180426 空き家・土石流の解決は <徳島県神山町 空き家に企業で活気>と<長野県岡谷市 だれの山? 防災阻む>を読みながら
今日はこれから出かけて事務所に帰らない予定なので、簡潔にブログを仕上げる予定です。
空き家問題は全国で起こっていますね。地方ではその数がすごいでしょうか。空き地もですね。人口減少の影響でしょうか。対応策があるか、どこもいろいろ考えていると思いますが、名案はなかなか簡単ではないでしょうね。
また、土石流被害が全国で多発していますね。むろん気候変動の影響もあって異常豪雨がどこで起こるかわからない状態も影響しているでしょう。ただ、森林地が適切な管理をされないまま放置されているという、空き家・空き地問題に類似する所有者責任の問題も重要な要素でしょう。
それぞれ毎日記事が連載で特集していますので、それを紹介しながら、考えてみたいと思います。
まず空き家問題。今朝の毎日記事では、<縮む日本の先に地方はいま/10止 徳島県神山町 空き家に企業で活気>と、元気の出る話が紹介されています。
<標高1000メートル級の山々に囲まれた徳島県神山(かみやま)町。高齢化と人口減に悩まされる中で、NPO法人が進める空き家を利用した企業移転が、町に活気を与えつつある。>
その担い手は< 移転に携わるのはNPO法人「グリーンバレー」。大南信也理事長(64)は米スタンフォード大大学院を修了後、実家の建設業を継ぐため帰ってきた。>というのです。
スタンフォード大の大学院まで出て田舎の建設業を継ぐのはもったいないといった考えは、現代では通用しないでしょうね。別の毎日記事では<幻の科学技術立国第1部 「改革」の果てに/4 将来が見えぬポスドク 不安定な就職事情 正規研究職、不採用40回>と研究職の悲惨な就職事情を紹介しており、おそらく日本だけでなく、アメリカでも似たような状態ではないでしょうか。
それはともかく、働く場所が都市部である必然性はないでしょう。さまざまな先端技術が地方でも自分のやりたいことが可能な条件が整備しつつあり、それを発見したものが充実した働き方を、生活を送ることができるのではないでしょうか。
<過疎地は「仕事がなく、移住者が定住しない」という同じ悩みを抱える。>という点を逆手にとって、そこに創造的価値を生み出すことをしているようにみえる事業でしょうか。
それは<大南さんは既に仕事がある人を呼び、空き家という空間を提供する「ワーク・イン・レジデンス」を打ち出した。>
その結果、
<東京のIT企業「Sansan」が古民家を改修してサテライトオフィスを置いた。「周囲の話し声がうるさい東京と違い、仕事に集中できる」。そんな評判が広がり、現在はIT企業や情報番組配信会社など16社が、空き家に入居。起業者の共同スペースも建てられ、一昨年には省庁地方移転の一環で、消費者庁長官が試験的に町で執務した。町には光ファイバー網が整備され、通信に支障はない。>
仕事空間は、多様で生きた自然環境が周りにあれば、オンとオフを仕事をしながらでも簡単に切り替えが可能でしょうし、都市空間の雑多な環境から解放されることによる、精神的なやすらぎは代えがたいかもしれません。仕事を移転すればいいだけですからね。
そうなると<企業の転入とともに、フランス料理店、オーダーメード靴店なども次々とオープンし、インターネットで発信される情報に興味を持った海外の観光客も、町を訪れるようになった。>
私は以前、近く?の上勝町を訪れたことがありますが(葉っぱビジネスで全国版になった町)、やはりさまざまな気の利いたお店が結構有りましたね。そんなものでしょう。いい店は都市部なんかのごった返したところより、人間とっては好かれるように思うのは私の勝手な解釈でしょうかね。
町の中を流れる川の水量が減ってきた、それは山の手入れができていないためと気づいた移住者は、村の人たちが気づかなかった視点で木の扱い、利用を考えたりしています。
<大阪市から移転し、ホームページ制作などを手掛ける「キネトスコープ」は、間伐材で作った製品を販売する「神山しずくプロジェクト」を進める。>そして<廣瀬圭治代表(45)は13年、間伐されない神山杉の利用方法としてタンブラーを考案し、地元の職人に製作を依頼した。赤と白の模様が強い特徴を生かしたデザインと保温力などが評価され、今年からパリでも販売される。>
木材は切った後、適切な価値で売られ、付加価値のある商品として利用されれば、国内はもちろん、世界を市場にもできるわけですね。その意味で、さまざまな移住者の視点がものの見方を変えてくれ、創造的な村づくり、森作り、社会づくりの担い手になり得るのだと思うのです。
それは移住者と、村の住民の相互関係が創造的思考と実現を生み出すのでしょう。
ところで、< 国は大都市から地方に本社機能などを移転した企業に税制優遇措置をとることで、企業の地方移転を進めている。>
さらに<ITを使って都会の企業の社員が地方で働けるテレワークを補助する国の「ふるさとテレワーク」事業では、16、17年度で全国の計33件に補助金を出した。今年度も対象を公募している。>
しかし、このような制度がどの程度認知され、使われているのでしょうか、それは行政だけの責任ではなく、国会議員、地方議員の意識もしっかり自分たちの施策を実現できるよう働いているか、自省してもらってはいかがでしょうか。いや私はしっかりこういった施策の実現に尽力している、弊害を除去しようと努めているというのであれば、それをもっと強く主張してもらいたいものです。
次の<縮む日本の先に地方はいま/9 長野県岡谷市 だれの山? 防災阻む>は、<2006年7月19日未明、諏訪湖の西に位置する長野県岡谷市・・・湊花岡(みなとはなおか)区・・近隣を含めた西山地区では、小規模な河川沿いで次々土石流が起きた。累積降雨量は400ミリ。91カ所計2・39ヘクタールの山腹崩壊が発生し、8人が犠牲になった。>土石流による甚大な被害への対応をとりあげています。
<08年1月に間伐徹底や地質に合った樹木への植えかえなどを掲げた「災害に強い森林づくり指針」を策定した。小口さんらも、間伐や植林に励み、「西山里山の会」を結成。>森林の保全活動を進めたわけですね。でも問題が生じたのです。
所有者不明で間伐が進まなかったというのです。よくある問題ですね。
<東京財団政策研究所の吉原祥子研究員(47)>は次のような対策を提言しています。
< 一つは手続きの手間を減らすなど相続登記の促進策だ。自治体職員や司法書士による相談体制の確立を訴える。
二つ目は利用価値のある早い段階で、土地を寄付したり、NPOなどに預けられるようにするなど受け皿の確保。
三つ目は所有者を確認する情報基盤の整備だ。不動産登記は義務ではなく、所有者が不明になることを防ぐため、登記簿、林地台帳、固定資産課税台帳など各書類の情報を共有できる仕組みづくりを求める。>
それぞれ林野庁をはじめ考えてきた内容でもあるわけですが、森林の管理なり所有のあり方について、大きな意識変革が問われているのかもしれません。吉原氏が指摘しているように、<公共財産としての管理>といったパラダイム変革ですね。いや先祖返りかもしれません。
さて時間がやってきましたので、終わりにします。また明日。
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