たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

木杭の活用 <「丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック工法(LP-SoC工法)」>への期待

2018-09-02 | 農林業のあり方

180902 木杭の活用 <「丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック工法(LP-SoC工法)」>への期待

 

一昨日は久しぶりに激しい雷雨が長く続き、何度も目を覚ましました。猛烈台風21号の影響が早くもと思ったのですが、それは早とちりでした。昨夜は静かでしーんと静まりかえっていました。今朝はなにやら賑やかです。時折訪れるイソヒヨドリの囀りのようです。ひょいとベランダの奥を覗くと、野鳥が留まっています。いつもの鮮やかな青色ではありません。でも表情は似ています.メスかなと思いながらネットで調べたら、画像ではいろいろな模様があるものの、基本的な部分で一致していそうで、メスのイソヒヨドリと比定しました。

 

ところがこのメス、最初しばらく大きな声でさえずっていたのですが、それからだんまりを決め込み、じっとしていて、こちらからは顔が見えない位置に移動して、一時間近く居座っていました。わが家にはいろんな野鳥がやってきますが、たぶん今回のが最長滞在時間でしょう。別のオスでしょうか、さっと下方に落ちるように飛んでいくと、そのメスも続いて飛び立ちました。なんだったんでしょうね。これがヘンリー・D・ソローなら、いろいろ豊かな表現で語ってくれるのでしょうが、私はただ書き残すだけです。

 

ところで本日のお題、木杭の活用ですが、たまたま先日、林業技術者の労働安全問題で、木杭が話題になりました。チェーンソーを使っていて事故になる要因の一つがキックバックです。それは常々注意されているのですが、といっても普通の立木の伐倒では熟練者はもちろんビギナーでもあまり起こしません。

 

そこでどんな場合にキックバックが多いかを尋ねたところ、治山事業で木杭を打ち込むのですが、その木杭の先をチェーンソーで削るとき、チェーンソーの使い方としては本来的でない先を当てることが多くなり、ちょっとした拍子でキックバックする危険を感じるようです。丸太自体が短いことも環境条件としてはあるようです。

 

国交省が行う治山事業では、おそらくコンクリート製の堰などコンクリートを使う場合がほとんどではないかと思うのです。他方で、林野庁の場合地産地消ではないですが、山にある立木などを使って行い、機械力も通常使わず、木槌で打ち込むという昔ながらの方式が普通ではないかと思います。管轄する地域や治山の必要性や地形条件などに応じて、それぞれ対応しているのでしょう。まだ具体的な制度を比較したことがないので、いずれ検討してみたいと思います。

 

今日も前置きが長くなりました。実は体調が思わしくなく、昨日同様頭も働かない中、テーマが見つからず、メール便でちょっと面白いと思ったのが[BUILT ウィーク]827日付けの<飛島建設ら3社が“木材活用”の地盤補強工法で、日本建築センターの評定を初取得>記事です。

 

<飛島建設、住友林業、ミサワホームの3社が共同開発を進める「丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック工法(LP-SoC工法)」が2019年度にも実用化されそうだ。同工法は、自然の丸太を地中に打設することにより、軟弱地盤の補強と炭素の貯蔵を同時に施すもので、地球環境対策や国産材の利用拡大につながると期待される。>

 

わが国では山地がほとんどで、居住に適した水場のある平坦地となると、沖積平野や海岸などの埋め立て地となり、N値が一桁といった軟弱地盤が昔から利用されてきたと思うのです。私が取り扱った事件でも、戦後初期くらいに建築された立派な屋敷の建て替えでしたが、基礎はなんとマツの丸太での杭打ちがびっしりされていました。昔は長い丸太の杭打ち基礎は普通だったのでしょうね。

 

で、この丸太の地盤内での耐久性などの能力ですが、<いわゆる「木杭」は、同形状のコンクリート杭や鋼管杭に比べ、垂直方向の力を支える「鉛直支持力」が大きいとされる>し、腐朽することもなく持続性が高いようです。

 

ところがご承知の通り<戦前・戦後の森林資源の枯渇、鉱物といった地下資源の利用拡大などにより、1950年代を境に使用の頻度が減少傾向に転じ、現在となってはほとんど使われていない。>

 

20年近く前、軟弱地盤での宅地造成工事のケースで、事業者側から提案されたのがペーパードレーンで水を抜き取ることと強力な配水管網やコンクリートの遮断壁を設けることで対応するといった内容であったと記憶しています。

 

ともかくなぜいま、丸太杭打ちが話題になるのか、それは林野庁の補助事業として、デベロッパーの飛島建設、山林事業者でもある住友林業、宅地販売業者のミサワホームという、いわば上流から下流までの事業者連合で生み出したと言えるのでしょうか。

 

<「丸太打設軟弱地盤対策&カーボンストック工法(LP-SoC工法)」>とは何でしょう。

説明では<皮を剥ぎ両端面を平坦(へいたん)に切断したスギ、カラマツ、ヒノキなど生の丸太によって、建物が不同沈下しないよう地盤を補強するもの。>となっていますが、これだけだと、昔の丸太杭打ちとどこが違うのと思ってしまいます。

 

その点、より詳細に語っているところでは、<「LP-SoC工法」は、主に粘性土の軟弱地盤を対象とし、丸太周面の摩擦力と先端支持力で地盤を補強する。丸太は、地下水位より深い位置に打設することで、酸素不足によって木材不朽を防ぎ長期間健全な状態を保持。>

 

対象土質を限定していること、丸太を地下水位以下に深く打設することに工法の特徴があるようです。このような前提は現在の地盤調査技術では簡単に判明するのと、深く掘削し打ち込む工法が確立しているからできるのでしょうね。

 

その結果が一石二鳥どころか三鳥です。<これにより、光合成で大気の二酸化炭素から吸収・固定した「炭素」を半永久的に貯蔵でき、地球温暖化の防止に貢献する。自然材料であることから、地下水位汚染の心配もいらない。さらに、丸太の形で木材を使うため、加工の手間が少なく、歩留まりの高い木材使用ができる。>

 

杭打ち工法はマンション建設などでその検査の偽装が問題になりましたが、わたしはここで指摘されていますように、地下水汚染の問題があると思っていますが、なかなかデータを収集することができませんので、見過ごしにされているリスクを感じています。

 

丸太をそのままに近い形で打ち込むので、加工の手間が少ないのは確かです。ただ、通常、3~4mの長さに造材し、大型トラックで搬送するような道路網となっていますので、10mとかそれ以上になると、なかなか日本の道路事情では山の現場から大変かなとは思います。これが北米だとよく見かけますが・・・

 

<今後について3社は、丸太頭部の処理方法や継ぎ丸太への対応、住宅地などの平面的な地盤補強の設計方法と品質管理方法を課題に研究開発を進め、2019年度の実用化を目指すとしている。>期待したいです。

 

今日はこれにておしまい。また明日。


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