だいぶ昔の話だが実は予備校で英語の講師をしていたことがある。大学入試シーズンにまず入試問題を解くというアルバイトを先輩から回ってきた。予備校は威信にかけて模範解答を即日で出さなければならないのだが、人手が足りないのである。ほぼかんづめになって、ざーと解く、それをベテランの講師がチェックするのだが、その独特の技術の高さには舌を巻いた。まさに受験問題に精通しているのである。その頃から、大学の出題者のレベルの低さが話題になっていたが、考えてみると予備校の講師の方がはるかに受験問題には明るいわけで、専門があるとはいえ点数で差をつけていく受験問題を作ることになれていない大学教授が作る問題は穴だらけであったわけだ。高校時代は受験勉強で泣かされたけれども、大学に進んでから、入試問題を見る側に立つという経験をしたことで入試に対する考えはまるっきり変わった。
こんな問題で人生を左右されてたまるかということだったし、受験に精力を使い果たしてしまうことがどんなに馬鹿らしいことかとも思った。
そんな思いが城南予備校のホームページを見ながら懐かしく思い出された。くしくも今は大学広報という立場で仕事をしていて予備校とも付き合いがある。今の予備校の「面倒見の良さ」はおどろくべきものだ。ほんとうに受験生のことを考えて指導してくれる。コーティングという言葉が流行だが、まさに予備校は受験生のコーチ役を果たしている。城南予備校のホームページを見るとわかるように「個別指導」も徹底している。大学の教育も予備校の教育に学ぶべきものは多いように思う。(実際に『予備校が教育を救う』という本を書いた予備校関係者もいるくらいだ)
最後にこっそりと書いておきたいが、実は一番初めに大学入試問題の模範解答を作成するために深夜こもった予備校というのは城南予備校川崎本校だったのだ。だから城南予備校のホームページは懐かしい。