たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

新森林管理と平成30年度税制改正 <林野庁発行の『林野』18年1月号>などを読みながら

2018-06-04 | 農林業のあり方

180604 新森林管理と平成30年度税制改正 <林野庁発行の『林野』181月号>などを読みながら

 

林野庁のホームページを見ると、『林野』の本年1月号で、特集した上記2つのテーマのうち、4月号で「森林経営管理法案」の閣議決定を受けてその概要が紹介されているものの、後者の主要な柱の一つ、「環境譲与税」については最新の5月号でも、取り上げられていないようです。

 

国会の議論がモリカケなどマスコミや国民の関心がある方面にスポットが当てられ、こういった地味な内容はなかなか進展状況がわかりません。

 

という私自身、これらの話題を取り上げたのかどうかも、はっきりしないので、少し過去のブログを探ってみましたが、なさそうな感じでした・・・

 

ま、過去のブログについてはあいまいな記憶ながら、気になるテーマなので、林野庁情報を基に、少し取り上げてみようかと思います。

 

1月では、「林業改革 新たな森林管理システム」と銘打って、2頁にわたって解説しています。まずのその背景について、人工林が伐期適齢期を迎えているのに利用されておらず、多くは手入れ不足で、公益的機能も発揮できない状況にあるとしています。

 

その要因については、一つは林業所有者の意欲の低下です。<我が国の森林の所有が小規模・分散的で、効率的な林業経営が難しくなっていること、また、多くの森林所有者が林業経営への意欲を失い、充実した人工林資源を伐って有効に活用しようとの意向が低いことです。>まさに農地と同様ですね。でもこの状況はもう何十年も前から言われてきたことですね。

 

もう一つは、事業拡大したい経営者に大きな障壁があるというのです。<、多くの林業経営者は、経営規模を拡大したいとの意向があるものの、実現できない理由として、「事業地

の確保が困難」であることや、「路網が未整備」、「資本装備(林業機械)の更新が困難」であることなどを挙げています。>これも農地と似たような話かもしれません。

 

ここでは、森林所有者と林業経営者とのミスマッチと査定しています。

 

新たな森林管理システムは、所有者に経営管理の責務をもたせ、できない場合市町村に預け、経営能力のある林業者に集積・委託し、他方で条件の悪い林地は市町村が森林環境譲与税の一部で管理するというのです。

 

なかなか結構な話ですが、農地でも同じようなことが過去なんどか制度化され、試みられてきたと思いますが、農業や林業の世界だけで解決できない課題も多く、なかなか簡単出ないのは過去の実績でしょうか。

 

はじめからできないと決めつけることなく、少しでも効果がある内容であれば、積極的に試して、試行錯誤を繰り返しながらよくしていくことも大事でしょう。

 

さて、新システムはすでに、36日に「森林経営管理法案」として閣議決定されています。法文もあります。

 

それによると、おおむね上記は具現化されているようです。

 

<① 森林所有者に適切な経営管理を促すため、その責務を明確化するとともに、

森林所有者自らが経営管理を行うことができない場合に、市町村が経営管理を行うために必要な権利を森林所有者から取得した上で、林業経営に適した森林は、意欲と能力のある林業経営者に委ねることとし、

林業経営に適さない森林や意欲と能力のある林業経営者に委ねるまでの森林においては、市町村が自ら経営管理を行う

あわせて、所有者不明森林等については、市町村による探索や公告、都道府県知事による裁定など一定の手続を経ることにより、森林所有者から市町村に経営管理を行う権利を設定できる特例を措置する>

 

ただ、その仕組みとしての経営管理権を設定し、それを「意欲と能力のある林業経営体」に経営管理実施権を設定配分するのが市町村の役割ですが、はたしてそのような重責を担う職員をどのように養成してきたか、あるいは今後どのように養成するのか、課題は少なくないと思われます。

 

市町村の中には公有林を多く持ち、一定の森林経営を行ってきた実績があれば、このような重責を担う職員も相当の知見と能力をもっているでしょうけど、それは長い林業不況の中で、市町村も多くは手を引いてきたのが実態ではないかと思われることから、この制度枠組みを主体的に効率的に動かせる担い手をどう育てていくかが課題ではないかと思いつつ、期待もしたいと思います。

 

他方で、「平成30 年度林野庁税制改正事項」では森林環境税(平成36年度実施)と来年度から実施される森林環境譲与税がメインとなっています。<森林環境税(仮称)と 森林環境譲与税(仮称)の創設>も参考になります。

 

前者の税率は年額1000円ですので、大きいとはいえないものの、継続的な効果は十分期待できます。

 

後者は、森林環境税の前倒し的な措置でしょうか、平成31年度から同33年度まで200億円、34年度から35年度まで300億円ですから、林業界としても大改革とはいえなくても相当程度の効果は期待できるものでしょう。

 

使途としては

<(イ) 市町村は、森林環境譲与税(仮称)を、間伐や人材育成・担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用に充てなければならないこととする。

(ロ) 都道府県は、森林環境譲与税(仮称)を、森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用に充てなければならないこととする。

(ハ) 市町村及び都道府県は、森林環境譲与税(仮称)の使途等を公表しなければならないこととする。>

 

とされているだけで、これから具体化が測られるわけです。とりわけ注目すべきは、ここでも市町村の役割が大きいのです。上記(イ)自体は以前から事業目的としてあげられているのですから、それぞれの市町村が独自にその抱えている課題を明確にして、費用対効果を考慮し、事業化を進めていく工夫が必要でしょう。この点でも、市町村の担当職員の役割に期待しつつ、関係林業者や所有者の意思をどうくみ上げ、反映させるか、またそれぞれの市町村民の意向も反映させるような手続も考慮されるべきではないでしょうか。

 

国民の税金で新たな林業改革を行おうとしているわけですし、使途等の公表と言うことも、そのような民主的手続が求められているのでしょう。

 

思いつきで取り上げましたが、この先、少し勉強して整理した内容にしてみたいと思います。

 

今日はこの辺でおしまい。また明日。


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