今回ご紹介するこの徽章は、別に珍しいものじゃありません。
この手の徽章を蒐集している人なら誰でも一度はお目にかかったことがある筈の徽章、「大日本武徳会員之章」です。
大日本武徳会は明治28(1895)年に結成された団体で、武術・武道の振興、教育、顕彰をその目的としていました。昭和17(1942)年からは戦争の影響もあり武道関係組織を統制する政府の外郭団体となりましたが、敗戦後の昭和21(1946)年、GHQの指令により解散を余儀なくされました。現在でも「大日本武徳会」を名乗る団体はありますが、組織的には繋がりはありません。まあ、団体側は戦前の大日本武徳会を受け継ぐものと主張しているようですが。
政府の外郭団体になった昭和17年度末には会員数224万人を数えたという話ですから、まあ大量の会員章が残されているわけです。
本章の部分は古来の神鏡をかたどり、その中に光芒を放つ「武徳」の文字が隷書で書かれています。下部には二本の矢と弓が交差するように配置されていますが、よく見ると二本の矢は鏃が違っています。恐らく「狩股」と呼ばれる二股の鏃と「平根」と呼ばれる身幅の広い鏃と思われます。何の意味があるのかはいまいち分かりませんが。
裏面には「大日本武徳会」の文字が書かれています。
今のように安全ピン式に留めるものではなく、先の尖った一本のピンを服に刺して留める形式ですね。怖いです。
箱に入った様子。本来は箱に「武徳会員之章」と書いた紙が貼ってある筈なんですが、文字の部分が辛うじて残っているだけになっています。
あ、因みに今回から「蒐集品を~」シリーズは、新設したカテゴリ「蒐集品」に移動しました。まんまですね(笑)
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