<アルゼンチンスタメン> 4-1-2-3
GK エミリオ・マルティネス
RSB モリーナ CB ロメロ CB オタメンディ LSB タグリアフィコ
DH フェルナンデス
IH デパウル IH マクアリステル
RWG メッシ CF アルバレス LWG ディマリア
<フランススタメン> 4-2-3-1
GK ロリス
RSB クンデ CB ヴァラン CB ウパメカノ LSB テオ・エルナンデス
DH チュアメニ DH ラビオ
RSH デンベレ CH グリーズマン LSH エムバペ
FW ジルー
参考動画 -アルゼンチン vs フランス 決勝|FIFA ワールドカップ カタール 2022 | 新しい未来のテレビ | ABEMA
ついに訪れた決戦の日。
この日までに一悶着あったのはフランスの方で、前試合(準決勝・モロッコ戦、2-0)でも数名体調不良による欠場がありましたが、それがさらに拡大したとの報道があり。
それに合わせるように、故障で代表から外れていたエース・ベンゼマが復帰するか否かというニュースも流れる等、混乱気味な内情。(と言いつつも、外野からでは所詮詳細は不明である)
そして決勝の舞台であるルサイルスタジアムの、雰囲気を味方に付けたのはアルゼンチンの方でした。
何と言っても、象徴的存在のメッシがワールドカップを手にするかどうかという注目点はとてつもなく大きく。
メッシがチャンスになりそうな状況でボールを持てばスタンドは沸き上がり、反則チャージを受けようものならブーイング紛いの歓声が上がるという場と化していました。
その状況を覆さんと、入りからフランスは積極的に仕掛けて先制点を奪わんとする。
そんな立ち回りが伺えた……のはキックオフ直後のみであり、プレッシングを掛けるも実らずに終わると、後は防戦一方の流れを強いられます。
中3日で離脱者続出、かつ準決勝は接戦を強いられたフランス。
それに対しアルゼンチンは中4日で、しかも準決勝(クロアチア戦、3-0)は安全圏を確保して消耗を防いだという試合を演じ。
この差は大きく、フランスは攻守に精彩を欠き。
パスミスが目立ち、プレスも掛けられずとあっては、エースのエムバペに良い形でボールが渡る事は殆ど無く。
おまけにアルゼンチンの対策もバッチリで、中盤でボールを引き出す役であるフランス・グリーズマンに対するマンマークが冴え渡り。
マクアリステルが常時チェックを怠らず、彼を経由しての攻撃でペースを掴んでいたこれまでのフランスの流れを見事に断ち切ったようでした。
そうして攻撃権を掴んだアルゼンチンの攻撃。
スタメン復帰して、本来とは逆の左サイドに入ったディマリアをフリーにさせたうえで、ミドルパスを受けさせる流れを作り上げ。
こちらも攻めの形はしっかりと構築し、後は得点するだけというアルゼンチン。
フランスのシュートは、前半20分の左サイドからのフリーキックで、ジルーがクロスを合わせたヘディングシュートの1本のみ。(反則で取り消しとなったため記録上はゼロ)
強力な攻撃陣の抑え込みに成功させると、迎えた21分の攻撃。
こちらもディマリアが左サイド奥でボールを持つ定番の形で好機となると、切り返しからカットインでエリア内を突き。
対峙したフランス・デンベレが抜かれ、たまらず後追いの形で倒すという印象最悪なシーンを演出してしまうと、主審の笛が鳴り反則。
エリア内なので当然PKが与えられたアルゼンチン、蹴るのはこちらも当然メッシ。
この一大決戦の舞台でも、普段通りに落ち着いた助走から、しっかりとGKの逆を突くシュートでゴールを決め。
自ら栄冠を掴まんというメッシのゴールで、アルゼンチンが先制に成功しました。
追い付きたいフランスですが、その動きは相変わらず重く感じられ、流れを掴めません。
やはり起点となるグリーズマンを抑えられては、コンディションの良くない状況で打開は難しいのか。
それを突きアルゼンチンが攻撃機会を重ねていくなか、36分に久々にフランスの攻撃。
敵陣に進入して左サイドでスローインを得ると、スローをエムバペがダイレクトでトラップ、その流れでカットインに持ち込まんとするも対応され実らず。
頼みはエムバペという苦しさを滲ませるのみに終わると、その直後でした。
アルゼンチン陣内でボールの奪い合いが発生すると、フランスのパスをモリーナが跳ね返し、そのボールをダイレクトで繋ぐ事で一気に好機に。
マクアリステル→メッシ(2タッチ)→アルバレススルーパスで、裏を取ったマクアリステルがさらにダイレクトで横パス、そこにフリーで走り込むのはディマリア。
GKロリスの前に出てのセービングの逆を突くシュートで仕上げ、リードを広げます。
前半のうちに2点リードと、優勝に向けてサポーターのムードも最高潮となるアルゼンチン。
嫌でも攻めなければならない状況となったフランスですが、以降も低調な流れは続き。
たまらずベンチが前半のうちに動きを見せます。
ボールロストが目立ったデンベレと、孤立気味だったジルーを交代。
そして右サイドハーフにコロムアニ・左SHにテュラムを投入し、エムバペが1トップに回るという、半ば手術じみた采配を敢行しました。(といってもエムバペ・テュラムの位置は準決勝の交代策と同じ)
これが3試合目の出場で、準決勝では投入後即ゴールを挙げるというラッキーボーイぶりを発揮したコロムアニ。
この日は縦への突破を見せる役回りとなりましたが、苦境を打開するには至らず。
アディショナルタイムの最終盤、ドリブルでアルゼンチン・フェルナンデスの反則を誘った事で(フェルナンデスに)警告が出されたのが効果的なプレーだったでしょうか。
これで得たFKからもフィニッシュは生まれず、結局(記録上は)シュートゼロのまま前半を終える事となったフランス。
後半も立ち上がりはアルゼンチンのペースで、敵陣でのパスワークののちエリア内へスルーパスを送ってチャンスを創出する攻撃を連発させます。
それを断ち切りたいフランス、後半6分に7対6でのプレッシングを嵌めて敵陣でボール奪取、エムバペに渡る好機を作り。(クリアされてコーナーキックに)
徐々に発揮される積極性で、好循環を生み出せれば……という展開。
しかしスタンドと一体となっての、アルゼンチンの流れを壊すのは並大抵の事では無く。
逆にフランスのビルドアップを遮断しての好機を生み出すアルゼンチン。
14分には左サイドでタグリアフィコのカットから、拾ったディマリアがカットインから左ポケットへスルーパス、受けたアルバレスがシュート。(GKロリスセーブ)
続く15分にもタグリアフィコが反則気味にボール奪取してディマリアが拾うという流れで、今度は自身がエリア内左へと切り込んでマイナスのクロス。
中央に走り込んだデパウルはスルーを選択し奥のメッシに受けさせ、DFに付かれながらもシュートを放ったメッシ。(枠外)
こうなると反撃どころか、その流れすらも生まれる気配は無くなります。
何とか打開せんと、19分頃から再びエムバペが左サイドへと戻り、1トップの位置にはテュラム。(直後にアルゼンチンはディマリア→アクーニャへと交代)
T・エルナンデスが攻撃に絡む事で、左サイドから推進する流れを作るフランス。
そこから得たCKで、コロムアニがヘディングシュート(実際には肩で合わせる)とようやく後半の初フィニッシュを放つ(23分)も、厳しい流れは変わらず。
エムバペに好機が訪れたのは26分で、カットインからエリア内へパスを送らんとし、遮断されるも自らエリア内左で拾い直して再びカットイン。
そして中央からシュートを放ちましたが、ゴール上へと外れてしまいモノに出来ず。
この苦境を跳ね除けられるのはやはりエムバペしかいないという状況で、その通りにFWに据えたいものの、本来の左サイドで無ければ持ち味は十分に出ない。
かくしてその解決に掛かったでしょうか、26分にベンチが動き、良い所が無かったグリーズマンを退かせる決断を下します。(コマンと交代、同時にT・エルナンデス→カマビンガに交代)
<後半27分以降のフランス> 4-4-2
GK ロリス
RSB クンデ CB ヴァラン CB ウパメカノ LSB カマビンガ
RSH コマン DH チュアメニ DH ラビオ LSH テュラム
FW コロムアニ FW エムバペ
2トップへとシフトし、エムバペがフィニッシャ・サイドアタッカー双方を務められるようなポジションに。
それでもその直後に、メッシの細かいタッチでのドリブルから、パスを受けたフェルナンデスがシュートを放つ(GKロリスキャッチ)など流れは依然としてアルゼンチン。
以降も好機を何度も作り、アルゼンチン戴冠の雰囲気はこのまま不変か……と思われた所に、ついにそれが破れる時が訪れます。
34分、アルゼンチンが攻撃を仕掛けるもこぼれ球となり、それをダイレクトで繋ぐ事でひっくり返すフランス。
送られた縦パスをエムバペが(脚で)フリックした結果、コロムアニが超スピードでオタメンディを抜き去って受け、エリア内に入ったコロムアニを後ろからオタメンディが倒してしまいます。
反則の笛が鳴り、フランスのPKとなり。
これをキッカー・エムバペがゴール左へと決め、アルゼンチンと同様に1点目をPKで得たフランス。
1点差ならば流れがどうであろうと最後まで判らない。
直後にアルゼンチンはスローインの判定を巡り、リオネル・スカローニ監督がヒートアップし審判団に宥められるというシーンも見せる等、明らかに余裕は失われつつありました。
しかし同点劇は間も無く生まれる事となり、齎したのは当然と言うべきか、またもこの男でした。
アルゼンチンがメッシのボールキープで落ち着かんとした所、コマンがボール奪取して敵陣でスタートするフランスの攻撃。
そしてラビオのミドルパスを頭で落としたエムバペ、そのままダイレクトで送られたテュラムのエリア内への浮き球パスに走り込み、流れるようにシュートを放ち。
GK E・マルティネスのセーブを弾き、ゴールネットを揺らすボール。
立て続けのゴールで、一気にフランスを甦らせたエムバペ。
勢いそのままにゴールに迫るフランス、途中出場のカマビンガの良いボール奪取も絡めてついにペースを掴み。
それでも試合終盤で、泥仕合じみた様相にも化していきます。
42分にワンツーでエリア内へ切り込むテュラム、アルゼンチン・フェルナンデスに倒されまたもPKか、と思われましたが今度はシミュレーションの反則で警告を受ける事に。
直後の43分にはラビオとアルバレスが空中戦で頭部が激突し、ダメージが深く中々起き上がれなかったのラビオの方。
脳震盪が危ぶまれる中、何とかプレーに復帰するラビオ。
そのままATへ突入。
エムバペは2得点後も変わらず躍動し、左から中央へとカットインしてのミドルシュート(ブロックに当たり枠外)などゴールを脅かし。
その一方でベンチに退いたジルーが警告を受ける(詳細は不明)など、醜悪さも前面に押し出される事となり。
するとアルゼンチンも好機を生み出し、メッシがミドルシュートでゴールを狙う(GKロリスセーブ)など、やはり両雄には均等に見せ場を与えるサッカーの神。
それでも勝ち越し点は生まれる事無く、後半終了の笛を聴く事となり。
決めきれない両雄に物足りなさを覚えた神(?)によってか、勝負は延長戦に持ち越されます。
既に延長戦は体験済みのアルゼンチン。(準々決勝・オランダ戦、PK戦で勝利)
その開始前に、1度しか使っていなかった交代カードを使用しモリーナ→モンティエルへと交代して挑みます。
延長前半3分にアルゼンチンが、マクアリステルのミドルシュートを放った(枠外)のみという流れの中、フランスはラビオに限界が訪れ。
5分にフォファナへと交代させます。(脳震盪の疑いのためカードは消費せず)
その直後の6分には、エムバペが(ロメロに)スライディングを受けて倒れるという前試合の焼き直しのようなヒヤリとする場面も見られ。
層の薄さにも悩まされるフランス、こうなると苦しさは明らかであり。
見せびらかすかのように、13分にアルゼンチンは2枚替え。
デパウルとアルバレスに代えてパレデスとラウタロ・マルティネスを投入すると、直後からLA・マルティネスの下に好機が訪れる流れが生まれます。
15分にメッシとマクアリステルのワンツーでエリア内を突いたのち、LA・マルティネスの下にパスが出され、すかさずシュートが放たれたもののフランス・ウパメカノがスライディングでブロック。(その後のマクアリステルのシュートもフランス・ヴァランがブロック)
ATにも裏へのミドルパスを受けたLA・マルティネス、GKと一対一に持ち込んでシュートを放つもゴール左に外してしまい決められず。
ヒーローになり損ねたという流れのなか延長前半が終わり、勝負の行方もいよいよ残り15分となります。
早めの交代を余儀なくされたフランス、やはり燃料切れが露わになるのも早かったでしょうか。
アルゼンチンペースとなった延長後半。
しかし延長後半2分に、スローインからメッシがダイレクトでシュートを狙う(GKロリスセーブ)など、疲労度はこの男の前には無関係といったシーンが描かれ。
そして続く3分、その通りの結果が生み出されます。
ロングパスをLA・マルティネスが落とし、メッシ→フェルナンデスとダイレクトパスの連続を経て、再びエリア内でLA・マルティネスがチャンスを迎え。
そして放たれたシュートをGKロリスがセーブするも、眼前に詰めたメッシが追撃のシュートを放ち、フランスはクンデが掻き出したもののその場はゴール内。
アルゼンチンの勝ち越しゴールとなり、やはり星があったのはLA・マルティネスでは無く、メッシの下だったでしょうか。
英雄が決める事で美しく締められる……はずでした。
勝ち越されたフランス、8分に残っていた交代枠の一つを使い。(ヴァラン→コナテ)
これもコンディション面に不安のあるヴァランを退かせるという側面が伺える交代と、流れを変えられるものでは無い。
そんな風に(個人的に)思っており、以降フランス陣内左奥でのボールキープの時間を作り、逃げ切りモードに入るアルゼンチン。
しかしアルゼンチンが交代を用意している最中の10分、FKからの二次攻撃で、そのコナテがフィジカルを活かして右サイド奥を突き。
そしてCKを得ると、このタイミングで交代するアルゼンチン。(マクアリステル→ペッセーラ)
3バックへと移行するのは明らかでしたが、このセットプレーを凌がなければならない状況。
するとドラマは終わらないとばかりに、クリアボールを拾ったエムバペがシュートを放つと、アルゼンチンはモンティエルがブロックに入り。
それによりシュートは防がれた、と思った刹那主審の笛が鳴り、モンティエルのハンドという判定(警告付き)で再びPKを得たフランス。
同点への絶好機ですが、決めなければ後が無いというキックでもあり。
1本目と同様にキッカーを務めるエムバペ、そしてそのシュートも1本目と同じく左へ強いキック。
これでGKの逆を見事に突き、プレッシャーを物ともせず再び同点を齎したエムバペ。
同時にハットトリックも達成と大車輪の活躍で、勝負はまだ続きます。
一方、逃げ切りの布陣を同点になってから披露する羽目となったアルゼンチン。
<延長後半13分以降のアルゼンチン> 3-3-2-2(3-1-4-2)
GK E・マルティネス
RCB ロメロ CCB ペッセーラ LCB オタメンディ
RWB モンティエル DH パレデス LWB タグリアフィコ
IH フェルナンデス IH アクーニャ
FW メッシ FW LA・マルティネス
その後ATに突入したという所で両者最後の交代。
フランスはクンデ→ディサジ、アルゼンチンはタグリアフィコ→ディバラ。
PK戦も見据えたという事も考えられる采配ですが、お互い4点目を狙う姿勢は変わらず。
エリア内へのスルーパスに走り込んでのシュートが1本ずつ描かれ、アルゼンチンはLA・マルティネスがシュート、GKロリスが足でセーブ。(しかしオフサイドとなり無効に)
フランスはコロムアニがシュートし、こちらもGK E・マルティネスが足でセーブと、一歩間違えれば……というシーンとなります。
そして最後はフランス、エムバペが左サイド奥からカットイン、強烈な進入を見せたものの何とかシュートは撃たせなかったアルゼンチン。
そして延長後半も終了となり、まさに最終決戦に相応しいPK戦へと突入しました。
PK戦も既に経験済みのアルゼンチン。
コイントスの結果、準々決勝と同様にアルゼンチンサポーター側のゴールで行われ。
1本目はともにエース同士の蹴り合いとなり、先行のフランスはエムバペ。
試合中の2本と同様にゴール左への強いシュートを選択し、GK E・マルティネスは反応するもセーブを弾かれ、成功。
後攻のアルゼンチンはメッシで、対照的に落ち着き払われたゴロのシュートをゴール左に決めます。
共に成功となり、フランスの2本目はコマン。
グリーズマンの交代以降、セットプレーのキッカーも務めていた男のキックでしたが、エムバペ同様に左へ強いシュートを選択。
しかしコースが甘くなったのもあり、GK E・マルティネスにセーブされてしまいます。
対するアルゼンチンは、延長後半ATで投入されたディバラ。
PK要員と取られるような起用(かどうかは不明)に応え、真ん中に蹴り込んでゴールを奪い、リードを齎します。
これで苦しくなったフランス、3本目は常時中盤の底を務めたチュアメニに託します。
前2人と同じく左へシュートしましたが、GK E・マルティネスに反応されたのもあったか、枠を外してしまい痛恨の失敗。
アルゼンチンはパレデスが務め、左へシュート。
GKロリスは今度も反応し触れますが、跳ね返せずゴールに突き刺さり。
これで2本リード、王手をかけたアルゼンチン。
後が無いフランスの4本目。
コロムアニがゴール中央へ決めて何とか凌ぎ、いよいよアルゼンチンの勝負を決するキッカー。
その前にGK E・マルティネスが挑発行為でもあったか警告を受けるという一幕が描かれたものの、務めたモンティエルは左へとシュート。
GKロリスが逆を突かれた事により、ゴールに突き刺さり決着。
道中エムバペに幾度もその流れを阻まれる事となりましたが、終わり良ければ総て良し。
見事に最後に残されたタイトルを手にするという劇を演じきったメッシ、MVPに輝いたのも当然過ぎるほど当然であり。
その光景に、おめでとう以外の言葉は浮かぶはずも無いでしょう。