昭和恐慌の教訓に学べ!
十月三十一日ようやく日銀は金利を引き下げましたが、〇.二%という中途半端な数字で、これではとても本格的な景気回復は望めません。
今世界で起こっているのは、一九二九~三〇年に起きた世界大恐慌、日本では昭和恐慌に匹敵するような大事件なのです。ところが、日本政府も日銀も危機感が足りないように思えてなりません。今こそ昭和恐慌の教訓をしっかりと振り返らなければならないのです。
日本では当初浜口内閣の下で、旧平価による金輸出解禁(今日の円切り上げ)、と清算主義(今日の構造改革)を推し進め大失敗します。不況はより深刻化したのです。一九三一年になって犬養内閣が誕生、高橋蔵相の下で一八〇度の政策転換が行われました。金輸出再禁止(即ち円切下げとフロート)、それに日銀による国債の直接引受けによる猛烈な通貨供給です。これで一気に景気は回復に向かいます。
いつの世でも、日銀の思い切った政策枠組みの大転換が必要なのです。
このため、私は金融政策小委員会で昭和恐慌についての勉強会を開き、新たな政策提言を取りまとめる所存です。
同じ頃アメリカでもルーズベルト大統領が誕生、ニューディール政策を打ち出し、金融も緩和して景気回復に向かいます。この十一月四日にはアメリカ初の黒人大統領オバマ氏が誕生しました。オバマ新大統領は早速オバマ式ニューディール政策を打ち出してくると予想されます。日本もこれに負けない政策を打ち出せるかどうか。まさに正念場です。
(以上、衆議院議員 山本幸三ホームページ よりコラムを転載)
上記コラムについて、昭和恐慌の経済対策だけを抜き書きして景気回復に成功したから有効だとしているのは自民党の選挙用党内事情そのものである。些か安直過ぎないか。当時と現在では世界情勢がまったく異なっている。当時は欧米列強による植民地戦争の時代で赤字国債の発行は海軍の軍事費拡大が目的だった。また、円切下げによって輸出が急増したけれど、ソーシャル・ダンピングだと欧米列強は非難し、植民地圏をブロック経済化して日本を孤立させ第二次世界大戦の遠因になった。そして国内では統帥権干犯問題がおこり、政党政治が自滅していった。昭和恐慌の教訓なら当然そうした史実まで視野に入れるべきだろう。そうでなければ勉強会の経済対策も一知半解に過ぎない。