ドイツ・ハルモニア・ムンディから、「ヘンデル:歌劇《リチャード一世》」(BVCD:37403-05)(ポール・グッドウィン指揮、バーゼル室内管弦楽団(ピリオド楽器使用))(録音:2007年5月23日-6月1日、バーゼル、マルティン教会、スイス)が昨年出ています。ソプラノはヌリア・リアル、カウンターテナーはローレンス・ザッゾで、「ヘンデル:愛のデュエット集」(BVCD:31019)も収録しています。
ライナーノーツ(水谷彰良)によると、《イングランド王リッカルド一世》は第一次王立音楽アカデミー時代(1720-28)の作品で、名作《エジプトのジューリオ・チューザレ》(1724)から6作目の歌劇です。王立音楽アカデミー(ロイヤル・アカデミー・オブ・ミュージック)は国王ジョージ一世を最大の保護者に、ヘンデル作品の恒常的上演を目的に設立された株式会社です。
ヘンデルは1727年2月20日にイギリスに帰化していますが、この帰化がこのオペラの作曲のきっかけとなったようです。同年5月16日には既にこのオペラを完成しています(いつもながらヘンデルの筆の早さには驚かされます!)。6月11日にジョージ一世が逝去したため、ヘンデルとこの曲の台本の劇作家であるパオロ・アントーニオ・ロッリは、このオペラを新国王ジョージ二世に捧げようと考え、10月11日のジョージ二世の戴冠式を経て、11月11日にヘイマーケットのキングス劇場で初演が行われています。その後、12月16日まで合計11回上演されたようです。
獅子心王の異名ををとる12世紀のイングランド王リチャード一世(役名:リッカルド一世)のキプロス征服、ナバラ王サンチョ六世の娘ベレンガリア(役名:コンスタンツァ)との結婚を話題にしたオペラで、一定の史実に基づいているようですが、詳細は長くなるので、水谷彰良氏の分かりやすい解説を参考にして下さい。
ヘンデル42歳の時の作品で、エネルギッシュな勢いのある溌剌とした作品です。特に有名な楽曲はありませんが、ヘンデルらしい名曲です。
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