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電子書籍についてはこれまでもいろいろと見てきた。最近ではアンカーパブリッシング発行のオンライン雑誌「万葉」(E-BookSystemsというシンガポールの会社のFlipViewerという専用ブラウザを使う)を楽しみにしている。
というのはPCでの情報収集に関心があるからで、オンライン教育の可能性を探ってみたいと考えているからだ。ビデオ教材にしても、オンライン教材にしても、ディスプレイをずーと見ているわけで、今も子どもたちのことはわからないが、私の世代(50台)には、PCをずーと見ている習慣がない。テレビは何時間でも見ていられるのだから、とも思うが、どうもPCで学習するというのはテレビを視聴するのとは違うようである。これはPCかテレビかという話ではなく、「学ぶ」という主体(私)がアクティブであることを要求されることに忍耐力がないということかなと思っている。
その証拠に、集合させてビデオ教材を見せると結構しっかりと勉強するが、一人で「学ぶ」とうまくいかない。これから大学も18歳人口が減ってくると社会人を対象とした教育を行っていくことになるだろう。そうなるとやはり、通信教育とかオンライン教育とかを取り入れていかざるをえない。質の高い教材を提供できるにも関わらず、独習するためには、「目標=学ぶ目的意識」、「計画性」、「視聴する環境」、「忍耐力」などが他律的でなく、自律的な力として要求される。
このオンライン雑誌は無料で購読できるので、広告で成り立っているということになる。(採算が取れているかはわからない)インターネット広告のひとつのビジネスモデルといえるし、クライアントは効果測定が容易なので、効果が高いとなれば出稿もふえるだろう。
そういうわけで、どれだけ読みやすいオンライン雑誌ができるか、音楽が付いたり、付属情報をハイパーリンクで見せたり、オンライン雑誌ならではの仕掛けが、どれだけ読者の心を捕まえられるか、注目している。
もうひとつだけ。雑誌を読むときのビューワーの性能がオンライン雑誌、書籍の普及にはかなり影響するだろう。あれだけTORON プロジェクトの坂村先生は、先進的に電子書籍のことを語っていたのに、なぜは、現在の電子書籍のビューワーの多くがシンガポール製や韓国製なのはどうしてだろう。実際、私の勤務する大学でも大学案内を業者に委託して電子カタログ化しているが、ビューワーは韓国製らしい。前にpdf化してアクロバットリーダーで読ませようかと思ったが、ページの移行が重すぎて使い物にならなかった。(それこそ、学ぶ意欲が高ければ、多少の操作のもたつき感は克服できるが、軽い気持ちでブラウズしてもらうには、ちと厳しい)
次の記事で電子書籍のeBookJapannについて書いてみる。これも前からの私の関心事である「書籍をPCで読めるか」ということについてだ。