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DAZN観戦 2024年J2昇格プレーオフ決勝 カターレ富山vs松本山雅FC

2024-12-11 18:16:36 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

  • 富山はベンチメンバーを井上→吉平と1名入れ替え。
  • 松本はベンチメンバーを中村→常田と1名入れ替え。

準決勝の記事 - 富山 1-1 FC大阪 松本 1-1 福島

過酷な戦いであるJ3の舞台も、昇格プレーオフをもって締められる事となったのが今季から。
そして初めてのこの試みは、下剋上も無く上位同士のぶつかり合いという決勝のカードに。

富山と松本、リーグ戦での勝ち点では一段の開き(勝ち点差4)があるものの、この一発勝負の場で大きなウェイトを占めるのが勢いの差。J1昇格POと違い3週間のブレイクも無いし
ともに準決勝は引き分けでの勝ち上がりでしたが、3位・富山は後半FC大阪に押されまくりの内容で、シュート数も倍以上の差を付けられながら何とか逃げきり。
対する4位・松本は、福島に先制されながらもその持ち味を抑制し、かつ後半は追い付いたうえで封じ込める力量差を見せ。
こうした内容故に松本の方に分がある、そんな戦前予想を勝手に立てつつの視聴となり。
中5日を挟み、富山ホーム(富山県総合運動公園陸上競技場)で迎えながらも松本サポーターも大挙してゴール裏を埋めるという環境(総観客数は11,847人)で開催されました。

富山のキックオフで幕を開けると、その初手でいきなりフィニッシュに結び付け。
GK田川まで戻し、ロングフィードを碓井とレイリアが連続フリック、その跳ね返りを碓井がダイレクトで撃ったものでした。(枠外)
こうして多少遠目からでもフィニッシュを重ねる事で、準決勝の内容を払拭したいという思惑が伺えた富山。

しかし松本も直後に反転させ、村越のロングスローを連発する立ち回り。
しかもそれが、ニアでの野々村のフリックから悉くシュートチャンスに繋がります。(3本中2本がゴール前へ流れる)
そして3本目には、混戦からのクリアボールを村越がミドルシュートに持っていくと、ここからブロック→ミドルシュートの応酬を繰り返す事3度。(2本目は山本康・3本目は菊井)
富山はシーズンが進むにつれ、ロングボールへの対応が今一つな面が伺えましたが、この日はそれにロングスローの対応も付け加えなければならない。
そんな絵図を描く立ち上がりとなりました。

こうした入りの主導権争いのなか、前半6分に松本はゴールキックで、右サイドへと密集させたうえで逆の左へとフィードを蹴るGK大内。
そして樋口のスルーパスで奥を取った村越がクロス(GK田川キャッチ)と、あくまで搦め手を中心に状況逆転の先制点を奪わんと仕掛け。
対する富山は正攻法、準決勝でもその中心となっていた、レイリアがサイドに開いてボールを受けての起点作りに勤しむ攻撃へと入ります。
それでも、時にはターゲット狙いのロングボールという、引き分けでも勝利というレギュレーションを活かすようにあくまでセーフティな意識を交えながら立ち回り。
これにフリーキック・コーナーキックでの好機が加わる(二次攻撃で巧く保持に入る事で分厚い攻め)事で、順調に好機を量産かつ松本の攻撃機会の減少という流れになりかけます。

しかし17分、富山がサイドチェンジも使いながらボール保持するも、敵陣で松岡→碓井のパスがズレた事で松本のカウンターに。
菊井の左ワイドからのスルーパスをポケットで受けた安藤、溜めを作っての戻しを経て村越がミドルシュート(ゴール右へ外れる)と、1トップ2シャドーのみで攻撃を完遂させる松本。
これで流れが反転したか、続く18分今度は松本が敵陣でボール保持の局面を作り、右→左へのサイドチェンジからのパスワーク。
ディフェンスの意識を振ったのち菊井が浮き球を中央へ送ると、安永が巧みなトラップでエリア内へと進入、そして放たれるシュート。
これが人数は揃っていた富山ディフェンスの間を縫い、ゴール左へと突き刺さります。
クロスでもカットインでも無いという菊井・安永の手段に意表を突かれたか(安永がトラップした際に末木へのディフレクションもあり)、エリア内での棒立ちが目立ってしまった富山サイド。
0-1となり、持っていたアドバンテージは松本に移る事となりました。

一転追い掛ける立場となった富山。
松本のクリアボールやスローインを跳ね返し、トランジションの間際を制する事で好機に持ち込まんとしますが、同時に焦りも伺えるというその手法。
リードした事でウイングバックを高目に位置取らせたうえでのビルドアップに入る松本に対し、当然ながらハイプレスを目立たせ。
しかしレイリア・碓井の2トップは相手ボランチを切りながらのプレッシャーをする反面、それに依存しているのかサイドハーフは前線に加われず。
そのため松本のボランチの片割れが最終ラインに降りる変化を付けると、縦関係になったドイスボランチのもう一方が開いてしまう事が多々ありました。
2トップの一方を残したままSHが前に出る体勢を作りたい(あるいはボランチが前に出て詰める)所でしたが、幸か不幸かその攻防が色濃くならないうちに、さらにスコアが動く事となり。

25分、山本康のパスカットで富山の攻撃を切ると、再度発動する松本のカウンター。
持ち運びからの横パスで村越に繋げると、バウンドさせる軌道でのミドルシュートが放たれましたがGK田川がセーブ。
しかし左CKで継続し、キッカー菊井のクロスをややファー寄りで樋口が合わせヘディングシュート。
ヘッドの強い野々村への意識(入りのフリック攻勢も利いたか)を逆手に取ってのフィニッシュで、ゴールネットを揺らす事に成功した松本。
これで2点リードとなり、昇格の2文字を視野に入れての戦いに突入します。

一方2点が必須となった富山。
ビハインドの宿命か、ボール保持の色を強めて反撃体制に入るも、そこに襲い掛かる松本のプレッシング。
WBも富山サイドバックに果敢に詰めにいく事で、J2・岡山(来季からJ1ですが)を彷彿とさせる4-4-2への可変を行いながらという守備体勢に苦戦の色を隠せません。
その間にも、33分に再び村越のロングスローがニアの野々村を越える紛れを起こし、その奥で収めた安藤がシュート。(GK田川キャッチ)
34分には敵陣で松岡が奪われた事でまたもカウンターを浴びる(右奥まで運ぶも遅攻に切り替え)という具合に、変わらない手法で再三脅かされるゴール。

そうした中でも徐々にボール保持を続けるなか、富山は徐々に相手WBを釣らせるという意識に変わって来たでしょうか。
得意手であるSBとSHの入れ替わり(特に安光の居る左サイド)を駆使しながら、1タッチパスを上手く使う事で出来たスペースへと運ぶ光景も何度か見られ。
それでもシュートチャンスを迎えられずと、厳しい状況を変えられないまま前半終了となりました。

そして挟まれたハーフタイムで、富山・小田切道治監督は2枚替えを敢行。
世瀬・布施谷→高橋馨希・伊藤へ交代し、攻撃的な高橋馨がボランチと、完全に追い掛ける体勢へと突入します。
泣いても笑っても最後のHTで、勝利ならびに昇格への執念を示す格好となり。

松本のキックオフで始まった後半。
その初手は、村越が浮かせたのちダイレクトで高いロビングを上げるという独特なもの。
その跳ね返りを繋げて左サイド奥まで運びCKを獲得と、前半も見せた搦め手を惜しみなく使う松本。
その後セットプレーを交えながら、クリアされたボールをミドルシュートに繋げるという手法でペースを握りに掛かります。

是が非でも反撃体制を作りたい富山でしたが、松本のその立ち回りを受けて最初の好機は後半8分と遅れ。(伊藤が左ワイドからポケットへ切り込むもゴールラインを割り終了)
これ以上の失点は許されないとあり、安易にカウンターを浴びるような手法は使う事が出来ず。
そのためやはりボール保持へと舵を切り、地上での繋ぎが中心となる攻撃。
ボランチで投入された高橋馨は、前半に松本が見せたように最終ラインに降りたり降りなかったりという立ち回り。
これにより最終ラインが2枚・3枚での繋ぎを混ぜ合わせる富山ですが、キーになるのは前半同様相手WBの動き。
2枚になるとSBが低い位置でCBのパスを受ける事となりますが、その際松本もシャドーが対応に来るためWBは釣り出されず。
これを改善せんと3枚にし、シャドーを最終ラインに当てる状況を作ると、3枚なため必然的にSBの位置も高くなるため相手WBの背後も突けなくなり。
そんなジレンマが伺える富山の可変式ビルドアップ。
その中での好機は12分、ワイドに開いた神山からサイドチェンジを多用する大きな展開で、左ポケットから伊藤中央へ横パス→レイリアポストプレイ→安光シュートと繋がるも枠を捉えられず。

このまま相手の攻めあぐねを続けたかった松本サイドですが、13分に安藤が負傷交代した(浅川を投入)事でにわかに動揺したでしょうか。
それを隠すべく、相手のバックパスにハイプレスを敢行と強気に立ち回るものの、逆にそれを突かれる場面も目立ち始め。(GK田川のロングフィード一本で裏を取られるなど)
トランジションも激しくなり、その影響か19分に富山のカウンター、伊藤のロングパスを収めたレイリアが左ハーフレーンを持ち運び。
そして溜めを作ってのスルーパスで碓井をポケットへ走らせますが、宮部のカバーもありシュートには繋がらず。

左CKで継続という所で、このディフェンスで足を痛めた宮部により長らくブレイクが挟まれ、その最中に富山ベンチも交代を決断。
松岡→吉平に交代と、ベンチに復帰したキャプテンの投入で苦境の打破を目指します。
そしてこのCKからの二次攻撃、後方からのロングパスで松本のプレスの裏を突くと、左ポケットで末木折り返し→脇本足で合わせシュートと決定機に。
しかしこのフィニッシュは浮いてしまい枠外と、あと一押しが出来ません。

24分に松本は佐相→山本龍平へと交代。
準決勝でも行った、樋口を右WBへと移すポジションチェンジ付きの采配。

得点を挙げられない事で、次第に地上からロングボールへと傾倒していく富山の攻撃。
2点差で後が無いという意識も滲み出ますが、24分に神山ロングパス→碓井落とし→レイリア拾ってミドルシュート(GK大内セーブ)と、一定の成果も期待できる手段なのは確かであり。
しかし26分には末木がエリア内右を突くロングパスにレイリアが走り込み、ダイレクトでクロスを入れんとするもミートせず。
これを松本にカウンターに繋げられる(村越がドリブルからエリア内へラストパス→菊井シュート、高橋馨がブロック)という諸刃の剣でもあり。

それでも時間経過により、松本もプレスを抑制しながら逃げきりを図らなければならず。
その隙を突き、富山はロングボールと保持を使い分ける事で、松本をリトリートに追い込み(GK以外)全員敵陣に入り込んでの攻撃にも持ち込めるようになり。
その状況下で迎えた34分、最終ラインからのパスを受けた伊藤が左ワイドを抉り、切り返しからクロス。
ニアに向けたボールでこれをレイリアがスルー、その奥に入り込んだ碓井がヘディングシュートを叩き込み。
GK大内は身体に当てるも弾き切れず、ゴール内に転がったボールによりついに1点を返します。
その直後にレイリア→松本孝へ交代、高さ勝負へと舵を切るベンチ。

まだ1点リードしている松本ですが、嫌な予感が漂うのも確か。
キックオフでの再開は、村越が後半開始時同様浮かせてからロビングを蹴り込む手法。
相手に拾われるも敵陣で奪い、菊井のミドルシュートが襲ったもののゴール左へ外れ。
楽にする追加点を得られず、苦しい逃げきりへの道を歩む事となります。

そして39分に自陣深めでの左スローインの際、準決勝と同様に足を痛めてしまった高橋祥。
たまらずベンチに交代をアピールするも、当然咄嗟に準備は出来ず。
これを見ていたのかスロワーの山本龍が中々再開しなかった事で、遅延行為による警告も受けてしまうなど、踏んだり蹴ったりという流れを描きます。
その後もラインアウトの度に、高橋祥や山本康が交代アピールを盛んにベンチに行うものの、中々用意できない松本ベンチ。
その間にも、松本孝を前線に入れた富山がそこへ当てるロングボール攻撃で押し込みを図り。
やっとの事で42分に交代の運びとなり、倒れ込んだ高橋祥を含めて3枚替え。
高橋祥・宮部・村越→橋内・常田・米原へ交代と、後者2人による高さの補填で、富山の攻勢に対抗せんとします。
しかし布陣はそのまま3-4-2-1で、安永がシャドーに回る形に。
ここで3ボランチの3-5-2などを選択していれば、もっと富山のロングボールの抑制を図れて違う未来が見られたかもしれません。

一方富山も同時に、西矢→坪川へと交代しカードを使いきり。
フィードに長けた坪川が左SB(安光が右へ回る)と、その狙いは明らかであり。

松本が高さを強化したにも拘らず、松本孝は空中戦で全勝ちといっても良い程に、次々と浮き球を落としてチャンスメイク。
それでも時間はアディショナルタイムに突入し、富山のゴールと試合終了の笛、どちらが先かという流れに入ります。

松本は確実に失点を防ぐには、富山が後方から送るフィードの数を減らすのがベスト。
しかし既に疲労困憊なのか、前線の規制は全くかからず。
そして致命的なのは、マイボールになった際もすぐさま裏へクリア気味のボールを送るのみに終始した事でしょうか。
保持の姿勢を全く取らず、すぐに富山の攻撃へと移るため連続してフィードを浴びるのに一役買う事となり。

+1分過ぎ、左サイド浅めから坪川のクロスが上がると、松本ディフェンスがクリアミスして大外の松岡の下へ。
そして角度の小さい所から、ダイレクトでシュートを狙いましたが惜しくもゴール左へと外れ。
時間が押し迫っていた事で、富山サイドにも絶望感漂う枠外となりましたが、それでも松本の消極性もありまだチャンスは残されていました。
直後すぐさまマイボールとするとまたも坪川のロングパス、松本孝のエリア内への落としは跳ね返されるも、その浮き球をまた松本孝が今度は右へと落とし。
拾った吉平が奥へ切り込んでクロスの体勢に入り、これが山本龍のブロックを掠めながらも中央へ舞い上がるボールに。
そして常田・橋内の丁度間に落ちる所に、いち早く反応した碓井がヘディングシュートを叩き込みます。
ゴールネットを揺らし、富山全体を蘇らせる同点弾に全員が沸騰状態となり。
決めた碓井もユニフォームを脱ぎ、ゴール裏にてそれを振り回す事で喜びをアピール。(当然警告を受ける)

まだ時間は残されており、富山サイドがひとしきり沸いたため目安時間もアテにならない状態に。
それでも松本はロングボール攻勢に舵を切る、先程まで富山がやっていた事をやらざるを得ず。
プレスもボール保持も出来なかったその姿勢故に、後悔先に立たずという言葉が相応しく映り。

何度か放り込みを見せたものの、シュートには持ち込めないまま最後の場面を迎え。
それは樋口が(高橋馨に)反則を受けた事による敵陣浅めからのFKで、GK大内も前線に加わるまさに最後の攻防。
菊井はその大内の居る中央にクロスを送り、クリアされたボールを米原?がミドルシュートにいくも、ブロックされて万事休す。
すかさず試合終了の笛が鳴り響き。
同時に膝を屈する松本サイドと、歓喜でもみくちゃとなる富山サイドと、明暗を告げる笛ともなりました。

長かったJ3の生活も、苦しんだ末に(一旦)終わらせる事に成功した富山。
左伴繁雄氏の社長就任以降、着実な漸進が図られた末の悲願達成となりましたが、当然この後の道もまだ続き。
再び帰る事無く、その姿勢を保ってJ2定着のロードを築けるでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J3・JFL入れ替え戦第2戦 Y.S.C.C.横浜vs高知ユナイテッドSC

2024-12-09 16:01:14 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン> ※()内は第1戦のスタメン

  • YS横浜はベンチメンバーを西山→山本へと入れ替え。そしてウイングバックは本来の位置である、冨士田=右・橋本陸=左でスタート。(1戦目とは逆)

第1戦の記事 - 高知 1-1 YS横浜

世紀の一戦・天下分け目。
例えそれは、プロとアマの丁度境目という、下位カテゴリの中の下層部であっても変わらないものであり。
1戦目が引き分けで終わった事で、この試合に勝った者が勝利者という判り易いシチュエーションと化したのも、そのムードを高める事に一役買い。
その場をホームで迎えたのはYS横浜の方で、リーグ戦を考えれば異様の集客を果たした(5,101人)うえでの開催となりました。

それ故に、上位カテゴリという事もあり有利と見られたYS横浜。
立ち上がりはそれらしく、ロングボールの蹴り合いによりその優位性を発揮。
前半2分敵陣でボール確保に成功し、脇坂が中央を持ち運んでミドルシュート(吉田ブロック)と最短距離でのファーストフィニッシュ。
その後も中里のロングスローを連発して押し込むという具合に、とにかく勝利への執念を前面に押し出す、采配の妙が先制点に繋がった1戦目(普段と異なるウイングバックの配置)とは異なる姿勢でこの日もアドバンテージを得んとします。

しかし同時に、「後が無い故の藻掻き」を見せる格好となってしまったのが拙かったでしょうか。
連続ロングスローの後にコーナーキックも得たものの、ここから高知のカウンターに繋がりかけた(自陣浅めで何とか阻止)事で雲行きが怪しくなり。

そして6分、高知が敵陣で前進体勢に入り、パスワークを経て上月がドリブルに入った所を菊谷が倒してしまい反則。
これで左サイド遠目からのフリーキックになると、クロスの跳ね返りを拾い二次攻撃。
サイドチェンジを経て今度は右からクロスを入れる体勢を作り、上げる選手は小林大。
これがピンポイントでニアサイドを突き、新谷が合わせたヘディングシュートがゴールネットを揺らします。
スタメン昇格した新谷のゴールと、今度は逆に高知が采配の妙を見せる格好で早期にリードを奪った2戦目となりました。

これで動揺隠せずとなったYS横浜、キックオフからの攻撃が切られると、田辺ロングパス→新谷落とし→東家と繋がる高知の攻めを橋本陸が反則で止めてしまい警告対象に。
またもFK(中央遠目)から、キッカー高野左ポケットへロビング→中田折り返しと形作られた末に、新谷のヘディングシュートを浴びる事に。
今度はゴール左へ外れて命拾いも、こうなるとホームのアドバンテージもプレッシャーに早変わりするのは避けられません。

高知は、YS横浜の布陣変更に面食らっていた(と思われる)1戦目とは異なり、守備体勢は果敢に前線で規制を掛け。
攻撃時に冨士田の脅威で前に出れていなかった吉田も、オリジナルの立ち位置を取る事で3バックでのビルドアップがこの日の基本となります。

そんな体勢を受け、ビハインド故にボールポゼッションに活路を見出す事となったYS横浜が今度は面食らう盤となり。
中盤で溜めを作れずに高知の早いプレッシャーの前に屈する場面を頻発させ、反撃体制すらままならず。
打開には1タッチパスの連続か、逆にパスを抑制しボールキープで寄せをいなすという技量が必要な状況に思われましたが、それだけの技量が備わっていればそもそもこの試合に出るまで低迷していない(J3の19位)という話にもなり。

そういった状態で、糸口は持ち味である可変。
1戦目同様左WBの方が前に出るのが基本ながら、攻撃はむしろ逆の右サイドがメインとなり。
冨士田は中に絞り気味かつ後方待機している状況が多く、右ワイドには菊谷や萱沼が降りてパスを受けて相手の目線を変えに掛かります。
しかし高知、特に対応する上月は冨士田の動きに釣られる事無く、しっかりと「ワイドでパスを受ける選手」に規制を掛ける姿勢を貫くため簡単に崩されず。
降りる選手により人数を掛けてパスワークに精を出すも、当然相手の守備選手も多くなるため完全に崩して好機を得るには骨の折れる作業となり。

この状況に痺れを切らしたか、23分に最後方から中里が裏へロングパス、ナチュラルに高い位置を取る左の橋本陸へと送り。
これが左CKに繋がると、上げられたクロスを大嶋が合わせ、ディフェンスで左にこぼれた所をさらに冨士田が合わせヘディングシュート。
しかしゴール左へ外れと、逆を突いての好機も決められません。

その後も高知のプレッシャーを受け、25分にはゲーゲンプレスでよりによって左サイド深め(高知から見て右サイド)でボールロスト。
ここからショートカウンターを掛ける高知ですが、宇田のマイナスのクロスは誰にも合わずに終わり。

このままなら敗北ならびにJリーグから転落という、時間経過で徐々に首を絞められるような状況が示す通り、流動性が生まれないYS横浜のビルドアップ。
止むに止まれずという感じで、先程好機に結び付いた中里のフィードを前面に押し出す意識が膨らみ始め。
31分その中里のロングパスが一気に左ポケットを突くボールとなり、受けた脇坂が切り返しを経てシュートと、1本のパスで決定機。
これは小林大にブロックされるも、跳ね返りを拾った奥村がさらに左ハーフレーンからミドルシュート。
これも高野がブロックした高知ですが、開いていた腕に当たった事でハンドを取られ、さらに警告も受けてしまい。
そしてエリアからすぐ手前での直接FKと、やはり効率良い攻撃の方がより好機に繋がる事となったこの日のYS横浜。

是が非でも決めてこの窮地を打開したかった所でしたが、キッカー奥村のシュートはゴールバーを直撃。
尚もエリア内右へ上がったボールを花房折り返し→脇坂フリックと繋ぎ、クリアボールを橋本陸がミドルシュート(宇田がブロック)と、二次攻撃でも果敢にゴールを目指すYS横浜。
それはまさに背水の陣といった所でしたが、状況が状況故に狂人の面にも映るものであり。
結局、何度目かのクリアを拾った奥村のシュートが枠外で終わり、尚もYS横浜の苦悩は続く事となります。

高知のプレッシャーのキツさ、かつアンカーに対し1トップ(新谷)が付くという前線の守備もあり、思うような地上での前進が出来ないYS横浜。
知らずしてか意識も外側に傾く事で、最終ラインでの保持の際には高知の前線五角形の中に誰も入っていないという絵図もしばしば見られ。
中に入れればプレッシャーで……という消極的な意識により、勝利への機運は最後まで高められなかったでしょうか。

結局0-1と、高知が快挙へスコアとムードを保ったまま前半が終了。
シュート数は大幅に上回ったYS横浜(DAZNのスタッツでは8対2)でしたが、それはセットプレーかつ二次攻撃で集中的に放ったためであり、その数字ほど好機は膨らんでいなかったのが問題点でした。

一方高知の攻めは、1トップが新谷に代わった影響か、彼をフィニッシャーとして張らせつつ東家へロングボールを当てるという微調整の節が見られ。
内田をターゲットとしつつ、シャドーの裏抜けを狙っていた1戦目からの微妙なギャップとなった事で、YS横浜を混乱させるのに繋がっていた感があり。

そして後半、ならびに運命の残り45分が開始。
とにかく1点取らなければ後が無いYS横浜、やはり採る手段は後方から中里を中心としたロングボール。
そのセカンドボールを拾うという姿勢で好機の連続を得た入りとなり、後半2分には萱沼が小林大に倒されながらも前へと繋げ。
脇坂→菊谷と経由し、菊谷のミドルシュートが放たれましたがゴール上へと外れ。

しかし焦りとの戦いも強いられるなか、次第に不用意な反則という形で現れ始め。
前半から、キャプテンの萱沼が反則を取られる度にオーバーアクション気味に異議を出すシーンが目立っていましたが、それは苛立ちを外に逃がす事で必死に冷静さを保たんとする姿勢の裏返しか。
6分に高知がロングボールを送った所、中里が合わせにいく東家に激しくぶつかる形での反則。
こうした場面で、正当なチャージに映らない当たり方をしてしまうのも、状況を考えれば無理も無く。
これで得た右ワイド深めからのFKを皮切りに、セットプレーであわよくば追加点……という立ち回りに入る高知。
10分の右CKから、高野がニアに入れたクロスの跳ね返りを吉田がシュート、右から対角線を突く軌道のなか中央で東家がスルー。
しかしそのままゴール左へ逸れ、ここで触れていたら……というフィニッシュで終わってしまいました。

辛抱強くボール保持の体勢に入るYS横浜ですが、好機となるのはやはり中里フィード→落としという具合にその状況は大きく変わらず。
それが全体視野の縮小にも繋がり、ひたすら左サイドに人数を掛けるという、前半とは逆の攻撃の姿勢へと変貌。
逆ワイドの冨士田も、ターゲットになるべく中央に絞って上がる事が多くなり。
とてもじゃないが、適切なポジションを取って散らしたうえで崩す体制を作れなくなったのも、後が無い感を加速させるに至ります。
12分に中里ミドルパス→奥村フリックを経て、受けた脇坂が中央を伺うも結局は左へ展開したのちパスワーク。
奥村のスルーパスで左ポケットを突く事に成功し、橋本陸が鋭いクロスを送るも、ファーで走り込んだ冨士田には合わずとその体勢による好機も生かせません。

そんな相手の苦悩は、勝負の世界故に同情する事無く徹底的に突きたい高知。
19分田辺のラフなロングパスが、拾われた所を新谷が奪い返すという、曲がりなりにも「中里のフィードをどう効果的に使うか」に頭を悩ませるYS横浜に見せつけるような好機。
そして大嶋に倒されながらもパスを出す新谷により、佐々木がドリブルで抜け出すというカウンターになりかけましたが、エリア手前でコントロールを誤った佐々木によりフィニッシュに繋がらず。
この大嶋のシーン然り、後方もとにかくデュエルにより止める姿勢への傾倒など、焦りの増幅具合は最高潮という風であり。
21分には再度新谷を大嶋が倒してしまうもボールが繋がり継続になると、東家のドリブルをまたも大嶋が倒してしまうという合わせ技の絵図で流石に反則。
これで得た右ハーフレーンからのFK、高知は変化を付けてショートパス→吉田ミドルシュート(ゴール右へ外れる)と、ノーリスクで2点目を奪えれば……という流れも生まれかかり。

そんな状況のなか、新谷が足を攣らせてしまった(24分)事で、双方選手交代が交わったのが26分。
追い掛けるYS横浜は一挙3枚替えで、花房・菊谷・脇坂→土館・松村・ピーダーセン世隠へと交代。
一方新谷が担架で運ばれた高知は、彼と東家に代えて内田・小林心へと2枚替え。

YS横浜が自滅気味な流れを描くのもあり、刻一刻とJリーグ参入が現実味を帯びてくる高知。
しかし内面はそのプレッシャーも少なからずあったようで、29分にはGK大杉が足を攣らせる事態が発生してしまいます。
静から動へ……という動きが中心のGKで、これが発生するのもいかに緊張感が張り詰めていたかの証拠にもなり。
何とか続行した大杉ですが、これで終盤の逃げきりに不安を覗かせる状態となります。

それを突きたいYS横浜、直後の31分に右スローインから細かく繋いだ末に、冨士田が右ポケットを突くこれまでとは毛色の違う好機に。
そしてクロスでも奥への切り込みでも無く、中央へ戻し→奥村ミドルシュートという選択が取られましたが、放たれたシュートはゴール上へ外れと力み並びに焦りが色濃く出るものに終わり。

いよいよ危機感が大部分を占めるといったYS横浜。
橋本陸→藤島へと交代したのが34分ですが、ここからパワープレイへと舵が切られる攻撃。
頼みの中里のフィードは、ひたすらピーダーセンを狙うものへと変貌を遂げ、無理矢理にでも1点をもぎ取る姿勢になりました。
そして選手全体も中央へ密集する事で、流れの中で冨士田が逆の左サイド奥を突くという場面も生まれ。

この単調化は、これまでの流れ的に願ったり叶ったりな高知サイド。(あくまで推測です)
しかし最後方に不安を抱える状況もあり、ここで腰が引けてしまったのが拙かった。
5-4-1ブロックを保つ意識を強めた事で、中里がほぼノープレッシャーでロングボールを送る余裕が出てしまい、相手に最後の希望を持たせてしまいます。

40分、左から中里が例によってアーリークロス気味にロングボール、跳ね返されるも尚も拾って今度は土館が中央からロビング。
今度はピーダーセンに収まり、そのままエリアからすぐ手前でシュートを放ち、ブロックされたボールを自ら収めて繋ぐピーダーセン。
ここからエリア内で混戦となり、こぼれ球を松村がシュートしブロックに阻まれるも、クリアを萱沼が逆にブロックで防ぐなど怒涛の攻防。
1戦目はまるで機能しなかったピーダーセンも、見違えるような働きで次々とロングボールを落として好機に繋げていきます。
(41分に大嶋→藤原へと交代)

42分にはGK後東からのロングフィードが、奥村を越えてピーダーセンに収まるという形で好機。
ディフェンスもあり混戦となる中、こぼれ球を冨士田がシュートに繋げましたがこれもゴール右へと外れ。
ようやく同点への機運が高まったYS横浜ですが、怒涛の攻勢も決められない事で、時間も着実に進んでいき。
同時に、両側の壁が迫ってくる感覚にも囚われてしまったでしょうか。

アディショナルタイムも目前の45分(その直前に異議で萱沼が警告となったのも一役買ったか)、一瞬の隙を突いて高知がカウンターに突入。
ここはドリブルで右ポケットへ進入した小林心のシュートがゴール上へと外れ、命拾いの格好となったYS横浜でしたが、この好機で文字通り寸断されてしまう事に。

それでも攻勢を止める訳にいかず、それによりAT突入後またもカウンターが齎される高知。
佐々木と高野が持ち運んだ末に、左ポケットへ送られるスルーパスを受けたのは内田で、トラップで中央寄りに置いて放たれたシュート。
ゴールネットを揺らした事で、勝利ならびにJ参入を実感するに至った高知サイド、大騒然となったメンバー・サポーターがゴール裏でひとしきり歓喜に沸き上がりました。

0-2ならびに2試合合計1-3となり大勢が付いた事で、尚も高知が敵陣でサッカーを展開させた残り時間。
その最中に佐々木→橋本峻輝へ交代と、時間も使いながらの立ち回りも忘れる事は無く。
そして訪れた試合終了のホイッスル。

説明不要で歓喜に包まれる高知サイド。
その一方で、天国には地獄があるという言葉が相応しい状況となってしまったYS横浜。
元々プロには消極的(というか当時は見向きもしない立場)で、地域に根差したクラブを目指しての設立だっただけに、その火の粉が襲い掛かるような転落劇。
これで良いと割りきるのか、性根を入れ直して再度の浮上が齎されるのか、まさに転機が訪れたような感じがしますが果たして。

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DAZN観戦 2024年J2昇格プレーオフ準決勝 松本山雅FCvs福島ユナイテッドFC

2024-12-06 18:16:52 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

  • 松本ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。

連勝を続けて、リーグ戦を終えたクラブ同士の対戦となった4位・5位の対決。
ともに松本が5連勝・福島が3連勝により、プレーオフ権を確定させるに至りました。

しかしこの特別な一戦で、特に福島にとってはこれが初となるPO。(松本はJ2時代に経験あり)
昇格争い自体も無く(一度2021年に5位となった際はJ2ライセンス未取得)経験不足は明らかな中で、リーグ戦で貫いていたスタイルを完遂できるほど甘くはありませんでした。

かくして迎えたキックオフ、松本のロングボール攻勢に押され、前半1分に安藤が収めた所に激しくアタックする松長根。
倒れてもなおキープする安藤に対し、こぼれ球にした所で反則の笛が鳴ると、判定に納得できず感情を露わにする一幕を作ってしまい。
その後も3分に、松本の保持に対し村越へバックチャージする鈴という具合に、緊張を隠すような激しい当たりが目立つ入りとなりました。

そしてマイボールの際も、ゴールキックではロングフィードを選択・最終ラインでサイドに叩いたのち裏を狙うスルーパスと、普段の攻撃サッカーとは一線をなしたシンプルな立ち回りを繰り広げる福島。
この姿勢は、ターンオーバーで挑んだFC大阪戦(29節、2-1)での立ち回りに酷似しており。
クオリティの低下は避けられない状況で、FC大阪の強度に押されないように、セーフティな色を強めるという内容。
その時は、そんな立ち回りななか早期(前半5分)に先制点を掴み取りました。

そしてその縁起の良さが、この日も発揮されます。
10分、ここも左に叩いて鈴がシンプルに最終ライン裏へスルーパス、受けた森晃がドリブルで奥を突いてクロス。
この低いボールをニアサイドで樋口寛が足で合わせると、ループの軌道を描いて右サイドネットに突き刺さります。
想定していた形なのかはともかく、この大一番で早くもリードを奪った福島。

この状況変化によりすかさず手が打たれ、試合開始時とサイドバックの位置を入れ替え。
鈴が右・松長根が左へ変更と、リーグ終盤では逆足SBの配置を敢行していた両者に対し、(反則連発していた入りも考慮したでしょうか)本来の位置へ移し改めて臨みました。

これで追い掛けなくてはいけなくなった松本。
開始時のロングボールでの攻めに加え、ゲーゲンプレスを一層強めて(+村越のロングスロー)押し込みを図ります。
それでも福島が本来の姿勢で無い以上、ビハインドの常であるボール保持の局面は回ってくるので、何とか主体的な崩しを混ぜたい所であり。

樋口大をターゲットに、という意図を交えて両ウイングバックを高目に位置取らせるのが基本の松本のビルドアップ。
しかしこれが福島の守備陣形と相性悪く映り。
というのも4-3-3のまま守備を行う福島は、相手のSB・WBにSBが出てくるというプレッシングの体勢を取るため、それが弱点にもなる前掛かりなスタイル。
それ故に、最初から高い位置を取るWBにより福島SBも低目を保つため、彼らの裏を突けない欠陥が露わになる格好に。
そのため、好機はもっぱら樋口大へ当てるロングボールか、福島がボールを持った際のハイプレスによる奪取が主力となりました。

17分以降、本来のショートパス攻勢による中央突破を見せ始める福島。
緊張が取れ、かつリードした事で改めて自分たちのサッカーと向き合ったという感じですが、これが松本の十分に練られた対策に嵌まる事となり。
20分に安永が前に出てエリアからすぐ手前の位置で奪取、そのままエリア内に入ってシュートした(ブロック)シーンが号砲となり、ボールゲインからのショートカウンターで失ったアドバンテージを取り戻しに掛かり。
また22分には、鈴が持ち運ぶ所を後ろから菊井が倒して反則になると、転がった鈴に引っかかる形で菊井も倒れ。
これにより菊井の方がヒートアップを見せるなど、闘争心も露わにしながら福島の繋ぎに規制を掛けていきます。

システム的には、アンカーのマークに対する福島の定型の対策である、その脇に降りるシャドーに対してもボランチがマンマーク気味に付き。
ボールゲインが果たせなくとも、とにかく福島のパスコースを狭める事で容易な突破を図らせない姿勢を徹底します。
それは中央のみならずWBも、本来ワイドの選手に付くべき所を、あえてそこを開けて中を絞って対応する局面が幾度も見られ。
この体制を集中力を切らさず続ける事が福島対策という、並大抵のクラブでは劣底不可能といえる守備姿勢で、終始相手のペースに持ち込ませませんでした。

それでも、福島はその極限まで狭い所を抜いて好機に持ち込む事も少なくなく。
33分、城定の左への叩きから森晃がドリブルに持ち込み、中央を伺いながら最後はポケットへのスルーパスで松長根を走らせ。
そして奥からマイナスのクロスと、ポケットを取っての最善手を取ったものの、ターゲットの選手は奥に入り過ぎており誰にも合わず。
36分には大関縦パス→城定ポストプレイ→針谷縦パスと中盤トライアングルでの中央突破を果たし、またも森晃→松長根と経由して突かれる左ポケット。
そして今度はカットインを経てシュートを狙った松長根ですが、ボールは無情にも右ポストに当たってラインアウトと、追加点は得られません。

この後福島がコーナーキック攻勢に持ち込む場面もありました(39分~)が、以降打ち止めとなり本格的に反撃に掛かる松本。
必然的にカギとなるのは自らのボール保持ですが、前述の通り相手SBを釣り出せない状態は続いており、そのため左右のセンターバックも上がる事で人数を増やす対策に舵を切り。
野々村・宮部が加わってのパスワークで崩しを図り、クロス攻勢に持っていく事で終盤に掛けられる攻勢。
そのクロスを、GK吉丸のパンチングで掻き出す場面が多く見られるなど、やはり守勢に回った際の福島は何処か苦しく映ります。
前半最後の好機(アディショナルタイム)は、左サイドでスルーパスに走り込んだ宮部が奥からクロス、合わせにいった村越の前でパンチングで防いだGK吉丸。
そして両者交錯して反則で終了と、そんな流れを象徴する絵図と化しました。

0-1のまま前半終了。
曲がりなりにも良い攻撃の流れを築けていた松本、ハーフタイムでの交代は行わずそのまま後半に挑み。
その後半の入りは、やはり流れを引き継いだ松本がアタッキングサードへ進入し、村越のロングスローも使ってこじ開けを狙うというものに。

福島は依然として追加点を狙いにいく姿勢で、普段通りの繋ぎはままならずもポケットを突く意識は一貫しており。
後半4分には速攻から右ワイドを取った城定、そのままボールキープを経てポケットへ入り込み、シュートかクロスか見分け辛いボールを送るもGK大内がキャッチ。
6分にも敵陣で奪い合いを制して塩浜が混戦から抜け出し、中央を使う姿勢ののち左ワイドへ展開してから森がカットインでポケットへ。
そしてまたもシュートかクロスかといったボールを蹴り込みますが、結果もGK大内がキャッチと同じものに。
この辺り、中央を堅くする松本ディフェンスに対しムキになっていた感もあり単調化してしまったでしょうか。

松本の攻撃は前半から若干改められ、右WB(佐相)が低目に降りて相手SB(松長根)を引き付ける場面を作り。
特に9分は、最終ラインからの右への展開でボールを持つ佐相という局面で、松長根の背面に村越が走り込む事でピン止めさせる(その後その松長根の脇を通し、村越クロス→安藤ファーでボレーにいくも撃てず)など相手を戦術で上回りに掛かります。

こうしてサイドで形を作ったのち、ボランチや左右のCBまでもがフィニッシャーとして前線に上がるなど、分厚い攻めで優位性を作り上げる松本。
しかしその片翼を存分に担っていた佐相が、17分に交代となり山本龍平を投入します。(山本龍が左に入り、樋口大が右に回る)

一方まるで好機を作れなくなった福島、それを受けてこちらもカードを切る準備。
代える直前の18分、針谷からパスワークで中央突破した末に、塩浜がミドルシュートを放つ(枠外)好機を見せ。
その直後に針谷→上畑へ交代したのは、リズムの悪さ故にアンカーを代えるという納得できる手法とはいえ、何とも間が悪いと感じました。
そしてそれが波及してしまったでしょうか。

交代後も、右に回った樋口大が後方からスルーパスを受ける事で、クロス攻勢を続ける松本。
そこから持ち込んだCK(20分)で、キッカー菊井が中央へ上げたクロスから野々村がヘディングシュート。
ゴール右を襲い、ライン寸前で樋口寛がブロックするも、眼前にこぼれた所をすかさず詰めたのは高橋。
ゴール上部へと突き刺さり、同点ならびに立場逆転という貴重な得点をベテランが齎します。
なおこの攻防のなか安藤が足を攣らせてしまうなど、得点に向けて憚らずもエネルギーの大部分を使う格好となりましたが、それが無事実り。

その後も反撃したい福島の気勢を反らすように、ボール保持による攻撃の姿勢を保ち。
守りに入っては負け、という精神を見せるのも、ホーム(サンプロアルウィン)の地では重要であり。
奪いたい福島の意識を逆手に取り、片側に寄せたのちの大きなサイドチェンジも決まるなど、ここにきて多彩な手段も取り始めます。

一方苦しくなった福島は、SBの片側を残す3枚での最終ラインから始めるビルドアップへと意識を変え始め。
ここからアンカー経由と見せかけ、残った鈴が縦パスを送る役を務めるという変節を取り入れる事で、何とか好機に繋がんとします。
26分にはベンチも動き森晃・樋口大→清水・矢島へと2枚替え。

しかし松本の攻めの姿勢は続き、27分には山本龍がブリッジ気味に鈴をかわして左サイドを突破、そして上げられたクロスをファーサイド奥で足で合わせる村越。
GK吉丸がセーブして何とか追加点は許さずも、後半は完全に攻撃面で負けてしまっているのは避けられず。
それが示す通り、以降反撃に出ようとしても、クリアボールを松本に回収されたりゲーゲンプレスで奪われたりで機運が高まりません。(松本は31分に安藤→浅川へと交代)
一方的に松本が攻め、福島の好機は34分にカウンターから(城定がエリア内へ進入も安永に奪われる)のみと、どちらが追う立場なのか判らない状態に。

勝ち抜けに向けて盤石、といった松本ですが、37分には値千金のゴールを挙げた高橋が足を痛めてしまい倒れ込み。
担架で運ばれた事で、それに併せて3枚替えを敢行します。
高橋・山本康・菊井→橋内・米原・高井へ交代し、この日の采配を終えた霜田正浩監督。

終盤を迎えた事で、性根入れて反撃に掛かる福島。
それは戦術というよりはとにかく勝ち越しへの執念といえるもので、持ち味の狭い所をひたすら抜くパスワークへと意識を全振りし。
短い縦パスありレイオフありと、極限まで狭くする松本ディフェンスとのぶつかり合いで、多少の遮断に遭っても拾い直す強引な前進も見せ。
しかし生命線であるポケットへの進入はままならず、仮に入ってもシュートコースは見当たらず。
こうなってしまえば、いくら特異な超攻撃スタイルといえど、相手の装甲を打ち破るには個の力が足りないというジレンマが降りかかり。
43分に最後の交代を敢行した(松長根・城定→粟野・吉永)寺田周平監督ですが、これでレギュラーの大部分が退いた事で万策尽きたかのような格好となります。

AT突入後は勢いはすっかり削がれ、自陣に引き籠る松本ディフェンスに対し、放り込むか否かという葛藤も伺えるような福島最終ライン。
松本は攻撃を遮断し続け、浅川・高井の前線にボールを繋げると、それを待っていたかのように躍動を見せる両者。
それにより陣地を押し戻され、反撃どころでは無くなるという福島。
反則で途切れたのち、すかさずリスタートして高井がロングシュートを狙い、ゴールに入るという一幕もありましたが残念ながらボールが止まっていなかったとして無効とされ。
それに異議を唱えた高井が警告を受けてしまったものの、大勢に影響はありませんでした。

結局最後は福島陣内で展開された末に、1-1で試合終了。
引き分けにより上位の松本が勝ち上がりと、こちらもレギュレーションによる結果となりましたが、内容は松本の方が上回っており順当なものに。
一方敗戦の福島、一発勝負故の徹底した対策の網にかかる格好となりましたが、悔しさに負けずこれを未来への第一歩としたい所でしょう。

かくして決勝は、富山vs松本のカードに。
富山ホームながら距離は近いため、大群の松本サポーターが逆転のためどう雰囲気を作りに掛かるのかも注目点となり。(この日の観衆は12,604人)
一方の富山、それをまともに受けては準決勝のような展開では苦しくなりそうですが、冷静さを保ちどう有利な立場を活かしに掛かるか。

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DAZN観戦 2024年J2昇格プレーオフ準決勝 カターレ富山vsFC大阪

2024-12-05 16:00:40 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

今季からJ3にも導入されたプレーオフ……というのは今更説明不要か。
ともあれ、ここからはまさに言葉は不要といえる戦いが始まり。

その出場クラブは多種多様というイメージ。
前年も3位で昇格争いの常連といえるが、J2に居たのは10年前である富山。
J1経験もありながら凋落激しく、POがまさに再度のチャンスという格好の松本。
特異な攻撃サッカーで、突如とした新興勢力として名を馳せた福島。
そしてJ参入から2年目と、文字通りの新興勢力ながら切符を掴まんとするFC大阪。
新旧のクラブがごちゃ混ぜといった感じななか、昇格を手にするのは何処になるのか。

この試合の会場は、2年連続の3位となった富山のホーム・富山県総合運動公園陸上競技場。
前年の3位はまさに紙一重で、2位で昇格した鹿児島とは勝ち点で同着。
しかし得失点差で涙を呑む事となり、そのドラマの舞台(つまりはホーム最終戦)となった場でもあり。
今年こそという思いと前年にもPOがあれば……という思い、どちらが強いかどうかは今のところ不明ですが、こうして昇格が現実的な可能性となった以上後者の念は脇に置いて戦うのみでしょう。

一方のFC大阪、スタイル的にはJ2で言えば秋田のそれに近く。
純正4-4-2をボールサイドに圧縮させ、ロングボール・ロングスローを駆使して相手と渡り合う姿は、秋田が昇格したJ2の軌跡をなぞる様であり。
かくして、2年目にして大舞台に立つ事が果たせた訳ですが、当然まだ上に行ける余地を全力で目指す事でしょう。

幕が開けた前半戦。
FC大阪に合わせるように、富山サイドもロングボール主体と、立ち上がりに相応しい慎重な立ち回り。
お互い前へ蹴り合う姿勢のぶつかり合いを経て、先制攻撃はFC大阪で前半4分、押し込んだ状態で左サイドで富山のクリア気味の縦パスをカットして二次攻撃に。
上げられた舘野のアーリークロスに古川が合わせヘディングシュート(枠外)と、スタイルに相応しいファーストシュートとなり。
対する富山も直後の5分に左サイドから前進、布施谷のスルーパスを受けたレイリアが左ポケットを取る好機。
美馬の反則気味のアタックでこぼれるも、拾った布施谷がそのまま奥へ切り込んでシュート気味にクロス、GK永井がこれをセーブしてコーナーキックに。
ここからの二次攻撃で、GKまで戻して田川が裏へとロングフィードを送ると、FC大阪のクリアが逆方向に流れて再度CKと押し込み続け。
攻撃もさる事ながら、守備もとにかく掻き出すというセーフティな意識が目立った一場面だったでしょうか。

当然ながら、ロングボールばかり送っていてはトランジションも激しくなり、肉弾戦も増える事で消耗する一方。
決してそんなスタイルでは無い富山の方が、10分を目途に最後方から地上でボールを繋ぐ姿勢へと入ります。
それでも基本は、サイドに開くレイリアへとボールを届ける事で、それは果たせてもそこからの展開が今一つ。

そうこうしているうちに、FC大阪の強度溢れるプレッシャーが襲い掛かり、21分には最終ラインから右サイドへ展開も詰まらされ自らラインアウト。
FC大阪が左スローインから繋いでの好機を迎える(左サイドで長いパスワーク、スルーパスでポケットを取りにいくも繋がらず)という具合に押され気味に。
そして24分のFC大阪、ここも左スローインから形を作り、戻しを経て上げられた舘野のクロスがファーに高く舞い上がり。
久保が落としたボールを古川がレイオフし、後方から走り込んだ美馬のシュートが放たれましたがGK田川がキャッチ。

その後富山も、ビルドアップが上手くいかない状態に追い込まれながらも、GK田川のフィードを軸に好機を作り。
24分・25分と、碓井が連続してミドルシュートでゴールを狙い。(前者は枠外、後者はブロックを掠めてCKに)
逆にFC大阪は、20分を過ぎるとボール保持での攻めを取り入れ始め。
パワーサッカー一辺倒では、化け物のようなフィジカルを全体持ち合わせていなければ厳しくなるのである意味当然の立ち回りであり。

お互い手の内を徐々に出していくなか、試合が動く機運を生み出したのは31分の富山のボール保持だったでしょうか。
通常の2センターバックでボールを持つ富山に対し、2トップでプレッシャーを掛けるFC大阪。
するとGKへ戻したのち、末木が降りたうえで2CBがワイドに開く姿勢を取り、そこに田川からパスを受けた左の神山が対角線を突くロングパス。
これでビルドアップ成功となり、受けた松岡が右ポケットを突く好機が生まれると、戻し→西矢クロス→中央で碓井が収めて戻し→末木ミドルシュート(水口がブロック)とフィニッシュに繋がり。
この際ブロックした水口が痛み、ピッチ外→復帰となるブレイクが挟まれた事もあり、その間に自信を得られたでしょうか。

そして36分、今度はゴールキックでロングフィード→碓井フリック→布施谷とダイレクトプレイで前進を果たすと、右に展開し再びボールを持つ松岡。
今度はハーフレーンからシュート気味のクロスをファーサイドへ送ると、碓井が足で跳び込んで折り返し、中央へ上がったボールをヘディングで合わせたのは布施谷。
ゴール上部に突き刺さり、自信を確信へと変えるような先制点を叩き出しました。

これで2点が必要となってしまったFC大阪ですが、あくまで気丈に相手へ立ち向かい。
果敢にサイドから前進してクロスを上げ、それを古川が合わせるという具合に普段のサッカーと変わらず立ち回ります。

そのため、守りきるにはまだまだ早いという富山。
アディショナルタイムを迎えてすぐ、左サイドを布施谷が突破する好機が生まれると、クロスは入れずに(レイリアとのパス交換を経て)ポケットを突いたのち戻し。
そして後方から安光がミドルシュートを放ちましたが、枠を大きく外してしまい追加点はなりません。

この攻めの姿勢と、リードを保って後半を迎えたい所でしたが、それは甘かったか。
目安2分を過ぎる頃、FC大阪は美馬ロングパス→古川フリックと、富山サイドでも先制点に結び付いたダイレクトなビルドアップを敢行。
そしてこの一手が、抜け出して受けた増田がエリア内へ進入という決定機に繋がる事となり。
その勢いのまま右ポケットから放たれたシュートが、GK田川の左を破り左サイドネットへ突き刺さります。
これで試合を振り出しに戻したFC大阪、尚も残り時間で攻め続けた末に前半を終わらせます。

そして迎えた後半開始。(ともにハーフタイムでの交代は無し)
前半ATでの勢いをそのまま持って臨んだFC大阪、早速の後半1分にフリーキック(左ワイドから)の好機。
キッカー舘野のクロスにファーで秋山が合わせにいくその手前でGK田川がパンチングで掻き出すも、その跳ね返りを美馬がミドルシュート(枠外)と先制攻撃に成功。

ここから怒涛の攻勢に入り、3分には敵陣でのボール奪取から増田が左ワイドからカットインでポケットを取り。
そこからの展開を経てCKに繋げましたが、この場面然り増田がサイドアタッカーとしてプレーする際には芳賀が中央に入りターゲットとなるなど、荒々しい攻めの中でも整然としたポジションチェンジが印象に残りました。
そしてこの右CK、またもキッカー舘野のクロスをGK田川がパンチングするも、今度は小さくなりエリア内へこぼれ。
すかさず禹がダイレクトでシュートし、ゴール左へ逸れる所を水口が脚で跳び込みコースを変えましたが、枠内を突くには至らず。

尚も富山ゴールを襲うFC大阪、6分には右サイドでのクロス攻勢を経て、クリアボールを芳賀落とし→古川レイオフと繋いだ末に禹がシュート。
これもGK田川がセーブと、ひたすら押し込まれて守護神頼みの守備を強いられる富山。
その後も久保のロングスローを中心に、FC大阪のペースは続きます。

何とか断ち切り、ゴールキックで例によってGK田川のロングフィードで脱出したのが9分。
直後の右スローインから、パスワークを経て西矢が奥まで持ち運ぶ局面を作ると、エリア内に入るかどうかという所で芳賀に倒されて反則・警告。
惜しくもPKならず(それにより富山サイドから異議も生まれ)となりましたが、この右サイド最奥という位置でのFKを活かさない手は無く。
FC大阪サイドがゴールを固める守備体系を取るなか、キッカー末木の選択はグラウンダーでマイナスのクロスをレイリアに合わせるというもの。
しかしディフェンスに阻まれ、その後のCKも実らずと、試合を楽にする2点目は奪えませんでした。

お互いゴールに近い位置でのプレーを見せたのち、試合序盤での危惧の通り、消耗も激しくなってきたでしょうか。
ともにベンチが動いたのが14分で、FC大阪は水口・芳賀→坂本・田中へと2枚替え。
対する富山も松岡・レイリア→高橋・松本へと2枚替え。

しかしこの交代策で、燃料を担保したかのようにFC大阪が再び攻勢に入り。
決定機は20分で、富山のロングパスの跳ね返りを増田フリック→古川→田中と繋ぎ、その田中のスルーパスで左サイド奥からの展開に。
溜めを作っての武井のクロスはクリアされるも、逆サイドで拾い美馬のクロスが上がると、田中の落としでファーに流れた所を舘野がシュート。
ノーマークで放たれたフィニッシュでしたが、ボールは惜しくも左サイドネット外に突き刺さる格好となり決まりません。

一方富山は、松本の投入でダブルターゲットとなった以上の成果は挙げられず。
直後の21分にゴールキックでロングフィード→松本フリックで前線に運んだもののフィニッシュには繋がらず。
そしてこの場面が、最初の交代~35分で唯一の好機になってしまう事となり。
つまりはFC大阪の攻勢が尚も続く展開に。
しかしそのFC大阪も、フィニッシュという面では富山のディフェンスもあり、またそれによりラインアウト→スローイン(ロングスロー)が中心になったのも影響してか次第に減衰し。

そんな中、23分に増田が足を攣らせて倒れ込むなど、走力・フィジカル重視故のダメージが露わになり。
このタイミングで大嶽直人監督は動き、増田→島田への交代のみならず、3-4-2-1へとフォーメーション変更に打って出ます。
といっても自分が気付いたのは、その後流れの中で美馬が左に、田中が右へと位置が変わっているのを見てからですが。
放送席でもその節があり(解説=渡邉一平氏)、それだけFC大阪=4-4-2のイメージが強いという事でしょう。
ともかく、舘野が3バックの左となった事でウイングバックは前述の通り田中=右・美馬=左。
シャドーに久保・島田、1トップに古川という布陣で変化を付けに掛かりました。

これで左サイドから美馬・舘野の二段構えでの攻勢という矛を突きつけながら、後方から送られる舘野の対角線のロングパスも脅威となり。
それを受けた富山サイドの動きも早く、29分にこちらも交代とともに、3-4-2-1へと布陣変更を敢行した小田切道治監督。
布施谷・瀬良→鍋田・坪川へと2枚替えし、鍋田が右CBへと入る3バックに。
松本の1トップに高橋・碓井の2シャドーという布陣になり、ミラーゲームで対応します。

時間が経つとともに、相変わらずフィニッシュを放てないFC大阪の勢いは次第に萎み。
35分、その中弛みというべき相手の隙を突くように、富山は空中戦でボール確保ののち碓井のスルーパスで左ポケットへ走り込む松本。
そして放たれるシュートと、苦難の山を乗り越えた末の追加点か……と思わされた刹那、松本のフィニッシュは右へと大きく逸れて終わってしまい。

結局その後も、時折カウンターを見せながら凌ぐという塹壕戦を余儀なくされる富山。
それでもレギュレーション故に、時間が経てば経つ程優位になる立場。
開き直って守備を固め、かつ時計の針を進める立ち回りへ移行。
アタッキングサードに進入しても、コーナー付近でのキープに切り替える、通称「鹿島る」姿勢を早い時間帯(39分)で見せ始めます。

こうして終盤を迎えるに辺り、FC大阪は最後の交代を敢行。(39分)
武井・美馬→望月・夏川へと2枚替えし、望月が左WBに入る事で久保が右WBに、夏川がシャドーに入る事で田中がボランチにとそれぞれポジションチェンジ。
手段は尽くしたものの、その後も富山の立ち回りの前に、その装甲を打ち破るべくのフィニッシュを撃てないままとうとうATへと突入します。

守る側にとって逃げきりの現実性が高まるものの、それが綻びとなる可能性もゼロではないという時間帯。(前年のJ1昇格PO決勝然り)
そして守るだけという意識からか、空中戦の際に(望月に)強く当たってしまった末木が反則を取られ、FKを得たFC大阪。
位置は右ハーフレーンからで、直接にはやや遠いという距離から、キッカー舘野はファーへのクロスを選択。
これもGK田川が前に出て弾きにいくも味方と交錯して小さくなり、エリア内へこぼれた所を秋山がシュートを放ちますが、すかさず体勢を立て直した田川が身体でセーブしてCKに逃れ。
ここに来て再びゴールを脅かす流れを復活させたものの、既に残り時間は少なく。

このCKは決定機に繋がらずも、尚も久保のロングスローという体勢で続くFC大阪の攻勢。
その姿勢から、短く入れたのち舘野のリターンパスをフリーで受けるという具合に、プレッシャー故に富山の対応も拙いものとなり。
まさに最後の攻防という局面で、ここから持ち込んだ右CKではGK永井も前線に加わり。
クリアされるも尚もエリア内へボールを入れ続ける、必死の攻防を経てボールが右ワイドに転がると、拾いにいった舘野を倒してしまう碓井。
あと少しでタイムアップという焦りが見え見えだった反則ですが、これで目安時間(4分)を回る、文字通りラストチャンスというFK。
右ワイドという直接狙う可能性は低い位置で、キッカー舘野はファーにクロスを上げると、これが最後と言わんばかりにまたもGK田川が飛び出してパンチング。
しかしエリア外中央へ出たボールを、久保が追撃してミドルシュートに繋げ。
そのボールの行方は、無情にもゴール上へ外れとなった所で、試合終了を告げる笛が鳴り響きました。

結局1-1の引き分けで、レギュレーションのため上位の富山が決勝進出。
無念となったFC大阪、その内容もシュート数で倍以上の差がついており、怒涛の攻勢をモノに出来なかったのが全てと評されるべく試合に。
しかしまだJ2年目であり、この地位を固めながら、今季のように訪れるチャンスを全力で挑む事に努めていくでしょう。

一方、前年と違い有利な立場で後一つを迎えた富山。
この日もデイフェンスならびに采配に表れた、その執念で何としてもモノにしたい決勝戦となりましたが、その結末は如何に。

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DAZN観戦 2024年J3・JFL入れ替え戦第1戦 高知ユナイテッドSCvsY.S.C.C.横浜

2024-12-02 16:01:28 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

  • 高知ホームだが、↓とは逆のコートで前半スタート。

入れ替え戦、それは下位カテゴリにとっては希望の一筋。
反対に上位カテゴリにとってはまさに崖っぷちであり、それが「Jリーグからの退会」を余儀なくされる場では尚更の事。

今季のJ3は岩手がぶっちぎりの最下位と、強烈なイメージを残してJFLへの降格が既に決定。
しかしそれはあくまで自動降格、それもJクラブとしてのアイデンティティを失いかけた者の末路的な転落劇。
もう一つの降格、即ち入れ替え戦への出場枠を巡っては激しい戦いが行われ、魔の手から逃れんという尻に火が付いた状態での争い。
一時的に19位以下を経験した宮崎・奈良が、その状態から這い上がり死線から回避に成功。
彼らの押し上げを受けた格好で、徐々に転落を強いられた長野も18位で踏み止まり。
長野を除いては集客力もリーグ下位に留まっており、もしJFL降格とあれば岩手のように成績のみでは浮上出来ない、別の戦いを強いられる事になったので残留決定の意味合いは大きく。

そんな中、その危機を回避できず19位が決定したのがYS横浜。
平均の観客動員数も下から3番目と、意地でも落ちたくない瀬戸際であり。
やっているサッカーとしては、ボール保持の追求というブレない理想があるものの、メンバーによってその精度は日によってまちまちといったのが今季の印象。(自分が観たのは2試合のみですが)
特に後半戦は2勝のみと、総合力で劣る保持型のクラブに対する、シーズンが進むにつれて襲い掛かる逆風を浴びる(J1では新潟か)典型例になってしまったでしょうか。
大量失点も多く、相手の強度が高ければ全く成り立たなくなる状態ですが、当然ながらこの試合の相手は下位カテゴリのクラブ。
立場的優位を意識しながら、冷静に試合を進める事が残留へのカギとなりそうです。

その下位カテゴリから出場するのは、JFL2位の高知。
前年の天皇杯(川崎戦、0-1)で拝見する機会があり、その頃に内部的に一悶着あった事で、逆に地元の熱が盛り上がりを見せたでしょうか。
今季ようやくJ3ライセンスの取得に成功、厳しい集客条件もクリアし、後は昇格へ向けたレールを走るのみとなり。
しかし終盤成績面で落ち込んでしまい、2位でシーズンを終えた事で入れ替え戦に回り。
そしてこの試合が文字通り最後の関門となりましたが、ホームスタジアム(春野総合運動公園陸上競技場)は予定で埋まっていて使用不可能との事で、急遽讃岐のホーム・Pikaraスタジアムを借用して臨みました。

ともに全力でのぶつかり合い、と見せかけYS横浜の方はスタメン選択で搦め手を混ぜ。
ウイングバックの立ち位置を左右逆にして、右に橋本・左に冨士田という逆脚での配置を敢行しました。

お互い慎重な入り、つまり浮き球の蹴り合いで時間が進んでいき。
中々やりたい事が発揮されないという立ち上がりななか、前半5分に中里のロングパスが東家にブロックされるも、こぼれ球を拾った事で前に運ぶ余地が生まれたYS横浜。
左→中央→右へとサイドを変えての前進を経て、奥を取った菊谷の戻しを受ける形から橋本陸がクロス。
これにより利き足で上げられたそのボールは、大外から入り込んだ冨士田の頭にドンピシャとなり、放たれたヘディングシュートがゴールを揺らします。
早速配置を弄った成果が、ものの見事に表れる格好で先制点に辿り着きました。

後が無い試合故に、オニエ・オゴチュクウやルクマン・ハキムといった「謎の助っ人」的な選手は揃ってメンバー外に。
確実に自分達のサッカーを体現できるメンバーを選択したという印象のYS横浜。
その通りに、リードを奪ってからは本来のボール保持の色を高め。
左WBの冨士田を前に押し出し、その間に選手が降りるというビルドアップの基本形を取り始めます。

一方高知はその体制に面食らったか、攻撃時でもポジションを上げられず。
前に出る相手の冨士田を見た影響か、対面である吉田の位置が非常に低く、とてもWBを前に押し出したうえでの前進が出来る雰囲気が生まれないといった立ち上がりの印象。
しかし次第にその吉田をサイドバックと見立てた、「上月を前に上げ、攻撃時は4バックでの繋ぎ」での形がスムーズにとれるようになると攻撃は良化。
前年の川崎戦でのカウンター一辺倒での戦いとは打って変わって、追い掛ける立場故にボール保持に活路を見出しながら反撃に掛かります。

序盤は、吉田に代わって右ワイドの位置を取る東家を中心とした運び。
ロングボールによる攻撃も、内田をターゲットとしつつシャドーが前に出るというのが基本線で、必然的にボールを触れる機会が多くなる東家。
それでも、クロスの跳ね返りを拾ってのミドルシュートというパターンに限定されるフィニッシュで、クオリティで劣るためさして有効打とは成り得ずに時間が経過。

流れを変える要因はYS横浜に対するハイプレスで、これにより立場的上位を発揮すべき局面での、ボール保持に乱れが生じるYS横浜。
26分にパスミスを誘発させ東家がボール回収、しかし宇田がコントロールを誤り好機とはいかず。
28分には、中里がコントロールミスした結果あろう事かエリア内で奪われる事態となり、奪った東家がグラウンダーでクロスを送るもフィニッシュは生まれず。
ペースを奪いに掛かった高知も、決定的なショートカウンターに結び付けられずとやきもきする流れに。

しかしここで襲い掛かったのが、前目に位置取る上月の突破力。
31分に最終ラインからロングパスを受けるとワイドからカットイン、ハーフレーンからゴールに向かうクロスを送った(跳ね返りを宇田がエリア内へ送り返すも撃てず)のが号砲となり。
続く33分には最終ラインでの保持の中、佐々木と入れ替わる形で前に上がる上月、そしてそこに小林大から送られる対角線のロングパス。
受けた上月は例によってのカットインを経て中央から仕掛け、ドリブルでは無く内田とのワンツーでエリア内へ切込むと、そのままディフェンスを受けながらシュートに持ち込み。
これが大嶋のブロックを掠めてゴールへと転がり、見事な主体的な崩しによる得点で同点に追い付きました。

これで試合としては面白くなりましたが、危機が膨らむYS横浜にとってはそうはいかず。
ひたすら可変する左サイド中心での保持を続け、隙を伺うと同時に、相手に攻撃権を渡さないといった思惑が浮かぶような立ち回りに。
奥村と萱沼がそれぞれ降りる事で安定性を高めるものの、ゴールへの意識は薄れるといった客観的印象にも映り。

結局前半はこれ以上のシュートシーンは生まれず、1-1で折り返し。
まだ2戦目が控えているという、緊迫感に包まれた戦いは後半も続く事となりました。

その後半、YS横浜は両WBを入れ替え、本来の冨士田=右・橋本陸=左という位置に。
その姿は、奇策を手仕舞うといった表現が相応しく映ったでしょうか。

前半よりも前線の積極性は高まりましたが、YS横浜の方は、それにより脇坂の反則が繰り返されるという具合にやや空回り。
一方の高知は後半3分、上月が降りて受けたのち裏へロングパスという役割変更的な攻撃。
意表を突かれた?YS横浜のクリアが小さくなった所を、すかさず内田がダイレクトでミドルシュートを放ちましたが枠を捉えられず。
今度は高知の方が、奇策とは言わないまでも意識を変えるような立ち回りを繰り広げた感があり。
それに伴い、下がり目だった吉田も徐々に基本位置が上がり攻めに加わるようになります。

YS横浜は両ワイドの選手を変えたものの、システム的には左WBが前に出るというのは変わらず。
その役が左利きの橋本陸となった影響もあり、前進がスムーズに行われ。
10分には中里ミドルパス→萱沼フリックという前進法から、人数を掛けて繋ぐ姿勢から奥村がカットインからポケットへパス。
脇坂のポストプレイを経てそのまま角度の小さい所からシュートを狙いましたが、GK大杉にセーブされ実りません。

しかしその中で、アンカーの小島が足を痛めてしまう事案が発生。
足を気にする仕草をしながら、気丈にプレーを続けたものの、17分に高知が左サイドでのパスワークからポケットを突く攻撃(佐々木がクロス)ののちとうとう限界に。
倒れ込むと交代措置が取られ、自力でピッチを後にしたのち土館が同ポジションで投入されました。

その後も左サイドで押し込むYS横浜ですが、瀬戸際の状況では中々流動性が生まれず。
フィニッシュも21分の脇坂のシュート(ゴール右へ外れる)のみに推移すると、今度は高知のターンに。
24分に中盤右サイドで吉田がボール奪取してから、速攻を仕掛けてスルーパスに走り込んだ東家がクロス。
これを内田がヘディングで合わせるも、同じく跳んだ冨士田のブロックに阻まれ、こちらも少ないフィニッシュをモノに出来ません。

いつの間にか、ボール保持を駆使して攻め上がるのは高知の方へと移り変わり、両WBも高い位置で攻撃に絡む状態に。
それ故に怖いのはカウンター……という所で、27分に田辺がトラップミスで奪われ、そのまま萱沼が中央を持ち運ぶ危機に。
ここは戻った田辺が反則気味に萱沼を止め(笛は鳴らず)、何とか自作自演的に防ぎます。
1ミスが致命傷になりかねない重大な一戦らしい……と書けば良い試合に映りますが、それにしては火力不足やパスのズレ、コントロールミスも時間が経つにつれて目立ち。

30分が過ぎた所で、両ベンチが同時に動き。(31分)
YS横浜は3枚替えと大きく動き、橋本陸・菊谷・脇坂→松村・藤島・ピーダーセン世隠へと交代。
一方最初の交代である高知は、東家→小林心へ交代の1人のみ。
この使い方からしても、YS横浜の方が上手くいっていない試合内容なのが頷けるものに。

冨士田がスタートの位置である左へと再度回り、相変わらずその左中心の攻めは止めないYS横浜。
藤島の推進力も加え、何とか勝ち越し点を狙いにいくも成果は上がらず。

一方の高知、34分に左→右へと対角線のパスが小林心に渡り、ポケット奥へ切り込んだ事で持ち込んだ右コーナーキック。
キッカー高野の中央に上げたクロスから、中田が放ったヘディングシュートは大嶋にブロックされるも、跳ね返りを宇田がボレーで合わせ追撃。
しかしGK後東のセーブに阻まれ、折角持ち込んだ連撃でも勝ち越し点を掴めず終わり。

38分に高知は内田→樋口へと交代。(小林心の1トップに)
高知サイドも疲労が隠せなくなってくる時間帯ですが、依然として優勢を保っている事で、YS横浜の方が深刻に。
可変しながらのパスワークでの攻撃、そこからのトランジションや被決定機を強いられた事で、目に見えてキツくなってくる終盤戦。
40分に自陣深めからのスローインという所で、スロワーを務めた中里が倒れ込む(原因は不明)など、何気無い場面でもダメージを隠せない状況となります。

その後、止む無く右サイドへの攻め、それもフレッシュな松村の推進に賭けるという体制へと切り替え。
44分に痛んだ中里も交代させる(藤原)など手を打ち。
しかし流れを変えるには至らず、もう一人フレッシュな攻め手のピーダーセンも機能したとはいえず。
ポジショニングが拙くオフサイドを取られる(アディショナルタイム、左スローイン→萱沼フリックで最初からオフサイドの位置に)など、途中出場の役割を果たせずに終わりました。

勢いを失った相手から、何とか1点取りたい高知。
43分にYS横浜のCKからカウンターに持ち込まんとした所で、吉田がドリブルを止めて保持へと切り替え。
そこからパスワークを経て、小林心が中央からミドルシュートと形にしたものの、GK後東がキャッチ。
YS横浜よりは効果的な攻めは貫けましたが、それでも相手の装甲を破るまでには至らず終わり。

そして試合終了の時を迎え、1-1で引き分けに。
第2戦はどちらとも1点が欲しい状況となりましたが、それでもこの日のような緊迫感が充満した雰囲気の中での試合になるのは疑いようは無く。
その中で、どう相手の守備を上回る事が出来るか。

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