルトガル・リオ アヴェFCから完全移籍での加入が決定。(選手登録は7/14以降)
6勝6敗(7分)と全くの五分で、前半戦を終えた秋田。
それは数字が示す通り、水平姿勢を保った無事なフライトというべきか。
ないしは昇格に絡む事が出来ないもどかしさが噴出する危惧を抱えている状況か。
いずれにせよ、降格の危機は今の所薄いだけ幸せというのは間違い無く。
この日の対戦相手の清水が、常に昇格圏を争っているが故のギスギス感を醸し出している現状故に尚更といった所でしょうか。
清水ボールでのキックオフ、(向かい風という環境もあり)いきなり地上での繋ぎで前進を図ったものの、左サイドでディフェンスに阻まれ。
その直後に最終ラインでボールを持つと、原の裏へのロングパスでコーナーキックに持ち込む(このCKから中村亮太朗がヘディングシュートも枠外)という具合に、地上・空中での前進でハッキリ明暗が分かれる立ち上がりに。
そんなギャップに拍車を掛けるように、直後の秋田のゴールキックの際に観客席でアクシデントが。
体調不良で倒れた観客が(秋田サイドのスタンドに)現れたという事で、試合は一時中断されて対処する運びとなります。
競技場内に入った救急車の中へ担架で運ばれた、その患者の無事を祈るばかりとなり6分に再開され。
閑話休題、清水がロングボールで有効打に結び付けたものの、それは同じ土俵だと言わんばかりにその後攻勢に入る秋田。
7分に村松のロングパスを受けた青木が右奥を窺う姿勢からヒールパス、受けた大石が奥へ切り込んでクロス。
ブロックされて右CKに持ち込むと、2度目のクロスをファーサイドで河野が合わせ。
シュートというよりは落としが直接ゴールへ向かうといった感じのヘディングでしたが、ゴール前で原がクリアして何とか防いだ清水。
しかし河野に圧し掛かられた吉田が頭部を痛めるなど、秋田の圧力をモロに受ける格好となります。
攻撃の際も地上での繋ぎが秋田のプレッシングにより上手くいかずと、劣勢感を露わにする清水。
すると13分、ゴールキックでのロングフィードからセカンドボールを確保した秋田、右サイドでワンタッチでのパスワーク。
これが前回述べたような、清水ディフェンスの喰い付きという弱点を露呈させるものとなり、バックパスで前に釣り出した所に藤山がミドルパスでその裏を大石が取る好機に。
そして奥から入れられたマイナスのクロスに、走り込んでニアでシュートを放ったのは梶谷。
ゴール左へと強烈に突き刺さり、パワーサッカーの秋田ですら清水の弱点をしっかりとスカウティングしている事が示されるような先制点が生まれました。
前節(愛媛戦、0-3)に続き追う立場を強いられた清水。
15分、最終ラインから地上で繋ぐ流れになると、センターバックに対して大石が詰めにいった事で左から運ぶ余地が生まれ。
しかしパスを受けた山原は二度追いする大石と、後方から強烈にプレッシャーに来た村松・藤山の3人に囲まれる事態となった末に奪われてしまいます。
ハイプレスによる綻びを、文字通り「秋田一体」の走力でカバーされる絵図となり。
地上からの前進は困難と見るや、20分に再度原のロングパスから好機を作り、セカンドボールをタンキがダイレクトでスルーパス。
これを左ワイドで受けた北川がポケットへ持ち運びグラウンダーのクロス、これに対しニアサイドに走り込む宮本。
しかし意図的か否か、スルーを選択しファーのカルリーニョスに託したものの、届かずにクリアされて実りません。
その後もロングボールと地上でのビルドアップの挟間で揺れる清水。
23分に再び山原から運ばんとしたものの、ここも大石の二度追いによりサンドされ、無理に間を抜く縦パスを選択した結果諸岡にカットされ。
そして青木のスルーパスで右サイドを突き大石がクロス(合わず)と、相手の迷いを執拗に突き続ける秋田。
閉塞感漂う清水は27分、カルリーニョスが下がってボールを受け、低い位置からのドリブルで打開を図らんとします。
しかしこれも囲まれて藤山に奪われるという具合に機能せず、結局手詰まり度合を加速させるのみに終わり。
30分過ぎから、サイドハーフの位置を入れ替え(矢島が右・カルリーニョスが左に)と配置面での変化を交え。
ここから攻撃権を掴み、最終ラインから間を通す縦パスが決まり始めて敵陣でサッカーを展開する時間帯に。
パスワークを交えて何度かボックス内を突くものの、秋田の粘りの前にフィニッシュは撃てません。
40分自陣での右スローインからの攻めで、左へとサイドを変えてカルリーニョスの持ち運びで好機到来。
そして奥を突いた山原のクロスが上がると、ファーサイドで合わせたタンキのヘディングシュートがゴールバーを叩き。
一つゴールを脅かした事でムードが高まる……そう思ったものの、現実は甘くなく。
42分、中盤でボールが右往左往する流れから、藤山のラフなロングパスが一気にエリア内を突いて秋田の好機に。
青木がボールキープで溜めを作り、他選手も存分に上がったうえで左から蜂須賀のクロスが上がると、ファーサイドでヘディングシュートを放ったのは村松。
SBからSBへ、というこのフィニッシュこそGK権田がセーブするも、跳ね返りをすかさず梶谷がヘッドで詰めてネットを揺らします。
清水の苦悩を嘲笑うように、走力を存分に活かしてリードを広げた秋田。
清水は地上・空中どっちつかずという状態を改められないまま、窮地に追い込まれたという格好に。
両者を交える立ち回り、つまりは疑似カウンターを使う事が最適に見え。
ハイプレスが基本の秋田ですが、組織的というよりは走力に頼ったものなので、エリア内まで引き付けたうえで裏を取る方策が採れれば楽になったかと。
今季でいえば2節の山口vs秋田での山口の戦い方が連想されますが、その山口に完敗した事もあり、この方面でも清水の組織力の遅れを痛感させる……というのは言い過ぎか。
結局2-0のまま前半終了。
追い掛けなければならない清水は、ハーフタイムで2枚替えを敢行(吉田豊・中村亮太朗→高木・乾)と、当然の如く交代を交え。
これにより原が本来の右SBに、矢島がボランチに回る事となります。
そうして始まった後半。
中々好機が生まれない入りを経て、後半3分の最初の攻撃は清水。
宮本のパスカットで反転させての攻撃で、右から原のアーリークロスがニアに入り。
走り込んだカルリーニョスは撃てずも、こぼれた所を北川がシュート(枠外)と繋がり。
豊富な駒を活かしての反撃体制を作り上げんとします。
しかしそれが盤石とならないうちに、秋田も後半最初の攻撃(4分)を点で繋ぎ。
左スローインからの攻めで左CKを得ると、キッカー大石のニアサイドへのクロスに、青木が合わせヘディングシュート。
ファー寄りの位置から走り込んで合わせた事で、清水のゾーン守備が完全な棒立ちという格好となり、いとも簡単にゴールネットが揺れ。
これで3点差となり、ホームの地(ソユースタジアム)で勝利へのムードを高めた秋田。
一方早期の失点で、最早メンタルはガタガタといった清水。
反則を繰り返す(その流れでカルリーニョスに警告)事で秋田に好機を与え、凌いだと思ったらクリアボールを味方にぶち当ててしまい(藤山に)シュートを許すという具合に、サッカーの内容も混迷を極め。
何とか流れを変えんと、10分に再度交代しタンキ→白崎。
これによりカルリーニョスがFWに、矢島が右SHに回るという具合にポジションチェンジも再度交わり。
それでも、単純明快な秋田の姿勢を崩すには至らず。
12分に左スローインから敵陣で繋ぐ秋田の攻撃、梶谷がパス&ゴーで高橋の背後を取り、左ポケットへのスルーパスをダイレクトでシュート。
ここでも高橋の立ち位置がどうにも中途半端で、崩されるのは必須といった清水の守備組織。
このシュートは高木がブロックし、こぼれ球をさらに青木がシュートするも山原がブロックと、辛うじて防いだものの反撃ムードは高められず。
そのままズルズルと時間を浪費していきます。
17分には、またも乾の蹴り出しが宮本にぶち当たって跳ね返るというミスから、梶谷のミドルシュートに繋げられる(枠外)という具合に迷走は止まりません。
そして22分に3度目(HTを除けば2度目)・4人目の交代、矢島→ブラガ。
同時に秋田も大石・青木→水谷・小松へと2枚替え(佐藤が右SHに回る)と動きましたが、こちらはまだ最初の交代とその立場は明暗くっきりという状態に。
更に24分にカルリーニョス→松崎に交代と、早々に全てのカードを使いきった清水。
これによりFWにブラガが回り、右SHに入った松崎。
ブラガがサイドのままで乾をトップ下とする手も考えられましたが、既に使い古された感のあるその案では流れは変えられないと踏んだでしょうか。
苦し紛れのベンチワークにも映りましたが、これが当たる事となり迎えた25分。
高橋の裏へのロングパスを受けた松崎、そのまま右奥を突いて溜めを作り、クロスでは無く中央方面へ戻しを選択。
エリアからすぐ手前という位置で受けたのは上がってきた原で、その流れに従うように放たれたミドルシュート、これが河野のブロックでのディフレクションもありゴールに突き刺さります。
ようやく1点を返したものの、その雰囲気を変えるには至らず。
29分にはスローインの判定を巡り、ボールを叩きつけて激高した原が警告を受けるという具合に、秋田のプレッシャーの前に形にならない状況は大きく変わる事は無く。
それでも松崎の突破力は一筋の光明で、26分にそこから上がったクロスを経てのブラガのヘディングシュート(GK圍セーブ)などゴールに迫る流れを作ります。
(31分に秋田は佐藤・梶谷→中村亮太・半田へと2枚替え)
33分に秋田の浮き球による前進での攻撃、エリア内で小松が足から跳び込む絵図に持ち込むも、GK権田がキャッチして防ぎ。
すると素早くリスタートして清水がカウンター、フィードを受けた松崎のドリブルで敵陣を切り裂き、ポケットへ進入してマイナスのクロス。
走り込んだ乾が合わせシュートに持ち込むもGK圍がセーブ(その後北川が詰めにいくもオフサイド)と、この速い攻撃も得点に結び付きません。
36分にも、CKからの流れでまたも松崎が右ポケットに切り込む状況となり、上がったファーへのクロスをゴールに近い位置で白崎が合わせ。
しかし折り返しとなり、その逆サイドで原のヘディングシュートが放たれるも枠を捉えられず。
これを最初の白崎の所で、シュートを放ちゴールを奪えればガラリと展開が変わったでしょうが……。
脅威となった松崎の推進も、時間経過に伴い秋田サイドも対策を見せるようになり。
つまりは1対2での対応で、ワイドの位置で持つ松崎に対し、蜂須賀と水谷の2人で網を張ってその勢いを削ぐ事に成功します。
その後松崎はそれを嫌がってか、中央に位置を移しての突破を試みたものの、対策の対策とする事は出来ずに終わり。
終盤は攻撃機会も減り、敗色ムードが高まる清水。
それを尻目に最後までパワー・走力を切らす事無い秋田。
先程まで清水の猛攻を受けていた事もあり、ボールキープ・バックパスを交えて一息付く立ち回りも見せながら、勝利への進軍を続けます。
そしてアディショナルタイムに最後の交代を使った(藤山→栗本)末に、試合終了の時を迎え。
ホームの地で強豪撃破を達成したその戦いぶりに、歓喜に沸く事となったソユースタジアム。
一方の清水、後半戦の連敗スタート、それによる首位陥落と夢なら冷めて欲しい状態に。
強力な駒による誤魔化しが効かなくなってきたのは明白であり、再度のブーストを掛ける秘策は存在するでしょうか。
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