鮎川玲治の閑話休題。

趣味人と書いてオタクと読む鮎川が自分の好きな歴史や軍事やサブカルチャーなどに関してあれこれ下らない事を書き綴ります。

埋もれた軍歌・その2 「我が陸軍」

2012-02-01 13:18:00 | 軍歌
今日も今日とて軍歌ネタ。今日ご紹介するのは、昨日と同じく「ポケット軍歌集」の「第三篇 陸軍の歌」に掲載されている「我が陸軍」です。やっぱり作詞者、作曲者共に不詳。というか、この「ポケット軍歌集」に載ってる歌で作者が記載されてる歌なんて無いんですけど。

我が陸軍

一 忠勇無双と名にたてる
   我が陸軍のいさをしは
  八洲外の國までも
   かがやく日本の誉れなり

二 弾丸(たま)は霰(あられ)とふるなかを
   心も駒もいさましく
  敵陣近く突きいりて
   奇功をあぐる騎兵隊

三 歩兵砲兵工兵と
   名はそれぞれにかはれども
  すめら御國の御為(おんため)に
   つくす誠は皆ひとつ

四 一つこころにはげみつつ
   糧曳く馬をいたはりて
  山坂登る輜重兵
   軍の安危はこれにあり

五 霞(かすみ)も深き九重を
   守る任務の近衛隊
  いただく帽子の徽章にぞ
   花の譽(ほまれ)はかんばしく

六 義を見ていさむ江戸人(えどびと)の
   きよき血をばうけつぎて
  戦(いくさ)の場(には)にすつる身の
   さきがけ競ふ一師團

七 伊達の雄図も猶のこる
   仙臺師團のいさをしは
  日本一(にっぽんいち)の松島と
   共にあまねく知られたり

八 東海道に名もたかき
   名古屋の金の鯱鉾(しゃちほこ)は
  里の童(わらべ)もうたふなる
   城の警護は三師團

九 金州附近の戦(たたかひ)に
   譽(ほまれ)をあげし四師團(よしだん)の
  其勇名(そのゆうめい)は浪花津(なにはづ)の
   梅よりたかく匂ふらん

十 戦(たたかひ)勝ちて日本(ひのもと)の
   國はいよいよ廣島の
  第五師團の功労を
   たたへぬ者こそなかりけり

十一 身も不知火(しらぬひ)の筑紫潟(つくしがた)
    九州男児の勢(いきほひ)は
   荒ぶる鬼か熊本の
    熊より強き六師團

十二 國の鎮めと北門(ほくもん)を
    固く守れる七師團
   ほまれの旗はいと高く
    雪にかがやく旭川


見ていて「おや?」と思うのは、歩兵や砲兵、工兵といった、この手の歌では大体主役級の兵科がさらっと流されてることですよね。騎兵には二番、輜重兵には四番が当てられているのに対し、この三兵科は三番で一緒くたにまとめられてしまっています。「輜重輸卒が兵隊ならば…」「歩兵の本領ここにあり…」といった雰囲気の中で、この歌が(確証はありませんが)不人気だったとしてもむべなるかな、と申せましょう。
五番以降、十二番までは各地に置かれた師団について歌っています。各地域の名勝や風物を織り込んで、中々味わい深い歌詞になっていると思うのですが…。