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DAZN観戦 2024年J1昇格プレーオフ決勝 ファジアーノ岡山vsベガルタ仙台

2024-12-10 16:00:26 | サッカー視聴記(J2)

※前回の岡山の記事はこちら(PO準決勝・山形戦、3-0)
※前回の仙台の記事はこちら(PO準決勝・長崎戦、4-1)
※両クラブの対戦の記事=2戦目(23節、岡山 2-0 仙台)

<岡山スタメン> ※()内は前試合のスタメン

  • 藤田息が体調不良との事でベンチ外に。

<仙台スタメン>

  • ベンチメンバーを松下→モラエスと入れ替え。

とうとう迎えた、今季のラストを飾るプレーオフ決勝。
準決勝で共に下位のクラブが勝ち上がった事で、急転直下的に開催決定となった岡山のホーム・シティライトスタジアム。
販売開始から10分でチケット完売との事で、そのスピードは木村やオナイウの比では無い……と冗談を言える場では無く。
あくまで勝ったら来季はJ1・負けたらJ2という、瀬戸際の戦いを彩る場であり。

岡山と仙台、ともにボール保持を重視する相手に完勝した準決勝。
その内容もいかにもハイプレスがベースのチームに相応しくありましたが、その2チームがぶつかるとあれば予想はし辛く。
とはいってもリーグ戦では岡山がダブル達成と、相性差はハッキリしている組み合わせで、かつ順位の面からしても巻き返しを図らなければいけない仙台。

その入りはやはりロングボールの蹴り合いによる主導権争い。
しかしその際に敢行されるぶつかり合いの結果、岡山が反則を量産する流れになった事で仙台がフリーキックから攻勢に。
それでもその位置はいずれもセンターライン付近からで、かつ放り込みを選択したため、そんな争いに大きな変化は無く。
そしてこれによりオープンになりかけた所を、9分に阿部の持ち運びで突く岡山。
そのまま中央へ流れてミドルシュートを放ち、工藤蒼のブロックでエリア内へこぼれた所を末吉が詰めにいく(触れる前にクリア)、紛れを生み出し試合を動かしに掛かり。

しかし直後の10分、浮き球を収めた相良に対する(輪笠の)反則でまたも仙台のFK、今度は遠目ながら直接シュートも視野に入る位置となり。
キッカーは中島で、距離はあっても果敢に無回転シュートでゴールを狙います。
これがゴール左側へブレる軌道となりましたが、GKブローダーセンは惑わされずしっかり両手で弾いて防ぎ。

これにて立ち上がりの時間が過ぎ、お互い主体的な攻撃へ舵を切り始める時に。
FKでは肝を冷やした岡山、先程のように阿部の上がる右サイドを軸としたビルドアップで形作り。
一方の仙台も、リーグ戦でお馴染みの右の真瀬が上がったうえで、3枚の最終ラインの形をとって繋ぎ。
共に右肩上がりの節が見られる基本形。

その後岡山も、仙台サイドの反則から中盤でのFK→コーナーキックとセットプレーでひとしきり攻め。
そして20分、一度は途切れるもゲーゲンプレスにより木村がボール奪取と、岡山らしい起点から迎えた好機。
左ワイドで末吉・木村がボールキープと、ドリブルに定評のある2人で溜めを作ったうえで、ポケットに入り込んだ田部井へ送られるスルーパス。
この突然の変化に仙台ディフェンスも良く対応し、田部井のカットインを防いだものの、こぼれ球を木村が倒れながら繋いだ所を末吉がダイレクトでシュート。
角度の小さい場所からながら、これが芸術的なループシュートと化してゴール右へと吸い込まれます。
大一番に相応しい、咄嗟のスーパープレーで先制を果たしました。

これで実質2点差と、単なる1点以上の重みが仙台サイドにのしかかり。
これまで以上にボール保持の色を高めて反撃体制を作らなければならない状況ですが、岡山のプレッシャーによりままならず。
25分には最終ラインから左への展開がズレてしまい岡山へ右スローインを献上、そこから本山クロス→一美ニアでヘディングシュート(ゴール右へ外れる)と脅かされ。
準決勝の山形同様、強度に屈する流れが組み上がりつつありました。

仙台のサイドバックにはウイングバックが前に出て規制を掛ける、ハイプレスが持ち味の岡山。
しかしこれにより後方の陣形は動揺する事無く、左右のセンターバックをSBと見立てての4バックを採る事で破綻を防ぐシステム。
この意識(と、守護神ブローダーセンの存在感)があるからこそ、WBが尻込みしての5バックで引き籠ってしまう事無く、積極性が発揮できるというものです。

何とかそのプレッシャーを掻い潜りたい仙台ですが、やはり地上からは難しく。
32分にはまたも遠目からのFKで放り込みを選択し、これがエリア手前で合わせにいった菅田がさらに(一美の)反則を呼び込んだ事で、FKの連続という絵図に。
そしてまたも直接狙える位置でのFKとなり(横軸は左ハーフレーン)、当然中島が直接シュートを放つも、今度は壁を直撃と有効打とはならず。

正攻法では崩れないため、セットプレーも絡めながら岡山の僅かなスキを狙うという立ち回りを取る仙台。
36分に自陣からのFKで素早くリスタート、反則したのが降りたエロンに喰い付いた田上なため、その裏を突きに掛かり。
中島ミドルパス→郷家ポストプレイを経て、パスワークでアタッキングサードまで運んだものの岡山の戻りも早く結局シュートは撃てず。
40分には岡山の攻めを跳ね返し、クリアボールを鎌田が拾うという起点で前進の余裕が出来、右サイド奥まで運んでCKにまで繋げ。
CKでのキッカーは鎌田が多く、その鎌田は低いクロス中心に上げていましたが、この右CKでもニアへのクロスと疑うような軌道で中央の奥山の足下へのボール。
そしてボレーシュートが放たれるも木村がブロック、こぼれ球を菅田が追撃しましたがこれも鈴木がブロック、左へこぼれたボールを相良が折り返しと乱戦を生み出します。
幾多の折り返し→クリアを経て、最後の相良のシュートもブロックに阻まれるなど、ここでも岡山ディフェンスの壁は健在という結果に終わり。

仙台が完全な攻勢に入れずにいるため、当然岡山にも訪れる好機。
両サイドに顔を出してパスを引き出す木村に手を焼いているという印象の仙台ディフェンス。
43分にはその木村に対する鎌田の反則、これで中央遠目からのFKになると、田部井が直接シュート(ゴール右へ外れる)とこちらも遠目から矢を放ちにいき。
普段通りの姿勢ななか、フィニッシュで終われる所は終わらせる事で、カウンターの隙を与えないという理に適った立ち回りを見せます。

結局1-0のまま前半が終わり。
依然として厳しい状況の仙台、ハーフタイムで動く森山佳郎監督。
エロン→オナイウへ交代し、これによりオナイウ右サイドハーフ・郷家FWというポジションチェンジと、これまで通りの采配が頭を過るカードの切り方。
しかしこの日はオナイウがそのままFWに入るという変化を付け、正攻法での限界を感じさせるとともに、(実質)2点差を捲る秘策とも感じました。

そして始まった後半、岡山のプレッシャーをかわすため、多少ラフな繋ぎを交えてのボール運びを見せる仙台。
スローインのボールを収めてからバイシクル気味に逆向きで上げるロビング、それをヘッドで強引に収めてポケットへ進入という具合。
そうして前へ繋いだのち、オナイウや相良のスピードで打開を図りに掛かります。
依然として組織立った組み立てがままならずと暗雲が覆う状況ながら、こうした強引な手法により攻撃権を確保。
それでも、「早くボールを前に送れば、それだけ早く返ってくる」の法則を地でいくかのように、一定周期で岡山の反撃に遭うのは避けられず。
インテンシティの高いこの日の試合でも、やはり局面でハイプレスをいなせるだけの保持力は必要に思えました。

しかし決定機は、その訪れた岡山の好機から。
岡山のCKからのカウンターで、郷家のラフな裏へのロングパスに、長所を生かしフルスピードで走り込むオナイウ。
田上を強烈に追い抜いて受ける事に成功すると、そのまま左ポケットまで進入した末にカットインからシュート。
必死に追走した田上を振りきる形で放たれたこのフィニッシュでしたが、GKブローダーセンが横っ飛びでセーブとここでも立ちはだかる守護神。
ここからのCK攻勢(3本続く)もモノに出来ずと、早期に追い付くという算段はならずに終わった仙台。

一方憚らずも押される格好となった岡山、15分に交代カードに手を付ける木山隆之監督。
一美→ルカオへ交代と、駒の入れ替えで打開を図りにいきます。

仙台の攻めが途切れた所、左スローインの連続で前進する岡山。
すると敵陣に進入してのスローインで、収めたルカオが真瀬を背負い、さらにアタックにいった工藤蒼をも跳ね飛ばすという強靭なフィジカルによるカットイン。
これで生まれた仙台ディフェンスの混乱を他所に、悠々逆サイドでフリーになっていた本山へ送られる横パスを経て、右ポケットから放たれたシュート。
必死でブロックにいった奥山を掠める形でゴールへ突き刺さり、岡山が追加点。
ルカオの強烈なパワーにより相手を奈落へ突き落す格好で、昇格を手繰り寄せるゴールとなりました。

唖然とするしかない仙台ですが、諦める訳にはいかず。
この直後からオナイウと郷家を本来の位置へと入れ替え、郷家がFWに。
やはりHTの交代策は搦め手だったようで、相手が退く事を想定すると本来のスタイルでの崩しは不可欠と判断したでしょうか。

しかし実質3点差を痛烈に追い掛けるにはエネルギーが必要で、20分にそれを補填するべく2枚替え。
鎌田・相良→松井・名願へ交代し、今度は2人とも同ポジション同士。
一方岡山サイドも、このタイミングで田部井が足を痛めてしまった事で交代カードを切り。
田部井・岩渕→竹内・神谷へと、こちらも2枚替え。

安全圏といえるリードを得た岡山ですが、相変わらず積極的に中盤~敵陣でボール奪取を目指す一貫した戦い。
24分には仙台陣内左サイドでの奪い合いの果てに、竹内がボール確保して逆サイドへ展開、そしてボックス内へ送られるミドルパスを収めたルカオ。
チャンス到来という絵図ですが、ここからボール保持に努めた末に最終ラインに戻しと、神谷の投入もありこうした立ち回りも出来るようになり。

目立たない所でチーム力の向上が果たされた岡山ですが、一方目立ったのはやはり前線のルカオ。
27分に神谷のロングパスに裏抜けして受けたルカオ、そのまま左ワイド奥から強烈なカットインを見せた末にマイナスのクロス。
これは合わずに流れるも、逆サイドの本山から上げられたクロスをポストプレイ、神谷のシュート(枠外)へと繋げます。
しかしまだ序の口で、その直後の同27分には竹内のパスカットからのパスワークを経て持ったルカオ、勢いのまま前を向いて左ハーフレーンからミドルシュート。
これが右ポストを掠めて決められずに終わりましたが、再三発揮されるパワーで(ルカオ自身の煽りもあり)ひとしきりホームのスタンドも盛り上がり。

これにより、得点どころか糸口すら見えなくなってしまった仙台。
31分に最後の交代を敢行、小出・工藤蒼→石尾・中山へと2枚替え。
石尾がCB・(中山がFWに入った事で)中島がボランチと、本職では無いポジションチェンジが起こるも、流れを変えるには至りません。

ルカオの存在感に押されるように、前半から走りずくめだった木村もそれを止めずと、躍動感を増す岡山の前線。
32分にルカオ右ポケットへスルーパス→木村走り込んでマイナスのクロス(誰にも合わず)と、まさにノリノリといった格好で好機に絡み続け。
最早仙台サイドは3点目を防ぐのが精一杯という状態ななか、35分には奥山の蹴り出しをブロックしたルカオ、そのまま自分で拾いまたもパワー溢れる推進力を発揮。
中央からエリア内を伺う中、サンドした真瀬・中島にCBも加わる事で何とか反則気味に止める(笛は鳴らず)という具合に、1人の力がここまで相手ディフェンス全体を翻弄する姿は今季のJリーグ全体を彩る絵図の一つといっても過言では無く。

※余談
これらの活躍により試合後「ルカオはJ1でも通用する」という声が数多上がったものの、こうしたパワーを発揮させる事で故障も膨らむというキャリアを描いているため、正直スーパーサブ起用を貫き時間を限定させないと苦しい気がします。

尚も38分、木村のスルーパスに走り込んだルカオのシュートが右ポストを直撃と、ひたすら脅かされる仙台ゴール。
それでも39分、岡山が最終ラインでビルドアップをミスし、右サイド深めでオナイウがカット。
彼からのパスをポケットで受けた中山がそのまま角度の無い所からシュート(枠外)と、終盤を迎えた事で隙も生まれ始め。
40分には最終ラインで岡山のプレス回避に成功と、ようやく相手のストロングポイントを折っての好機を作り。
奥山のミドルパスを収めた中山がペナルティアークからシュートするも、これもブロックを掠めて枠を捉えられず。
投入された中山がフィニッシュを連発するも、やはりルカオ程のインパクトは残せません。

45分に石尾のラフなロングパスから、セカンドボールを繋げて前進する仙台。
奥山が持ち運んでエリア内へ進入、そしてカットインを経てシュートと先程のオナイウのようなフィニッシュを生み出しましたが、これも阿部を掠めてゴールバー直撃と決められず。

2点差のままとうとう突入したアディショナルタイム、岡山は残っていたカードを使い。
柳育・柳貴と、リーグ戦を支えてきた2人の柳を同時投入(阿部・木村と交代)と心憎い?采配も見せ。
右CBに入った柳育のクリアミスを切欠に、仙台攻勢の流れが生まれたものの、それでも3点奪われなければ良いという心の余裕は大きく。
最後の一矢というべき郷家のペナルティアークからのシュートをブロックと、ミスを帳消しにする柳育の働きもあり、昇格へのレールをひた走ります。

そして鳴らされる試合終了のホイッスル。
16年目で初の昇格を果たした岡山、それにより興奮のるつぼと化したシティライトスタジアム。
今季の戦いぶりは元より、これまで一度もJ2から陥落せず着実に根付きを果たした過去の奮戦も貢献は大きく。
近年新規のJ1クラブは、1年での舞い戻りが当たり前のようになっている(例=徳島・松本・長崎)感がありますが、それを跳ね返すべくの戦いが待ち受けている来季。
それでも来るべき時に備え、訪れたハレの日を存分に楽しむべきでしょう。

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DAZN観戦 2024年J1昇格プレーオフ準決勝 モンテディオ山形vsファジアーノ岡山

2024-12-04 18:00:43 | サッカー視聴記(J2)

※前回の山形の記事はこちら(38節・千葉戦、4-0)
※前回の岡山の記事はこちら(38節・鹿児島戦、0-0)

<山形スタメン> ※()内は前試合のスタメン

  • ベンチメンバーを後藤優介→氣田へと変更。

<岡山スタメン>

  • ベンチメンバーは高木・輪笠・太田を外し、鈴木をスタメン起用し田中・柳貴を入れる。
  • 負傷離脱により母国で治療中のグレイソンが来日、チームに合流。(ただし復帰はまだ先)

長崎vs仙台の方でも3週間のブレイクが齎す影響について軽く触れたものの、それが深刻となりそうなのが4位の山形。
怒涛の9連勝でリーグ戦を終え、初戦をホームで開催and引き分けでも勝ち抜ける権利を勝ち取ったものの、それが勝利を約束されるものでは無いのがプレーオフの辛い所であり。
リーグ戦の勢いはあくまで副次的なもので、このPOで仕切り直しを強いられる点。
そして長いブレイク期間により、勢いを持ち込む事が至難の業となってしまう点で、難しいマネジメントを要求される試合となりました。

対する岡山は、このPOの舞台で2年ぶりの山形との対戦。
その時は岡山3位・山形6位という逆の立場で、かつ敗退(0-3)という屈辱を味わい。
2年前と同様に木山隆之監督が率いるため、雪辱に向けて執念を表すべき一戦となり。

定番である、ラフなロングボールの蹴り合いで幕を開けた前半。
しかし前半3分、岡山は末吉を走らせる裏へのボールがカットされるも、すかさずゲーゲンプレスを掛けて岩渕が奪い返し。
そしてコーナーキックに持ち込む、山形に対する圧力という形で早速その思いを表します。

このCKでの攻めが形にならず、山形のゴールキックから再開した事で、普段通り地上での繋ぎへと入る山形。
しかし左サイドへ誘導して山田拓にロングボールを蹴らせる(収めたディサロが戻りオフサイド)という具合にプレスを機能させる岡山。
直後の6分も、同じく山田拓が詰まらされて本山がボール奪取するなど、この山形左サイドを獲り所としていたかのように立ち回ります。
それを受けるや山形は、8分には小西を左へ降ろした上で、山田拓に思いきり高い位置を取らせてそこにロングボールを送るビルドアップへ変節。
しかしそれを防いだ岡山、逆に山田拓の上がった隙を突いて木村がドリブルに持ち込む所、高江が反則で止めるという具合に上回りを見せ。

思い通りの前進が出来ない状況に陥る山形。
1トップ・2シャドーによる岡山のボランチへの限定(一美がボランチの片側に付き、後の2人が背中を消しながら最終ラインにプレス)により、小西・高江を経由しての繋ぎが果たせないのが主たる要因であり。

一方、まず主導権を握った岡山ですが、11分に自陣での繋ぎで田上の蹴り出しが藤田息に当たって跳ね返るというミス。
これを拾われて山形の好機になり、細かな繋ぎを経て高江の下に渡り、右サイドのイサカへロングパス。(イサカが収められず終了)
相手のミスという形ながら、ボランチを使ったチャンスメイクを果たして一息ついた山形。
ここから攻撃権を握るも、依然として激しい岡山のプレスに対し、縦に速い運びに活路を見出し。
16分最終ラインから安部が低いロングパスをディサロに通すと、素早く体勢を整えてのアーリークロスを選択するディサロ。(ブロックされCKに)
裏を突かんとする姿勢を見せますが、ストライカーのディサロがチャンスボールを送る役を務めるその光景に、あまりリズムが良くないと実感するにも至ります。

20分を過ぎると、その予感通りに岡山へと傾く試合展開。
岡山が主体的な攻撃に入るも、前線の守備同様に山田拓の居る右サイドを狙い撃ちしての前進を続け。
最終ラインから右サイドへ展開→阿部が高い位置を取って本山との2人で崩しを図るという姿勢を徹底。
23分にはそこから上げられた本山のクロスから、木村がヘディングシュートを放ちましたがGK後藤雅がファインセーブ。

守勢に陥る事となった山形は、依然としてボランチのマークが厳しい状況で、土居がその後ろまで降りてパスを受ける体勢を取り始め。
あくまで攻撃を循環させる事で流れを変えんとしますが、徒労に終わる事となり。
結局ロングボールでのプレス回避を強いられ、それを回収する岡山の攻撃機会が続くという展開を変えられません。

30分、その山形のラフなロビングを藤田息の落としから速攻に入り、左ポケットへのスルーパスに走り込んだ末吉のマイナスのクロス。
これをニアで受けた田部井がシュート(城和がブロック)と、次々にゴールに近い位置で放たれるフィニッシュ。
その直後左スローインで再開すると、投げ入れられたボールを岩渕が直接エリア内へ浮き球を送り、中央で収めた一美から右ポケットへ展開。
受けた本山が奥から放ったシュートが、GK後藤雅の左(本人から見て右)を破って左サイドネットに突き刺さります。

優勢な中しっかりと挙げた先制点で、試合の流れを改めて実感出来たでしょうか。
尚も33分、ロングパスの跳ね返りを繋いでの攻めで一美が中央からミドルシュート、安部がブロックするもエリア内にこぼれた所を末吉が拾い。
そして左ポケット奥でのクロスがブロックされて左CKと、押し込みを継続。
キッカー田部井のファーへのクロスを一美が落とすと、さらに阿部がレイオフで繋いだ末に木村のシュートが放たれ。
これがブロックの間を縫ってゴール右へと突き刺さり……と見せかけ、実際は岩渕に当たってコースが変わる形となっており、GK後藤雅も動けずというゴールに。
短時間で2点を奪い、一気に勝利へのムードを高める事に成功した岡山。

反対に苦しくなった山形。
点差は元より、依然としてビルドアップが機能しないため追い掛けるムードは一向に高まらず。
37分には再び左サイドで詰まり、奪った木村がそのままドリブルからミドルシュート(GK後藤雅キャッチ)とゴールを脅かされるなど、流れは変わりません。

悪循環を抱えつつも、後方からのミドルパスを交えながら何とか好機を作らんとし。
しかしそれが拙かったでしょうか、今度はアクシデントという災難が降りかかります。
40分、こぼれ球を拾ったディサロが阿部のチャージを受けて倒れ込んでしまうと、反撃したい焦りからか痛んだまま足を引きずりながら続行。
これで得たフリーキックでの攻撃で、再三行われる放り込みを他所に、中央でヨロヨロとした動きを余儀なくされるディサロ。
そして結局、攻撃が途切れたのち再度倒れ込み続行不能の運びとなってしまいました。
ジョーカーの高橋潤を、この早い段階で投入せざるを得なくなり。

尚も不運は続く山形、44分には田上のロングパスを頭部に当ててしまったイサカが倒れ込み。
ここも起き上がり暫くは無事にプレーを続けたものの、結局は脳震盪の断が下され、ハーフタイムで交代する事に。
前線の主軸2人を失うなかで、2点取らなければいけない状況に。

サッカーに話を戻すと、アディショナルタイムの最終盤にCKからの二次攻撃で、クロスのこぼれ球を拾った小西がエリア内からシュート。(ブロック)
前半の数少ないシュート(2本)を最後に放ったものの、当然それだけでは暗雲を振り払えず。
0-2のまま前半終了、HTへと入りました。

イサカが交代の運びとなり、終盤出番の無かった氣田を投入と、普段と異なるサッカーを余儀なくされる事となった後半戦。
同時に山田→岡本へ交代と、2枚替えを敢行する形で巻き直しを図る渡邉晋監督。

迎えた後半。
久々にチームに加わった氣田にボールを集め突破を図らせる事で、彼を文字通りチームに組み込む作業から始める山形。
後方からの組み立ても、依然としてボランチへのチェックが厳しい中、安部の縦パス・ロングパスでそこを省略する場面を目立たせ。
苦境のなか何とかしようという腹積もりが見え隠れする入りに。

しかし岡山の前線の勢いは衰えず。
後半4分に山形最終ラインからボール奪取した木村、そのまま城和に引っかかる形で倒れ反則。
これで得たFK、(田部井の)蹴り出しから(田上が)シュートを放つという変化を付ける(山形ディフェンスが素早く前に出て撃たせず)など、山形の後方に苛立ちを与えながらノーリスクで追加点を狙いにいかんとする立ち回り。

山形サイドは、主に木村のチェイシングに手を焼くとともに、フラストレーションを溜める事を余儀なくされていたでしょうか。
それが爆発する格好で、8分に右サイドから運ばんとした所、川井のドリブルがプレスバックした木村に倒されて反則。
そしてその際倒れながら、川井は脚で木村の背面を蹴る蛮行に出てしまった事で岡山サイドがヒートアップし騒然となります。
第4の審判に近い位置なのもあり見逃される事は無く、落ち着いたのちあえなく赤いカードが突き出されて退場処分となった川井。(木村の方には警告)
ピッチサイドでは渡邉監督が執拗に意義を飛ばすものの、当然判定は覆りません。

これで盤石となったかに見えた岡山ですが、こちらも6分に岩渕が足を痛めて交代の運びとなっており(神谷を投入)、一発勝負である以上いくら数的優位といえど油断は許されず。
さらに15分には一美が城和のチャージを受けて負傷交代(ルカオを投入)と、アクシデントが降り注ぐ流れは岡山サイドにも容赦無く襲い。

一方10人でビハインドを跳ね返さなければいけなくなった山形。
最終ラインは、岡本が川井の抜けた右サイドバックに回り、左には左利きの小西が入り。
しかしあくまでボランチが本職であるその意識は、攻撃時にその位置へと可変し、SBが誰も居なくなるという絵面に表れました。
あくまで高江・小西・土居の3人が中央を務める姿勢で、かつ基本布陣からの可変という要素を交える事で変化が付けられ。

これには数的優位となっても尚ハイプレスで挑む岡山も予想外だったらしく、巧みなポジションチェンジと間を通すパスで前進を許す場面が増え始め。
19分、中盤3人を経由してアタッキングサードへ運ぶと、右から氣田がカットインで中央まで流れ。
そしてミドルシュートを放ち、本山がブロックした跳ね返りをさらに岡本がミドルシュート(田上がブロック)と連撃に持ち込み。
しかし岡山サイドも、エリア内以上の侵入を許さないという守備姿勢の下、リーグ屈指の守備力を発揮するため完全な崩しには至りません。
それでも21分、安部の縦パスが遮断された事で、岡山サイドが高目のラインを保つ隙を突いてこぼれ球を繋いだのち裏へ送られる(高江の)ミドルパス。
これを高橋潤がエリア内で受ける絶好機が生まれましたが、撃つ前に鈴木のディフェンスに阻まれ、ゴール方向へこぼれたボールをGKブローダーセンが何とか掻き出し。
貫かれる前へ向かう意識故に、こうした隙が出来る局面はあったものの、そこでも守護神が最後の壁として立ちはだかります。

24分に山形は國分→坂本亘へと交代。
すると岡山も25分に田部井→竹内へ交代と、両軍のベンチワークが交わり。
イサカの脳震盪での交代のため、この時点で3回交代した岡山も、追加の交代枠を得て後1度を残し。

ハイプレスのみならず、攻撃時も依然として左右のセンターバックが前線に絡むという具合に積極性は健在の岡山。
それ故に山形の攻撃を浴びながら、自身もアタッキングサードを突いてサイドからクロス、という通常時の攻めの姿勢は崩しません。
お互い好機を作るも、フィニッシュは生まれないという流れを描いたのち、山形サイドが最後の交代を敢行したのが34分。
高江・土居→南秀・加藤へ2枚替えと、走り回っていた中盤センターの2人を代えるに至り。

これを機に、岡山も戦術を切り替え、神谷を中心としたボール保持の姿勢に入り。
何度もパスを上下動させて時間を使う、試合終盤かつ数的優位の戦いの定型へと突入する運びとなりました。
これで一転し、自身がハイプレスで攻撃権を奪わなければならなくなった山形。
その隙を突くように、38分に裏へのミドルパスを受けたルカオが右ポケットへ切り込み、カットインを経てシュート(安部がブロック)と再度フィニッシュの余地が生まれ始めます。

そして39分、最終ラインでのパス交換で山形のハイプレスを誘ったのち、神谷のレイオフを経て藤田息ドリブルに持ち込みスルーパス。
エリア内で受けた木村がGKと一対一という、前掛かりな相手の裏を取る典型例による決定機が齎され。
木村は後藤雅を左にかわし、抜ききった末に左ポケット奥からシュート。
ゴール前で小西がブロックするも、弾かれたボールは無情にもゴールに入る事となります。
これで3点差と、2年前と同じスコアに持ち込む事にも成功した岡山。

この直後に、岡山は補充された交代枠を使いベンチワークも終了。
鈴木→柳貴へと交代し、本山が左CBに入るという変更を交え、最終布陣となりました。

そして時間も進み、ATへ突入。
山形も、放り込みに賭けるという手段は取らず、リトリートに徹するようになった岡山に対しあくまで地上での繋ぎをメインに。
右から氣田がカットインも逆サイドへ→左から坂本亘がカットインと、両翼が何とかシュートコースを探すという絵図の末に、坂本亘がミドルシュート。(GKブローダーセンキャッチ)
岡山は既にエリア内を崩さなければ良い守備姿勢で、只でさえ1点の重みが重要な一発勝負で、3点差という重量感を痛感するような場面に映りました。

結局そのまま試合終了。
岡山が見事に2年前のリベンジを果たし、決勝進出。
これで岡山vs仙台というカードに決まった決勝戦。
一応仙台のJ1復帰といった要素はあれど、前年(ヴェルディvs清水)に比べ遥かに「何としても昇格しなければ……」という悲壮感は薄れたような印象に。
それでもこの試合の岡山のような徹底した相手対策が貫かれる事で、その色に染め上げられるなんて事が起こらないとも限らず。
長かった今季も、どういった結末で彩られるでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J1昇格プレーオフ準決勝 V・ファーレン長崎vsベガルタ仙台

2024-12-03 16:00:39 | サッカー視聴記(J2)

※前回の長崎の記事はこちら(38節・愛媛戦、5-1)
※前回の仙台の記事はこちら(35節・横浜FC戦、3-0)
※仙台遠征記はこちら(38節・大分戦、2-1)
※両クラブの対戦の記事=1戦目(2節、長崎 1-2 仙台)2戦目(20節、仙台 2-2 長崎)

<長崎スタメン> ※()内は前試合のスタメン

  • エジガルが27節(山形戦、2-4)以来のスタメン。

<仙台スタメン>

  • ベンチメンバーをマテウス・モラエス→松下へと変更。

あっという間に、今季のリーグ戦も全試合を消化。
残るは昇格枠の残り1つを争う場であるプレーオフのみとなりました。
前年の「オリジナル10」クラブが織りなした血みどろの争いからは、幾ばくか爽やかな成分が増した感があるものの、それでも4クラブとも意地でもJ1の切符を掴みたい立場に変わりは無く。

当然求められるのは結果のみ。
そんな孤独の場である以上、長崎サイドは「5連勝でフィニッシュ」「新ホームスタジアムで無敗」、仙台サイドは「長崎に対し勝ち越し」といったポジティブな要素に縋りたいものであり。
しかしそれを無にしかねないのが「最終節から3週間空いての開催」という、Jリーグ側の事情よる、かつ両クラブに及ぼしかねない要素。
日程調整の側面があるとはいえ、勢いをもって臨みたいサイドに対し無効化される懸念が膨らむ事となりました。

かくして3位と6位の対決。
自動昇格圏にあと勝ち点1まで迫った長崎が、その実績を下にほぼ満員のホーム(PEACE STADIUM Connected by SoftBank、以下ピースタ)での雰囲気を味方に付ける。
即ち「立場的優位故の振る舞い」を演じて勝利に辿り着きたいという思惑は少なからずあったと推測します。

それを塗り替えたいのが仙台で、そのためかキックオフからガツガツと仕掛け。
アバウトなボールをレイオフで繋いだのち、前を向いてゴールへと直進を果たすという姿勢でペースを掴まんとします。

前半2分にはそこから、長崎が攻撃を切ったのちのゲーゲンプレスで中島が再奪取して好機。
左ポケットを取った相良がボールキープからワイドに流れて奥へ切り込み、ヴァウドに倒されるも反則の笛は吹かれずに終了。
すると奪った長崎もギリェルメが右サイドをドリブルに入ってカウンターに突入(中央へ展開し、ジェズス前進→エジガルポストプレイもフィニッシュは撃てず)と、お互い縦に速い攻めの応酬という入りとなりました。

その流れが終わると、長崎は今季の基本である、最終ラインからの地上での繋ぎで隙を伺う体制へ突入。
しかし終盤の連勝の流れと違うのは、ハイプレスとリトリートの使い分けが巧みな仙台が相手という事。
そのため、アンカーの秋野も2トップの限定を嫌って最終ラインに降り、3枚での繋ぎがメインとなりました。

この「普段のサッカー」から若干弄った事が、勝負の分かれ目となった感があり。
最終ラインでひたすらサイドを振りながら繋ぐも、仙台のメリハリの利いた守備の前に、最後はエジガルへ向けて浮き球を送る局面が膨らみ。
8分にはそこから、こぼれ球を左へ展開ののち笠柳がカットインの姿勢からエリア内へ縦パス。
エジガルのポストプレイは掻き出されるも、拾った秋野のミドルシュートがゴール右へ外れという具合に、成果はそこそこながら何処かが違う感が付き纏う攻撃に。

秋野が仙台2トップの前方で受ける事で、仙台サイドも左サイドハーフの相良が加わる、3人でのハイプレスで試合を動かしに掛かり。
これに長崎が素早く右へと展開する事による、サイドバックに対し相手SBが付くという、プレッシング側の分水点(ここで前進を阻めなければウイングがフリーor陣形が大きく崩される)という局面も何度か見られます。
即ち増山とギリェルメの2人で、右サイドで数的優位を作るのが肝といった長崎のビルドアップ。
しかしそれを強く意識したか、ギリェルメはリーグ戦で見られたフリーマン的な動きが抑制された事が、第二の「普段のサッカーとの違い」となった感があり。
おかげで何処と無く堅さが取れず、冴え渡った増山とギリェルメのコンビプレイも見られずと、右サイドから有効打が放たれる事はありませんでした。

時間の経過とともに、仙台はハイプレスを抑制して相良が増山を監視するという、弱点を覆う姿勢へと移り。
それを見た長崎はワイドで相良をピン止めしながら、(2トップの片割れを秋野が引き付けたうえで)ヴァウドが持ち運ぶ場面も作りましたが、残念ながらヴァウドは積極的に敵陣まで仕掛けるという選手では無いため効果的にはなりません。

次第に硬直感が露わになる長崎のビルドアップ、そしてその隙を突かんとする仙台。
24分、最後方からの秋野の縦パスを、菅田が前に出て逆に縦パスを送り返してショートカウンターに持ち込み。
受けた中島が溜めを作って遅攻に切り替わると、パスワークののち中島が右サイド手前からクロスを送り、ニアで受けにいったエロンがディフェンスに遭うもこぼれ球が右ポケットへ。
すかさず反応した真瀬が走り込み、抑えんと前に出たGK若原を抜くループシュートを放ちましたが、右サイドネット外に終わり惜しくも決められません。

この際に、ディフェンスに入ったヴァウドとGK若原が交錯し痛んだ事で、ブレイクが齎され。(ともに無事に起き上がる)
この期間で落ち着きを取り戻したい長崎でしたが、逆に上手くいっていない感が膨らんでしまったか。
直後の26分に最終ラインでパスがズレ、仙台の左深めからのスローインに。
すると相良のロングスローを使用と果敢に仕掛ける仙台、連続となったその2本目からでした。
その跳ね返りを真瀬がミドルシュートにいくも、ミートせずクリアされるとここから二次攻撃の嵐を仕掛ける仙台。
クリアボールに長崎サイドが落下点に入っても、その背後から強引に跳んで落とす事で拾い続ける仙台サイドと、守備側の集中力が試される場面と化し。
そして右から鎌田のクロスがブロックされるも、これをまたも中島が確保、浮かせてからヘッドで落としたボールを相良がペナルティアークからシュート。
これもヴァウドがブロックと防ぐ長崎でしたが、これが腕に当たってしまった事で、ハンドならびにエリア内故にPKを告げる笛が鳴り響きます。
確かに腕に当てたものの閉じていたように見えたヴァウド、そのため猛烈に意義を浴びせるも判定は覆らず。

そしてPKゲットとなった仙台、キッカーは攻撃の中心を担う中島。
この大一番でも冷静さを失わず、かつ大胆にゴール中央へとシュートを放ちネットを揺らします。
一方左に跳んだGK若原、足を延ばしたものの無情にも触れられず。
納得し難い失点となってしまった故に、尚もヴァウドが異議を浴びせた結果警告を貰う(あるいはエリア内へ入ったのが中島の蹴る前だったという意味合いか?)という余分な被害も受ける事となり。

リードを得た仙台は、自信を持って4-4-2ブロックの色を強める守備体勢に。
懸念された左サイド(長崎から見て右サイド)もしっかり守備を固め、かつハーフレーンの(ヴァウドの)持ち運びには鎌田がその前方を埋める姿勢を取って対策し。
結局長崎は逆サイドに活路を見出し、笠柳に仕掛けさせる事ぐらいしか出来なくなり。
36分にはその笠柳がカットインからミドルシュートを放つも、これはやや強引に映るものであえなくGK林にキャッチされ。

それでも、最終ラインでの繋ぎにGK若原も加わり。
それもボックス内のまま若原がパスを出し入れする事で、仙台のハイプレスを誘発しに掛かり。
迎えたアディショナルタイム、その若原がパス交換ののち右ワイドの増山へフィードを通して前進開始。
中央へ渡ったのち、秋野が縦パスを送った先は左ワイドから絞っていた笠柳と、目線を変えて中央から突破が図られ。
そして笠柳→ジェズスフリック→エジガルと経由してエリア内を突き、エジガルのシュートが放たれましたが、ゴール右へ僅かに外れ。
非常に痛い決定機逸で、暗雲を振り払う事に失敗した長崎。

結局0-1のまま前半終了。
ピースタがビハインドとなったのは今季初で、こうなると縋りたい無敗神話も重圧と化するのみになり。
負の要素を振り払うべく、このハーフタイムで動く下平隆宏監督。
安部・笠柳→山田・松澤海へ2枚替えと、リーグ戦でも見られた交代策を早めに敢行する事となりました。

今一つ強引さが目立ったこの日の笠柳。
それに対し同ポジションで投入された松澤海は、積極的に仕掛けるのは変わらずも、サイド奥を取ったうえでの展開の色を強め。
これでポケットを使っての好機も膨らむ、そんな予感を孕ませる入りとなり。

しかしその中で、ビハインドとなったが故の焦りも感じられ。
後半3分にその松澤海がキープの最中真瀬のアタックを受けた事で反則となると、中盤近くの位置にも拘わらず(キッカー秋野が)放り込み。
そしてエリア内ながら遠目の位置でエジガルがヘディングシュートに持っていくも、威力に欠けてGK林がキャッチ。
とにかくフィニッシュに繋げたいという思惑に、折角の強力な駒も空回り気味となり。

そしてビルドアップも遮断される事で徐々に仙台ペースに。
迎えた8分、仙台が敵陣でボール保持の局面に入ると、中島から最終ラインへ戻したのち右サイドへ展開。
突入したパスワークを経て、戻し→(工藤蒼の)裏へミドルパス→郷家という定型の崩しでサイド奥を突くと、蓋をする米田に対し足を延ばして強引に繋ぐ郷家。
球際を制するというこの絵図が奏功し、拾った真瀬のグラウンダーでのクロスから、ニアで合わせたエロンのシュートがゴール右へと突き刺さります。
長崎が反撃の機運を高めたいという時間帯で、それを折るべくの貴重な追加点が齎され。

これで2点が必要と、苦しくなった長崎。
猛威を振るったジェズスの個の力も、それに負けないかつ組織力に長けた仙台ディフェンスを前にしては、稼働範囲は非常に狭く。
やはり彼を止められるだけのディフェンス力が無いクラブ(愛媛や鹿児島とか)が終盤の相手であったため、その評価は割り引かなければならなかったでしょうか。

ともかく苦境の長崎は、降りてくるエジガルへミドルパスを届けるという手法を多用するようになり。
そして15分にヴァウド→櫛引へ交代と、硬直感がありありなビルドアップの改善も図った(と思われる)最終ライン同士の交代。
直後の16分、秋野ミドルパス→エジガルポストプレイというその立ち回りから、受けた松澤が中央からエリア内を突いてシュート。
しかしこの決定機も、GK林が脚でセーブというビッグプレイに阻まれます。

一方の仙台、18分にギリェルメの前進を阻んでのカウンターで、中島の中央突破からエロンに再び好機が訪れ。
中島のラストパスをダイレクトでエリア外からシュートしたエロンでしたが、枠外に終わったのみならずそのまま足を痛めてしまい。
攣ったかどうかは不明(放送席では攣ったとの事だが時間が早い気が)で、今後に不安を残しながら担架で運ばれて交代となってしまいます。
オナイウを投入(郷家がFWに回る)し、同時に鎌田→松井へ交代と、2枚替えで勝利へと向けた進軍を崩さない体制維持を図る森山佳郎監督。

櫛引の投入で、CBも長い距離間を保って繋ぐ色が強まる長崎最終ライン。
それでも山田ないしは秋野が降りる3枚での繋ぎという基本形は変わらず、交代以降果敢に寄せてくる仙台ディフェンスに難色が高まります。
そして23分、左サイドで詰まらされてのフィードが工藤蒼にブロックされ、敵陣右サイドでの保持に持ち込んだ仙台がポケットを突いて(真瀬が)スルーパス。
カットに当たるもそのままスペースへこぼれたボールを、走り込んだオナイウがシュート。
GK若原がセーブするも、跳ね返りを眼前で拾った郷家の追撃のシュートには成す術無く、ゴール上部へと突き刺さります。
決定的な3点目に、歓声と悲鳴が鳴り響くピースタ。

それでも失意の姿を見せる訳にはいかない長崎、25分に再度ベンチが動き。
ギリェルメ・エジガル→中村・名倉へと2枚替え、ジェズスがセンターフォワードへと回ります。
(この日の)ギリェルメに足りなかった、フリーマン的な動きが中村によって齎されるという具合に、ベンチの狙いが明白であったこの交代策。

そして31分、降りて受けた中村を経由し左サイドへ展開されると、松澤海が奥へ切り込んでカットイン。
ポケットから仕掛けるという姿勢で戻しを選択すると、山田の横パスがエリア内中央でフリーとなっていたジェズスの下へと、意表を突くに十分なプレーに。
満を持して、といったジェズスのダイレクトでのシュートがゴール左へと突き刺さりました。
ようやく1点を返し、僅かな望みを繋ぐ長崎。

それもつかの間、仙台のキックオフから右サイド深めへと運ばれた事で、再度追加点の危惧が高まり。
ここから仙台のゲーゲンプレスで押し込まれた末に、(名倉が郷家に対し)反則を与えた事で仙台の右ワイドからのフリーキック。
キッカー中島のクロスが中央を抜けてファーの松井の足下に合いシュートが放たれ、GK若原が至近距離でこれをセーブと、際どい凌ぎを強いられる事で反撃の機運は萎んでいき。
その後真瀬が足を攣らせた事を受け、仙台は同ポジションで石尾を投入します。(39分)

それでも前掛かりになるしかない長崎。
しかしそれによりロングボールにおける脆弱ぶりは深刻となり、45分にはこぼれ球をラフにダイレクトで蹴った石尾のロビングがそのままエリア内右へ。
これをバウンドさせながら収めた相良がディフェンスを背負いながらシュート(枠外)と、築かれたレールは仙台の更なる得点に向けてとなったでしょうか。

その通りに、突入したATは目安+8分と2点奪うには十分?でしたが、仙台が決定機を量産する流れに。
中島のパスカットからのショートカウンターで、左ポケットに進入した郷家のシュートをGK若原がセーブ、その跳ね返りを追撃にいく相良。
このシュートも米田が何とかスライディングでブロックと、既に2点差を追い掛けるチームの絵図では無く。

そして最後は、石尾の自陣からのドリブルを止められないという、総員前掛かりの裏を突かれ。
中央へのラストパスが中島に渡ると、戻ってきた増山を冷静にいなして放たれたシュートがゴール左へと突き刺さります。
文字通りの止め、という表現が良く似合う4点目となりました。

その後は残っていた交代カードを使う(中島・相良→松下・中山)も、5バックの体勢は取らずに3ボランチの4-5-1というような布陣で守りきりを図る仙台。
長崎は櫛引を前線に上げてのパワープレイで打開せんとしますが、そんな最後の意地も形になる事は無く。
結局1-4で試合終了の時を迎え、仙台が決勝戦に進出。
相性の良さは、長いブレイクがあっても邪魔されないという格好で勝利に辿り着きました。

屈辱の一戦となってしまった長崎。
個人的に敗因を挙げるとすれば、エジガルの起用が拙かった感があり。
これで守備時はジェズスとの2トップとなりましたが、彼らが最終ラインにプレスを掛ける事で、出来た2列目のスペースで難なく仙台ボランチがボールを受ける場面が頻発してしまい。
つまりは連動性の欠如であり、彼を終盤戦の通りスーパーサブに留めておけば避けられたような弱点に映りました。
これも「普段のサッカー」からのズレを生み出す一因でしたが、敗戦という事実は変えられず。
天国も地獄も味わったピースタの下、来季一年間を戦う覚悟を作り出す事が出来るでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第38節 清水エスパルスvsロアッソ熊本

2024-11-28 16:00:51 | サッカー視聴記(J2)

※前回の清水の記事はこちら(35節・山形戦、1-2)
※前回の熊本の記事はこちら(35節・山口戦、1-1)

<清水スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 36節(栃木戦、1-0)で勝利した事で自動昇格が決定し、前節(いわき戦、1-0)の勝利でJ2優勝も確定。
  • その36節からスタメンを3バック(3-4-2-1)へと切り替えたが、今節再び基本の4-2-3-1へと戻して挑む。
  • 36節で退場になった北川は2試合出場停止の2試合目。

<熊本スタメン>

何度か躓きの傾向も見られたものの、無事前評判通りに自動昇格に辿り着いた清水。
前節に優勝も決定したものの、その後GK権田の今季限りでの退団が発表されるという具合に、既に始まっている来季構想。
現場も現実に戻されたかのように、若手を大量起用する運びとなった最終戦。

そんな「王者」に対し、今季は開幕戦と最終戦で立ちふさがる格好となった熊本。
前年は清水に対し内容で圧倒し(成績は1勝1敗)、まさに天敵と呼ぶに相応しい相手となり得ただけに、道中で相対しなかったのは清水にとって逆に運が良かった感があり。
攻撃面を中心に組織力は圧巻の一言で、それを構成する選手の殆どが新人・若手と、清水とは真逆のアプローチである編成面。
言わば大木武監督の手腕一本で成り立たせている風であり、その大木氏も既に来シーズンの続投が決定と、その進撃に一寸の狂いも見られない……といった所でしょうか。
しかし逆に藤本主税コーチの退任が決定、この試合後には伊東の引退が発表されるなど、功労者がその役目を終える事に。
マンネリ化の防止、と前向きに捉えるのは簡単ですが、果たして来季の戦いは如何に……と言う前にまずは眼前に迫った王者との戦い。

GK猪越・川谷・加藤と、これまで(リーグ戦)未出場の選手をメンバー入りさせた清水。
しかしその浮つきぶりは早速現れ、前半2分にGK猪越のフィードが前に出た岩下にカットされ、そこからの速攻でコーナーキックに持ち込む熊本。
この左CKから、ショートコーナーからのパスワークを経て上げられた小長谷のクロスを、ファーでキャッチしたGK猪越でしたが着地と同時にファンブルしてしまい。
慌ててクリアしたボールを石川がブロック(その後繋がらず)と、不安ぶりを見せた事で、その後チーム全体にも波及してしまったでしょうか。

もう一人の若手である最前線の郡司、こちらは攻撃の選手らしく前向きな姿勢が良い方に発揮され。
8分に左サイドで矢島のボール奪取から、パスを受けた郡司は釣り出した江﨑をボールキープでかわしたのちそのままドリブルで左奥へ。
そして入れたグラウンダーのクロスは中央で、ブラガポストプレイ→乾シュートとフィニッシュに繋がったのみならず、ブロックされたこぼれ球を郡司自ら反応してシュートを放って(ブロック)終えました。

ここからCKを3本続けた清水、熊本の多彩な攻撃に対し受け身にならない姿勢を見せ。(その流れで、ここからサイドハーフの位置が暫く左右逆になる)
しかしそれも直ぐに終了する事となり。

10分が経過すると、熊本は最終ラインからの繋ぎで、豊田が中に絞り上村周とのドイスボランチへと可変する形へと固定化。
これが実にハマり、上村周の右に位置取ったうえで、時には「偽サイドバック」のようにハーフレーンを前線まで駆け上がっていく豊田。
14分には間を通すパスを受けた豊田が持ち運び、小長谷→大本と経由して上げられたクロスを、ニアで石川がフリックのように合わせるも枠を捉えられずとフィニッシュにも繋がります。

対する清水は18分頃からSHを再度入れ替え、ブラガ・矢島ともにスタートの位置に。
その後から暫く保持のターンが続いたものの、熊本のハイプレスと、奪えなかった時の素早い戻りで形になる事は無く。

すると24分、前に出た岩下のパスカットが、文字通り清水からペース自体を奪うものとなり。
ここからの熊本の攻撃は苛烈さを極め、一度途切れてもすかさず積極的に前に出てボール奪取と、全く隙を与えない姿勢を貫き。
そして次々と襲うミドルシュート、24~27分に立て続けに豊田×2・小長谷のシュートと3本続け、いずれもGK猪越がセーブ。
以前ほど目立たなくなったものの、ショートパスでの前後移動に対し前に釣られてスペースを開けてしまうという、清水ディフェンスの弱点は残ったままであり。
それはトライアングルでのショートパスを多用する熊本にとっては格好の餌食という他無く、前年からの相性の悪さも納得するしかなく。
一方後方でも、岩下が相手のプレスの方向を見て、生まれるスペースへ持ち運んでかわすという具合に前進の多彩ぶりが行き渡っている熊本。

かくして前にいくプレスも、退いての守備も出来ないという状況に陥ってしまう清水。
何とか攻撃で巻き返しを図りにいくも、31分に熊本のゲーゲンプレスを浴びながらの前進で、郡司が縦パスを収められず奪われた所から熊本の決定機に繋がり。
パスワークを経て送られた上村周の左ポケットへのスルーパスに、走り込んできた大本(ゲーゲンプレスにより逆サイドに張り出していた)がシュート。
前に出てきたGK猪越の上を抜くループシュートがゴールを襲いましたが、その後ろで蓮川がブロックで防いだ(跳ね返りを猪越が抑える)事で何とか失点は免れました。
しかし守備での不安を隠すべくの攻撃も繋がらないという、三方駄目な状態では苦境はその後も続くのも当然であり。
35分に大西の右からのアーリークロスを東山が脚で合わせシュート(GK猪越キャッチ)、36分に東山→小長谷のパスが遮断されるもエリア内へこぼれた所を石川が拾ってシュート(住吉がブロック)と、熊本のフィニッシュは止まる事無く。

それでも40分にCKからの攻めで、清水のクリアしたボールが岩下の急所に当たるというアクシデントで途切れた事で熊本の勢いも切られ。
43分、三島のトラップが乱れた所をブラガが奪うという逆パターンで好機が訪れる清水、ドリブルからラストパスを受けたのは郡司。
ペナルティアークからシュートを放つも豊田のブロックに阻まれ、評価を変えるべくの得点は挙げられずに終わり。
結局前半のみでお役御免となってしまいました。

アディショナルタイムが取られないという珍しい前半となった末に、ハーフタイムへ突入。
前述の通り郡司に加え、矢島も交代させる手段を取った秋葉忠弘監督。
西澤とタンキを投入し、ブラガが左SHへシフトと前目の2選手を弄って後半開始を迎えました。

入りの後半1分、いきなりロングパスを収めたタンキを江﨑が反則で止めざるを得ないという、そのポストワークで郡司とは段違いの存在感を見せ付け。
その後も4分、乾のドリブルが阻まれたこぼれ球を拾ったタンキ、フィジカルを活かした豪快な持ち運びを見せた末に上村周に反則を受け。
あれだけ熊本優勢だった流れを、そのパワー一本であっさり塗り変えるに至ります。

一方再三振り回された後方、つまり守備でも微調整。
オリジナルフォーメーションは変えずも、守備の際は西澤が最終ラインに降り、ウイングバック化する事で5バックで守る体制へと切り替え。
これによりスペースを消しつつ、相手の中盤でのパスワークに対し原が果敢に前に出てプレッシャーを与える事で乱しに掛かります。

7分にゴールキックでのロングフィードから、またもボールを持ったタンキがマークを振り解きながら前進、そしてミドルシュート(ゴール上へ外れる)と相変わらずパワーを発揮。
しかもそのプレッシャーのおかげで、保持による攻めも巧くいくようになる好循環。
特に守備時での可変が生み出す、西澤・原による2段階というべき右サイドでの攻めが嵌り、次々と押し込んでいきます。
西澤がワイドに張る際はその内側で原が上がるという具合に、熊本のような組織立った攻めで主導権を奪い。

そして16分、その基本形から先制点が生まれます。
原がワイド・西澤がハーフレーンに位置してパスワークでの前進で、ポケットに入ったラストパスから乾が(シュート気味に)クロス。
これがブロックされるも、拾った原がカットインを経て中央寄りから果敢にシュートを放ち、ゴール左へと突き刺さります。
狙い通りの崩しによるリードに、ホーム(IAIスタジアム日本平)の雰囲気も最高潮となり。

前半とは一転した展開の末に、ビハインドなってしまった熊本。
キックオフの前に小長谷→唐山へと交代し、巻き返しを図ります。

19分にカウンター阻止で(唐山を倒した)西澤が反則・警告と、流れを変える機会はあったもののそれは中々果たせず。
すると20分、乾のスルーパスが遮断されたこぼれ球を宮本が拾った事で、「良い守備も奪いきれずに剥がされる」状況を強いられる熊本。
持ち運びからエリア内へ送られたスルーパスを受けたのはタンキで、やはりそのボールキープ力を活かし溜めを作るという手法が選ばれた末に、戻しを経て放たれた乾のミドルシュート。
これがゴールバーを掠めるフィニッシュとなり、スタンドの熱量も手伝い尚も追加点というムードとなる清水。

何とかそれを断ち切り、本腰を入れて攻め直しに掛かった熊本。
しかし5-4-1の守備は、いかに守りに入ると脆い清水といえど崩す難易度は跳ね上がり。
GK以外全員敵陣に入り込み、パスを繋いで前進を図りますが前半のような決定機は作れません。
24分に持ち込んだCKで、クロスの跳ね返りから放たれた三島のシュートもGK猪越にセーブされ、どうしてもゴールを奪えない流れに。

尚もCKから攻めるも、(江﨑の)原への反則で途切れた(原は治療を受けたのちピッチ外→復帰)所で再度カードを使う熊本ベンチ。
三島・東山→黒木・大崎へと2枚替えを敢行します。
黒木は最終ラインでは無くそのまま左WB……と見せかけ、豊田と同様に中央寄りでのプレーが中心となり。
イメージとしては、黒木・豊田をシャドーと見立てた3-3-2-2(3-1-4-2)という布陣がしっくり来るようなシステムとなりました。(ないしは2021年に採っていた3-1-4-1-1か)

そうした特異な布陣により、再度攻勢に入る熊本。
32分には左サイド深めで大崎がボール奪取に成功と前からの圧力も発揮、そこからの繋ぎを経てクロスが上がり、跳ね返りを清水サイドが拾った所をさらに上村周がボール奪取し継続。
こぼれ球を繋ぎ、大本が石川とのワンツーで右ポケットを取りにいき、そのままダイレクトでシュートを放ちましたがGK猪越がキャッチ。

試合の入りから不安視されたGK猪越ですが、シュートストップという面では実力を発揮し、度重なるフィニッシュでもゴールを割らせず。
若手が頼もしく映った所で、34分さらに川谷の投入に踏み切ります。(ブラガと交代、同時に宮本→中村へと交代)
川谷は特にフィニッシュには絡めずも、スルーパスに追い付く(43分)などスピード自慢ぶりを発揮して無事デビューを飾り。

得点できないまま終盤を迎えた熊本、42分に最後の交代を敢行し大本→松岡。(大崎が右へ回る)
44分に持ち前の細かいパスワークを経て、唐山が持ち運びを経て右ポケットへスルーパス、奥で受けた大崎がディフェンスに遭うも右CKに。
するとまだ早い段階ながらGK田代も上がってターゲットに加わり、何としても同点に追い付く体制を取り。
攻撃サッカーを貫く姿勢は一貫しているという熊本ですが、ここから齎されたのは清水のカウンター。
二次攻撃で松岡が切り込まんとした所を蓮川が阻み、こぼれ球を西澤がリターンしてドリブルに持ち込む蓮川。
当然GK不在な状況で、必死に戻り蓮川の前に立ちはだかる田代を嘲笑うかのようにタンキへとパス、そのタンキはエリア内へ持ち込んでからのシュートを選択。
しかし田代は戻りきれなかったものの、黒木のスライディングが間に合う形となり、ブロックで何とか凌ぎました。

そんな慌ただしい流れのままATへ突入し、清水も最後の交代を敢行。(成岡→高木、西澤がボランチに回る)
熊本は左スローインからの繋ぎで、入れられたアーリークロスの跳ね返りを確保した末に石川がミドルシュート。
これがブロックを掠めてゴール左に外れると、左CKの際にまたも上がりエリア内に加わったGK田代。
意地を貫く格好となりましたが、然したる成果は挙げられませんでした。

結局1-0のまま試合が終わり。
ハッピーエンドで締めくくった清水が、J2最後の試合(となるかは今後次第……)も勝利で飾りました。

かくしてJ2という地を後にする事が決まった清水。
この2年間を糧として……とは定型文が過ぎますが、それでも一度目の2016年とはJ2の顔ぶれはガラリと変わり、特に目立つのは何かに全振りしたクラブの増加。
パワーに特化した秋田や、この日の相手である組織力一辺倒の熊本など、個性溢れるクラブと相対した事。
そしてその中で苦闘に塗れながら、掴んだ昇格の切符の味。
決してそれらに足で砂をかけるような真似をせず、今度こそ生まれ変わる事が出来るでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J2リーグ第38節 ヴァンフォーレ甲府vs水戸ホーリーホック

2024-11-27 18:04:52 | サッカー視聴記(J2)

※前回の甲府の記事はこちら(33節・山形戦、1-2)
※前回の水戸の記事はこちら(36節・いわき戦、2-1)

<甲府スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節(秋田戦、1-2)出場停止だった林田・佐藤・マンシャの3名がスタメンに復帰。
  • 関口が累積警告により出場停止。
  • 負傷離脱していたGK河田が36節(山口戦、0-2)で復帰し、前節からスタメン出場。
  • 35節(千葉戦、1-2)で負傷交代したヘナト・アウグストは以降ベンチ外。

<水戸スタメン>

  • GK本間が前節(山形戦、1-3)スタメン、ならびに引退セレモニーが開かれる。そして今節もベンチ入りを続ける。
  • 36節で負傷交代した久保、ならびに前節負傷交代した前田はともに以降ベンチ外。

前節のホーム最終戦で、偉大なる存在のGK本間の引退試合を敢行した水戸。
今季は森直樹氏が新監督の座に就いた14節(熊本戦、2-0)以降、精神的支柱(というよりは、監督の気心知れた存在としてか?)のように殆どの試合でベンチ入り。
外野からすればまだ出来る・必要だという思いが錯誤する状況に映るものの、本間本人が会見の場で話していた「シュートストップ能力の衰え」と、現場並びに本人にしか解らない要因とあれば納得する他無く。
かくしてセレモニーが行われたのちの今節も、アウェイである甲府の地に帯同しベンチ入りと、最後まで選手としての役目を全うする運びとなりました。

その甲府は、劇的な天皇杯優勝(2022年)・J2クラブとしてACLグループリーグ突破(2023年)と、華々しい戦績から一転した今シーズンの歩み。
背筋が凍るような低迷に今後が不安視されるものの、ホーム最終戦とあっては、それを吹き飛ばすような試合を演じるのは不可欠であり。
水戸に本間が居るように、甲府にも山本英臣が居る(この日はベンチ外ですが)……と無理矢理結び付けるのはナンセンスですが、苦しい時に精神面で頼りにしたい大ベテランの存在。

ロングボールの応酬というのが試合の入りの定番で、水戸がその手法により押し込みに成功する、この試合も例に漏れずとなり。
しかし前半3分に左から大崎のロングスロー、このセカンドボールを甲府が拾った事で展開されるカウンター。
三平がボールキープでゲーゲンプレスをいなして縦パスを送ると、上がっていた村上を中継役とし、スルーパスでさらに前線のアダイウトンに。
これにて一気にGKと一対一というビッグチャンスが訪れますが、エリア内へ切り込み放たれたアダイウトンのシュート、股抜きを狙ったもののGK松原が脚を閉めてこれをセーブ。
前節を経て、本間の精神と能力が乗り移ったかのようにいきなりビッグセーブを見せます。

しかしその松原のセーブも報われるとは限らないのがサッカーの常で、尚も右コーナーキックから攻める甲府。
キッカー佐藤のクロスをマンシャが合わせにいくという絵図で、手前でクリアに入った牛澤がボールを右腕に当ててしまい。
肘を振っていた事でハンド(ないしはその肘によるマンシャの頭部へのチャージ?)ならびにPKを取られ、フイにする格好となってしまいます。
このPK、キッカーを務めたのはアダイウトンで、緩急をつけた助走を経てゴール右へ強く蹴り込み。
これにもGK松原は反応して触れるも、勢いが勝りゴールネットを揺らすボール。
いきなりの決定機逸も何のその、という先制点を挙げました。

再度のキックオフとなった水戸、大崎のロングパスで右奥へと運んで好機に繋げ、CKへ持ち込んで気を取り直し。
早期の失点であり、引き摺らないのが何より重要となり。

そして追う者に相応しく、ボール保持による攻撃の色を強めていく立ち回り。
3バックの左右が大きく開き、ボランチの片割れ(主に山﨑)がその間に降りるという最終ラインの可変、即ち「ミシャ式」によるビルドアップ。
対する甲府の前線はリードした事もあり、三平がアンカー(主に櫻井)を切る立ち位置を取っての様子見。
無理なハイプレスにはいかず、櫻井を経由させない事でサイドでの前進を強要させるのが主たる姿勢となりました。
しかしそれを見た水戸は、ドイスボランチが横並びとなるオーソドックスな体勢での繋ぎを混ぜ合わせ、三平の監視を無効化させつつ中央経由で運び。
14分に大崎から左で前進する姿勢と見せかけ、櫻井へ通したのち逆の右へ展開しての前進、山本隼が持ち運んで右ハーフレーンからミドルシュート。(GK河田キャッチ)

一方甲府の攻撃も保持の姿勢を見せ、こちらはボランチが降りる事の無いほぼオーソドックスな形での繋ぎ。
一応、アダイウトンが左ワイドに張るという可変はあれど、追い掛けるためある程度ハイプレスに出る必要のある水戸にとっては対処し易く映ったでしょうか。
佐藤に対して同じボランチがプレッシャーを掛ける事で、容易なボランチ経由での前進を許さず。

こうして水戸優勢の流れが出来上がると、23分に再び横並びとなるドイスボランチを根底としての攻めで、しかし今度は新井を活かした左ワイドでの前進。
カットインから山本隼への縦パスは遮断されるも、こぼれ球を拾った甲府に対しゲーゲンプレスを掛け、三平から奪取した櫻井がその勢いのまま倒されて反則。
これで左ワイドからのフリーキックを得た水戸は、キッカー櫻井はエリア内中央へインスイングのクロス。
クリアするにしても後ろを向いてのそれは難度が高く、GKに任せればその前で触られる可能性が出てしまい、誰も触れなければそのままゴールという絶妙なキックになり。
そして甲府ディフェンスは最初の選択肢を選んだ結果、井上のクリアがゴールに向かうものとなり、これをGK河田が弾くも尚もゴール方向へ転がるボール。
そこに選手が殺到し、いち早く詰めた山田が押し込みに成功してゴールに突き刺さります。
自身のペースをしっかり得点に繋げた水戸により、試合は振り出しに。

一方の甲府、この乱戦で井上が足を痛めてしまう事態が発生するも、何とか継続の運びに。
ここから前線は微調整したようで、水戸のドイスボランチの横並びに対しては、鳥海が付く事で三平との2人で対応する姿勢へと移行します。
しかし得点により勢いづく水戸の攻勢を止めるのは難しく、さらに対策への対策として、純粋なサイドでの運びの色を強めて好機を作り続ける水戸。

結局浅い位置での遮断は諦める甲府、リトリートからアダイウトンを活かしたカウンターの姿勢を取る事でプレッシャーを与えに掛かり。
29分には草野のミドルシュートをキャッチしたGK河田、そのまま素早くスローし、中山を経由してアダイウトンに繋げ。
そのアダイウトンは期待通りにドリブル突破で水戸の最終ラインを壊しに掛かるも、ここは牛澤が何とかボール奪取して防がれます。

その後も水戸がボール保持による攻めでひたすら押し込み、敵陣ではロングスローを駆使しつつボックス内を突き。
しかしカウンターの恐怖を植え付けた事で、42分に甲府がロングボールで左スローインに持ち込むと、ラインアウトしたボールを山﨑がさらに外へ蹴り出した事で遅延行為で警告を受け。
ボールサイドに居たアダイウトンを気にしての蛮行となり、一見守勢に映る甲府の姿勢の効果は出ていたようでした。

結局1-1のまま前半終了。
ボールを握り、好機の面でも大きく上回っていた水戸。
その一方で、リアルストライカーの色が強い中島はパスワークの輪に加わらず、中央に張る事を貫いていたため殆どボールに触れられず。
相手にプレッシャーを与えるのに不可欠なその姿勢も、ボールに関与しない事によるフラストレーションとの戦いを強いられるという具合に、ストライカーは孤独である……なんて事を考えてしまい。

一方の甲府、足を痛めていた井上を大事を取って退かせ、宮崎を投入。
彼を右ウイングバックに入れ、村上を最終ラインに下げるという弥縫策を採り後半に臨みました。
しかしその村上も元はFWの選手であり、どれだけやれるかは未知数。
確実に弱点を隠すには攻める他無いという、判り易い姿勢を取ったでしょうか。

そしてそれが功を奏し、後半2分に最終ラインから組み立てを図り、マンシャがアダイウトンへ縦パスを通して前進開始。
アダイウトンの脅威で水戸の意識を左ワイドへ偏らせると、一転して中央へ展開しての崩しを図り、鳥海が持ち運んでエリア内へラストパス。
すると既に中央ボックス内へ先回りしていたアダイウトンがポストプレイ、水戸ディフェンスを引き付けた末に鳥海がダイレクトでシュート。
流れるように放たれたこのフィニッシュがゴール左へと突き刺さり、前半の劣勢を振り払うような勝ち越し点が齎されました。

これで前半と同じく、後半もビハインドからのスタートとなってしまった水戸。
これも前半同様に直ぐさま気を取り直し、ボール保持による攻勢に入り。
5分、純粋な左サイドでの前進で、縦パスに入れ替わった新井が奥へ切り込んでのカットイン。
ポケットでディフェンスを引き付けて入れられたクロスが、ファーで完全フリーの長澤へと送られましたが、若干マイナス方向へ流れたため長澤は(ボレーで)合わせるのが精一杯となってしまい枠外に。

非常に痛い逃し方をした水戸、やはりその後に待ち受けていたのは被決定機。
水戸の攻勢を切った甲府は、8分に左スローインから左奥~ポケットでの繋ぎで、一度はカットされるも荒木が奪い返し。
そしてラインを上げたディフェンスの裏を取った鳥海が、中山のミドルパスをボックス内で1トラップからボレーシュート。
GK松原が身体でこれをセーブと、またも守護神に救われた格好となりましたが、この後の左CKでやられてしまうのも前半の再現になってしまい。
クロスの跳ね返りを繋ぐ甲府、再度キッカー佐藤の下に戻ってくると、上げられたクロスは中央のマンシャへピンポイントに合うボールに。
完璧なヘディングシュートでゴールネットを揺らしたマンシャにより、リードを広げた甲府。
ホーム最終戦で高まる勝利の機運に、すっかり劣勢ぶりは消え失せる事となりました。

こうなると、尚も続く水戸のポゼッションに対しても、余裕が生まれたかのように振舞い。
12分には最終ラインでの長いパスに対し、出足良く前に出てカットした荒木がそのまま持ち運んでミドルシュート(GK松原キャッチ)とショートカウンターも出来るようになり。
それでも2点差を得た事で基本はリトリートという意識を貫き、水戸にボールを持たせて自陣を固めます。

これにより苦しくなった水戸、前半のようなボランチ経由のために頭を使う必要は無くなりましたが、フィニッシュに繋げる難度は爆上がりとなり。
17分にベンチも動き、山﨑・草野→長尾・落合へ2枚替えを敢行するも流れは変えられず。
逆に18分、甲府のGKへのバックパスに対しラインを上げた所、GK河田のその裏を取るロングフィードで一気に危機を招き。
抜け出した鳥海がGKと一対一を迎える、これも前半にあったワンシーンの再現となり。
エリア内へ切り込み、満を持して放たれた鳥海のシュートを、GK松原が左足を伸ばしてセーブとまたも防ぎます。

冷や汗を掻いた水戸、20分に甲府のハイプレスを呼び込み、GK松原の小さいフィードを落合がレイオフで繋ぎ脱出。
長尾の1タッチでのロングパスを左ワイドで受けた新井、そのままドリブルで左ポケットへ切り込んでカットイン、中央からシュートを放つもマンシャがブロック。
このシーンのように相手が出てきてくれるのならまだしも、それ以降はやはりボールを持たされる状況が長く続く事に。
一応、投入された落合が降りる事で、「1アンカー+2インサイドハーフ」の色を強めて繋ぐ体勢へと変節を見せるも効果は薄く。
中央に張る中島も、依然としてボールに拘われない状態が続きます。

25分攻撃が途切れて甲府ボールになった所を大崎が奪うという形で、ショートカウンターに入った所に山本隼が(マンシャに)反則を受け。
これにより中央からの直接FKを得ましたが、まずはベンチが動き山本隼→齋藤へと交代。
そしてその齋藤が(大崎のフェイクを交えて)直接シュートを放ち、ゴール右を襲ったこのフィニッシュをGK河田がセーブ。

しかしその後、最終ラインから作り直しを迎えた所で、バックパスに誰も反応出来ないというミスを起こしてしまい。
アダイウトンに掻っ攫われるという泣きっ面に蜂の状況が生まれ、そのまま左ポケットまで持ち運びシュートが放たれるも、枠を大きく外して何とか命拾い。
直後にそのアダイウトンが交代の運びとなり、木村を投入した甲府ベンチ。

有り得ないようなミスの絵面も招き、必然的に反撃の機運が高まらない水戸。
38分に最後の交代を敢行、牛澤→野瀬へと交代したうえで、4-4-2へ布陣も変更。
最終ラインは右から野瀬・長尾・山田・大崎となり、ドイスボランチが櫻井・落合、サイドハーフは右に齋藤・左に新井。
そして長澤がFWに回り、中島と2トップを組む体制に。
一方の甲府も40分に三平→内藤へ交代、これが最後の采配となった結果カードを残したままとなります。

41分にその内藤が長尾のロングパスをブロックし、ショートカウンターを迎えるかという所で、中山が奪われてしまい逆に水戸のカウンター。
すかさず斎藤から送られた裏へのロングパスに中島が走り込むという、滅多に来なかったフィニッシュのチャンスが訪れる事となった中島。
マンシャと縺れ合いながらもボール確保し、そのまま右奥へと切り込みましたが林田の反則気味のアタックでロストしてしまい終了に。
たまらず、納得いかないという態度で(長澤とともに)主審に抗議した中島でしたが、悪態をついた事で意義による警告を得るのみとなり。
その姿に、やはり貯め込んでいたフラストレーションは相当なものだという事は伺えました。
その後43分に野瀬のクロスを合わせてヘディングシュートを放った(GK河田キャッチ)中島でしたが、結局これが最後の見せ場となり。

突入したアディショナルタイムも、冷静に水戸の攻勢を凌ぎ続ける甲府。
そして2点差を保ったまま、試合終了の時を迎えます。
これにより得た勝ち点3で、対戦相手の水戸を上回ったもののそれでも14位。
年を重ねる毎にJ1昇格がどんどん遠のくという感覚は避けられませんが、天皇杯・ACLというフィーバーも終わったとあれば、捲土重来をじっくり待つのが最善な気がしますが果たして。

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