たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

これからの宅急便 <ヤマト運輸 最大180円値上げ・・処遇改善策>を読んで

2017-04-29 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

170429 これからの宅急便 <ヤマト運輸 最大180円値上げ・・処遇改善策>を読んで

 

今朝はふと目覚めるとまだ真っ暗。雨でも降っているのかと思いましたがどうやら目覚めが早すぎたようです。次に目覚めたときは明るい日差しが一杯で、今度は寝過ぎたかと思ったのですが、まだ6時前。やはり体内時計はまだしっかりしているようです。

 

朝は小鳥の声と、FMを聞いているのですが、当地は和泉山脈のせいで雑音があり、音楽好きの人ならいらいらするかもしれません。私は音楽の才能がないこれ幸い?で多少の雑音は気にしません。それでも最近はインターネットでNHKラジオ放送などが聴けるので、この音声にはまると、雑音の多いところではステレオが使う気にならないでしょう。

 

自宅には光回線を引いていないのでネット利用をしていません。スマホやネットを終日離せない人だと困るかもしれませんが、孤島にでも行ったと思えばそういう環境もいいものです。だいたいネット環境が急速に伸びたのもわずかここ20年くらいでしょうか。それまでは熱帯ジャングルに行けば、外の世界とは無縁というのが当たり前でした。そればかりか、カナダに滞在中は、まだ日本のネット環境がほとんど進んでなく、アメリカの情報量の多さやネット販売も相当普及していました。ネットで当時、カラー画面(これが当時稀少価値でした)ノートパソコンをソフト込みで50万円くらいで買った記憶があります。当時はそれでも安かったのです。もう20数年前の話しです。

 

で、買ったまではいいのですが、配達はあのFedExだった記憶。留守がちでしたので、たしか営業所まで受け取りに行った覚えがあります。再配達といったシステムがなかったのではと思うのです。むろん土日祝日の配達もないですね。それが当たり前と思っていましたし、それでもスピード感がありました。

 

で、今日の本題、クロネコヤマトの宅急便に入ります。いや、アマゾンなどを利用させてもらっているので、ヤマトさんの宅急便の配達員の方は何人かいますが、顔なじみになっています。サービスがいいですね。書籍なんかも、注文したら翌日には届くというのが当たり前になってきました(都内とかは即日ですかね)。プレミアム会員だと多くの品物が送料無料というのがあり、地方だとショッピングセンターまで行かなくてもいいので、とても便利です。

 

でもいつの間にか、この便利にならされて、サービスを提供している配達員の人たちを含む配送システムを担っている背後の多くの人たちの「働く環境」の悪化や負担に気づかなくなっていたかもしれません。

 

私はいくつか注文すると、なるべく一緒に運んでもらおうと思うのですが、どうやら受注店舗によって在庫や配送システムが異なることや、宅配便の配送システムの関係で、個別配送が結構行われているようです。すると余計に配達員の人たちの負担が増すのではないかと懸念します。

 

品物によっては自宅の場合、玄関脇に置いてもらっていいですよといった対応をしてもらうこともあり、このあたりの配達員の個別対応の良さは、フェデックスでは考えにくいのではないかと思います。その意味では、日本の宅配便の配送システム、サービスは、とても顧客満足度が高いと思うのです。

 

だからといって、再配達を何度も依頼したり、あるいは夜遅くに依頼したり、土日祝日にのみ配達指定するといったことは、配達員の生活を考えると、どうかと思うのです。

 

さて毎日記事<ヤマト運輸最大180円値上げ 宅配8000万個削減 処遇改善策>はようやく本格的な体質改善策に一歩踏み入れた感があります。

 

<ヤマトホールディングス(HD)傘下の宅配便最大手、ヤマト運輸は28日、主力サービス「宅急便」の基本運賃(個人向け)を荷物のサイズごとに140~180円値上げすると発表した。値上げ率は平均15%で、増収分をドライバーの処遇改善などに充てる。また、インターネット通販大手「アマゾン」など大手法人との契約を見直し、2017年度の取扱荷物量を8000万個減らす計画も公表。ドライバー不足と取扱荷物量の急増のダブルパンチで経営環境が厳しくなる中、抜本的な構造改革が必要と判断した。>

 

たしかに値上げは高齢者や障がいのある方などで買い物が容易でない方にとってはわずかであっても大きな負担になるでしょう。そのような場合の特例策はどうやら含まれていないようですが、今後配慮する取り組みを検討してもらいたいと思うのです。

 

他方で、顧客側の協力度に応じた値引きを用意しているのは評価できると思います。< ヤマトは、値上げと同時に集配の効率化に協力した顧客に対する新たな割引制度も導入。例えば配送先を自宅ではなく近くの宅急便センターに指定した場合には新たに50円値引きする。ヤマトは「新たな割引制度の利用を考慮すると、平均値上げ率は10%に収まる」と説明する。>それ以外にどんな割引制度を用意したのか、全体を見てみたいですね。

 

大手通販業者との契約の見直しも検討しているようですね。毎日の47日付け記事<「アマゾン即日」撤退…配送負担減へ検討>は労働強化の主要な要因の一つでしょうから、勇気のある決断かもしれませんが、当然でしょう。

 

たしかに注文して即日配達してもらえれば、便利この上ないですが、それほど急を要する品物がありましょうか。いいものがみつかったからといって、その日に使わないといけないものなどほとんどないでしょう。照明器具が切れたとか、いろいろ不便なことはありますが、被災した場合のことを少し考えれば、なんでもない話しではないでしょうか。サービス過剰かもしれません。あるいはもっとゆとりのある生活、考え方をしてもいいのではと思うのです。

 

ドライバーの負担軽減策については、<当日再配達の受付時間を従来の午後8時から午後7時に繰り上げたり、希望した日時に駅や商業施設で荷物を受け取れる「宅配ロッカー」を増設したりする。>というもので、ほんのわずかですが、まずは一歩前進でしょうけど、これにとどまらず、もっと改善策を講じてもらいたいですね。

 

私を含め多くの宅配便利用者にとって、配達員が長時間労働、過労で病気なるといったことは避けてもらいたいものです。ましてやサービス残業で<ヤマトの実態調査では約4万7000人に未払いの残業代があったことが判明し、計約190億円を一時金として支給することにした。>といったことはあってはならないことでしょう。

 

この点、<ヤマトホールディングス(HD)は28日、宅急便ドライバーの労働環境を改善するための対策を打ち出した。基本運賃の値上げや荷物の総量抑制などが柱だ>としていますが、他方で、<インターネット通信販売は増加を続けており、人手不足は深刻な状況だ。今回の対策がどこまでドライバーらの負担軽減につながるかは見通せない。>と具体的な労働条件の改善策が示されていないこともあり、毎日記事でも懸念が指摘されています。

 

実際、<現場のドライバーからは対策の実効性に対する疑問の声も出ている。九州のある地区で働く20歳代のヤマト運輸の男性ドライバーによると、「4月に入って勤務時間内の仕事の徹底を図るよう指示された」という。だが荷物の量は減らず、人手不足も解消されていない。サービス残業なしでは配送時間が十分に確保できず、その分急いで回らなければならなくなったという。「昼の休憩も取れず、ドライバーにとってはきつくなっただけ。膨大な荷物量に追われる状況は何も変わらない」と不満を漏らす。>とあります。

 

たしかに海外の配送システムに比べて、わが国の場合、クロネコヤマトの宅急便をはじめ、いずれも配送サービスが素晴らしい(むろん個別に問題はあるでしょうが)。この状態を取扱量がこれからも増大する中、維持することは容易でなく、IoTやドローンなど新たな技術革新の導入も必要でしょうが、人によるサービスがまだまだ基本でしょうから、より実効的な働き方改革を検討してもらいたいと思うのです。

 

他方で、ヤマトの宅急便約款や、宅急便利用約款などでは、利用サービスについて、必ずしも利用者目線に立って作られているとはいえず、昔の商法規定に則ったような記載にとどまっており、これも検討してもらいたいですね。

 

今日のところはここまでとします。


郵便はどうなる? <日本郵政 赤字転落 400億円、民営化後初・・>を読んで

2017-04-26 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

170426 郵便はどうなる? <日本郵政 赤字転落 400億円、民営化後初・・>を読んで

 

今朝は涙雲?でしょうか、辛い気持ちをじっと耐えているような空模様。でもちょっと最近聞き慣れない囀りにふとベランダを見ると、赤い腹で濃紺の衣服をまとった、そうイソヒヨドリが軽やかに鳴いています。ちょっとこっちの様子をうかがいながら、しばらくさえずりましたが、ひょいと一気に飛び立っていきました。

 

あんな感じで空を飛び回れば気持ちがいいだろうなと、人間の勝手な思いがちょっと浮かびました。人間の勝手な思いというので、昨日の夕刊記事、<福島の6年 「それぞれ」の桜>を思い出しました。

 

福島・三春町にある福聚寺(ふくじゅうじ)の住職であり作家の玄侑宗久氏の話が掲載されていました。彼の禅に関する本は結構読みましたし、小説もそれにつれて読みました。彼の言葉には重みを感じます。その彼が<。「これほどまでに、ややこしくなってしまうとは……」>といい、<分断を生み出す。それが原発>と語るのです。

 

<「この6年を、誰もが肯定したいと思っています。福島に残った人には『残って良かった』という気持ちがあり、県外に避難した人も、その決心が正しかったと思いたい。そして双方の立場とも、納得できる材料はたくさんある」。その結果、両者の壁はどんどん厚くなってしまった。そして、同じような「分断」は至る所で起きている。>と。<。「原発の再稼働を推進する人々は、こうした分断から生じる人間関係のややこしさを重大な問題と思わないのでしょう」と。

 

当地にやってきて玄侑宗久氏のある種ファンになりつつあるのです。そんな中で福島原発が起こりました。明確な道筋があろうとは思いません。それでも僧侶として、また作家として苦悩している様子を遠くから受け止めたいと思うのです。そういう僧侶がもっと増えることを期待したいとも思いつつ。

 

その福島の復興がというより、被災の苦悩の中に多くの人が取り残されているというのに、今朝の毎日記事はトップニュースで、今村復興相の辞任と、日本郵政の赤字転落を取り上げていました。前者は取り上げるだけの価値を見いだせないので省きます。

 

後者は<日本郵政赤字転落 400億円、民営化後初 3月期決算>との見出しで、多数の指摘があり、郵政事業のあり方も含め、考えてみたいと思います。

 

赤字転落 復興財源に影響も 政府、株売却へ逆風>の記事では、この赤字転落により、<政府が東日本大震災の復興財源調達のために計画している郵政株売却のスケジュールに影響が出る可能性がある。>といった予測もあります。

 

民営化後初の赤字 甘い海外戦略 豪社買収時、疑問の声 政府、市場「相乗効果薄い」>の見出し記事では、そもそも赤字原因は、海外企業の過大な買収です。トップの経営判断ですが、<豪州物流最大手「トール・ホールディングス(HD)」の買収>はどの程度具体的な企業戦略の基に、決定されたのか、疑問視されていますが、当然でしょう。

 

上記の記事には東芝をはじめ最近の海外企業買収事例の増加傾向と、その失敗例が取り上げられています。東芝の例と類似するのは、両者ともいわば水平的統合ですが、いずれも当該企業実績や海外市場動向をなど、綿密に検討したのか疑わしいのです。相当数の専門家メンバーでその当否を検討したはずでしょうが、買収額がいずれも事業実態に比べて極めて巨額となっていていますが、その判断に過ちがなかったのか、その責任はどうとるのか、調査の必要性が高いと思います。

 

そもそも日本郵政は、収益力が高い金融2社の分社化と、収益力の乏しい残った郵政事業について、明確な戦略を持たないまま、<国内物流事業を強化し、日本郵便の成長につなげることを画策し、佐川急便(SGホールディングスグループ)、日立物流の買収を検討した。だが、いずれも実現が困難だったため、「第3の選択肢だった」(幹部)トール買収に踏み切った。>と思われるのです。

 

国内物流事業の強化は本来の道であるのに、他の競合企業を買収できなかったからと行って、まったく未知の海外市場で、それもその実績も十分把握できたとは思えないトール買収を決定したトップを含め取締役の責任は重大でしょう。だいたい、トールがもつノウハウが国内物流事業の強化にどう役立つのか、はなはだ疑問です。豪州を市場とする企業が、仮に物流事業を効率的・革新的に行っていたとしても、まったく異質の日本の市場で相乗的に機能するノウハウを有しているかどうかを緻密に検討しないと、とても巨額を投じて買収するといった判断に到るとは思えません。

 

しかも政府が80%も株式保有しているのですから、いわば税金で経営している企業です。その企業が6200億円も拠出して買収した結果、4003億円もの損失処理をするわけですから、人様の大切な銭をはなはだぞんざいにあつかっていたかと批判されてもやむを得ないでしょう。それが復興予算にも影響するわけですから、トップたる者、心して欲しいものです。

 

翻って、郵政事業は、1871年前島密が郵便事業の創設し、近代郵便事業の基礎を作った後、長年にわたり、日本全国の隅々まで、低額かつ定額で郵便物を届けるという、日本人にとって情報流通を容易にしただけでなく、心通わせてくれる事業を行ってきたと思うのです。

 

近時のIT革命でメールなどでの情報伝達や、宅配便などによる荷物配達などにより、郵便事業の新たな展開が求められる中、既存システムの抜本的な改革を容易に進められない状況にあったかと思います。

 

とはいえ地方における郵便局の役割は驚くほど人気が高いと思うのです。当地では一番人気のある場所というか、車や人が混雑する場所のように思うのです。ただ、金融子会社2社が分社化し、郵便事業だけで独立して事業を黒字化できるかとなると、容易ではないと私も思います。

 

郵便局のそれぞれのスタッフの営業努力も最近は私のような小さな事務所にもやってきます。でもそれは従来型のサービスの人海戦術に過ぎず、努力は買えますが、より多角化、効率化を目指すサービスが求められているように思うのです。一人一人の職員が経営者的感覚で事業を行うくらいの気構えが求められているように思うのです。

 

そろそろ7時に近づいてきました。中途半端ですが、今日はこの辺で終わりとします。


企業の見方いろいろ <企業を見極める視点>と<就活スタート>を読んで

2017-03-01 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

170301 企業の見方いろいろ <企業を見極める視点>と<就活スタート>を読んで

 

今朝も厳しい冷え込みでした。良寛さんならなんていうのでしょうなんて考えながら、西行はそういった和歌があったかしらとふと思ったのですが、思いつきません。

 

それはともかく、今日は午前中から忙しくして、午後は和歌山地裁にいって帰り、あっという間に夕方になり、またブログのテーマをいま考えながら、えいやと、見出しにしてみました。

 

そうか就活の季節なんだと思いながら、私の過去を振り返ってみると、まだ高度成長期の真っ盛りで、引く手あまた?だったかもしれません。私はあまり関心がなかったのですが、それでもある大手企業を訪問したことがあります。有名企業はやはり長蛇の列でしたか。私自身はそれを見て、その熱意に圧倒されたのか、それ以降、会社訪問も就職もまったく関心の外になり、いつの間にか卒業した記憶です。企業に勤めるといった気持ちはさらさら起こらなかったのはなぜか、それはおそらく性分みたいなものかもしれません。

 

その後司法試験に受かり、裁判官、検察官、弁護士を選択する時期に、当時は検察官希望が少なかったこともあり、かなり積極的に誘われ、気持ちが動いたのですが、結局、大きな組織の中で働くのは向かないだろうと自分自身を鑑みて、また、大勢働く渉外関係の法律事務所も内定していたのを踏ん切りがつかず、結局、少人数の法律事務所を選びました。たぶん検察庁という大組織や弁護士が大勢働くような事務所は向かないのかなとなんとなく感じています。おかげで、厳しい恩師でしたが、いい加減な私をこっぴどく鍛えてくれました。残念ながら、私の性分はなかなか直らないので、きっちりしたところが他の先輩のようには身につかなかったようです。

 

先輩の中には最高裁判事になった人もいれば、某有名大学総長をされた方と一緒に仕事をしている人もいます。先輩、後輩の多くはそれぞれ恩師に鍛えられ、また自分で研鑽努力して、みなさん活躍しています。私はというと、第二の人生を歩むような気分で、東京、横浜、そして和歌山と、心が安まる方向に自然と移ってきたように思います。そしてこのブログもリハビリのつもりがなんとなく性に合っているような気持ちもしています。誰からも何も言われないのも、いいのかもしれません。

 

さて本題に少し入ってみようと思いますが、企業の見方といってもいろいろあるでしょうという、当たり前のことを、たまたま、社説では就活の視点で、「水説」というエッセイでしょうか、ここでは信用調査会社や投資助言会社の視点で、アプローチしていましたので、これを材料に企業というものの見方を考えてみようかと思った次第です。

 

企業は社会の中で活動し日々事業展開を行う存在です。その規模も種類も多様で、昔はコングロマリットなどと評されたこともありますが、その事業内容もさまざまでつかみ所がないというのが実態ではないかと思います。それにM$Aなどによる企業統合、解体、提携などさまざまに変動し、企業経営者自身も把握することが容易でない状況にあると思うのです。

 

他方で、財務情報などは上場企業などではIRInvestor Relations)を積極的に行っているでしょうから、ウェブ情報としても割合容易に入手できる状況になったのではないかと思います。しかし、このような財務情報は、アメリカ流に厳しい会計監査を経ているとはいえ、抜け穴だらけというと言い過ぎですが、それだけで企業価値を判断することは危険であることは常識でしょう。会計不正がガバナンスのリーダーカンパニーですら発生しており、その発覚事例は氷山の一角であることも、残念ながら認めざるを得ないのでしょう。

 

そんなことを前提に、<企業を見極める視点>では、企業の生きた情報をどのように認識しどのように評価するかの一つの視点を提供しているのかもしれません。

 

トイレは容易に見える宝の山かもしれません。記事では<「企業を訪ねると必ずトイレを借りた」と語るのは信用調査会社の社員だ。汚れや整理整頓具合から社長の考えや社内の雰囲気、経営状況がうかがえたという。>と信用調査担当者の話として取り上げています。

 

たしかにそうですが、これはほんの枝葉末梢ではないかと思います。トイレの善し悪しを無視すること基本的な観察眼を欠いていると言われても仕方がないかもしれません。この種の企業の実態把握についてのノウハウは、倒産企業を把握するノウハウでもよく言われる話で、多様な着眼点があるかと思います。

 

もう一つ、投資助言会社の話も常識的な話だと思いますが、意外とこの種の企業が多いのに、当該企業が気づいていない点に問題があるのでしょう。記事は<似たような事故を繰り返す企業があった。「原因分析やデータの蓄積が進まず、改善への対応が鈍い。内部管理に問題があるようだ」と疑った。同業他社に聞くと「よくある事故ではない。ずさんです」という答えだった。>といっています。

 

事故の繰り返しは、指摘の通りでしょう。事故にもいろいろあるでしょう。まずは事故自体の認識が欠けている場合もあるでしょう。事故報告もおざなりで、具体的な事故経緯が明らかにされない報告が黙認というか容認されていることもあるでしょう。それでは原因分析も対策も立てられないでしょうから、事故が繰り返されたり、重大事故にもなりえるでしょう。

 

コンプライアンスが意識化されていないとか、ガバナンスができていないとか、その背景事情に遡る必要もあるでしょう。企業は多様なリスクをかかえています。しかしそのリスク認識や予測をしっかり意識化できているところは少ないように思います。オリンパスや三菱自動車、東芝など数え切れないほどの多くの大企業が不祥事を起こしています。その不祥事を経営トップが認識し、あるいは認識できるのに、放置してきたというトップの問題が一番だと思います。

 

その経営トップを監督する取締役会なども機能していないことも問題でしょう。社外取締役制度の導入によって一定の改善があったかのような風潮がありましたが、東芝などを見ても、形式的な役割しかしていないと言わざるを得ないと思われます。

 

今朝の毎日記事(ウェブ情報で見つからなかったのですが)では、天下り対策の一つとして、社外取締役に低報酬(日当制)で迎えることを提案している論者がいましたが、その前提として現在の社外取締役が会社の実態をほとんど把握できておらず、名誉職的な役割にとどまっている状況を踏まえた意見だったと思います。

 

企業の信用調査の視点や投資の視点から、いくつか取り上げられていましたが、残念ながらゾウをなでるなんとかの状態に近い印象を感じてしまいます。とはいえ企業を代表するトップの姿勢、態度は、やはり重要で、とりわけ不祥事などリスクが発生したときは、それを予想して(アメリカ大統領並みとはいいませんが)、堂々と記者会見等でリスクコミュニケーションをしっかりできるかどうかは、企業の存亡あるいは成長の可否にかかわることだと思います。

 

で、就活ですが、学生にとっては一生に一度の一大事という時代はもう過去のものになったと考えた方がいいかもしれません。それでも大きな選択ですので、検討に値する企業については、企業が開示される情報に頼らず、社会的な評価基準、たとえば働き方改革がしっかり整備されているかとか、環境配慮がどのような基準で実施されているかとか、コンプライアンスの具体的な実施状況とか、自分なりの物差しで情報提供を求めて、それにきちんと対応しない企業であれば、それだけで、逆に門前払いするぐらいの気構えを持って欲しいと思う次第です。

 

とはいえ、企業は生き物です。入って初めて実態が分かるでしょう。それから自分に合うかどうかを改めて考えてもいいのではないかと思います。といって最近のようにほんのわずかで見切って退職するのはどうかと思うのです。自分が一定の基準で選択したのであれば、それなりの企業価値をもっているのではないかと思うのです。転職までに一定の職能を身につけることも考えていいのではないかと思います。ひどいパワハラやセクハラなどがある場合は労基署や弁護士などに相談して対応してもらっうことも選択肢として重要だと思います。

 

電通事件のように、一流大学を出て一流企業に就職できてよかったと思っていたら、ブラック企業のごとき長時間労働を強要される場合もいまだなくなっていません。それは就活時には到底わからない事態だと思います。そういう意味での備えは必要かと思います。


企業統合と公正取引 <統合見通せず、公取委が難色 地銀再編かすむ針路>を読んで

2017-02-23 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

170223 企業統合と公正取引 <統合見通せず、公取委が難色 地銀再編かすむ針路>を読んで

 

今朝は少し生暖かく感じるような雨脚が間断に続きました。和泉山系を横切る薄雲も浮浪雲も素早い動きです。動と静、そこに何やら調和を感じてしまうのはただの個人的な感傷かもしれません。

 

ようやく午前中からの仕事も一段落して、さてブログのテーマはと考えたのですが、なかなか気乗りしないのです。マスコミが追っかけしているいろいろの話題も尽きませんが、今日は少し遠慮しておこうかと思い、普段あまり関心を抱かないテーマを取り上げてみようかと、見出しの記事などを踏まえながら、どうなるかまったく見当つきませんが、書き出してみました。

 

私自身、独禁法といったものについて、40年以上前には結構関心を持っていました。実際、法律事務所を探す時も、公取委の審判事件などを扱っている事務所を訪問して、ほぼ決まっていたのですが、最終的な段階になり、当時とすればあまりに特異な分野なので、それでいいか迷い、結局、断念して、普通の事務所に就職してしまい、その後独禁法が問題となるような事件は数件程度扱ったくらいで、まったくの素人状態です。

 

ブログを書くようになり、新聞をよく読むようになったせいか、あらゆる記事が目に飛び込んできます。そして最近、結構、企業統合の話題が多いなと思っていたら、たまたま今朝は<核燃料 今春統合を断念…日立・東芝・三菱重工>が取り上げられ、そういえばと思い、最近のを少しフォローすると、昨日は<ふくおかFG・十八銀 統合見通せず 高シェア、公取委が難色 地銀再編かすむ針路>、一昨日は<関西3地銀 低金利で収益悪化 統合検討、系列超え再編へ>と連続して取り上げられていました。

 

で、これをどう考えるかですが、企業統合の動きの背景と統合のメリット、デメリットについて、自由な取引競争、取引の公正の視点から、ほとんど資料に当たらずに、私なり一応の事実認識と適当な理解で、書いてみようかと思っています。こういったことは専門家や学者はやりませんが、自由なブログですので、許されるかなと勝手に思っています。

 

とりあえずは、上記にとりあげた核燃料事業の統合と銀行の統合ですが、前者は簡単に触れて、主に後者について考えてみたいと思います。

 

核燃料事業の統合自体は、福島第一原発事故の影響で原発事業が世界中で稼働が停止したり、新規事業が進まなかったりで、当然、核燃料への需要が減少する一方ではないかとおもいます。需要が少ない時に価格競争することも、多くの事業所を配置しておくことも、コスト的に成り立たないでしょうから、統合して、狭い日本の市場内で競争するのを避け、海外市場を視野に入れる一方、事業所・人員などを削減してコストカットするという考え方は経済的には理解しやすいのではと思うのです。

 

しかし、興味深いのは、核燃料事業を担っているのは日立、東芝、三菱重工の3社がそれぞれ海外の原子力事業会社との合弁子会社であり、その本体自体、いずれも少なくとも原発事業そのもので多額の損失を出している状況で、なんとも見通しが暗い印象をぬぐえません。公取委が統合審査に慎重になっている理由はわかりませんが、三社が統合すれば市場支配力は100%になることは必至でしょうから、その実質的な取引制限をいかに問題解消措置で解消ないし改善できるかでしょう(たとえば新日鉄住金のケース)。それを提示できるか、経済的にも、当事者3社自体の足並みも経済的苦境のなかで簡単にはいかないのでしょう。

 

日本の原発事業を担ってきた、この3社がいま抱えている問題を開示して、根本的な改善策を示さないと、核燃料事業の統合といった小手先では対応できない状況にあるのではと懸念しています。といっても私は脱原発派ですので、最終処分までのきちんとした工程を明らかにしたうえで、事業改善をするのでなければ、すべての原発事業について撤退する方向転換が必要となると考えています。

 

次の地方銀行の統合の話です。これはある意味、地方ではたいてい取引先が地銀ですので(近くに都市銀行がない!)、今後どうなるかはより身近に感じるかもしれません。

 

関連記事を見ると、すでに関東や、九州、四国などで、すごい勢いで統合化が進んでいるのですね。記事で指摘されているように、リーマンショックによる国際的な金融取引規制が大きな引き金かもしれません。また日銀のゼロ金利政策で、多くの地銀が金利収益が減少する一方とも言われています。そして企業はというと、一部大手上場企業は事業業績を伸ばしているようですが、地銀が相手にするような中小零細企業の多くは青色吐息の状態ではないでしょうか。低利であっても借りて事業拡大するだけの先見性?とか、見通しがたたないのかもしれません。

 

しかし、それは従来の生産性の低い、事業採算性を悪い状態で、昔ながらの取引慣行で社会的に継続が容認されてきた企業が多いかもしれません。どのくらいの企業が、みずから管理会計をしっかりたてて、事業採算性を図っているのか、それを貸し付け審査でしっかりチェックできている地銀がどのくらいあるのか、そこが問題ではないかと思っています。金融庁も従来の、保証人や担保に依存する貸付審査の在り方から、企業の将来的な事業採算性を見通す能力を地銀に求めていますが、実態はさほど変わらない状況にあることが懸念されているように思います。

 

というのは、地銀の過当競争というのは、単に低利競争に走っているということですから、そこには本来金融機関に求められる貸付先企業の事業能力を把握して貸し付けるという姿からは大きく隔離しているからです。

 

それが企業統合によって、店舗や人員を合理化するだけでは、健全な融資の拡大、将来性のある企業への支援といった金融機関としての期待される役割を果たさないことになりかねません。

 

他方で、地銀の企業統合が進む中で、公取委が審査を延期して慎重な姿勢を示しているのは、金融庁の懸念とは別の競争制限や公正な取引の確保の視点だと思われますが、ふくおかFGと十八銀といっても、初めて聞く名前ですし、九州地区の市場状態もまったくわかりませんので、コメントは避けます。ただ、市場の範囲をどのように設定するのかしりませんが、メガバンクもあるでしょうし、市場支配力が問題になるような状況があるのか不思議な気がしますが、それは素人の考えで、公取委の目から見ると、地銀特有の市場分野があって、その支配力が問題なんでしょうね。

 

さてここまで一時間くらいで書いてきて、なにを問題にしようとしたのか、まだクリアになってきませんが、競争制限や不公正な取引は、いわゆる寡占企業がその市場支配力を通じて有利な立場で行うものですが、その結果、取引の相手方、最終的には消費者に不利益な結果をもたらすことに問題があるのだと思います。で、わが国の地銀を見ると、金融規制の縛りも要因かもしれませんが、自由な競争状態とはいえないように見えてくるのです。より取引先、消費者に、便利で安価で安全なサービスを提供するにあたり、よりサービスの質・量の向上というか、抜本的な改革が求められているように思うのです。

 

それは企業統合して、貸付額や預金量が増大するといった単なる量の拡大では、この分野ではあまり規模の利益を発揮しないと思うのです。サービスとは何か、私も考えたいですが、なにか本質的なものが足りないと感じているのですが、そういう競争をしっかりとやる体質改善を期待したいと思っています。

 

やはり内容のない話になってしまいました。渋沢栄一が銀行、企業など資本主義の基本を作ったとき、その理想とした考えは現在の銀行実務に生かされているのか少々疑念を抱きます。

 

ウィキペディア(渋沢栄一)によると、その道徳経済合一説は、私などの理解の及ぶものではないですが、民法的に言えば、信義誠実を第一とするに近いものかと勝手に思っています。

 

<富をなす根源は何かと言えば、仁義道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することができぬ。>とか、

 

<事柄に対し如何にせば道理にかなうかをまず考え、しかしてその道理にかなったやり方をすれば国家社会の利益となるかを考え、さらにかくすれば自己のためにもなるかと考える。そう考えてみたとき、もしそれが自己のためにはならぬが、道理にもかない、国家社会をも利益するということなら、余は断然自己を捨てて、道理のあるところに従うつもりである。>とか、

 

いずれも、「道理」を基本とするわけですが、私流に解釈すれば、信義をもって誠実に事に当たることが最も肝要と言われているのでは考えます。そして地銀のサービス、あり方に戻れば、統合して大きくなることは無論あくまで手段であって、そこにより信義・誠実なサービスの高度化がなされなければ、無益な拡張論にすぎないと思う次第です。

 

 


ガソリンから地球がみえる? 元売りによる価格操作の記事を見て

2016-12-18 | 企業活動 コンプライアンス 公正取引

161218 ガソリンから地球がみえる? 元売りによる価格操作の記事を見て

 

今朝はゆっくり目覚め、枯れ草を野焼きして、NHKの囲碁番組を見て一休み。やはり伊田八段は強い。といっても勝敗が分からない中、中押し勝ちなので、まったく読めていないけど強いというのがなんとなく分かる気がします。

 

さて、今朝の毎日は、いくつか気になる記事があり、迷ってしまいました。一つはビキニ環礁付近での水爆実験で被爆されたにもかかわらず、国や世間から見捨てられた多くの漁業者・家族・遺族を訪問して聞き取りを続ける元教師を追う記事。国が認識し(あるいは認め)なければ、被爆した被害自体、否定されてしまう、それは社会主義国のロシアや中国、あるいは途上国にだけある問題でないことは、いつも気になります。他方で誰にも顧みられない中で、ここでも丹念に事実を追求する一人の気高い意思を感じさせてくれます。これはもう少し落ち着いた気持ちで将来書いてみたいと思います。

 

もう一つは、和歌山県の紀ノ川中流にあるかつらぎ町中飯降(なかいぶり)で、縄文後期(約4000年前)の大型竪穴建物跡が見つかったという記事です。しかも「建物跡は直径約15メートルのほぼ円形(約180平方メートル)で、縄文時代としては西日本最大規模」で、それが4棟も発見されたというのです。場所は京奈和道路付近ですから、紀ノ川北岸のかなり高い位置です。もう少し東側には条里制の跡も残っていますし、弥生時代の跡もありますが、このような縄文時代の大型建築物が見つかるとは、またロマンが広がりそうです。紀ノ川の歴史探訪は、残念ながらあまり熱心にされてこなかったように思うのです。その上流の吉野川も神武東征の伝説的な話をのぞけば、天武・持統時代にようやく𠮷野宮などとして、突然のように現れたように感じています。その紀ノ川の橋本市隅田にある隅田神社には神功皇后から下賜されたという隅田神社人物画像鏡の伝承がありますが、意外と縄文期から紀ノ川流域にはそれなりの歴史があったと思われるのです。その端緒となる発見ではないかと期待しています。これも別の機会に譲ります。

 

で、タイトルのガソリンですが、いまの私にとっても身近な存在です。都会に住んでいると、車を持たない生活で十分満足できますし、持っていてもあまり車に乗ることもなく、ガソリンスタンドもガソリンもあまり意識に上らない対象でした。しかし、田舎に住むと、車なしでは生活が困難な意識にさせられ(そう勝手に思っている面もありますが)、日常的にガソリンスタンドのガソリン価格を気にしながら、どこで給油しようかと、考えることが少なくないのです。和歌山市まで紀ノ川沿いを走る場合でも、どこが安いかといたことも気にしながら、当初、ガソリンスタンドを見ていました。

 

だいたい、なぜガソリンスタンドで、値段が違うのか、場合によってはリッター当たり10円ないし20円近く違うこともあるのですが、不思議に思っていました。わが国では、ガソリン価格は、一応、ガラス張りのように、都道府県単位での平均的な販売価格は、石油情報センターが発表しているので、平均的な価格は分かるようになっています。

 

で、ガソリンスタンドの多くは、石油元売りの系列化にあるので(最近は比率が下がっているのでしょうか)、元売り大手と特約店との間で価格決定され、それがおおむね系列店では同一かなと思うのが普通かもしれませんが、資本主義社会の常として、競争力のある特約店に対しては、その要請が尊重され、値引き幅もその意見が反映されることは予想されます。

 

今回、経産省の発表では、「今秋、実施した調査に回答した石油元売り大手5社系列約680の給油所のうち、半数を超える51%の給油所がガソリンの納入後に値引きを受けていた。値引き額は1リットル当たり3円未満の給油所が31%▽3円以上5円未満が15%▽5円以上10円未満は4%▽10円以上は1%--だった。一方、49%の給油所は値引きを受けられず、元売りの決めた卸価格を受け入れていた。」とのこと。「2014年後半ごろから元売りの卸価格の設定が割高になった。割高な価格は、競争の激しい地域を中心に値引きをするための原資になっている。」とのこと。

 この調査結果によれば、競争の激しくない地域(地方でしょうか)では、割高なガソリン価格が元売りの意向で決められ、消費者は買わされている反面、競争の激しい地域では、割高な分を原資にして、値引きして安い価格で購入できるようになっているということで、元売りの価格操作が不公正に行われている疑いがあるということでしょうか。

 

ガソリン価格の廉価販売については、公取委が平成2112月に、「ガソリン等の流通における不当廉売,差別対価等への対応について」と題する指針を発表していますが、今回の記事は、価格操作という別の問題です。

 

たしかに元売り業者の対応には問題がありそうです。ただ、元売り業者も、原油安の長期化(最近のOPECの生産制限で局面が変わるかも)と、低燃費車の普及などでガソリン需要は低迷など、種々の要因で、昨年は在庫評価損が巨額となり、赤字に転落する会社もあり、統合の動きが活発ですね。かれらも価格競争力や市場支配力が問われているのでしょう。

 

そんな中、オバマ政権がせっかく温暖化対策を推進するパリ協定に合意したのに、トランプ氏はそれを破棄し、エネルギー政策をブッシュ時代に逆戻りする舵を切ろうとしています。しかもエクソンのCEOを国務長官に据える予定で、ロシアとの化石資源のエネルギー開発を推進する動きが見えてきました。

 

エクソンは、適切な油汚染体制を欠いたまま、バルディーズ港で座礁してアラスカ一帯を油汚濁で野生生物を含む多くの被害を与え、当時、世界最大の制裁的損害賠償の責任を負わされましたが、まるでトランプ氏のように、不死鳥のように蘇り、エクソンモービルとして、スーパーメジャーと呼ばれる世界6大石油会社の一つとして、世界経済の一画を築いています。

 

そのような企業のトップがアメリカ政治を動かすのですから、驚きです。といってもアメリカの経済・政治・軍は一体的に活動してきたり、その反動があったりと思いますが、今回の政権のスタッフの顔ぶれを見ると、軍人出身が多く、化石燃料の抑制など環境規制に反対していた人をEPAの長官にするなど、化石資源の開発ラッシュが始まりそうな予感です。

 

それでガソリン価格が安定したり、低廉化するのはいいかもしれませんが、地球の気候変動への影響を考えたとき、それでいいのか、トランプ氏の体制ではそんなことは問題ではないということのようですので、余計心配です。