医師の技量について、小医は病を治し、中医は人を癒し、大医は国を癒す、と言われますが、医師である自分が、がんになった時には、病を治すことが医師にできるのかという疑問や不安をさえ持ちました。果たして手術台の上から生きて帰って来れるのだろうか、と悩みました。
手術室まで歩いて行って、手術台に登り「膝を抱えて横向きになって下さい」と言われたのは聞こえていましたが、次には「無事終わりました、全部取りきりましたよ、それ1,2,3」という声でICUのベットに横たえられました。この間は、全く覚えておりません。がん患者のように切羽詰まった環境に置かれると、がんが切除されることしか初めに考えていません。無事生還して欲が出て、お願いだから転移がないことを、と祈りました。
心配顔で覗きこむカミさんや家族の顔を見て涙が流れ、有り難う、助かった、と心から手を合わせたのは、少し余裕が出て来たあとでした。麻酔の際、背中に鎮痛薬の管が入らなかったために、痛みと苦しみが半端でなく、自分の身体のことしか考えておりませんでした。術後、血便が続き「大丈夫か、再手術になるのか」と考えておろおろしていた時に、ベテランの先生が「これは、縫合した部位に溜まっていた血なんだから、もう少し続くけれど、きちんと縫ったから心配いらないよ」と慰めてくれました。不安がすっきりしました。これは、中医の言葉に相当しました。
元気になったのを知って同期のN君が見舞いに訪れました。今、あちらの大学病院に入院している釣り友ともメール交換していたけれど、われわれは最先端の医療を受けている。北海道の隅々まで同じ医療が受けられる環境に早くなって欲しい。というと、彼は、道内の各地に道庁と連携しながら、拠点病院造りを始めた。健康保険で受ける診療に不公平が有ってはいけない、と思っていると答えてくれました。彼は今、北海道医師会の会長をしています。大医になっていくのでしょう。
手術室まで歩いて行って、手術台に登り「膝を抱えて横向きになって下さい」と言われたのは聞こえていましたが、次には「無事終わりました、全部取りきりましたよ、それ1,2,3」という声でICUのベットに横たえられました。この間は、全く覚えておりません。がん患者のように切羽詰まった環境に置かれると、がんが切除されることしか初めに考えていません。無事生還して欲が出て、お願いだから転移がないことを、と祈りました。
心配顔で覗きこむカミさんや家族の顔を見て涙が流れ、有り難う、助かった、と心から手を合わせたのは、少し余裕が出て来たあとでした。麻酔の際、背中に鎮痛薬の管が入らなかったために、痛みと苦しみが半端でなく、自分の身体のことしか考えておりませんでした。術後、血便が続き「大丈夫か、再手術になるのか」と考えておろおろしていた時に、ベテランの先生が「これは、縫合した部位に溜まっていた血なんだから、もう少し続くけれど、きちんと縫ったから心配いらないよ」と慰めてくれました。不安がすっきりしました。これは、中医の言葉に相当しました。
元気になったのを知って同期のN君が見舞いに訪れました。今、あちらの大学病院に入院している釣り友ともメール交換していたけれど、われわれは最先端の医療を受けている。北海道の隅々まで同じ医療が受けられる環境に早くなって欲しい。というと、彼は、道内の各地に道庁と連携しながら、拠点病院造りを始めた。健康保険で受ける診療に不公平が有ってはいけない、と思っていると答えてくれました。彼は今、北海道医師会の会長をしています。大医になっていくのでしょう。