あすか塾

「あすか俳句会」の楽しい俳句鑑賞・批評の合評・学習会
講師 武良竜彦

あすかの会3月    2024年

2024-03-24 14:45:03 | あすかの会 2024 令和6

        あすかの会秀句    春の季語「鳥帰る」兼題「揺」    2024年3月22日   

 

 野木桃花主宰の句

漕ぐやうに風が揺らして半仙戯 

囀や花回廊の奥の奥

健気さを力となして嶺桜

山越えて来る風を待ち帰る鳥

 

 野木主宰特選

透析に射しこむ日差しヒヤシンス    かづひろ

 武良竜彦特選

金管にタワー映して春を行く      悦 子

 秀句 選の多かった順

木々の揺れうつろに見てる春の風邪   さき子

 

青き踏む歩ける今を歩きけり       尚

再会を誓ふ約束鳥帰る         典 子

戦なき空を選んで鳥帰る        さき子

料峭の一人シーソー沈むまま      ひとみ

 

抜き足に軋む階段冴え返る        尚

忘れ雪落して揺らぐ笹の音       市 子

思い出も居場所のひとつ冴返る     さき子

揺りかごの小さきまどろみ花菜風    玲 子

春水や歯朶の葉先の揺れ止まず     玲 子

離るるも向かふも故郷鳥雲に      玲 子

揺り椅子の誘ふ夢やあたたかし     ひとみ

白椿生まれて生きてただ去りぬ     都 子

青空を背に無心なる土筆摘       礼 子

鳥帰る引越先の家の鍵         礼 子

 

初蝶やこの世に迷いたるように     さき子

鳥帰るその先何かきな臭し        尚

ハモニカの男は揺れて春の土手     典 子

鳥雲に都邑の空に溶けるまで      みどり

北帰行ぼんやり想ふ父のこと      みどり

巻寿司に入れる庖丁鳥帰る       かづひろ

三月の鯉のゆるんで尾を揺りぬ     かづひろ

鳥雲に安堵と淋しさ綯い交ぜに     市 子

池の面の雲を揺らして亀鳴けり     玲 子

釣釜の揺れに心を杓加減        悦 子

青き踏む生きるではなく生かされて   ひとみ

春疾風二日続きの戸の軋み       礼 子

 

京言葉の叔母の手を取る花の苑     かづひろ

混沌を揺り醒ましをり春の雷      みどり

揺りかごの捨てられてをり春陽中    みどり

心根の微妙に揺るる春の宵        尚

猫柳川面光りて立ち揺らぐ       市 子

鳥帰る天空ふさぐ峰四方に       市 子

「チェルシー」も別れのころか鳥帰る  典 子

三月や初めて使ふ万年筆        典 子

薄明に残るともしび鐘おぼろ      悦 子

参勤を終へて封地へ鳥帰る       悦 子

新緑の揺れてさしくる         英 子

若々しよりも品良く春ショール     英 子

せせらぎに揺るる葉先や竹の秋     英 子

挨拶をするかに肩に紋白蝶       英 子

横たはる背に土手の草鳥帰る      ひとみ

紺暖簾揺らし角打ち春の宵       礼 子

冬木の芽固く閉ざして雑木山      都 子

ふらここを漕げば心も踊り出す     都 子

家並の途絶えし空や鳥帰る       都 子

 

〇 参考 武良竜彦の句

   黒田杏子一周忌

杖欲(ほっ)し泉下の杏子(ももこ)に借りる春

川の音は弔辞か能登の春の雪

雪解川揺るる命を岩の陰

難破船のごとき列島鳥帰る

 

 

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