180405 うんち・おしっこ活用!? <災害時に困ること、トイレはどこかの不安>と<排便はゴミ>という考えを問い直してみる
今日の午後、予約のあった相談案件がキャンセルになり、のんびりとしていたら、友人から電話がかかってきました。あの、うんこ論の彼だったのです。彼の話を1時間余りおつきあいしました。わたしも物好きなのだと自分でおもってしまいます。とはいえ彼の考え方や体験的な取り組みはユニークで面白いのです。出版する話だったのですが、まだ停滞しているようです。
彼の話に触発されて、今日のお題は見出しのような変わり種になりました。江戸時代(それ以前もあったと思いますが)から戦後ある時期まで長く使われてきた糞尿の歴史、その内実はよくわかりません。私が小さい頃、少し町を離れて田んぼに行けば、肥溜めがどこにでもあり、落ちないように簡易な屋根みたいなものもあったように記憶しています。
とりあえずいくつかのウェブサイトで情報を入手して、簡潔に整理してみようかと思います。
まずはお医者さんの話から。
これは札幌医科大学医学部生理学第一講座教授富瀬規継氏から聞き取った内容ですので、正確な医学的知見に基づく内容かと思われます。
<小便と大便について・・・おしっこは細胞から出されたゴミを水に溶かして捨てるもので起源は血液であるのに対し、うんちはからだの中に入らなかったものが外に出たものなのです。>と一般向けに優しい言葉で解説されています。
ところで、人の体は、血液内にある人間に役に立つモノとそうでないモノ(こういう区別は正確な引用ではありませんが)とを選別する機能を腎臓に委ねているとのことです。
ですから腎臓はよく言われるように大変な活動を日々刻々とやっているわけですね。数字で表すと次のようです。
<腎臓に入ってくる血液の量は、一分間に約1・3ℓになります。心臓が送り出す血液量は1分間に約5ℓですから、かなりの血液が腎臓に流れ込んでいます。そのうち、糸球体で濾過される原尿は左右の腎臓を合わせて1分間に125mlで、腎臓に入ってくる血液量の約10%です。これだけの量の原尿が作られないと血液からゴミを除去することができないのです。1分間に125mlですから、一日に換算すると180ℓ程度になります。>
原尿をすべて排泄すると一変で水不足になりますね。そこで強力な水分回収システムが働くのだそうです。
<原尿から水分を回収するというしくみ>です。<このときの水分の回収率は約99%と非常に高率ですので、実際の尿量は一日で1・5〜1・8ℓ程度になります。>結局、ほとんどの水分が体内に残るわけですね。
ところで、このおしっことして排泄されるのは、ゴミや細胞の残骸などと書かれていますが、実は<実は無菌状態で清潔なのです。>これは医学的にはずいぶん前に確立していたようですが、どうも合併浄化槽や公共下水道の普及が宣伝される中で、汚いモノといった意識が知らぬ間に意識化されたように思うのです。
では、うんちはどうでしょう。そのできあがり具合は次のような解説を参照ください。
<うんちの原型は、小腸の中で栄養素を十分に吸収し終わったころにできています。・・・この段階では水分はたっぷりと含まれていますが、これは、栄養素は水に溶けている方が効率よく小腸で吸収できるからです。
・・・大腸では、からだの水分を保持するために水分を回収し、うんちはだんだん固形化していきます。とはいっても、標準的なうんちの状態での水分含有率は約75%で、意外と水分量は多いのです。・・・うんちの固形成分のうち大部分を占めているのは、小腸で吸収されなかった食べ物の残りですが、その中でも重要なのは食物繊維です。代表的な食物繊維としては、セルロースがあります。・・・セルロースは栄養素としてからだに取り入れることができず、からだの外にうんちとして出て行くのです。・・・余分な脂肪分や毒性物質を絡めとってうんちと一緒に排泄したり、腸の古くなった細胞の死骸、つまり腸粘膜の垢をふき取る効果もあると考えられています。さらに、食物繊維は腸内にいる腸内細菌の栄養分になることもわかっています。>
ではうんちは有害なモノなのでしょうか。
ここでウィキペディアの<糞>の知恵を借りたいと思います。
<人糞を肥料として用いたことが確認される最初の例は、鎌倉時代の日本とも言われる[4]。これ以降、都市部の人糞を農家が回収するシステムが生まれ、日本の都市は世界的にみて、清潔なものとなったと言う。>
そして<肥料として用いる人糞は、そのまま使うと作物が根腐れするため、たいていは肥溜めに溜めて発酵させて利用する。>そうなんですね。そのまま食する?ことはできないでしょうけど、肥料としては有効利用の歴史は長いですね。
また薬効もあるようです。
<古来、糞は中医薬や漢方薬のための生薬として利用されてきた。例えば、明代中国で李時珍が編纂した『本草綱目』の巻52「人部」には、「人糞」「虫糞茶」「黄龍湯(zh:黃龍湯)」「糞清」「人中黄」などといった、糞を原料とする中医薬が記されている。>ま、私にはわからない話ですが。
その他の活用はウィキペディアに当たっていただければと思います。
ただ、大便の保存法に問題ありそうですが、それがうまくいけば、活用方法も生まれるかもしれません。
ところで、おしっこの方、無菌で清潔と言われていますが、飲めそうですね。いや、戦時中の話とかでは、実際、水不足の中で飲んだということはよく聞きますね。
さらに前向きな話がありました。
まず汚くないことについて、前述の医師より平易に書かれています。
<尿は腎臓で作られますが、まずは肝臓で毒を取り去られた血液が腎臓に入り、そこで強力なフィルターでろ過されます。ここでろ過されるのは余分な水分、塩分とその時点では余分と見なされた成分です。 ろ過されたもの(原尿)は綺麗な液体になっています。そして、ろ過された液体からは再び必要な成分が吸収され、最終的に残った液体は膀胱へと流れていき、おしっことして出されます。けっして毒物が排泄されているのではなく、無菌状態の液体です。>内容は同じですが、わかりやすいですね。
病気の治療効果までいうわけですから<中身の有効成分は>と解説されています。
まず尿素が効果があるようです。
<尿の主成分である「尿素」には抗菌性、抗ウイルス効果に極めて優れており、細菌による膀胱炎や腎炎などの炎症にも、また、エイズ、狂犬病、ポリオ、結核などの感染症にも尿素による改善がみられます。
昔から傷口にはおしっこをかければ良い、などと言われますが、天然の抗菌、抗ウイルス作用があるので、けっして迷信ではないのです。
尿素は薬を作るのにも利用されています。良く知られているのは保湿クリームです。
オイルと違って、皮膚の保湿能力そのものを高めます。>
酵素も効果があるとか。
<また、尿に含まれる「ウロキナーゼ」という酵素も薬に使われています。ウロキナーゼは血栓を溶かす酵素で、心臓病の薬として役立っています。>
抗がん作用まであるとか
<尿には癌を治すために免疫力を高める栄養素、酵素、ホルモン、抗菌物質なども多数含まれていますし、以下のような抗癌作用のある物質も発見されています。>
以下は省略します。
ともかく小便・大便、いずれも捨ててなるモノかと思ってしまいます。以上に書かれている医療効果的な内容は私にはわかりません。ただ、おしっこは無菌で清潔なもの、うんちは肥料効果が高いことは、間違いないでしょうね。
さて最後になりましたが、災害時にまずは命を守ることが第一ですが、次は避難先でのトイレの心配です。そんなとき排泄に苦労しないですむといいのですが、その前提として小便・大便に対する意識を改めることも必要かなとふと思って書いてみました。まだ解決策があるわけではありませんが、将来だれかの新たな発案を期待したいと思うのです。
これで一時間弱となりました。ま、今後の勉強の一里塚でしょうか。本日はおしまい。また明日。
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