たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

介護施設での死亡と虐待 <川崎3人転落死 元職員に死刑判決>を読みながら

2018-03-24 | 医療・介護・後見

180323 介護施設での死亡と虐待 <川崎3人転落死 元職員に死刑判決>を読みながら

 

昨日の毎日記事は<川崎3人転落死元職員に死刑判決「冷酷な態様に慄然」>とこの事件を大きく取り上げていました。

 

高齢化社会はもの凄い勢いで進んでいますね。70歳は高齢者でないともいわれています。少なくとも老人とはいいにくいですね。介護施設を訪ねると、たいてい80代、90代の方がほとんどのように思えます。それぞれいろいろな病気を抱えているわけでしょうし、家族による自宅介護も困難なのでしょう。

 

では介護施設は万全か、私も自分で入ったことがないのでよくわかりません。保佐人としてとか、後見人として、介護老人保健施設や介護老人福祉施設、有料老人ホームなど、いろいろな施設に何度も訪問してはいるものの、介護の実態をしているわけではありません。

 

ただ、たいていは(とくに有料老人ホームは)とてもきれいで清潔感があり、職員の方の挨拶もきびきびしていますし、明るくしてもらえます。きっと入所者の方々も、理解できる人は過ごしやすいのではないかと思うのです。

 

でも事件は起こっていますね。一部かもしれませんが、それはマグマだまりが蓄積しているのではないか、マグマが大きくならないように、なんとか抑えるようなシステムがとられているのかどうか、気になります。

 

3人もの転落死が殺人となり死刑判決が言い渡された事件、記事では<川崎市幸区の有料老人ホーム「Sアミーユ川崎幸町」で入所者3人が転落死した事件で、3件の殺人罪に問われた元施設職員、今井隼人被告(25)の裁判員裁判の判決で横浜地裁は22日、求刑通り死刑を言い渡した。>と述べています。

 

死刑判決を言い渡すくらいですから、<渡辺英敬裁判長は3件の殺人罪の成立を認め、「人間性のかけらもうかがえない冷酷な態様には慄然(りつぜん)たる思いを禁じ得ない。死刑のほかに選択の余地はない」と述べた。>と厳しく責任を糾弾しています。

 

争点はいくつかあったようで、まず事件性ですね。<判決はまず事件性を検討し、転落死した3人のうち女性2人は「自力でベランダの柵を乗り越えることは不可能」と指摘。別の男性も「事故や自殺の可能性はほぼない」として3件とも第三者による事件と認定した。>

 

転落死した3人の事情が書かれていないので、なんともいえませんが、おそらく判決文では自殺等の可能性がないことを詳細に検討していると思われます。

 

他方で被告人の犯人性ですね。これは<被告が3件の発生時にいずれも夜勤をしていたことや、逮捕直前に母親に電話で「自分がやった」と述べたことなどから「被告が犯人と推認できる」とした。>

 

すべての発生時に夜勤だったとしても、それはちょっと薄弱な根拠ですね。それ以外に当てはまる夜勤者がいないかどうか、あるいは外部からの侵入可能性がないかどうかの検討も必要でしょう。また、転落死した3人との職務上の関係(担当であったとか)や、対応になにかトラブルがあったかとか、はっきりしませんが、あまり資料がないのでしょうかね。

 

母親に自供した点は、その通り裏付けられるのであれば、かなり有力ですが、なにをやったか特定できるのでしょうか、その言葉だけでこれを絶対視するは禁物ですね。

 

もう一つの重要な争点、自白の信用性について、<法廷で再生された取り調べの録音・録画映像から「取調官の高圧的な態度や誘導姿勢はない。具体的、迫真的で現場の状況と一致する内容の供述で、自白の信用性は相当に高い」と述べた。>

 

録音・録画が重視された印象ですね。録音・録画がいつどのような状態で行われたかがどのように審理されたか、気になるところですが、ま、控訴審で再び議論になるのでしょうね。

 

また、被告人の<「自閉スペクトラム症」についても、<影響も顕著ではないとして、責任能力も認めた。>とのことで、一般的な理解では、これだけで責任能力に大きな影響を与えるとはいえないと思いますが、具体的事情をみないとこれも判断が分かれる可能性もあっていいと思うのです。

 

判決では、<被告は2014年11~12月、当時86~96歳の入所者の男女3人をホームの居室のベランダから転落させ、殺害した。>ということですから、わずか実質1ヶ月強で3人もの高齢者、しかも86歳から96歳のご老人ですね、こういう方を転落させたのですから、大変なことです。

 

<有料老人ホーム入所者転落死事件の経緯>によると、被告人が20145月に勤務開始し、それから半年後の114日、129日、同月31日と転落死があったのにもかかわらず、県警は翌年5月に被告人を入所者の財布窃取で逮捕し、有罪判決を得たものの、殺人罪として逮捕したのは162月ですね。なかなか物証なり的確な証言もなかったのですね。

 

判決では、録音・録画を信用性あるものとしていますが、それならなぜ悪逆非道を犯した理由・動機が解明されていないのでしょうか。録音・録画時に、本来なら、そのことを聞いているはずですね。単に自分が犯した客観的な行為のみを話すのではなく、動機や背景を語らせるのが常道です。

 

その解明がなされていないのが腑に落ちません。とはいえ、動機を語りたくない犯人もいますので、客観的な事実だけを抑えておこうとしたのかもしれませんが、そういった事情が録画などからわかるのでしょうかね。

 

と長々と前置きを書いてしまいました。

 

この事件で気になったのは、なぜ被告人がこのような非道な行為を行ったか、その背景なり、事情を知りたいと思ったからです。いや、被告人の特殊な性行とか、自分勝手な思いとかで、談ずるのはどうかと思っています。

 

被告人がこの施設で働き出したとき、現在25歳で、4年前ですから21歳頃ですね。ほとんど社会経験がない、また、介護の経験もないかあったとしても十分とは思えない年頃ですね。

 

介護施設は、私自身体験していませんが、書籍やネット情報では、あるいは事件となったケースなどを参考にすると、施設利用者と介護職その他とのトラブルは日常的に起きうる状態にある、それをマグマだまりのように介護職員が耐えている状況があるともいわれています。

 

だからといって、人を殺したり、虐待したりしてよいはずは、もちろんありません。でも仮にマグマだまりのような状態があるのであれば、そういったストレスなりを解消するような仕組み、制度を施設が準備して備えておく必要があると思うのですが、どこまで整備されているのか心配です。いや、ほとんどないという話も聞きます。むろんしっかり備えている施設もあるでしょうけど、それがどうもブラックボックスに思えるのです。

 

介護職の仕事を理解しない方の中には(それは入所者や家族)、まるでお手伝いさんのように指示したりする人もあると聞いたこともあります。認知症や高齢化の影響で、入所者が騒いだり、暴言を吐いたり、何度も同じことを言ったり、叩いたり暴力を振るったりするひともいるそうです。ハラスメントもあるそうです。

 

さまざまなことをされても、入所者の病気等に配慮して、我慢、忍耐を指導されているのが介護職たちではないでしょうか。

 

それにはいろいろな対策をとっている施設もあるようです。一人で悩んでいる介護士がいれば、悩みを聞いて対応を検討するといったことを同僚、あるいは上司を含んだ会合で検討して対策を講じることも有効かもしれません。また助っ人を用意して代替するといったこともあるでしょう。入所者の個性をよく知り対応するため日誌等で、問題言動を書くなどして、そのときの条件を検討することも一つの策かもしれません。

 

いずれにしても一人で問題をか駆け込む、それが個人の中でマグマがたまってしまい、噴火につながるかもしれません。それを回避する策を施設経営者を中心にしっかり対応しておくことが大事ではないでしょうか。

 

また以前紹介したユマニチュードといった方法の取り入れも、検討してほしいと思うのです。介護士の研修などでは、技術的な手法は教えても、心のケアをどうするかについては十分でないように思えるのです。

 

外野から勝手なことを書き連ねましたが、転落死事件のようなことが二度とあってはいけませんし、虐待も同様です。だれもが介護施設を利用するかもしれない時代、みんなが利用しやすい、安心して利用できる施設になってほしいと思いますし、介護職の大変さも理解していきたいと思います。(ま、私は一人孤独死を享受したいと思っていますが)

 

今日はこれにておしまい。また明日。


ある老健でのひととき <水野耕作著『介護老人保健施設利用の手引き』>を読みながら

2018-03-17 | 医療・介護・後見

180317 ある老健でのひととき <水野耕作著『介護老人保健施設利用の手引き』>を読みながら

 

今日はいい天気です。昨日降り続いた雨もやみ、雨上がりのすがすがしい空気で一杯です。それで普段、通っている道路の脇に広がる柿畑を、車から降りて、ゆっくりとあちこちの柿畑、柿の木、その枝をゆっくりとカメラに収めました。

 

それぞれの農家で柿の木の育て方が少しずつ違うのですね。幹から枝分かれするにしても、微妙に違います。木の皮をむいていますが、それもいろいろです。技術的な違いはよくわかりませんが、それぞれの意図があるのでしょう。さらに、木の根っこや下草なども違いますし、木の枝の張り具合も違うのです。ただ通り過ぎていると、皆同じように見えますが、畑ごとに違いがありますし、畑の中でも多少は違っているように見えます。

 

カリフォルニアのワイン畑を昔訪れたことがありますが、整然として広大な面積が一様に見えました。それはそれで単調な感じもしますが、一つの美しい景観でした。わが国の場合は、地形が極めて小さな凹凸に富み、小規模区画という、伝統の零細錯圃の区画で、柿畑も作られていますので、ほんとに細かく分かれています。これもなかなかの景観美と思うのです。

 

そういった景観美、それを構成するそれぞれの木が職人的な巧みの技で作られている姿も、できあがった果実だけでなく、私たちがもっと興味を持って楽しんでも言いように思うのですが、なかなかそのような機会がないかもしれません。個人的になにかできないか、時折考えるのですが、写真をとって、四季の変化をみるのも一つかなと、感じたりした一時でした。

 

さて本日の話題に入りたいと思います。

昨日、私が成年後見人になっている方が入所している介護老人保健施設を訪ねました。被後見人の方が女性で、発語が十分できないこともあり、なかなかコミュニケーションをとりにくいのですが、それなりに頑張っています。

 

訪ねると、おやつの時間だったのでしょうか、食堂でみんなが集まって、容器に入っているフルーツのようなものを食べていました。30人以上は座っていたかと思うのですが、私が現れると一斉にみんなの目がこちらに注目です。ほぼ全員が女性で、70代後半ないし90代くらいの方が多いでしょうか。みなさん静かにして黙って食べていました。

 

元気に話し合ったりするような人は少し離れたところにいたのかもしれません。その食堂のいる方はほぼ会話もなく、静寂そのものでした。私自身は、介護士さんの案内で、被後見人の方のところまで連れて行ってもらい、その方が顔を上げてにっこり笑ってくれたので、覚えてくれていたのかなと少し安心です。成年後見開始と言っても、それぞれの方の認識能力とか判断能力は相当違いますので、まったく認識できない方もいれば、おおよそ認識される方もいます。

 

ところで、この方、病気入院され、治療を受けて退院した後、この介護老人保健施設、いわゆる老健に入所されたのですが、その後リハビリなどで少しずつ回復され、現在、介護老人福祉施設、特別養護老人ホーム、いわゆる特養に入所するかどうかについて、特養側の介護福祉士さんと話し合っているところです。

 

さて、見出しの著作者水野耕作氏は、医師で、老健の施設長をされていて、老医師として、また施設長として、老健でのいろいろな体験したケースなどを紹介されつつ、よりより関係者づくりといか、利用のあり方を提案されているように思うのです。

 

外部者の私のように、垣間見るだけではよくわからない、あるいはいい加減な知識で関与してきた私としては、改めて勉強しながら、いろいろ考えてみたいと思い、この著作『介護老人保健施設利用の手引き』を取りあげることにしました。

 

特養も含めて他の施設も説明がありますが、老健に限って話しを進めたいと思います。

 

老健は、「日常生活訓練やリハビリテーションで心身を回復、あるいは改善させて在宅復帰を目的とする施設である。」とされています。

 

つまり、さまざまな事情で一時的に自立した生活ができない方について、リハビリなどを行って、在宅復帰(あるいは別の施設に移る)を選択するまでの暫定的な施設との位置付けになっています。

 

そのため医療ケアを含めさまざまなケアができるように、専門職が大勢います。

 

入所定員100人当たりの最低人員について、特養と比較すると(括弧内で特養を記載)、目的はリハビリによる在宅復帰(終焉の老人ホーム)、入所資格は要介護度1以上(3以上)、入所期間は原則3ヶ月ごと(永久)、医療保険証(ほとんど使用不可(使用可)、診察室あり(医務室で代用)、リハビリ室あり(なし)、医師は常勤1一人(非常勤で可)、看護職員は9人で昼夜勤務(3人で昼間のみ)、介護職員は25人(31人)、リハビリ職員は1人以上(なし)、介護支援専門員、栄養士はいずれもあり(あり)となっています(上記著書による)。

 

ここで少し驚くのは、上記の医療保険証のほとんど使用不可という点です。入所中は介護料は介護保険制度でカバーされますが、医療費はそれでカバーされず、医療保険制度を使えないので、それは施設側でカバーすることになっています。

 

常勤医師が施設長になっていて、その医師が入所者の治療を見る限りは、施設側としても新たな負担はあまり発生しないと思いますが、常勤医師が扱えないような病気だと、専門医師のいる病院での治療となり、そうなればその負担は施設がすることになるので、そのような事態が増えれば施設経営に影響する可能性もあるでしょう。

 

ただ、水野氏は、すべて医療保険証が使えないとはいってなく、医療内容によっては使用制限されると書いていて、その範囲が明確にされていません。施設側としては、医療保険組合や介護保険組合に請求できないし、もちろん家族に請求することも法律上禁止されているのですから、施設側にとっては重大な事柄ですので、明確になっていないのは気になります。

 

というのは、本来施設は、入所者に病気や怪我などあれば、施設内で対応できればきちんと対応するでしょうけれども、そうでないとき、医療費負担がのしかかってきて適切な医療を受けることに躊躇が働かないか、一応懸念されるからです。むろんほとんどの老健では入所者の健康第一ですから、経済的問題で治療を受けさせないようなことはないでしょう。水野氏が指摘されているように。でも中には経営的にうまくいっていない施設の場合、水野氏のような入所者ファーストに徹底できるか、少し懸念します。

 

ところで、水野氏が紹介されている「日常生活プログラム」によれば、入所者の一日は規則正しく時間ごとにすることが決まっていて、おおむねその内容で進んでいるようです。

 

そのプログラムでは、

5時~ 胃痩患者に対して栄養剤注入・PEG、排泄介助、バルーンカテーテル処置 <A

6時~7時 起床、洗面、更衣、排油、バイタル測定(脈拍、血圧、体温)

730分~ 朝食 服薬指導

8時~ 朝食後の口腔ケア、排泄介助 

9時~ リハビリテーション、入浴、バイタル測定 <B>

10時~ お茶会(水分補給)

11時~ ラジオ体操・嚥下体操

1130分~ 胃痩患者に対して栄養剤注入・PEG <A

12時~ 昼食 服薬指導

13時~ リハビリテーション、言語聴覚士による経口摂取訓練、入浴、バイタル測定、透析患者を透析室ヘ誘導 <B>

14時~ レクリエーション

15時~ おやつ

16時~ 排泄介助

17時~ 胃痩患者に対して栄養剤注入・PEG、バイタル測定 <A

18時~ 夕食 服薬指導

19時~ 夕食後の口腔ケア、排泄介助、就寝準備

20時~22時 就寝

21時~翌6時 就寝者を巡回、異常者の発見

 

と基本的な流れが示されています。ここではとくに誰がとは書かれていませんが、<A>は看護師が担うのでしょう。就寝時間も看護師はバルーンカテーテル処置、介護士がオムツ交換などをするのでしょうから、ここに書かれているのは一応のものでしょう。

 

B>ではリハビリは理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが担当しています。

 

それ以外は介護士が相当数の方を見守っているのでしょうね。食べれば排泄もあり、介助が必要ですね。オムツ交換が多いようですから、手足が不自由な方が多いわけですから、大勢をやっていくのそれだけでも大変でしょう。

 

食後の口腔ケアは歯科衛生士が行うのが本来かもしれませんが、3食全部、毎日担当するとなれば、相当の費用がかかるでしょうから、一定期間ごとにやっているのでしょうか。

 

で、昨日私が訪れた施設では、ちょうど3時のおやつの時間だったようで、介護職員のスタッフは利用者のみなさんが食事しているとき、センターでなにか事務作業をしているようでした。

 

今後、老健の内容について、水野氏の著作を手がかりに、もう少し詳しく展開していければと思います。私の勉強の意味もありますし、いま特養に移ることが検討されている被後見人の立場にたって、考えてみたいと思います。

 

今日はこのへんでおしまいです。また明日。


在宅サービス大丈夫? <介護報酬配分 退院時、医療と連携重視 在宅サービス、充実遠く>を読みながら

2018-01-27 | 医療・介護・後見

180127 在宅サービス大丈夫? <介護報酬配分 退院時、医療と連携重視 在宅サービス、充実遠く>を読みながら

 

今日は午後、和歌山で高齢者・障がい者虐待防止に関する研修があり、午後一杯熱心な討議があり、先ほど事務所に戻ってきました。

 

内容は充実していて、とくに高齢者虐待の具体的な事例を題材にして、数名のグループに分かれて、その事案について行政の立場でどのような問題認識が必要か、それに対してどのような対応をとるべきか、などそれぞれで検討して、各グループが発表する方式でした。そして事例ではさらに事態が発展する内容となっていて、その問題も同様に議論しました。

 

高齢者に対する虐待の具体的な認定のあり方、それぞれ虐待に応じて対応すべき措置など、虐待を受けた高齢者、虐待をした養護者、それの家族の状況を、虐待の背景を検討し、防止策を考える上で、わずかな時間でしたが熱心な議論ができたと思います。

 

「支援計画書」が出版されていて、その詳細な様式にそって、検討できますので、問題点の把握も割合要領よくできますね。とはいえ、実際の現場では具体的な認定はその事実の把握や緊急性など、微妙な判断が求められるでしょうし、一刻を争うような場合、何を優先するかもてきぱきやらないといけないでしょう。

 

とはいえ、はじめて参加して勉強になりました。そういえば横浜弁護士会に所属していた頃、虐待防止法令が施行され、若手の弁護士がリードしてこの問題に取り組んでいたのを思い出しました。当時メーリングリストに神奈川各地の社会福祉士等からの要請に応えて、皆さん頑張っていたようです。私は開発・建築問題にもっぱら活動していて、この分野はおろそかにしていました。いつの間にか弁護士会の活動も社会福祉士との連携がとれるようになり、充実してきたものだと感心してしまいました。

 

さて今日はもう7時を回っていますので、簡単に終わらせてもらいます。毎日朝刊は厚労省が4月施行の介護報酬の配分方針を示したことについて、給付費抑制を狙うと、一面で大きく取りあげています。

 

ここでは在宅サービスについて焦点をあててみたいと思います。私自身よくわかっていないので、勉強のつもりで引用しながら考えようと思います。

 

ところで私の母は認知症でたしか要介護4の認定を受けているようですが、施設への入所は家族だれもが反対です。たしかにたいへんですが、自宅だと自由です。近所の人で元気だった人が施設に入所してまもなく亡くなったとか、そういう話しを家族は気にしていますし、私は施設入所では寝たきりになるだろうと思いますし、ますます体力が劣っていくだろうと思っていますので、できたら在宅が望ましいと思っています。

 

そのような考えに暗雲をさすような記事が掲載されています。この記事で取りあげられた「よこすか浦賀病院」はなんどか利用したこともあり、余計気になりました。

 

まず冒頭、その方向が自立支援に舵をきる反面、在宅サービスに厳しい点を指摘しています。

<今回の介護報酬改定は医療の診療報酬改定と同時に行われ、団塊の世代が全員75歳以上となる2025年を見据えた事実上最後の同時改定となる。医療や介護の必要な高齢者が増え、それに伴う費用も増える中で、退院支援など医療と介護の連携や、自立支援策を充実させるが、中重度者の在宅生活を支えるサービスは不十分だ。介護人材の確保が厳しい状況も続き、「老後の暮らし」に不安が残る。【藤沢美由紀、阿部亮介】>

 

当の病院の事例が紹介されています。

<1月中旬、医師、看護師に加えケアマネジャーや介護関係者が顔をそろえ、70代の男性患者の退院に向けた会議が開かれた。男性は、外出中に転倒して足を骨折。入院をきっかけに筋力が衰え、要介護1の認定を受けた。1人暮らしで頼れる親族も少ない。>

 

カンファランスの様子が描かれています。

<「デイサービス(通所介護)は週2回にします」。男性に付き添い、事前に医師から病状の説明を聞いていたケアマネジャーが今後のケアプランを説明。看護師からは服薬の管理ができるよう準備を始めていると報告があり、退院後の生活について、きめ細かな情報共有と意見交換が行われた。>

 

そして今回の改定の内容です。

<今回の報酬改定は、医療ニーズがあっても、住み慣れた地域で暮らすため介護と医療の連携を重視したのが特徴だ。ケアマネジャーが医療機関の退院カンファレンスに参加した場合の報酬拡充などが盛り込まれた。>

 

この改定を評価する声が指摘されています。

<横須賀市居宅介護支援事業所連絡協議会の諏訪部弘之副会長は「在宅の高齢者も入退院を繰り返し、退院時は体も弱っている。生活の場と病院が連携しなければしわ寄せがくるのは患者。報酬改定で評価されるのは当然の流れだ」と話す。>

 

他方で、在宅サービスに問題が指摘されています。

<不足が指摘されるのは、介護度が中重度の利用者向けサービスだ。「訪問介護」「訪問看護」が受けられるほか、事業所への「通い(デイサービス)」や「宿泊」が可能な「看護小規模多機能型居宅介護(看多機(かんたき))」は12年の報酬改定で新設されたが、17年3月の事業所数は全国で357カ所、看多機がない自治体も9割程度に上り、偏在している。>

 

この問題について、改定では改善する内容がないのでしょうか。

 

看護師の切実な声が取りあげられています。

<川崎市の看多機「ナーシングホーム岡上」を運営する看護師の林田菜緒美さんは、年末年始も5人ほど利用者をみとった。今回、事業所を増やすため基準が緩和され、訪問回数が多い事業所を評価する加算も創設されるが、対象は介護職で看護師による訪問は含まれない。林田さんは「新たな加算はわずかで、事業所が増えるとは思えない。おむつ交換でも褥瘡(じょくそう)があれば看護師が行くので、現実と合った加算を考えてほしい」と指摘する。>

 

自立支援に対する改善策は評価されつつ、その先の在宅サービスに手が回らないと、また施設に舞い戻ることになりかねないですね。本格的な介護施策に予算が伴っていないのですね。介護職員への待遇なども大きな変化はないようです。それでは介護職員の負担だけが増え続けることになりかねないですね。

 

中途半端な読み込みで、30分で仕上げてしまいました。今日はこれでおしまい。また明日。

 

 

 

 


痛みに思う <痛みの原因はなにか、どう対処するか、そして話題の貴の岩関について一言>

2017-12-25 | 医療・介護・後見

171225 痛みに思う <痛みの原因はなにか、どう対処するか、そして話題の貴の岩関について一言>

 

ここのところ久しぶりに首の具合が悪く、考える気力が少し弱まってきています。実は車を買い換えたのですが、どうも私の慢性的な頸椎症や腰椎症に新しいシートとネックレストが合わないようです。車自体は快適に、しかも静穏に走り出し、気分がいいのですが、このシートのためにどうも調子が悪いのです。車を乗ることはわが国の道路環境ではとても好きになれないうえに、体調が悪かったので、あまり遠距離ドライブはしたくない状態が長く続いていました。

 

いい医師にであい、体調が回復し、ハンドルを持つときも痺れを感じることなく、またパソコンのキーボードも次第に長時間たたくことができるようになっていました。それが新しい車でいっぺんにおかしくなりました。いままでボルボのシートがぴったりとあって、とても気持ちよく首も腰もリラックスできていました。ところが、こんどは痛くて仕方がないのです。車に乗るのもせいぜい20分くらいがいまのところ精一杯でしょうか。降りた後もずっしり肩に重みがかかったような、おかしい状態です。

 

かかりつけの医師に相談した方がいいかもしれませんが、長く調子がよく、車の買い換えの直前もみていただき、調子の良さを話していて、予約もずっと先です。もう一人の医師は来月ですが、突然だと、長時間待たないといけないのです。今日アマゾンでネックパッドを注文し、明日届けば少し改善するかもしれないと期待しています。

 

そんなわけで、このブログの継続も少しピンチとなりました。手の痺れも少しでてきたのと、首の違和感は昔からの慢性的なものが復活しそうな予感です。今日、先日書き上げていた千日ブログを内容とする年賀状を印刷したばかりで、これを出した後、休止宣言となってしまうかもしれません。とはいえ、パソコンに向かわなければ、痛みとか全身にかかる重荷感は弱まるので、少し工夫をすれば、なんとかなる状態かなと、四半世紀以上をともにしてきた痛みに聞いています。

 

で、今日は網野善彦著『列島の歴史を語る』がとても興味をそそる内容なので、この一端を私なりの見方で紹介してみようかと思ったのですが、とても頭が重くて働きません。

 

手の痺れも少し危うい状態です。こういう状態、なかなか現代の医学で症例として診断するのは難しいように思うのです。最近交通事故で依頼を受けた脳髄液漏出症もそうですね。そういえば貴の岩関の症状、具体的な内容がわかりませんが、医師の診断書のうち、2枚目には「髄液漏出症の疑い」でしたか、そんな記載が公表された上、その医師が相撲に差し支えない程度だと相撲協会に回答したとかで、これも公表されてましたね。

 

たしかにお相撲さんは公的な存在でもあり、協会に監督権とか一定の権限があると思いますが、病気の症状についてはやはり個人のプライバシーにわたることですから、その同意を得ていないと思われる状況で、開示するのはいかがなものかと思うのです。

 

それは別にして、前にも少し書いたような気がしますが、貴の岩関がずっと休場し、その後も稽古にでていないということは、仮病でないことは確かではないでしょうか。協会の安易な医師の回答と称する内容で、誤解を招いているおそれがあるように思うのです。

 

かりに髄液漏出症であれば、めまい、立ちくらみ、頭痛、耳鳴り、視覚障害など、多様な症状がでて、とても相撲をとれるような状態でありえません。ただ、外見的には一見すると普通に健康ではないかと思いますし、画像診断を含めさまざまな検査でも希少な専門医でないと診断がつかないおそれがあります。だいたい、この診断名も、以前は減少症とか低圧症とか、いろいろな名称で呼ばれ、多くの整形外科医や脳外科医などはこれを認めてこず、現在も、厚労省が認めたこの診断名すら知らない人もいるくらいです。

 

貴の岩関がどのような医師にかかっているかが問題かもしれません。仮に漏出症であったとしたら、その画像診断ができる医師は全国的にも限られるといわれており、この症状に効くブラッドパッチ治療を施術できる医師も限られるので、マスコミ監視の中で容易に適切な治療を受けられていないおそれすらありますね。むろん、貴乃花親方は、顧問弁護士もいるでしょうし、医療分野にも多方面に情報をもっているか、その情報を持つ人が身近に大勢いるでしょうから、私のような心配は杞憂でしょうけど。

 

どこでまちがったのか、本題から離れてしまい、いまから本題に戻るほどの元気もないので、今日は本題を毎日記事の<<ユコウ(柚柑) 土の中で完熟>と<あおそ 老樹に実る幻の柿>を読んで、から冒頭の見出しに最後に変えました。

 

痛みがそろそろ危うくなってきましたので、今日はこの辺でおしまい。また明日。


介護を考える <介護の外国人技能実習 新制度で来春以降始動>を読みながら

2017-10-25 | 医療・介護・後見

171025 介護を考える <介護の外国人技能実習 新制度で来春以降始動>を読みながら

 

今日もあれこれ法律相談をしていたら、いつの間にか業務終了時間になっています。さて、これから本日のブログはなにをテーマにしようかと考えながら、毎日などの記事を見たりして、見出しのテーマにしました。

 

ちょうどいま成年後見事件で、被後見人がある介護老人保健施設に入所していて、2度ほど訪問しました。久しぶりにこういった施設への訪問でしたが、なにか職員と利用者の会話とか、挨拶がきびきびしていて気持ちよく感じられました。たいてい皆さん、笑顔で対応され、これも気分よくなります。むろん利用者の方もそんな印象を受けます。

 

ただ、病気や障がいで、感情表現があまりできない感じの方もいるので、利用者の状態によることも確かです。一度目の時はデイケア利用者が帰宅する時間帯でしたので、とても快活な印象でした。二度目は入所者だけで、多くの方が車椅子を押してもらっている状態で、静かな、あるいはひっそりした雰囲気でした。そんな中、一人が介護福祉士の方でしょうか指導をうけながら、リハビリに励んでいるところで、元気な会話が聞こえてきました。

 

そういえば数年前でしたか、ある介護施設の経営者との間で借地トラブルとなった地主が依頼人のケースで、経営者としばらく経営状態について資料を出してもらって収支状態を確認しながら、債務弁済契約を取り交わしたことがあります。そのときの経営者の弁解は、介護職員をなかなか集められない、給与を高くするだけの介護収入が得られない、安い給与で勤める人は技量が十分でなく、経営者の自分がいろいろやらざるを得ないとか、でていました。経営資料をみても、収支バランスが厳しいことが明らかで、低賃金もあって能力不足の介護職員でやりくりすると、収益構造を改善することも容易でないというのがわかります。

 

さてそういった介護施設のちょっとした経験、過去になんども訪問していた経験を思い出しながら、毎日朝刊<読み解きワード介護の外国人技能実習 新制度で来春以降始動>を読みました。

 

記事では<25年には38万人不足 海外から人材招致>ということで、<来月1日から始まる新しい外国人技能実習制度で、対象職種に介護が追加されます。同制度では初の対人サービスです。実習生が介護現場で働くのは来春以降の見通しですが、利用者の不安を招かないよう質の担保が求められています。>と有田記者が指摘しています。

 

新しい制度でどうなるかでしょう。<9月の改正入管難民法施行で在留資格に介護が加わり、実習生でなくても日本の大学や専門学校で学んで介護福祉士の資格を取れば、国内でそのまま働けるようになった。専門学校の定員割れが続く中、留学生は約600人と5年で30倍に増えている。>

 

しかし、従前から問題がありました。<外国人技能実習制度を巡っては、送り出し側による多額の保証金徴収や、受け入れ側によるパスポート取り上げや賃金未払いなどの問題が多発。実習生の失踪も相次ぎ、国際的に批判されてきた。>これは他の分野でもありますが、介護分野でも顕著な事実なのでしょう。

 

この点の改正では<技能実習制度適正化法に基づく新制度では、法務省と厚生労働省が所管する「外国人技能実習機構」が新設され、実習先への監視を強める。実習生の受け入れは、個々の企業に代わって国の許可を受けた「監理団体」が担当。商工会や公益法人などの非営利法人に限られ、実習先から出された技能実習計画の認定や実習生の相談支援をする。実習生への人権侵害には罰則も設けた。優良な実習先と認められれば、従来3年の受け入れ期間が最長5年まで延びる。>ということですので、この監視制度が有効に働けば改善の見込みはあると思いますので、期待したいところです。

 

ただ、介護分野特有の課題がありますね。<実習生は今年6月で約25万人いるが、70以上ある職種に比べ、介護には高いコミュニケーション力が求められる。このため介護職には固有の条件があり、入国時と2年目移行の際に、それぞれ到達すべき語学レベルが設定された。>

 

身体的な部分の介護だけであれば、外国人も相当活躍できると思います。しかし、要介護の低い方はもちろん、高い方でも、コミュニケーションがその意識の回復につながる例は多く報告されていて、今後の介護のあり方として特に求められるところですので、外国人とはいえ、その能力を甘く評価するのはどうかと思うのです。ただ、このコミュニケーション能力は、言葉を流ちょうに話すこととは違うと思うのです。重要なのは利用者の言葉を引き出したり、聞いてあげることではないかと思うのです。あるいは表情や手振り身振りで感情を伝えることにより、衰えている利用者の感情表現を少しでも回復させることができるのであれば、日本語の一般的な能力が劣っていても、さほど問題ではないと思うのですが、どうでしょう。

 

この点、<実習生が言葉を十分理解できないまま仕事に就けば、単純作業ばかり押しつけられたり、同僚の負担が過重になったりしかねない。>というのは一応理解できます。

 

しかし、<入国時の要件は「日本語能力試験『N4』程度」だが、これは基本的な日本語を理解できるレベルで、大半の施設はこれより高度な「N3」以上が望ましいと考えている。>というのが、そのレベルがどのような内容か知りませんが、全体としてのコミュニケーション能力にもっと比重を置いてよいのではないかと思うのですが、客観的な評価としては簡単でないことはわかります。

 

施設ごとに相対的な基準を設けることもひとつで、ペーパーテストなどの一律の基準で評価することだけでは、ある種の客観性は担保できても、本来の介護の質を高めることになるのか、少し疑問を持っています。

 

別の観点から<結城康博・淑徳大教授(社会保障)は「EPAよりは多いかもしれないが、人材不足の切り札にはならない。安易な受け入れは介護の質の低下を招き、日本人の給与水準の上げ止まりが懸念される」と話す。>といった懸念の声が上がるのもわかります。

 

介護職の給与水準を上げて、その生活水準を高めることも、介護の質を高める要素と思います。他方で、外国人による介護は、ニュースなどで散見する限りは、東南アジアにはまだ昔ながら家庭的なサービスが身についている方いるようで、このようなサービスの多様化も期待したいとは思います。

 

外国人の受け入れをする一方で、日本人介護職の低い賃金構造はぜひとも変えてもらいたいと思いますが、最近、話した障がい者支援事業で働く人の情報では、介護職よりさらに低い賃金というのをうかがい驚きました。その方の仕事ぶりはとても熱心で細やかで、点数制ですが、それを超えるサービスを無償で行ったりしています。たしかに福祉は以前ボランティア精神で行われてきたわけですが、介護・障がい者支援は将来に向かって持続性をもつ制度にして行くにはより充実した財政支援が必要ではないかと、改めて思った次第です。

 

安倍政権の消費増税の使途変更は、若い健康な世代への支援に向けた甘いささやきに見えるのですが、それでよいのか、国会での充実した議論を期待したいです。

 

そろそろ一時間になりそうです。今日はこれでおしまい。