我は生れながらにして
葉公、孔子を子路に問う。
子路 対えず。
子 日わく、
女 奚ぞ 日わざる、
其の人と為りや、
憤を発しては 食を忘れ
楽しんでは以て 憂いを忘れ、
老の将に至らんとするを知らざるのみと。
ショウコウ、コウシヲ シロニトウ。
シロ コタエズ。
シ ノタマワク、
ナンジ ナンゾ イワザル、
ソノヒトトナリヤ、
フンヲハツシテハ ショクヲワスレ
タノシンデハモッテ、ウレイイヲワスレ、
オイノマサニイタラントスルヲシラザルノミト。
現代語訳
楚の国の葉県の長官である葉公が、
孔子とはどんな人なのかと、弟子の子路に尋ねた。
しかし子路は答えなかった。
すると 先生はおっしゃった。
「おまえは なぜ こう 言わなかったのか。
その人は、道を得られない憤りに食事すら忘れ、
道を会得した時には喜び楽しんで心配事を忘れ、
老境晩年の迫っていることにも気付かない、
ただ それだけの人間なのだ」と。
子 日わく、
我は 生れながらにして
之を知る者に 非ず。
古を好み、
敏にして 之を求めたる者なり。
シ ノタマワク、
ワレハ
ウマレナガラニシテ
コレヲシルモノニ アラズ。
イニシエヲ コノミ、
ビンニシテ コレヲモトメタルモノナリ。
現代語訳
先生は おっしゃった。
「私は生まれながらに道を知る天才ではない。
古の聖人の学問を好み進んで道を求めた者である」
参照
博学な孔子のことを天才と思う人もいたのでしょう。
孔子は「自分はただの学問好きだ」と言っています。
孔子の学問に対する ひたむきな求道心は、
誰にも 真似ができません。
古典を学ぶという一生のテーマを見つけた孔子の、
学者としての姿が よく描かれています。
子路は④⑩⑮㉑にも 登場してますよね。
勇敢で 単純 一本気
孔子に 最も可愛がられたと 言われています。
そして 最も愛されたのは 顔回だそうです。