7月 あすかの会秀句 兼題「吹」「暑」 2024年7月26日
◎ 野木桃花主宰の句
古書漁る初老の背中桜桃忌
友も老い過去は語らず心太
猛暑日や総身にミスト充填中
この影はステゴサウルス夏木立
◎ 野木主宰特選
夕涼や吹けばビードロ異国めく 典子
◎ 武良竜彦特選
小さき脚背ナで踊るよ夏祭 都子
◎ 秀句 選の多かった順
吹いて叩いて村のふくらむ夏祭 悦子 最高得点句
カラメルを煮詰めたような溽暑かな 尚 最高得点句
電柱の影まで拾ふ街酷暑 尚 準高得点句
シベリアといふ菓子買ひぬ夕立雲 かづひろ 準高得点句
灯台の海霧の吹鳴馬脱走 かづひろ
猛暑中蟹の威嚇のあはれなり かづひろ
黙深し真昼にさらす日向水 悦子
正座して「一」と墨書や涼新た 悦子
灼けて着く荷の重たさや昼日中 みどり
通し土間里より届く荷の涼し みどり
風に髪のせて草笛吹く少女 尚
鉱泉の手掘トンネルかたむり かづひろ
黒髪の結び目高く大南風 ひとみ
パリ五輪夏の川面に波踊る ひとみ
青き湖望み伊吹山のお花畑 ひとみ
もう起きて歩いてみるか熱帯夜 ひとみ
青田径吹かれて気力とりもどす 市子
暑気払ひ出で湯に心解き放つ 市子
暑気中り夕飯の箸重くなる 市子
空蝉の祈るかたちに吹かれおり さき子
噴水の一人芝居の静寂かな さき子
雨といふ彩を重ねて花なすび 英子
雷去りて小間吹き抜ける風柔し 英子
水音の近きに憩ふ残暑光 英子
まどろみにもう来ぬ電話待つ晩夏 玲子
藁屋根の一叢の草南吹く 玲子
若者の息吹みなぎる神輿かな 玲子
つけ爪の細工見せ合ふ夏祭 礼子
大欅ぐるりに工夫三尺寝 礼子
極暑なり街から人間消えにけり 都子
ぽこぺことビードロを吹く音涼し 尚
碧い海白き灯台大暑なり 典子
子に譲る籐の箸置涼しげに 典子
日雷真赤な銃痕残るまま 典子
暑気中り体ころがす畳かな さき子
老後など考えぬ手や水を打つ さき子
腕の児のまだ泣き止まぬ暑さかな みどり
吸いのみに残る夕焼や小さき草 みどり
かなたよりこだま呼び込む夏の山 玲子
赤鼻緒切れて聞こえる祭笛 悦子
夏落葉吹き寄せくるも縁かな 市子
広げゐし羽根すきとほるオニヤンマ 英子
老若の大あくびする大暑かな 礼子
法螺を吹く学友と居て大花火 礼子
菖蒲田のうすら陽に映ゆ濃紫 都子
吹き出した汗も気体となる一日 都子
◎ 参考ゲスト作 武良竜彦
蛍草妣の歌集に花栞
はなますや任侠映画と全共闘
千年の目覚めのごとし月見草
炎天の礫や我が身を立ち尽くす
講話 あすか塾 63
◎ デジタル大辞泉 から
ほたる‐ぐさ【蛍草】
読み方:ほたるぐさ
ツユクサの別名。《季 秋》
ほたる‐そう【蛍草】
読み方:ほたるそう
1 ホタルサイコの別名。
2 ホタルカズラの別名。
◎ きござい歳時記 から
露草(つゆくさ)三秋
【子季語】
月草、かま草、うつし花、蛍草、青花、帽子花、百夜草、鴨跖草
【解説】
道ばたや庭先にふつうにみかける秋の草。貝の形の小さいがあざやかな青い花は、古くから染料にも使われてきた。月草、蛍草ともいう。
蛍草(ほたるそう/ほたるさう) 晩夏
【子季語】
蛍柴胡(ほたるさいこ)
【解説】
セリ科ミシマサイコ属の多年草。日本各地の日当たりのよい山地などに自生する。草丈は一メートル以上にもなり、茎の上部で枝分かれする。八月ころ茎の先端に複散形の花序を伸ばし、黄色い粒状の小さな花をつける。
蛍蔓(ほたるかずら/ほたるかづら) 初夏
【解説】
ムラサキ科イヌムラサキ属の多年草。日本各地の日当たりのよい山地に自生する。草丈は十五センチから二十センチくらい。葉は細長い楕円形で五センチくらい。五月ころ茎の上部の葉の付け根に青紫色の花を咲かせる。
『みだれ髪』(みだれがみ)
日本の歌人・与謝野晶子作の処女歌集である。一九〇一年(明治三四年)。
女性の恋愛感情を素直に詠んだ斬新な作風は当時賛否両論を巻き起こした。
この歌集は、与謝野鉄幹との激しい恋愛の過程で生み出された。随所にちりばめられた強烈な官能美と、かつてない大胆な自己の肉体への賛美は、当時の若い人々の胸に秘めた思いを代弁した。それは同時に、因習的な風土から自我を解放することにつながり、明治中期に花開く浪漫主義運動の、確固たる指標ともなった。
一九七三年(昭和四八年)に、孫の与謝野馨(後の第七四代内閣官房長官)によって主婦の友社から復刊されている。
その子二十櫛にながるる黒髪のおごりの春のうつくしきかな
清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき
やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君
むねの清水あふれてつひに濁りけり君も罪の子我も罪の子
くろ髪の千すじの髪のみだれ髪かつおもひみだれおもひみだるる
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