江戸の末期に活躍した吉備津神社宮司藤井高尚と言う人を知っていますか。
この人は学を修め歌をよくし、その徳は高く、寛政11年5月には従五位下に叙されて長門守に任じられています。高尚はこの宮内の天然の風刺をこよなく愛して、その風雅が損なわれるのを随分と心配してその保存に努めます。殊に神社境内外の樹木は損木たりとも容易に採伐を許さず、境内にある微細な物まで一切その位置を転ずる事を厳しく禁止します。
更に細谷川を落ちる水の潺湲とした傍らに桜を植え嵐山に擬せんとしたのです。そして、そこを桜谷と称します。更に歌に詠みて碑に刻みて之を立てたのです。