※前回の大分の記事はこちら(5節・千葉戦、2-1)
※前回の水戸の記事はこちら(6節・甲府戦、2-4)
<大分スタメン> ※()内は前節のスタメン
- 前節(町田戦、1-3)は後半から4バックで戦う。
- 2節以降負傷離脱していた安藤智が9節に復帰しており、今節スタメンに復帰。
- 坂の負傷が発表されるも全治は未定。今季は未出場なので発生はキャンプ中か?
- GKティシェイラの負傷が発表されるも、坂と同じく発生日・全治は未定。
<水戸スタメン>
- 前節(藤枝戦、1-4)負傷交代した後藤田の詳細が発表されるも、全治は不明。
- ユース所属のGK佐久間が2種登録選手に。
大分が今季ホーム全勝(5戦)なのに対し、ホーム未勝利の水戸。
アウェイでは2勝2分1敗とそれなりの成績であり、今節はそのアウェイで大分に乗り込み。
別の意味で『ほこたて対決』のような様相の一戦となりました。
特に水戸の方はホームで3敗(2分)もさる事ながら、その3戦で13失点と守備崩壊としか言いようがない試合を強いられており。
とうとうこの日は、後藤田の故障という要素も絡みましたが4バックを大幅入れ替えという措置を取り。
特にセンターバックは山田が6試合ぶりの出場、田辺に至っては何とプロ初スタメンと、斬新な名前が並びました。
試合が始まると、大分がスローインからの攻めを連発して押し込む入り。
守備が課題の水戸サイドは何とか凌ぐも、いざ攻撃のターンになると大分のプレッシングもあり前に運べず仕舞いとなり。
何とか前半6分、クリアボールの跳ね返しを拾った草野がドリブルに入りますが、ペレイラのチャージを受けて奪われ(反則無し)好機に繋げられず。
つまりは専守の状況となり、経験の浅いディフェンス陣にとっては早くも試練を強いられます。
そんな水戸の最終ラインを見てか、この日の大分はロングボールを多くする攻撃に舵を切り。
これは相手対策か、ないしは自身のビルドアップがイマイチ故の判断なのかは意見が分かれる所でしょうか。
大分は3バックの基本形から、左右のCBのどちらかがサイドに張り出しての2センターバックのへと変形させる最終ラインから組み立て。
これが水戸の2トップでの前線の守備と噛み合う事を意識した感があり。
ともかくそのロングボール重視の攻めで、水戸・田辺のクリアミス(17分)もありエリア内の伊佐に何度かチャンスボールは渡り。
それでも際立ったフィニッシュシーンは作れず、主導権を握っているにしては物足りなさが残る展開の大分。
一方攻撃は形にならない水戸。
前回観た際は、自身のターンとなっても前への運びがあまりにも性急な攻撃を繰り返す事により、甲府が反撃に転じると脆さを露呈したという典型的な落ち着きが足りない試合となり。
この日の立ち上がりはそれ以前という問題でしたが、攻めのペース配分が出来ないというチーム特性では却ってそれが良かったでしょうか。
21分にゴールキックからショートパスでのビルドアップ、サイドへ展開すると例によって素早い運び。
鵜木がワンツーで前進ののちスルーパスと、相変わらず休まる暇がないといった絵図の前進ですが、草野が右ポケットを突いてマイナスのクロス。
これを中央で小原が合わせシュートするも枠を捉えられず。
大分は23分に左コーナーキックを得ると、キッカー中川のニアサイドへのクロス、クリアボールが高く上空へ上がり。
これをGK山口が抑えにいくも混戦故に跳び出せずにこぼれ、宇津元の足下に転がるという紛れが生まれたもののシュートには行けず。
ロングボール中心の攻撃故に、こうしたエリア内での紛れを狙っていた節がありましたが、全体としては偶発性に頼り気味に映り。
フリーキックも、かなり遠目からの位置でも放り込みを選択するという具合に、空中戦に全振りといったような立ち回り。
その影響もあり、低身長の中川ですら何度か浮き球をヘッドにいくシーンも作られ、どうにもサッカーが合っていないという印象を残しました。
そんな大分の圧力を受ける水戸、少ない攻撃機会をフィニッシュに繋げて活路を見出す流れに。
34分にクリアしたボールを前田がスルーしてFWに渡し、梅田のパスを受けた鵜木が前進ののちエリアすぐ手前からシュート。(ゴール上へ外れる)
こうした素早い攻めからのシュート、前回は欠点の方が露わとなりましたが、この日のように劣勢の中では逆に光明となり。
水戸も何度か好機が生まれた事で、どちらが優勢か判別し辛い展開となり。
アディショナルタイムに入り、大分は左サイドのスローインから野村のサイドチェンジを経て右から前進。
攻撃参加するペレイラのクロスが上がり、ファーサイドで野村が合わせにいきましたが、ディフェンスに遭いこぼれたボールが腕に当たってしまいハンドで途切れ。
中々埒が明かないといった絵図が続く中、前半最後には宇津元がボール奪取からドリブルで突き進むという変わった形での好機。
しかし前田に倒されて反則で止められた(前田に警告)ため、FKによる好機へと移行し、キッカー野村のクロスから再びエリア内で空中戦。(その後拾った藤本が左ポケット奥に切り込むも撃てず)
結局はエリア内での混戦による攻防という最後のシーンを経て、前半終了の笛が鳴りました。
共にハーフタイムでの交代は無く、同じメンバーで後半開始を迎え。
大分が立ち上がりの後半1分に、中川がミドルパスを胸で収める(シュートにはいけず)という、前半同様浮き球メインの攻撃の様相を見せ。
一方の水戸は縦パスを巧く繋げ、特に敵陣での斜めのパスを受ける鵜木の動きが絶妙で、レーンチェンジで大分ディフェンスを揺さぶる攻撃。
後半5分には右からのスローインで、大崎が低いボールを投げ入れて裏を突くなど、前半と比べて相手ディフェンスの揺さぶりに趣を置いたようであり。
その中で攻勢を維持したい大分。
前半終盤に見せたような、左右のCBの攻撃参加で人数を厚くして仕掛けていくも、やはりフィニッシュには辿り着けず。
7分にデルランが左サイド奥へと運び、ディフェンスを受けこぼされるもエリア内で拾い継続。
その後野村を中心にエリアを出し入れするパスワークを続けるも、結局はシュートを撃てず終わります。
前線に良い流れが生まれない大分、それが最終ラインにも波及してしまいます。
10分ビルドアップの繋ぎをミスしてしまい、前に出た杉浦のカットから水戸のショートカウンター。
右ハーフレーンで拾った鵜木が中央へ向かい前進と、またもレーンチェンジを経てシュートを放ち。
これがデルランにブロックされるも、方向が変わったボールを杉浦がヘディングで押し込みゴールネットを揺らします。
大分の退潮気配を、見事にゴールに繋げた水戸。
反撃に移りたい大分。
ボール支配の下地を作りたいはずですが、これまでアバウトな攻めを続けてきた影響か、ボールが定まらず右往左往するシーンを長く続けてしまいます。
13分に2枚替えを敢行、宇津元・伊佐→屋敷・長沢へと交代してもその流れは変えられず。
アタッキングサードを窺ってもクリアされ、結局また蹴り合い・ヘディング合戦に突入……という絵図。
それでも1点が欲しい大分の立場は変わらず。
20分にポストプレイに入った長沢が田辺に倒され、遠目ながらも中央からのFK。
キッカーは野村で直接シュートも匂わせましたが、ここは放り込みを選択し、その後右スローインへ。
ここからの繋ぎで右ポケットを窺うパスワークから、中川がファーサイドへ高いクロスを送ると、野村がジャンピングボレーにいき。
しかしジャストミート出来ずと、どうしても綺麗なフィニッシュとはいきません。
一方の水戸も24分にベンチが動き。
草野・梅田→安藤瑞・寺沼へ2枚替えと、2トップをそっくり入れ替えて来ました。
押し込んだ末に敵陣でスローイン→CKと、セットプレーでの好機が続く大分。
迎えた27分、藤本・弓場→高畑・保田へと2枚替えした直後もその流れから右CKに持ち込み。
キッカー高畑の中央へのクロスを安藤智がヘディングシュートと、今度こそ会心のフィニッシュを放ちましたがGK山口の左手一本でのセーブに阻まれます。
こぼれ球をペレイラが詰めにいくも安藤瑞を倒してしまい、反則で途切れ。
凌ぐ水戸守備陣ですが、この際に田辺が足を攣らせてしまい交代となり。
代わって長井が投入され、同時に鵜木→井上へと交代します。
一つフィニッシュに持ち込んだ大分ですが、同時にエリア内の空中戦でどうにかするしかない流れが固定化する事にもなり。
33分に左サイドでパスを繋ぎデルランがクロスを入れ、長沢がスルーでファーサイドの屋敷に受けさせたものの、長沢の戻りオフサイドを取られて終了。
35分にターゲットを増やすべく、中川→上夷へと交代し安藤智が前線へとシフト。
パワープレイの体勢といってもいい布陣になります。
前向きのベクトルは最高潮といった大分ですが、その隙を突くように逆に水戸の決定機が生まれる、サッカーあるあるの展開となるその後。
40分にGK山口のロングフィードから、セカンドボールを繋いで寺沼に渡ると、左ポケットへのスルーパスに安藤瑞が走り込んでシュート。
前に出たGK西川がブロックして防ぐも、跳ね返りを反応良く寺沼がシュートし、ゴール寸前でデルランがブロック。
さらに寺沼がヘディングで詰めるも枠外と、追加点の恐怖に晒されます。
その後もエリア内へボールを送り続ける大分と、それを切って敵陣に持ち込む水戸。
既にATも近くなりボールキープ重視へと切り替え、敵陣深めでFKやスローインを交えて時間を使う立ち回り。
その中でも、45分に左からのスローインを寺沼が左ポケットでポストプレイ、受けた安藤瑞がシュート。(デルランがブロック)
AT突入後も、左サイド奥でキープする安藤瑞がディフェンスを剥がしてカットイン、マイナスのクロスを井上に通す(シュートは撃てず)という具合に大分ゴールを脅かし。
得点の機運は水戸の方が高いのでは、という流れとなります。
何とか失点を防ぎ、ペレイラ・デルランの両CBをも前線に上げる体勢に全てを賭ける大分。
デュエル勝負に舵を振り切るも、その反動で水戸の寺沼や大崎が痛んで倒れ込むシーンも生まれ、流れを呼び込めません。
逆にまたも決定機を迎える水戸、新里(小原と交代で出場・AT)のスルーパスに走り込んだ寺沼がグラウンダーでクロス、中央で安藤が足で跳び込んで合わせ。
GK西川が足でセーブと寸での所で防ぎ。
何とか左サイドでのFKに持ち込むも、既に目安の5分は過ぎており、最後の好機という事でGK西川が前線に加わり。
キッカー野村のニアサイドへのクロスに、跳び込んだ西川でしたが合わせる事は出来ず。
クリアされた次の瞬間試合終了の笛が鳴り、大分はウノゼロで膝を屈する結果となってしまいました。
逆にスタメンのテコ入れが奏功した格好で、ホームの大分に土を付けた水戸。
ようやく上位陣に対しての勝利を挙げた事で、波に乗りたい所でしょう。