今回、初めて西山まりえさん(チェンバロ)のCD:「バッハ・イタリア協奏曲&フランス風序曲」(Anthonello Mode AMOE-10005)(録音:2007年5月2-4日、神奈川)を聴いてみました。CDジャケットの春うららのやさしい絵にも惹かれました。このCDには、『クラヴィーア練習曲集 第2部』(1735年出版)からのフランス風序曲、イタリア協奏曲および幻想曲とフーガイ短調が収められています。彼女のサイトは、http://www.geocities.jp/marierism/、です。レコ芸特選盤になっているようです。
いきなり聴き始めて、強烈な印象をうけました。というのは、フランス風序曲の出だしの第1和音から、いきなり曲が終わってしまったのか、あるいは、一瞬、オーディオ装置が壊れたのか、と思ったくらい強烈な遅さで始ったからです!。横になって聴き始めたのですが、思わず飛び起きてしまいました。これで一挙に演奏に引き込まれてしまいました。また、彼女の演奏は重厚で、圧倒的な演奏への“没入”と“集中力”に驚きました。CDの解説書(矢澤孝樹著)に、“今回会思ったのは、細部への没入それ自体が、彼女のバッハ演奏における企図なのではないか、ということである。”、“初めに構成ありきではなく、魅惑的な細部の集積が全体像をなす、とういう視点の転換がそこにはある。”とありますが、納得です。元気を出したい時や気分転換したい時に思わず手にとって聴きたくなってしまう演奏です。もう数回聴いたのですが、彼女からエネルギーが伝わってきます。久々の名盤です。
GLOSSAレーベルの「ゴルドベルク変奏曲」(GLOSSA GCD P31508)(チェンバロ:フォピオ・ポニッツォーニ)(録音:2004年5月、イタリア)を聴いてみました。この曲は、個人的にはピアノによる演奏の方が、微妙な情感が出やすく、好きなのですが、このCDは音が澄んでいて、クリアで、録音も良く、気持ち良くスッキリ聞けました。演奏も気合が入っていて、意欲的な感じがします。随所に音の強弱、テンポの変化を取り入れ、新たなアプローチをしているように感じますが、やや装飾音がやや多く、気になります。特に、強烈な印象は受けなかったのですが、良し悪しは別として、従来のチェンバロ演奏とは少し違った新鮮な印象を受けます。しっかりとした演奏と豊かな表現力が特徴のように思います。