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シリア騒乱と修羅の世界情勢
ヘンリー王子 戴冠式で国歌歌わずと報道「彼がそこにいる意味は何?」との声も
回顧録「スペア」の出版などでヘンリー王子は英王室と確執を生んでいた。そんな最中の戴冠式出席ということで英国中がヘンリー王子の動向を注目していた。
SNSではこの件について議論が噴出。同紙はいくつかのツイッターユーザーのコメントを紹介している。
しかしエラーゼ氏は、戴冠式は「国王の生涯で最も重要な週」と表現しつつ、戴冠式後もフロッグモア・コテージに残って今後の関係修正を考えて父親をサポートするか、父親や家族、国民の多くに背を向けて急いで米国に帰り、息子を幸せにするかの選択を迫られており、それは「地獄の選択のようなものだ」と語っている。
同氏は「画期的に歴史的な日に、ヘンリー王子があまりにも速く走り去ったと認識されれば、国王や他の王室メンバーは侮辱されたと感じるかもしれません」とも語っている。
チャールズ三世戴冠式を迎えたイギリス王室の現状 “Monarch”, “H.M. and H.R.H.”そして“Harry” 国際政治のキーワード番外編【GW集中連載】
世論調査で評判が芳しくない“Harry”
先日、日本にやって来た知り合いのイギリス人の20歳の息子が、王室を巡る会話の途中、ぼそっとこう呟いた。「僕には“Harry”=ハリーの気持ちが良く分かるんだ」
ご存知のように“Harry”とはチャールズ国王の次男、サセックス公ヘンリー王子の愛称で、彼の国ではこう呼ばれることが圧倒的に多い。お堅いBBC放送のニュースでもそうだ。
その“Harry”の評判は、これまたご存知のように世論調査では芳しくない。
英紙「アイ」が5日伝えた最新の調査によると彼を肯定的に評価する声は30%に満たず、反対に評価しないという声は46%に達する。メーガン妃への評価は更に悪い。王室離脱を巡るごたごたのせいである。
その更に下を行くのは故エリザベス女王の次男にしてチャールズ国王の次弟、ヨーク公アンドリュー王子で、評価するは僅か11%、しないは63%にも達する。セックス・スキャンダルの為せる業である。
王家の一員であっても“H.R.H”の肩書がないと…
このハリー王子夫妻、そして、アンドリュー王子に共通するのは、表題にある“H.R.H“の肩書を現在は使っていないと言う点である。“H.R.H“は男性の場合は”His Royal Highness”、女性の場合は“Her Royal Highness”の略語で、日本語では”殿下“もしくは”妃殿下“に該当する。
イギリスでこの“H.R.H“の肩書を使っていないということは、王家の一員であっても現在は王室の公式主要メンバーではないという事を意味する。例え女王の息子、国王の息子でも”殿下“として処遇されないのである。
具体的には王室の重要公務には従事しないし、政府による身辺警護もつかない。確とは分からぬが、王室から仮に金銭的支援がされているとしても相当圧縮されている筈である。
故エリザベス女王の葬儀に出席する際だったと思うが、ハリー王子はスコットランド・ヤードによる身辺警護を求めたものの拒否されたと伝えられた。これは“H.R.H“ではないからである。
ハリー王子もアンドリュー王子も王位継承権は保持したままだし、将来、“H.R.H“の肩書が戻る可能性はあるが、現時点では、その差は歴然としているのである。
チャールズ皇太子(当時)と離婚した故ダイアナ妃も、“Princess of Wales”の肩書を保持することは認められたものの、“Her Royal Highness”ははく奪された。
一方、表題で“H.R.H“と並べた”H.M.“は”His Majesty”、もしくは”Her Majesty”の略語で、日本語では“陛下”に該当する。チャールズ三世は“His Majesty The King”である。現職の王には”The“が付くのである。
因みに、筆者は故エリザベス女王も自らの事を”The Queen”と呼んでいた場面をテレビで見たことがある。そして、周りが直接呼びかける際は“Your Majesty”、他の殿下や妃殿下には”Royal Highness”と呼び掛ける事が多いように記憶している。
「ハリーの気持ちが良く分かる」理由とは
冒頭の「僕には“Harry”=ハリーの気持ちが良く分かるんだ」という発言に戻りたい。
その場で深くは追及されなかったのだが、イギリス国民の“Harry”への低評価にも拘わらず「気持ちが良く分かる」と上記の20歳の息子が言ったのは“Harry”の行動を指して言ったのものではないだろう。一人の息子としての彼の心情について述べたのだろうと思われる。
想像してみよう。
自分の父親には結婚前から愛人が居た。自分の母親と結婚した後もずっと、兄と自分が生まれた時もその後も、父親はその愛人関係をずっと維持し、自分の母親を踏みにじり続けたとしたら、息子としてはやるせないのは不思議でも何でもない。挙句の果てに、母親は事故で非業の最期を遂げ、愛人が継母になった。穏やかな気持ちでいられる筈も無い。冒頭の20歳の息子はその心情を「良く分かる」と言ったのであろう。
同様に複雑な気持ちを抱かざるを得ないイギリス国民は決して少なくないと思われる。
余計な事だが、ロンドン駐在中にハイド・パークの真ん中を縦断する道路で、渋滞の中をたった一人で車を運転していた故ダイアナ妃に遭遇し、その憂いの表情に驚愕した筆者も、単なる一外国人に過ぎないが、その一人である。
「君主制」支持の国民はたった52%
表題に掲げたもう一つの言葉“Monarch”は”君主“を指す。”Monarchy”と語尾に”y”が付くと“君主制”になる。日本やイギリスのような立憲君主は“Constitutional Monarch”、立憲君主制は“Constitutional Monarchy”である。
当然ながらイギリスの現在の“Monarch=君主”は国王・チャールズ三世である。そのチャールズ三世を戴く君主制に対する国民の支持は、同じ調査によれば52%しかない。戴冠式前のものだが、かなり低いと言って良い。御祝儀相場も無い。故ダイアナ妃のもう一人の忘れ形見、ウイリアムズ皇太子夫妻に対する肯定的評価も63%しかない。この調査を何処まで信ずるべきかは別問題ではあるが、抜群の支持と人気を誇った故エリザベス女王への評価とは様変わりしているように思える。やはり抜群の人気を誇った故ダイアナ妃がチャールズ国王と共に王妃として戴冠したならばかなり違う結果になったかもしれないが、これは言っても詮無い。しかし、カミラ妃への肯定的評価は同調査では35%しかない。
現在のイギリス王室に対する国民の評価が芳しくない理由として、もう一つ記したい。
それはチャールズ国王が、人によってはスーパー・リッチと呼ぶ程の大金持ちだからである。王室資産も個人資産も莫大で、しかも、個人資産についてはどうやら相続税を払っていないらしいことが挙げられる。
チャールズ国王の総資産は3000億円?
ロンドンに住んでいると否が応でも気付かされるのだが、イギリス王室の資産は、慎ましやかな日本の天皇家とは桁違いである。
例えば、日本で言えば銀座の一等地や日比谷公園周辺の一等地に相当するリージェント・ストリートやリージェント・パーク周辺に行くと王冠のシンボルマークの付いた標識をしばしば目にする。
この王冠付きの標識は、その物件が“Crown Estate”、直訳すれば“王冠不動産”の資産であることを意味する。
その“Crown Estate”は今では政府の管理下にあるのだが、国王の領地でもあると言って良く、そこから上がる経済的利益の25%は王室の公費に当てられることになっているという。
それ以外に、国王にはランカスター公領と呼ばれる領地、皇太子にもコーンウォール公領と呼ばれる領地があって、様々な事業を展開しているのだ。
1か所に固まっているのではない。あちこちにある。エリザベス女王が最後の地に選んだスコットランドのバルモラル城も元々はヴィクトリア女王の夫君が購入した個人資産でチャールズ国王が相続した。
英紙「ガーディアン」はチャールズ国王の総資産を少なくとも18億ポンド≒3000億円に達すると推計しているが、その実態は不明である。
そもそも公表されていないし、どこまでが王室資産で、何処からは個人資産家かも分からない。
我が国の皇室や世界の数ある王室と比べ、イギリス王室がその資産規模でも大き過ぎるのは紛れもない事実なのである。
最後になるが、”Monarchy”=“君主制”の反対語は“republic”=“共和制”である。そして、共和制の国に君主は存在しない。
君主制の国で自分を”a republican”=“共和主義者”だと言うには場合によっては大きな覚悟がいる。
それは自分が君主制・王室廃止論者であることを意味するからだ。知っていて損はない。
【執筆:フジテレビ解説委員 二関吉郎】
時代に即した英王室模索、チャールズ国王戴冠 君主制支持、若年層低く
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