180202 新規就農と研修のあり方 <ショベルカーが下校列突っ込む 女児1人死亡>などを読みながらふと就農者のことを思う
今朝もNHKおはよう日本を見ていたら、ショベルカーが歩道に乗り上げ歩行者をなぎ倒し一人が死亡するショッキングな事件を目にしました。ちょっとしか見なかったのでどんなショベルカーかと思ったら、毎日朝刊記事に掲載されていた写真でみる一番小さいくらいのものですね。
事件の概要は毎日ウェブ情報<交通事故 ショベルカーが下校列突っ込む 女児1人死亡 大阪>によると
<1日午後3時55分ごろ、大阪市生野区桃谷1の大阪府立生野聴覚支援学校北側の市道で、ショベルカーが歩道に突っ込んだ。市消防局や大阪府警生野署によると、聴覚障害があり下校中だった小学部5年の男児1人と女児2人のほか、40代の女性教諭2人の計5人が巻き込まれて救急搬送され、同府豊中市の井出安優香(あゆか)さん(11)が間もなく死亡し、4人が重軽傷を負った。>とのこと。
運転手は<容疑を認め「信号が赤に変わる直前に止まろうと思ったが、ブレーキとアクセルを間違えた」と供述しているという。>
ところが、NHKの報道では防犯カメラにそのときの映像が映っていて、ショベルカーの進行方向の信号が赤色で、一端交差する道路からの車両が交差点に入った後、ショベルカーがまっすぐ進行せず、左に寄れて歩道に乗り上げ、信号機そばで待っていた児童や教諭たちをなぎ倒したようでした。
被害に遭った人たちは
<生野署によると、女児(11)と男児(11)、教諭(45)が腰の骨を折る重傷、別の教諭(41)が腰を打撲する軽傷を負った。同校によると児童らは事故直前に学校の北側にある正門を出て、交差点付近で信号待ちをしていたところをはねられたとみられる。教諭2人は児童らを見送るなどしていた。>とのこと。
信号待ちしていて、しかも歩道にいたにもかかわらず、ショベルカーに乗り込まれたのでは、交通ルールを完全に無視していますね。運転者には今のところ、薬物とか認知症とか、特別の運転に支障を来す健康上の問題があったわけではなさそうです。
ここからは私の勝手な推測であり、本題に入る一つの切り口です。ショベルカーは私自身運転したことがないので、どのような免許が必要か運転技術が必要かは詳しくないのですが、大型は別にして、小型の場合は割合簡単なようですね。
<ユンボには免許と資格が必要!>によれば
<小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育
こちらの正式名称は、「小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転の業務に係る特別教育」と言い、特別教育とは、講習を受けることで取得することができる資格のことです。
この資格を取得すると、機体重量1トン未満のユンボ、ブルドーザーなどの運転が可能となります。>
今回の事故を起こしたショベルカー(ユンボとも呼称)はこの小型車両径建設機械になるのでしょうか。
この資格を得るには<特別教育>を受ける必要があるようで、
<指定の教習所にて以下の講習を受ければ取得することが可能です。>とのこと。
【学科】
・小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の走行に関する装置の構造及び取り扱いの方法に関する知識(3時間)
・小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の作業に関する装置の構造、取扱いおよび作業方法に関する知識(2時間)
・小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の運転に必要な一般的事項に関する知識(1時間)
・関係法令(1時間)
【実技】
・小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の走行の操作(4時間)
・小型車両系建設機械(整地・運搬・積込み用及び掘削用)の作業のための装置の操作(2時間)>
注意したいのは、この教育での実技は整地・運搬・積み込み用・掘削用の走行操作や装置の操作ですが、一般道路での走行についてどの程度実技研修がされているか疑問を感じています。
基本はこれらの運転手が自動車の普通免許をもっていることを前提にしているから、一般道の走行にも支障がないということで軽視していないかということです。
なぜそれを気にするかというと、私自身、軽トラックを借りてなんどか運転しましたが、これは初めて乗るとひやひやものです。もちろんマニュアルクラッチですが、アクセルとブレーキのタイミングや踏み具合が慣れるまでに結構時間がかかりました(いや慣れたとは思えません)。
私自身、以前マニュアルクラッチの自動車を運転していたことがあり、それなりに自信が?あったのですが、軽トラックは別物ですね。とりわけ古い型のものは歯が立たないという感じです。それで新車の軽トラックを借りたのですが、それでもなんどかエンストを起こしました。ま、下手な証拠ですね。とはいえ最近のオートマチックしか乗ったことがない若い人には最初戸惑うと思います。
で、今回の事故の運転手、その点がどうだったのか、ありえない事故を起こした原因をしっかり調査して、二度とこのようなことがないように、使用者も運転者も、同種車両を運転する人たちも改めて厳重に注意してもらいたいと思うのです。
さてここからが本題です。最近ときおり『季刊地域』編集部編『田園回帰6新規就農・就林への道』を読んでします。ま、私は一度試してみましたが、大変さを実感したのと、他方でまだ道が開かれていると内心思っていますので、それぞれの取り組みを参考にしています。ここで登場する人たちは若い世代ですが、高齢者も結構やれますよと言うのをいつか実現したいと思っています。
その中で、浦部真弓氏が「オペレーター作業の実践、納屋の確保・・・独立と定着率を高めるために思うこと」というエッセイは興味深く感じました。
90年に浦部農園をはじめ、研修生を毎年受け入れ、すでに12人が就農し、ほとんどが非農家出身とのこと。
そして課題の一つとして、「大型農機の研修は自腹覚悟 受け入れ農家への支援が欲しい」というのです。
同農園では、実践的な研修を心がけ、トラクタやコンバインなどの扱いを徹底指導するといのです。頼もしいですね。しかし問題はあります。2年間の研修期間中一人当たり40万円くらい損害を出すそうです。破損させたり、故障させたり、いろいろあるでしょうね。
軽トラも話題になっています。「軽トラをつぶすくらいは、1回や2回ではない。シャフトを折っただの、エンジンを焼いただの、ベテランの農業者では考えられないようなトラブルは毎日のようだ。これは私もイメージできます。
さらに新規就農者にとってより困難な壁は、機械などを入れる納屋の確保ですね。これが大変で私の友人の子どもが脱サラで就農を始めたときも、この確保に多大の費用・労力をいったそうです。
浦部氏が指摘する具体的な問題への配慮が十分にされないと、若者が新たな農業を目指して参入することが厳しい現状を変えられず、旧来の慣行農法がある意味で維持され、適切な農地利用、土地の公益的利用に結びつかないことになる一つの要因ではないかと思うのです。
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