<前節からの変化>
琉球=スタメンは11人とも不動、ベンチには阿部・富所が入る
千葉=FWが櫻川ソロモン→サウダーニャ、右シャドーに風間→高木、ボランチに田口泰士→熊谷アンドリューと3人変更。
ベンチメンバーも小島・佐々木・西久保・篠原と4人が一新される。
一桁順位をマークし、前年以上の成績を目指す事が期待されるクラブ同士の対決。
これ以上の順位となれば、当然昇格を狙うのを込みとなりますが、それには早い段階での勝利でムードを上げる事が不可欠であり。
琉球は善戦しながらも引き分け、千葉は逆に不覚を取って敗戦という開幕節であり、文字通り勝ち点3をもぎ取りたい一戦となりました。
未だ冬の季節から抜けない気候、とはどこ吹く風である沖縄県での試合。
半袖姿のサポーターも数多眼にする中、千葉・尹晶煥(ユンジョンファン)監督のスーツを着こなす姿に逆に違和感を覚えてしまう中で、迎えたキックオフ。
前半1分に早くも、初スタメンのサウダーニャが右サイドでのキープから、マイナスのカットインを経てミドルシュートを放った千葉。(ブロック)
その推進力は健在ながら、いささか強引で周囲が見えていないようなプレーを見せるなど扱いが難しいタイプですが、前節敗戦での嫌な流れを払拭するにはこういった選手を乗せるのも必要でしょう。
そんなサウダーニャのプレーで試合に入った千葉でしたが、その後は琉球がペースを掴み。
ショートパス主体の攻撃に、2トップ(草野・上原慎也)に対するくさびを巧みに加え前進。
7分に右からのスローインの連続で攻撃、クロス攻勢ののち、にこぼれ球を大本落とす→金井→武沢と繋げた末に武沢のスルーパスがエリア内右へ。
走り込んだ福村がクロス気味にシュート(GK新井章太セーブでコーナーに)と、流れるような攻撃。
9分には上原慎のポストプレイから、敵陣でサイドチェンジを繰り返して揺さぶった末に右から大本のクロス。(クリア)
多彩な攻撃で、千葉を自陣に封じ込めて主導権を握るかに思われました。
しかし琉球の攻勢は止み、千葉の攻勢が始まります。
3バック+ボランチ1人の千葉のビルドアップに対し、プレスを合わせるのに難儀する琉球といった印象で、これにGK新井章のロングフィードが前線に繋がるのも加わり好機を量産していき。
19分には右サイドから決定機が生まれ、福満が高木とのワンツーを交え右ハーフレーンに移り、そのままミドルシュート。
強烈なボールがゴール左を襲うも、ポストに直撃してしまい惜しくもゴールならず。
勢いを得た千葉の前に、琉球はマイボールになっても前進する事がままならず試合が経過していき、迎えた25分千葉の右CK。
(田口が不在なため)この日キッカーを務めていた高木のクロスがニアサイドを突くと、流れた所に合わせにいった新井一。
上半身(肩?)に何とか当ててゴールに吸い込まれるという、やや不格好なシュートになりましたが、先制ゴールが生まれた千葉。
攻勢を見事に得点で締める事となりました。
ビハインドとなった琉球、攻めなければならない状況を力に変え、主導権を取り戻しに掛かります。
29分には右サイドで金井の低いクロスが上がり、クリアされたボールを上原慎がダイレクトでシュート。(GK新井章キャッチ)
2センターバック(大森・中川)を左右にずらし、(サイドバックの片側が絞っての)3枚の形を作ってのビルドアップが目立ったこの時間帯の琉球。
この場面で金井のように、SBを前に上げて攻撃に拘わらせるという意図が強く出ていたでしょうか。
また、左サイドハーフの池田が中央に位置取る頻度も多く。
しかし変形する事で安定感を失ったのか、千葉の中盤でのパスカットが目立ち、そこから好機。
31分には小林のカットから、福満のスルーパスを受けた高木がエリア内へ進入してシュートを放ち、ゴール左を襲って際どく外れ。
また縦パスが遮断されてのカウンターも受け、そこで持ち味を発揮するのはサウダーニャ。
38分にはカットでこぼれたボールを見木が拾いスルーパス、これがダイレクトでサウダーニャに渡り、左サイドからのドリブルでエリア内を突いた末にシュート。
惜しくもサイドネットで終わるも、カウンターの脅威を印象付ける事となり。
琉球は新人ボランチ・武沢がキラーパスの供給源となっていましたが、リードして守備意識が強まった千葉の前に、通る事は殆ど無くなってしまい。
結果としてクロス一辺倒という印象を残し、0-1のまま前半を終えます。
琉球ベンチも機能不全と見たのか、ハーフタイムに2枚替えを敢行。
上原慎・池田→清武・中野へと交代して後半に臨む事となり。
一方の千葉も、末吉→西久保へと交代し、右ウイングバックに入る事で福満が左WBへと移ります。
新人・西久保を起用してきた千葉、放送席の弁では「空中戦が強い」との事。
後半3分にスローインのボールをフリックして繋げた西久保、そこから右サイドでパスを繋いで前進し、西久保のクロスが。
しかしこれは精度を欠いてしまい、ストロングポイントと新人らしい緊張ぶりを感じさせる一幕が見られました。
思えば前節は、岩手の徹底した右WB・宮市を狙ったロングボールに苦しめられた苦い経験を強いられた千葉。
インスパイヤしたかどうかは不明ですが、サイドにターゲットとなる選手を加え、以降後方からのロングボール攻勢を楽にする事となります。
7分に千葉が中盤でフリーキックを得たにも拘わらず、キッカーなはずの高木は前線に。
これで誰も蹴りに行かずに遅延行為となってしまい、止む無くボールの位置にいった熊谷が警告を貰う破目に。
ややバタバタしたようなシーンでしたが、千葉の優勢は変わらず。
8分には右サイドから西久保がロングスローを見せ、こぼれ球を福満が拾いシュート。
ブロックされたボールを西久保が拾い、上がったクロスをサウダーニャがヘディングシュート。(ミートせず)
攻勢を掛けたい琉球、前年までのような斜めの縦パスを入れて好機を作らんとしますが、中々シュートまでは持っていけず。
13分に福村の縦パスを武沢がフリック気味にさらに前へ送り、草野のポストプレイを受けた清武が前進。
ディフェンスに遭った所を、後方から武沢がミドルシュートを放ちましたが千葉・熊谷のブロックに防がれ。
千葉の中央を崩せず、前半とは逆にクロスの数が減る事で好機も少なくなり、劣勢が否めない展開となります。
そして16分、再度千葉のカウンターが火を噴き。
それも鈴木大輔のロングパスが直接サウダーニャに渡り、そのまま右サイドをドリブルしてエリア内に進入と、前半の再現のようなシーン。
そして必死に戻った琉球のDF4人を次々にエリア内で巧みにかわしたサウダーニャ、シュートをゴール右へと突き刺して仕上げ。
千葉は当初の狙い通りの、サウダーニャの個人技を発揮させての追加点となりました。
その後も千葉ペースは続き、サウダーニャの裏抜けをGK田口潤也が飛び出してクリアしたり、高木が敵陣でパスカットしてそのままシュートを放ったり(ブロック)と跳梁する前線。
何とか流れを変えたい琉球、20分に右サイドから大本が前進してクロス、ブロックされて右CKに。
キッカー福村のクロスが中央に上がり、クリアされるもエリア内やや左で中野が拾う好機。
中央へ切り返してシュートした中野、GK新井章のセーブも及ばずゴール右へと吸い込まれ、1点を返した琉球。
2点差となってから最初と言ってもいい好機をモノにし、望みを繋ぎます。
これで勢い付きたい琉球でしたが、以降も千葉のディフェンスの前に難儀し、ペースを掴めず。
千葉がボールカットから押し込み、CKを得た所で3枚替え。(27分)
サウダーニャ・高木・熊谷→櫻川・篠原・小島へと交代し、運動量を担保しに掛かります。
一方の琉球、直後(28分)に武沢・大本→上里・阿部へと2枚替え。(阿部がFWに入り、清武が左SH・中野が右SHに回る)
この苦境をベテラン2人の力で打開しにいった琉球。
前向きなベクトルも強まったものの、依然として好機を生み出せず。
目立ったのは33分、清武が激しいスライディングで千葉・見木を倒してしまい反則・警告を受けた場面と、苦しい展開は続きます。
38分には逆に千葉・小林の反則で、セットプレー攻勢に入る琉球。(FK→CK2本)
左サイドからキッカー清武がクロスを入れ続け、3本目のクロスはゴールを襲うボールとなるも、GK新井章がセーブ。
この際に新井章がポストに激突し倒れ込むなど、千葉サイドも必死の様相が見られる中、40分台に突入します。
42分に再度千葉はカウンター、GK新井章のフィードを落とした見木が、櫻川のヒールパスを受けてドリブル。
エリア内左を突いたもののクロス(シュート?)はブロックされ、GK田口潤がキャッチ。
43分にパスワークで攻める琉球、左からのクロスが跳ね返されたのちも繋ぎ。
上里の縦パスを阿部がヒールでポストプレイ、エリア内中央で受けた草野がシュートを放ったものの、GK新井章に防がれて同点ならず。
以降千葉の攻撃機会は無くなり(45分に福満→佐々木に交代)、完全に琉球がゴールを奪うか否かの展開となり(44分に福村→富所に交代)、アディショナルタイムへと突入。
中盤で繋いだのちのミドルパスを受けた阿部がエリア内左からシュート(ブロック)するなど、疲労の激しい千葉ディフェンスも好機を許し始め。
そして右CKから、キッカー清武はライナーでのクロスを入れると、沼田が合わせヘディングシュート。
しかしゴールバー上部に当たってしまい、僅かな所でゴールを割れず仕舞いとなった琉球。
結局1-2のまま、千葉が今季初勝利に辿り着きました。
スタメン入れ替えが奏功した一方で、古巣対戦が期待された風間が出場無しに留まるなど、非情な選択で結果を得た千葉。
昇格組の岩手相手に良さを消されて敗戦してしまった開幕節を踏まえ、「昇格候補」と持て囃されてきたオフシーズン(自分もですが)から目を覚まし、過酷な戦いに挑むという共通認識を得るに至ったでしょうか。