今回は、安保法廃止をもとめる福岡の運動を報告する。
これまでは、福岡県の県庁所在地である福岡市の行動ばかりをあつかってきたが、福岡県内各地で活動は行われている。今回は、福岡県南部の久留米市で行われた集会に参加してきた。
主催したのは、「ちっご九条の会」。福岡県南部のことを筑後地方というが、その「ちくご」を音便化して「ちっご」というわけだろう。久留米市にある久留米大学御井キャンパスで、後藤富和弁護士を講師に招いて講演会が行われた。時間の都合で私は前半部分にしか参加できなかったが、講演後には懇話会のようなものもあったようだ。
下の画像は、自衛隊の南スーダン派遣が予定されていることについての話をしているところ。
よく知られているとおり、南スーダンで自衛隊が駆けつけ警護をすることになれば、その警護する相手は中国軍である。このことから、後藤弁護士は中国脅威論の欺瞞を指摘した。中国は、石油などの資源を狙ってアフリカ諸国とつながりを深めつつあり、それが“新植民地主義”などともいわれているわけだが、自衛隊が南スーダンで戦うとしたら、それは結局、中国の利権を守るために自衛隊員が血を流すということになるのだ。ネトウヨのみなさんは、そのへんのことをどう考えているのだろうか。
また、スクリーンに映し出されているのは、少年兵だ。これは世界各地の紛争地で起きていることだが、ローティーン、あるいは、場合によっては10歳にも満たない子供が、兵士として銃をもっている現実がある。自衛隊が南スーダンで戦闘行為を行えば、このような少年兵を相手にすることになるかもしれない。必要なのは、彼らと戦うことではなく、保護することではないかと後藤弁護士は訴える。
また、“中立”という言葉のもつ危険性についても語られた。
ここで紹介されたのは、東京の小学生が書いたという作文。「将来の夢」というテーマの作文で小学6年生の児童が「大きくなったら勉強して国会議員になって、世界に自慢できる平和な国を作りたい」と書いたところ、教師が「政治的な内容を含んでいる」としてボツにしたという。結局、その児童は作文を書き直し、テーマは「林間学校の思い出」になったそうだ。
これが“中立”なのだろうか?
“中立”というのが、態度を保留し、目の前にある不穏な社会状況から目をそらし、耳をふさぎ、口を鎖す口実のようになっていることに私はかねてから危険を感じているが、そこからさらに一歩進んで、“中立”の名の下に表現が抑圧されてさえいる現状がある。それが、この講演で後藤弁護士が指摘したジュンク堂のブックフェアの問題であったり、最近でいえば、「放送法の遵守を求める視聴者の会」なる組織がNEWS23の岸井成格キャスターを名指しで批判した問題などにもつながっている。
いまの日本の状況では“中立”というのはじつは非常に危険な態度なのだ。
このような事態が進行するのを黙ってみていられないと、福岡各地で、そして全国各地で、多くの人たちが活動を続けている。それらの動きが野党の尻を叩き、最近では「無所属の統一候補に野党が推薦で相乗りする」という選挙協力のかたちが見えつつある。実際に、来夏の参院選にむけて候補者の擁立が固まっている選挙区もすでにいくつかあるようだ。日本社会を守るために、さらに多くの人がこうした運動にかかわってくれることを望む。