たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

車の未来は <トヨタ 「移動サービス」シフト 自動運転EV、アマゾンなどと開発>などを読みながら

2018-01-10 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

180110 車の未来は <トヨタ 「移動サービス」シフト 自動運転EV、アマゾンなどと開発>などを読みながら

 

トヨタはいま大きな選択のときなのかもしれませんね。いろいろなニーズに応え、新たに参入してきたAIITがらみの企業群との競争の激化、中国・インドなどの新興国の急激な需要増大と技術革新の速さは、従来の自動車業界とは異なる状況になっているように見えます。

 

といって私はトヨタの車の性能や企業体質の一端しか知らない、いやほとんど知らないに等しいながら、すばらしいこれまでの業績に日本企業の誇りとも感じてきました。

 

が、今後もそうなるかは激烈な企業競争の中で試されることになるでしょうね。とりわけ私自身、現在車を保有していますが、いずれは車は所有から一時利用になってしまうのではと思うこともあります。車を愛車と呼んだり、とてもきれいに内装を着飾っている人には、とんでもないと言われそうですが、基本は移動手段に過ぎないものではないでしょうか。

 

必要なときにスマホで呼べばさっと玄関までやってきて、さっと目的地に届けてくれる自動運転車両ができればそんな社会になっていくのではと思ってしまいます。

 

ま、それは私が生きているうちに実現できるかはわかりませんが・・・

 

さて毎日朝刊記事では新たな機運を掲載しています。

トヨタ「移動サービス」シフト 自動運転EV、アマゾンなどと開発 配送、相乗り…ニーズ把握へ>と。

 

豊田章雄社長がピンク色の車両を売り出したときもびっくりさせられ、その後のロボット的な色合いを見せるプリウスをはじめ様々な外観・形状の車両を登場させたことには驚きより、これは私の感覚を超えていると思ってしまいました。

 

いまは固執してきたハイブリッド車からEVにシフトする姿勢を示しつつ、独自の路線を見いだそうと努力しているのがわかります。

 

<トヨタ自動車は8日、米ネット通販大手アマゾン・コムや米ライドシェア大手ウーバー・テクノロジーズなどと連合を組み、バス型の自動運転電気自動車(EV)の開発を進めると表明した。自動運転やライドシェアなど新たな技術・サービスが次々と登場する中、車を使う側の視点を重視しないと生き残れないと判断。他業種との開発連携にかじを切る。>

 

たしかに<バス型の自動運転電気自動車(EV)>なるもの、完全に従来の自動車のイメージを変えるものですね。現代の多様で感性豊かな人ならこれも受け入れるのでしょうか。私には想像できませんが。

 

<トヨタがこの日公開したのは低床・箱形の「イー・パレット コンセプト」。運転手なしで動くライドシェアや配送、移動販売車、宿泊施設などとしての使用を想定する。>

 

用途は多様さを売り物にしているようですが、ニーズとしてはありうることでしょうね。私自身はライドシェアが気に入りましたが、他はこれだけでどこまでニーズに適合するかが勝負でしょうね。

 

いずれにしてもトヨタは、あらゆる可能性のある企業との連携で見えない未来の車両づくりを構想していくようです。もう自動車業界だけの狭い領域で車は作れなくなっているのでしょう。

 

企業コンセプトも豊田社長が<「私の目標はトヨタを自動車メーカーからモビリティー(移動)会社に移行すること」とも述べた。>ように、大きなチェンジを求められているのでしょう。

 

でもこの<モビリティー会社>ということで、未来の需要に応えられるかはいまのところ明らかではないですね。

 

ソフトがどのような進化をとげるか、新たな産業革命・技術革命の時を迎えているのかもしれません。

 

<トヨタの友山茂樹副社長は「クルマは誰にでも簡単に作れるモノではない。IT企業やベンチャーにやれることは限られている」と開発の主導権確保に自信を見せる。>ことに対し、清水憲司、釣田祐喜両記者は不安視しています。過去のIBMの例がありますね。

 

なお、<モビリティー(移動)サービス >については解説でつぎのように書かれています。

 <車などで移動手段を提供するサービス。バス、タクシーなど公共交通機関やレンタカーが代表的だが、近年は1台の車を会員で共有するカーシェアリングや、行き先が同じ方向の人と相乗りすることで運賃が安く済むライドシェアなどが登場。必要なときにスマートフォンのアプリで車を呼び出す配車サービスは欧米や中国などを中心に普及し、米ウーバー・テクノロジーズや中国の滴滴出行(Didi)などが存在感を高めている。独ダイムラーや独フォルクスワーゲン(VW)、米フォード・モーターなどが近年、相次いで移動サービス子会社を設立。トヨタ自動車も今年4月、傘下の自動車リース、レンタカー会社を統合し新会社を設立する。>

 

豊田社長のいうモビリティ会社がこのような内容を意識しているのだとすると、果たして自動車メーカーとして世界に君臨できるか疑問ですが、きっともっと高い理想を掲げているのでしょう。

 

このEVとライドシェアの動き、そして各分野の大企業同士が入り乱れて連携している様子は<クローズアップ2018夢のクルマ、実現間近 IT企業交え開発競う 完全自動運転、今年前半試行も>にわかりやすく解説されています。

 

なお、余談ですが、<パナソニックアマゾンのAIで車載システム開発>の記事では、<米ネット通販アマゾン・コムの人工知能(AI)「アレクサ」を自動車に搭載し、ドライバーが声で車内のエアコンを操作したり、音楽を流したりできるシステムを開発すると発表した。>これって便利かもしれませんが、AIであればいいとも思わないと言うのは私の偏見でしょうか。そういえば私の車にも搭載されているようですが、今のところ使う気持ちにはなっていません。

 

PCと同じで、どんどんさまざまな機能が搭載され余分なものが満載という状態になり、使えないものでPCの速度が遅くなる、私のように理解能力にかけているものにはお邪魔虫になるおそれもあるように思うのです。

 

車を快適空間と位置づけて、自動車開発を邁進してきた自動車メーカー、関連ソフトメーカーも、ライドシェアのように新たなモビリティ社会構造を生み出すような創造力を発揮してもらいたいと思うのは私一人ではないように思うのですが、・・・

 

そろそろ一時間になりました。本日は打ち止めとします。また明日。

 


宅配と人の気持ち <細る「イエ」 宅配送骨>を読んで

2017-07-17 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

170717 宅配と人の気持ち <細る「イエ」 宅配送骨>を読んで

 

この記事を見てびっくりです。「宅配送骨」という言葉ですね。たしかに宅配は有毒物質や爆発危険性のあるものなど、一定のものを運送することはできません。

 

国交省告示の「標準宅配便運送約款」によれば、第6条で運送の引き受けを拒絶できる場合として次の項目を挙げています。

 

<一  運送の申込みがこの運送約款によらないものであるとき。

  荷送人が送り状に必要な事項を記載せず、又は第四条第一項の規定によ る点検の同意を与えないとき。

  荷造りが運送に適さないとき。

  運送に関し荷送人から特別の負担を求められたとき。

  信書の運送等運送が法令の規定又は公の秩序若しくは善良の風俗に反するものであるとき。

  荷物が次に掲げるものであるとき。

  火薬類その他の危険品、不潔な物品等他の荷物に損害を及ぼすおそれのあるもの

  その他当店が特に定めて表示したもの

  天災その他やむを得ない事由があるとき。>

 

日本郵便やヤマトなどは個別に詳細な約款を用意していますが、基本は上記の内容でしょう。

 

それでは「宅配送骨」というネーミングされている遺骨はどうでしょうか。約款上は引き受け拒絶できないでしょうね。すると普通に宅配便として送付されることになるでしょう。

 

毎日の連載記事<明日がみえますか第5部 死と向き合う/2 細る「イエ」 宅配送骨>では、それを取り上げています。

 

<日本郵便の宅配便「ゆうパック」に遺骨を詰めて寺院に送り、永代供養墓に埋葬してもらう「送骨サービス」が注目を集めている。1件数万円と安価で、寺院に出向く必要もないと評判になり、インターネット上には送骨を扱う仲介業者や寺院などのサイトがあふれている。>

 

当然このサービスの仕掛け人は日本郵便ではないですね。<「永代供養ネット」を運営する仲介業者「プロ」(名古屋市)は全国の約40の寺院と提携し、毎月30~50件の申し込みがある。料金は3万~5万円で、2010年のサイト開設以来、依頼数は右肩上がりだ。>

 

むろんこういった業者も仲介するのみですから、依頼人がいるわけですね。<神奈川県厚木市で1人で暮らす男性(65)も送骨の利用者だ。4月末、かつて内縁関係にあった女性の遺骨を、NPO法人「終の棲家(すみか)なき遺骨を救う会」(東京都世田谷区)にゆうパックで送った。救う会は遺骨の扱いに困った人の埋葬の支援をしている。>まずはNPOですか。

 

でもそこに依頼する人こそ、まさに現在の「個人社会」の一面を代表しているように思えます。記事で詳細が語られています。

 

家族関係の崩壊が背景にあるのでしょうか。記事は<家族が身内の弔いを拒否し、自治体が税金で火葬・埋葬するケースが増えている。家族関係の希薄化と貧困が背景にあり、送骨はこうした社会の受け皿になっている。>といっています。

 

この「宅配送骨」の最後の引き受けて、まさに遺骨処理の終局のプレイヤーは、<送骨を前提にした納骨堂>を運営する寺です。

 

<全国からネットで送骨を募った愛媛県伊予市の寺院が、納骨堂の運営を不許可にした市の処分取り消しを求めた訴訟。松山地裁は13年、住職との面談や宗派の制限なく安価で遺骨を受け入れる手法について、「商業的な印象は否定できない」と訴えを棄却した。寺側が2審も敗訴して判決は確定した。>

 

このケースを判例データベースで調べると

 

一審松山地裁(判例地方自治390号77頁)は、対象となった納骨堂について、寺院の境内につくられ、「コンクリートによって築造された前部が階段状となっている構築物であり、その内部には6段の棚が、後部にはアルミ製の引き戸が設けられている。棚上には骨壺を並べて焼骨を安置することができ、階段部分の上には、家名を彫った墓石のようなものが並べられている。」と判示しています。

 

原告の寺院は、納骨堂でないと争っていますが、当然ながらこれはばっさりと否定されています。

 

で驚いたのは、一審が墓地埋葬法第1条の目的規定にある、「国民の宗教的感情」への適合性を根拠に、納骨堂経営不許可処分を適法と結論したことです。

 

その点、一審は、原告寺院の事業内容そのものを問題にしているのです。

 

ちょっと長くなりますが、引用します。

「〈1〉本件不許可処分の当時、インターネットを通じて全国から利用者を募集し、郵送により焼骨を受け取るという方法による納骨堂の運営形態が広く一般的に利用されていたとは言い難い状況下にあったことに加えて、〈2〉宗旨・宗派を問わないとする点や、〈3〉殊更に安価な価格であることや、遺骨を持参して住職と面談することなく郵送により受け入れるなどと簡便であることを強調していることなどを総合的に勘案すると、前記(1)のような利用者の募集方法が、商業主義的との印象を与えるものであることは否定し難い。また、原告は、利用者を募集する際に、その受入可能数を明示しておらず、原告が、当該地域はもとより原告とすら何ら縁のない遺骨を無制限に募っているとみられかねない事情もあった。」と事業の問題性を指摘します。

 

そして、このような事業形態は、「被告地域における風俗習慣等に照らし、前記のような本件施設の運営方法が、地域住民の宗教感情に適合しないものであるとした被告の判断が、合理性を欠くということはできない。」として、上記の判断を導いています。

 

二審の高松高裁も(判例地方自治390号75頁)、一審判断を支持して、控訴を棄却しました。どうやら、違法判断の根拠とした上記の点について、行政指導で指摘されたおらず、不許可処分の決定の中で初めてでてきたことが問題にされていますが、むろんこのような議論はよほどの事情がないと通用しませんね。

 

ともかく、「送骨パック」を前提として全国展開する永代供養方式が裁判を通じて墓地埋葬法上の核心的利益を脅かす可能性のあることが問題となり、裁判所は積極的に解して、行政判断を是としたのです。

 

ただ、地域性を吟味しているなどから、直ちにこの裁判例が各地でのこういった事業(あるいは商売)に大きな支障となるとは限らないと思います。

 

それにしても、毎日記事で<聖徳大の長江曜子教授は「健康上の不安があるなど、やむを得ない事情で『送骨』を利用するのは仕方ない面もある。だが、商業主義や利便性を優先して遺骨を扱うことには違和感がある。死者の尊厳をもっと大切にしてほしい」と苦言を呈した。>と指摘されているように、いま新たな葬送のあり方が問われているのだと思います。

 

たしか私の記憶では、アメリカの散骨方式では、20年以上前にすでにネット広告ですでに類似の方式が大きく取り上げられていたと思います。

 

ネットの便利さと受け入れる地域の事情を十分考慮して、考えていく必要を改めて感じます。

 


事業連携の妙 <古民家 観光の目玉に・・湯浅町が業者と協定>を読んで

2017-07-01 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

170701 事業連携の妙 <古民家 観光の目玉に・・湯浅町が業者と協定>を読んで

 

今朝の天候は変幻自在というか、これぞ自然の妙の一つと思えるほど変化に富んでいました。いつものように早朝、夜明け前に薄明の中、雨が降っているかなと外をのぞき込むように見ていますと、薄雲が広がる中に、見事な虹がかかっていました。久しぶりです。一番感動したのは熱帯だったか、忘れてしまいましたが、豪雨の後とても見事な鮮やかさでしたが、今日のはぼんやりといった感じでしたね。

 

それでも小雨というか止みそうな感じで、少し晴れ間も見え隠れしていて、それではと久しぶりに草刈りをしました。小さな庭ですので、すぐに終わってしまいます。枯山水?にした気分の砂利を敷き詰めた小庭にも少し草が生えてきていましたが、石を何段か重ねていますので、簡単に抜けます。

 

明日はまた新しい花の苗を植えようと、買ってきていた堆肥を、土壌生物の生息しそうもない貧相な土を掘って混ぜました。それでも前に堆肥を混ぜたところで、小さなミミズが出てきたのを見て、少しは土壌生態系が形成されつつあるかなと期待したりしています。

 

のんびりそんなことをしていたら、ザッと雨が降ってきました。昨夜も結構降ったようですが、この辺の農家にとって慈雨ですね。これは今日は雨模様かなと思いながら、普段は窓を開けたまま、出かけることが多いのですが、きちんと閉めてでました。ところが、花の苗を買いに行く途中から、空がどんどん青空になり、真夏の太陽がかっという感じで照ってきました。いつもはのんびり花選びをするのですが、その暑さでさっさと選んで買い物を済ませました。

 

午後は契約書を何本か作成したりしていたら、もう530分です。今日のテーマが見つからない。どうするか、その日によってセンサーが過敏になったり(だからといって脳の働きがよくなるわけでもありませんが)、ぼっとしてどんな記事やウェブ情報にも反応しないこともあり、今日もそんな感じです。

 

とはいえ千日ブログの「お勤め」?的な気分はしっかり心のどこかにあるので、今日のお題もなんとか決めました。

 

毎日和歌山版で<古民家観光の目玉に 景観も維持、ホテルやカフェに再生へ 湯浅町が業者と協定>という記事が掲載されていました。

 

古民家再生とか景観維持とかは、とくに目新しいことでもありませんし、利用方法としてのホテル、カフェもある意味では多くの先達がやってきたことです。ただ興味を抱いたのは、<町が業者と協定>という部分、しかもメンバーが<古民家再生を手掛ける一般社団法人「ノオト」>というのが関わるのは当然ですが、湯浅町に加えて紀陽銀行も参加しているところに、注目したのです。

 

湯浅町は和歌山県人や近畿圏の人なら、<しょうゆ発祥の地>としてよく知られた町。でその<湯浅町には、醸造蔵などの落ち着いた街並みが残り、町中心部が国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に指定されている。ただ、住人の高齢化に伴い、将来的な景観維持が課題となっている。>当然ながら、空き家問題もあります。

 

<このため三者は、官民一体で古民家再生に乗り出すことにした。協定に基づき、ノオトは湯浅町で地元の若手経営者らと街づくり会社を設立、古民家や空き家の所有者に改修を働きかけ、利用を希望するホテルやカフェなどの運営事業者と所有者を仲介する。紀陽銀行は所有者や事業者に必要な資金を融資する。町は古民家を生かしたまちづくり計画を策定して改修を後押しするとともに、取り組みについて住民に周知を図る。>

 

ノオトのホームページを覗くと、なかなか手広く地道に、そして最近流行の地域ICTも取り入れて活動しているようですね。湯浅町としてもいい連携相手と見いだしたのではないでしょうか。湯浅町のホームページを覗くと、外国人向けにも考えたデザイン・動画を配置していて、町の公式ホームページとしてはなかなかやるなという感じです。

 

当然、湯浅町の地元の人たちも歴史と伝統を活かすことについて相当意識が高いことがうかがえ得ます。ただ、それを具体的にどう活かすかは、これからでしょうか。そのノウハウはノオトが篠山市で実績をあげてきているので、湯浅町にあった新たな展開を期待したいですね。それにはホテル・カフェは一要素となるとしても、より創造的な利用方法を見いだして欲しいですね。

 

そこに金融機関である紀陽銀行が加わっているのがユニークなところではないでしょうか。いま金融機関は金融商品の多様化、競争激化で、マネーを中心とする増大にいろいろ競い合っているようにも見えますが、城南信用金庫のように脱原発宣言を打ち出すといった社会的活動も期待されている中、この紀陽銀行の取り組みは評価されてよいと思います。

 

さて紀陽銀行のホームページを見ると、ちゃんと630日付けでこの包括連携協定についてプレスリリースしていて、その概要もダウンロードできます。

 

「和歌山県湯浅町の歴史的資源を活用した地域活性化に向けた包括連携協定」の締結について>のタイトルで、その概要を記載して、積極的な事業支援をうたっています。

 

こういった連携の輪がどんどん広がり、古民家や空き家問題、歴史的伝統的価値を見直すいい機会になることを期待しています。それは湯浅町の中ではもちろんですが、各地で連携といった改まった方式もいいですし、もっと気軽にさまざまな共同活動をする仕組みをつくるきっかけになるといいのですが。

 

いまある状況は、気持ち次第で変わるのだという、それが多くの人に楽しみや喜びを与えたり、なにげなく生活してきた土地、空気、環境が長い歴史の中で培われたものだとかの意識を楽しめるといいのですが。

 

私は30年近くまちづくりといったものに関わりを持ってきましたが、最初の頃、耳にした言葉がなにかの拍子で繰り返し自分の心に訴えてくるんです。それはまちや、自然を守ろうと取り組んでいると、いろいろ勉強して守るべき価値の重要性とか、その歴史の重みとかを学ぶことができ、初めてその魅力に気づかせてもらうことばかりで、自分の生きているまちや自然を大事に思うようになったといった話だったように思うのです。

 

さてちょうど一時間となりました。この辺で今日は終わりにします。

 

 

 


東芝迷走か? <東芝 WDを提訴 半導体売却、妨害差し止め請求>を読んで

2017-06-29 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

170629 東芝迷走か? <東芝 WDを提訴 半導体売却、妨害差し止め請求>を読んで

 

今朝は小糠雨でしょうか。それでも花たちはたっぷり水分で潤い輝いているように見えます。花に水をやっていると、ちょっとした気づきがあるんですね(無知丸出しですが)。たとえばサルビアの花。去年はたいていのサルビアは上に上にと赤い花びらを伸ばしてくれたのですね。ところが今年はわが家の庭で、その赤い花びらが見えないのです。他方で葉っぱがとっても大きくなっています。以前の3倍くらいはあるでしょうか。それでつい最近どうしたのかなと思いながら、葉っぱの中を覗いてみたら、花の蕾がちっちゃくなって葉っぱの中に埋もれているのです。それも横向きに傾いていていつでも落ちそうな印象。葉っぱに負けているんですね。

 

それで相当数の葉っぱを抜き取ったんです。すると数日もたたないうちに、赤い花が大きくなり、次は房をどんどん増やして、見事なほど大きくなったんです。一つの花でも葉っぱと花は生長を競い合っているんですね。うまく折り合いをつけるかというと、天の配分もあるでしょうし、人間の介入もあって、その競争力は影響を受けるんですね。決して仲良く手をつなぎ合って、ともに成長しようというのは「理想的な?」と思うのは人間の勝手であって、競い合う姿こそ自然の摂理ですか。

 

という人間も、渋沢栄一が「論語と算盤」で指摘しているように、私的欲望追求が資本主義経済で生きる自然な姿とみて、それでは西欧社会に見られるような弊害が生じ、論語の教えを学ぶ必要があるというのですね。日本資本主義の父とも、産業の父とも、いやそれ以上に社会事業家のリーダーでもある、渋沢の発言は重いですね。その解釈にはいろいろな見方があるとしても。

 

毎日朝刊は、第一面で<東芝WDを提訴 半導体売却、妨害差し止め請求>との見出しで、東芝のWD提訴を掲載しています。私は東芝の株式会社としての最低限の義務である株主総会に決算報告できないということも大変な事態です<総会では、株主から「危機感があるとは思えない」と厳しい声が飛んだ。>とのことですが、当然でしょう。

 

WDとの訴訟合戦をする対応を選んだことについてもはなはだ疑問を感じています。とても渋沢栄一が求めた企業家精神を真に育て身につけているといえるとはいえないと思うのです。

 

毎日記事から、今回の訴訟の経緯・内容の概要を見てみたいと思います。

 

<経営再建中の東芝は28日、半導体メモリー事業の売却を巡り、協業先の米半導体大手ウエスタン・デジタル(WD)が妨害行為をしているとして、妨害行為差し止めの仮処分と1200億円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴したと発表した。>これは<WDもこれまでに売却停止を米裁判所に申し立てており、それに事実上反訴した形。>

 

この訴訟合戦は弁護士の発想かどうか知りませんが、企業経営者として妥当な選択でしょうかね。

 

記事を見る限りは法的にも疑問を感じます。東芝の仮処分の申立理由は<東芝は、子会社「東芝メモリ」の売却手続きに関して「WDは看過できない妨害行為を継続的にしている」と主張。WDが「自社の同意なしに売却を進めるのは合弁契約違反だ」との立場を表明していることについて「虚偽の事実を第三者に告知または流布し、当社や東芝メモリの信用を毀損(きそん)した」と非難している。>

 

たしかにWDの売却停止申立理由が「自社の同意なしに売却を進めるのは合弁契約違反だ」ということで、それが虚偽であれば、東芝の主張はもっともと思います。

 

しかし、それなら合弁契約書の当該箇所を開示すればすむはずですね。一般公開が守秘義務違反というなら、株主総会で問題の条項くらい指摘して説明すべきではないでしょうか。

 

<さらに「WDが東芝や東芝メモリの機密情報を不正に取得、利用している」として、WD技術者による社内の情報網への通信アクセスを28日に遮断した。>となっていますが、これも仮処分申立の理由になっているのでしょうか。以前も四日市工場への出入りを同様の理由で禁止していませんでしたかね。それを再び工場立入を再開させていたとしたら、根拠を疑いますし、今回の仮処分理由になりうるか疑問です。

 

ところで、合弁企業については四半世紀以上前にM&Aとかを勉強しているとき、購入した本がまだ本棚に残っていたので少し読み返しました。東芝とWDとの間の合弁契約書がどうなっているのかわかりませんので、いろいろ議論しても机上の空論になりえます。ただ、東芝の半導体事業売却にはどうも釈然としないので、なにかその釈然としない理由が書いてあるかを見ましたが、やはり契約条項の内容や準拠法がどこか(どの国の法律に依拠するか)などわからないので、抽象論になりますね。

 

とはいえ、その本、『国際買収・合弁事業契約書マニュアル』は一般論としてですが、意味があると思っています。

 

ざっと目を通したんですが、「契約の譲渡」という項目があり、「合弁会社契約は、当事者の信頼関係に基づいて締結されるものであるから、合弁会社契約書も、合弁会社の株式と同様に、簡単に譲渡できないように取り決めておくのが原則である。」(157p)と書かれています。

 

当然でしょう。共同して事業を行うわけですから、一方が突然、相手と相談もなく別の第三者に株式を譲渡したり、契約上の地位を譲渡したりすることは、それこそ契約社会の信義に反しますし、渋沢の訴えた精神に悖ります。

 

むろん株式譲渡は自由であるのが株式会社制度の大原則ですから、合弁契約書にその点をどのように配慮しつつ記載されているか気になるところです。

 

なお、WDの裁判前の抗議文に関する記事<東芝の半導体事業売却手続きは「合弁契約に違反」、WDが抗議書簡>がありましたので、参考まで引用します。具体的な条項を指摘しての抗議ではないので、これだけだとなんともいえませんが、上記の一般論からはWDに同意権があるとの指摘は一般的に考えられる条項であり最もな見解と思っています。それに対し、東芝の反論というか、今回の仮処分申立で公表された理由は事実から目をそらしている印象です。

 

WD社のホームページを一応覗いてみたのですが、さほど詳細な情報がありませんでした。ただ、620日付けのプレスリリースでしょうか<WESTERN DIGITAL COMMENTS ON TOSHIBA’S ANNOUNCEMENT REGARDING FLASH JV INTERESTS>では、来る714日の米国裁判所での仮処分審尋手続きでの東芝の対応を期待していると自信満々にも見えます。

 

東芝の立場に立てば、会社の浮沈に関わる緊急事態なんだから、一緒に仲良くしてきたパートナーなんだから、大目に見てよというか、支援してよというのか、そんな気持ちかも知れませんが、監査法人との関係も含め、なんだかやり方が甘いというか、反省にたっていないというか、困ったものだと思うのです。渋沢先生ならなんと言うでしょう。やはり喝でしょうか。

 

東芝はあっち水は辛いよで、わが国での妨害禁止の仮処分という戦略をとったのでしょうか。ちゃんとした根拠があるのなら、米国裁判所で闘った方が世界的企業としては望まれると思うのですが。

 

いずれにしても2兆円に達するような半導体事業の売却をめぐる裁判ですから、訴訟費用も莫大なものでしょうね。こんなことやってていいのでしょうか。今日の株主総会の株主の気持ち、わかりますね。


他山の石 <グーグルに制裁金3000億円 欧州委、・・独禁法違反>を読んで

2017-06-28 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

170628 他山の石 <グーグルに制裁金3000億円 欧州委、・・独禁法違反>を読んで

 

いまでは誰もがインターネットの多様なサービスにアクセスが可能になり、利便性を享受しているように思います。他方で、この業界はわずかの間に急速に市場支配力が信じられないほどの勢いで増しているようです。なかなか実態がつかめないほどそのスピードに追いつかないのが規制当局の偽りのない意識ではないでしょうか。ましてや単なるエンドユーザーに過ぎない私なんかはどんな状況にあるのかは、わずかな情報の細切れでしかわかりません。

 

今日の毎日朝刊は<EU グーグルに制裁金3000億円 欧州委、過去最高額 独禁法違反>を一面で取り上げていました。

 

その内容は、<欧州連合(EU)の欧州委員会は27日、米IT大手グーグルがインターネット検索サービス市場での独占的な地位を乱用して自社の価格比較サイトに有利な操作を行ったとして、EU競争法(独占禁止法)違反で24億2000万ユーロ(約3000億円)の制裁金を科すと発表した。民間企業に対する制裁金では過去最高額となる。>

 

わが国では公正取引委員会が独禁法に基づく公正な競争政策の確保を担っていますが、過去に適用した課徴金の金額は一桁以上低いものではなかったかと思いますし、IT業界に対してはまだ発せられていないように記憶しているのですが、今日は簡単な素描ですので、いつか整理してみたいと思います。

 

グーグルの競争法違反行為の内容について、<価格比較サイトは、複数の通販サイトから情報を集めて商品価格などを比べて一括表示する。欧州委によると、同社はEU域内で2008年ごろから、検索語の関連度にかかわらず自社の「グーグル・ショッピング」を目立つ位置に示したり、競合サイトの表示を格下げしたりして自社に有利になるよう検索結果を操作した。>

 

市場において独占または寡占的支配を形成した企業としては、やりそうな手口の一つだと思いますが、消費者サイドないしグーグル検索サービスを利用している人にとっては、無意識のうち、広告媒体に洗脳されるリスクが高いでしょう。

 

グールグルの問題行動はこれにとどまりません。<欧州委はグーグルを巡り、同社の携帯端末向け基本ソフト「アンドロイド」やサイト運営者向けの広告配信サービス「グーグル・アドセンス」についても同法に違反する疑いがあるとして、それぞれ個別に調査を進めている。>とのこと。

 

EUの競争法および取り締まりの実態はよく知りませんが、たとえば少し古い情報では<EUの競争政策とは何ですか?>であるように

 

欧州委員会による制裁金額トップ5 (2009年時点)

1

インテル

米国

支配的な立場の濫用

2009年

10.6億ユーロ

2

マイクロソフト

米国

2004年3月の決定義務(本表第5位)の不履行

2009年

9億ユーロ

3

サンゴバン

フランス

自動車用ガラスカルテル

2008年

9億ユーロ

4

エーオン/GDFスエズ

独/仏

天然ガス輸入カルテル

2009年

それぞれ5.5億ユーロ

5

マイクロソフト

米国

支配的な立場の濫用

2004年

5億ユーロ

出典:『EUの規制力』第5章 日本経済評論社

と急速に市場支配力を伸ばしているIT事業者が摘発されています。

 

翻ってわが国の公取委はどうでしょう。ホームページの情報から審決例とか、過去の事例をうまく検索できていませんが(これ30分で書き上げていますので)、わが国の場合十分調査ができていないのではないかと懸念しています。ま、私の個人的な杞憂に終わればいいのですが・・・

 

そろそろ和歌山に行く時間となりました。この辺で終わりとします。