新潮文庫でかれこれ1年前に堀江敏幸の「いつか王子駅で」を読み、彼の独特のこれでもかと描写を重ねて手触りまでも伝わってくる文体にすっかりはまったしまった。読んだきっかけは王子駅は通勤途中の駅でときおり、飲みに行く街でもあったし、駅前のホクトピア(北区文化施設)はイベントで年に2、3度使う。それにマイルスデイビスの『いつか王子様が』が頭の中で聞こえたからで、読む前からジャズ小説の予感がしたから。(予感は裏切られたが…)
そして彼の作品が文庫に入ったらまた読もうと思っていたが、今週、新聞広告で『雪沼とその周辺』が新潮文庫に入ったことを知り、今日職場の近くの書店で早速買い、一気に読んだ。といっても8編の短編集なので堀江ワールドに入り込めればすぐに読めてしまう。
雪沼という架空の町を舞台に古いモノを大切に生きる人達を少しずつエピソードを絡めながら丁寧に描いている。『いつか王子駅で』と違い短編だけにしつこいほどに右から左から描いておいて裏から描き直すというのはないが、人とモノを丁寧に描いていく手法は同じだ。観察眼のするどい人なのだろう。ボーリングのメーカーの話(ブランズウィック社)などへたをすればスノビッシュになりそうなモノ(グッズ)の取り上げ方なのだが、嫌味がないのは、全て描ききるように見せて、実は抑制を効かせているに違いない。
テレビドラマはしばらく見ていないが、良質のドラマになりそうだ。
そして彼の作品が文庫に入ったらまた読もうと思っていたが、今週、新聞広告で『雪沼とその周辺』が新潮文庫に入ったことを知り、今日職場の近くの書店で早速買い、一気に読んだ。といっても8編の短編集なので堀江ワールドに入り込めればすぐに読めてしまう。
雪沼という架空の町を舞台に古いモノを大切に生きる人達を少しずつエピソードを絡めながら丁寧に描いている。『いつか王子駅で』と違い短編だけにしつこいほどに右から左から描いておいて裏から描き直すというのはないが、人とモノを丁寧に描いていく手法は同じだ。観察眼のするどい人なのだろう。ボーリングのメーカーの話(ブランズウィック社)などへたをすればスノビッシュになりそうなモノ(グッズ)の取り上げ方なのだが、嫌味がないのは、全て描ききるように見せて、実は抑制を効かせているに違いない。
テレビドラマはしばらく見ていないが、良質のドラマになりそうだ。
雪沼とその周辺 (新潮文庫 ほ 16-2)堀江 敏幸新潮社このアイテムの詳細を見る |