あすかの会秀句 「霾」「映」 2024年4月26日
◎ 野木桃花主宰の句
灯に映えて寺の一樹の茂りかな
風神のいたづら黄砂を巻き散らす
映画館出て黄塵の街ゆがむ
大通り吹き抜く黄砂のふる日和
◎ 野木主宰特選
新緑を映して眩し一途な眼 市 子
◎ 武良竜彦特選
鑑真の開かぬ眼黄砂降る 典 子
◎ 秀句 選の多かった順
戦塵の紛れ降るやも霾ぐもり さき子
花曇鰡の光の大岡川 ひとみ
看板はわかば薬局黄砂降る 玲 子
新緑映ゆる身支度旅衣 市 子
ボンネットに黄砂落書きしだす指 市 子
姉の指山折り谷折り春ひと日 都 子
どの山も肩なだらかに笑いけり さき子
映画果てエンドロールを追う日永 さき子
知恵の輪がはずれたよママ春日陰 礼 子
雪形の仔馬たちまち育ちゆく 玲 子
観音の御手に夕映え初桜 玲 子
結末の苦き映画霾ぐもり みどり
故郷の景黄砂降る中にあり みどり
還暦やあへて濡れゆく花時雨 みどり
こんなときに召集令状霾晦(よなぐもり) かづひろ
小綬鶏や踏みつけられし天邪鬼 かづひろ
峠には首無し地蔵忘れ霜 かづひろ
げんげ田に一歩一歩の忍び足 礼 子
春夕暮映画館出る人無口 礼 子
花粉浴び黄砂を浴びて四月尽 尚
自撮りする映えスポットや春の蝶 尚
映画で観るごとき日常春愁ふ 都 子
甘茶掛け小さき仏の声を聴く ひとみ
風光る海を映して一輌車 典 子
霾や詰襟の首こそばゆし 典 子
大陸の太古の匂ひ黄砂降る 玲 子
行く春や板碑(いたび)の文字を読み切れず 悦 子
花冷の寺の回廊いく曲り さき子
霾天やこめかみあたり揉みほぐす 尚
夕映えの空に影富士長閑なる 尚
花は葉に都電の走る西早稲田 みどり
また一軒解体家屋紫木蓮 典 子
さくら餅笑み交ふ二人緋毛氈 悦 子
面映ゆげな久の二人や花の夕 悦 子
モノレールの車輪撫でてる春休み 悦 子
料峭や山坂多き永田町 悦 子
春の川目ぶ追ふ文字が曲となる 都 子
霾晦続く地震の行く末は 都 子
降る桜蹲踞し映す奥会津 かづひろ
霾ぐもり青き扉の家ありて ひとみ
夕映の橋行く影や暮かぬる ひとみ
箒目の窪みにもあり霾れり 礼 子
霾ぐもり子に見えわれに見えぬ峰 市 子
〇 ゲスト参加句 武良竜彦
似た名前呼ばれ振向く目借時
違ふ日に逝きしちちはは黄砂降る
天に臼回す音する穀雨かな
碧眼の映画スターや春の果
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