LRTって知ってますか。 その2

2009-10-29 21:25:34 | フィリピン

  広島で開かれるLRT都市サミットの概要だけ見ると、知らない人にはLRTが路面電車のことを言っているように勘違いされるのではないかと心配になってしまう。しかし、路面電車はそのひとつにすぎない。

 小生にとって、LRTと言えば、すぐにメトロマニラの高架鉄道が頭に浮かんでくる。

 すでにフィリピンでは、24年も前の1985年にはLRT(Light Rail Transit)が走り出していたのだ。マニラ湾沿いの南北に走る幹線道路の上を高架で走っているので、道路の混雑がぐっと緩和されたという。

 小生が小さい頃は首都はケソンシティと習ったが、その後マニラに戻ったと言われていた。しかし、正確に言うとマニラに戻ったのではなく、メトロマニラになったのである。

 マニラとはオールドマニラとも言われるマニラ市のことで、そこから首都圏は始まったが、今はどちらかというと下町っぽく外国人観光客相手の観光スポットや歓楽街や中華街があり、寂れた感じの場所だ。
  そのやや北西部に政府機関やフィリピン大学のメインキャンパスであるデリマン校などのあるケソン市がある。
  また、マニラ市のやや南東部にはアラヤ財閥によって開発された超近代的な現在の経済の中心であるマカティ市があり、こちらには日本人初め、多くの海外駐在員が暮らすハイソな街がある。

 つまり、それらの市を含めた14の市と3つの町がひとつのなってメトロマニラという国家首都地域に重なる首都圏を成しているのである。

 メトロマニラの形を分かりやすく説明すると、それは南北が長い長方形と考えてほしい。そして左の長い辺がマニラ湾に臨み、右の長い辺はラグナ湖というフィリピン最大の湖に沿っている。つまりマトロマニラはふたつの水域に挟まれた長方形の土地である。
 そして、左の長辺に沿って前述したLRTが走っていると考えてほしい。次にその長辺をアルファベットの大文字のDの第1角目の縦線とし、そこに第2角目のCの逆のアーチを描けば、それがエドサ通りという東京で言えば環八のような環状道路が走り、それに沿って上にケソン市、下にマカティ市、その間にもクバオやオルティガスという商業地区が点在し、そして、小生がいたころには、そのエドサ通りが大渋滞地域となっていたのである。朝から晩までひどい渋滞で時間が読めず、エドサが渋滞していたので遅刻しましたという言い訳が通る状態であった。

 前置きが長くなったが、そこに、8年前の2001年にLRTに続きMRT(Mass Rail Transit)という高架鉄道が走り始めたのである。これは当時まさに大革命ではないが大事件であった。その後、2004年にはDの字の真ん中を横に貫くLRT2も出来て、これはその1で述べた 『市内をぐるりと環状に走らせた路面電車の路線を基軸に、その中に縦横に他の路線を走らせればいい』という状態に一致しているのである。

図がぼけているが、左側の黒い縦線がLRT。そこからD型に走る
ピンクの線がMRT、同じくピンクでDの字を貫くのがLRT2。
その他は現在建設中や予定の線。地下鉄ではない。高架鉄道電車である。

 ましてやそれが路面電車と違い高架であることが、よりLRTの速達性、快適性の理想に近いということにあり、今後も放射状にどんどんLRTが作られる予定である(ただし、かなりの部分が外国からの、しかも皮肉なことにLRTで遅れをとる日本からの援助からなっているのだ)。

  

現在のLRT,MRTについては、以下を参考のこと。
   
http://www.pasco-ph.com/main/index.php?pid=421

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フィリピンの思い出1-2  スローモーション②

2009-10-29 19:30:42 | フィリピン

  見ると、三車線に並んで発車を待っている車の間を、いつもの物売りの男達やタバコ売りの少年らに交じって、片手に空き缶を持った物乞いらしき姿があるのが薄暗がりの中でなんとか分かった。五、六組はいるだろうか。
 「サー、あれはこの近くの目の不自由な者たちが共同生活している 国の施設から出て来ている者達なんですよ。付き添っているのはその家族です。クリスマス前のこの時期だけ、公に物乞いが許されているんですよ。」
と、ピーショーさんは吐き捨てるような口調で言った。
 クリスマスシーズンに限らず、物乞いが車に寄って来るのには既に慣れてしまっていた。外からコンコンとノックするのが合図だが、それに対してコンコンと合図を返すと、それは小銭を与える気はないという意味になり、物乞いも速やかに離れていくのだ。初めの頃はどうしようか迷うこともあった。しかしそんな時、ピーショーさんが、物乞いはあれで私達庶民よりけっこう儲けており、彼が仕事を終えて帰る途中、雑貨屋でたくさんのコインを紙幣に両替してもらっている物乞いの姿を見てショックを受けたことがあったこと、だから、私ひとりが与えようが与えまいが何ら関係ないこと、与えるのは普段あくどく儲けている金持ち連中がすれば
いいんだというようなことを言ったことがあった。私はその言葉を助け舟のように受け取り、それ以後、コンコンと来ればすかさずコンコンと返すようになり、いつしかそれが条件反射で出来るようにもなっていたのだった。

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LRTって知ってますか。 その1

2009-10-29 19:10:07 | フィリピン

 明日30日(土)と31日(日)に、広島で『LRT都市サミット広島2009』が開催される。

 ということで、LRTってご存知だろうか。LRTとは『Light Rail Transit の略で、定時性・速達性・快適性などに優れ、人にも環境にもやさしい路面電車』のことである。そして、そのサミットには、『地球環境にやさしい都市づくりを目指し、公共交通振興のための都市連携強化『を目的に、路面電車のLRT化に取り組んでいる国内の11の都市の首長が集まり、話が持たれるのだ。

 路面電車はバスや自家用車に較べて遥かに排出される二酸化炭素が少なく環境にやさしい。快適性や人へのやさしさについては、独特の揺れや軋むような音や誰にも乗りやすいバリアフリー化は、少なくとも広島では新型車両では進んでいるし、電停まわりの環境改善なども行われて来ている。

 しかし、速達性については、道路を車と共有していろことが大きなネックとなっていると思う。実際、広島市内では結構信号待ちが多くて、しかも待ち時間が長いので出勤時などはイライラすることが多いし、各駅に必ず止まるものであるからなおさらだ。小生はいくら路面電車が安いといっても、バスと同時に来ると必ずバスを利用してしまう。

 いっそのこと、業務用の車を除いてバスも自家用車も市内中心部から排除してしまい路面電車だけにすればいいと思う。そして、市内をぐるりと環状に走らせた路面電車の路線を基軸に、その中に縦横に他の路線を走らせればいい。そして、いくつかの環状線の駅の外側に定期バス(電気バスが理想であるが)の発着センターを設けて、そこから郊外へのバスを走らせればいいと思うのだ。

 しかし、本来のLRTとは、いわゆる路面電車に特定されたものではない。このことは次回、なんとフィリピンと絡めて話したいと思うので乞ご期待?!

 

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