安倍自民党の議員らが、相次いで失態を演じている。
金銭疑惑で辞任した甘利大臣、その代理でTPPの署名にいき、「ブルーチーズがおいしい」などとはしゃいでひんしゅくを買った高鳥某氏。まともに答弁できなかった岩城法相、「歯舞」が読めなかった北方担当(!)大臣……安倍政権の閣僚はもうボロボロである。
今回は、そうした閣僚や要職にある自民党議員の言動について書きたい。
まずは、丸川珠代環境相である。
被曝線量長期目標について「根拠がない」などと発言したことが問題になったが、丸川大臣は先日この発言を撤回した。当初は「言った記憶がない」といい、その後「言ったと思う」とはいいながら撤回はしないとしていたのが、最終的には撤回となった。
発言内容自体も問題だろうが、それにしても、この往生際の悪さはどうだろうか。
明確に否定せずに「記憶がない」という言い方をしたのは、録音などの有無をいわさぬ証拠があった場合にそなえた保険だろう。はっきり否定すると、そういう証拠が出てきたときに嘘をついたことになってしまう。そこで、とりあえず「記憶がない」といっておいて、発言の証拠になるようなものがなければそれで切り抜けようというハラである。しかし、探してみるとメモなどの証拠が出てきた。これは逃げ切れないとみて、一転して認めた……というわけだ。きわめて姑息なやり方だが、これは先の甘利氏の金銭スキャンダルにも通じるものだろう。問題発覚から会見までの一週間ぐらいの時間は、シラを切りとおせるかどうかを探っていたと考えるのが自然だ。そして、シラを切りとおすのは不可能と判断して、やむなく認めたというところだろう。
ついでなので、甘利問題にも触れておく。
文春の告発記事について、録音などがあったことから、自民党内には「罠にはめられた」という声があった。しかし、そういった記録が残っていることについて、告発者は「いつもしていること」と説明している。なにせ、政治家にカネを渡して便宜を図ってもらおうというシチュエーションである。あとで言った言わないという話になっては困るから、はっきり証拠として残るように録音していたというのだ。なるほど、そういう事情であれば録音があることはなんら不自然ではない。つまりは、甘利氏や高村氏が「罠にはめられた」などというのは苦し紛れの逆ギレでしかないということだ。
さて、ここでもういちど丸川議員の話に戻るが、この人がこういう問題を起こしたのは今回がはじめてではない。
このブログでは一度書いたが、丸川氏は昨年安倍総理とともに出演したインターネット番組でも、事実に反する情報をもとにして民主党議員を批判し、その番組を削除するという失態を犯しているのである。その記事でも書いたが、いまの政権・与党の人たちは、そういうふうにいい加減な思い込みで野党議員を中傷するというようなことを平気でする。ほかならぬ安倍総理自身も、西川元農水相の金銭スキャンダルでの「日教組ヤジ」問題で事実誤認を認めて謝罪している。この人たちは、総理とか閣僚とかいう以前に国会議員としての――いや、もはや社会人としての資質があるかどうかさえ疑わしい。
そして、不倫スキャンダルで議員辞職に追い込まれた宮崎謙介議員。
宮崎議員自身は閣僚ではないし、自民党内でもどちらかといえば下っ端のほうに位置する議員だろうが、この件については思わぬところに波紋が広がっている。自民党の参院議員会長をしている溝手顕正氏が、宮崎氏の件で「うらやましい」と発言して釈明に追われているのである。
うっかりそんなことを口にして「うらやましいとは何事だ」と問題になり、朝日新聞の取材に対して「宮崎選挙区の話だと思った」と釈明。「うらやましい」というのは、選挙情勢で「うらやましい人もいる」という意味でいったと主張している。もう失笑しか出てこない。そもそもこの人は、問題の「うらやましい」発言の後で、ちょっとまずいと気づいてか「冗談だ」といっていて、そのことからも「宮崎選挙区の話」などでないことは明らかである。この無理な言い逃れのほうが恥ずかしいと思うのだが……
三つ目は、電波停止についての高市早苗氏の発言。
この件について、安倍総理は例によって擁護しているが、とんでもない話である。専門家の間では、電波法の規定は倫理規範とみるのが“通説”だというが、ここでもまた安倍政権は、「自分たちが不公平と考える番組には電波停止を命じてもいい」と自分に都合のいいように解釈してみせるのである。
では具体的にどういう場合に電波停止の処分がありうるのかという点について、高市大臣は「テロ参加を呼びかけるような番組を放送した場合」を挙げている。
ここで思い起こしておきたいのは、石破茂氏がかつて「デモはテロだ」といっていたということである。「テロ参加を呼びかける番組を放送したら電波停止」と「デモはテロ」。この二つを組合わせると、デモを報道しただけで「“テロ行為”を暗に呼びかけている」などといって電波停止ということになりかねない。
これは、強引なこじつけでもなんでもなく、まさに情報統制国家ではありふれたロジックなのである。中国などをみればわかるが、情報統制国家は、「国家の秩序を乱すから」という理由で報道を規制するのだ。なにせ憲法解釈を180度ねじまげてなんとも思わないような人たちだから、それぐらいの“解釈”は朝飯前だろう。
さて、高市氏の発言も問題だろうが、私はそれ以上に菅官房長官の発言も問題だと思う。
高市発言にからめて「時の為政者によって恣意的に運用される危険はないのか」と問われた菅長官は、「それはありえないでしょう」と答えているのだが、いったい何の根拠があって、将来の人間についてそんなことがいえるのかという話である。安倍政権の面々がいうことというのは、一事が万事こんな調子で、とにかく無責任なのである。こんなにも無茶苦茶な人たちが政権を握っているということに、有権者はもっと危機感を持つべきだろう。
金銭疑惑で辞任した甘利大臣、その代理でTPPの署名にいき、「ブルーチーズがおいしい」などとはしゃいでひんしゅくを買った高鳥某氏。まともに答弁できなかった岩城法相、「歯舞」が読めなかった北方担当(!)大臣……安倍政権の閣僚はもうボロボロである。
今回は、そうした閣僚や要職にある自民党議員の言動について書きたい。
まずは、丸川珠代環境相である。
被曝線量長期目標について「根拠がない」などと発言したことが問題になったが、丸川大臣は先日この発言を撤回した。当初は「言った記憶がない」といい、その後「言ったと思う」とはいいながら撤回はしないとしていたのが、最終的には撤回となった。
発言内容自体も問題だろうが、それにしても、この往生際の悪さはどうだろうか。
明確に否定せずに「記憶がない」という言い方をしたのは、録音などの有無をいわさぬ証拠があった場合にそなえた保険だろう。はっきり否定すると、そういう証拠が出てきたときに嘘をついたことになってしまう。そこで、とりあえず「記憶がない」といっておいて、発言の証拠になるようなものがなければそれで切り抜けようというハラである。しかし、探してみるとメモなどの証拠が出てきた。これは逃げ切れないとみて、一転して認めた……というわけだ。きわめて姑息なやり方だが、これは先の甘利氏の金銭スキャンダルにも通じるものだろう。問題発覚から会見までの一週間ぐらいの時間は、シラを切りとおせるかどうかを探っていたと考えるのが自然だ。そして、シラを切りとおすのは不可能と判断して、やむなく認めたというところだろう。
ついでなので、甘利問題にも触れておく。
文春の告発記事について、録音などがあったことから、自民党内には「罠にはめられた」という声があった。しかし、そういった記録が残っていることについて、告発者は「いつもしていること」と説明している。なにせ、政治家にカネを渡して便宜を図ってもらおうというシチュエーションである。あとで言った言わないという話になっては困るから、はっきり証拠として残るように録音していたというのだ。なるほど、そういう事情であれば録音があることはなんら不自然ではない。つまりは、甘利氏や高村氏が「罠にはめられた」などというのは苦し紛れの逆ギレでしかないということだ。
さて、ここでもういちど丸川議員の話に戻るが、この人がこういう問題を起こしたのは今回がはじめてではない。
このブログでは一度書いたが、丸川氏は昨年安倍総理とともに出演したインターネット番組でも、事実に反する情報をもとにして民主党議員を批判し、その番組を削除するという失態を犯しているのである。その記事でも書いたが、いまの政権・与党の人たちは、そういうふうにいい加減な思い込みで野党議員を中傷するというようなことを平気でする。ほかならぬ安倍総理自身も、西川元農水相の金銭スキャンダルでの「日教組ヤジ」問題で事実誤認を認めて謝罪している。この人たちは、総理とか閣僚とかいう以前に国会議員としての――いや、もはや社会人としての資質があるかどうかさえ疑わしい。
そして、不倫スキャンダルで議員辞職に追い込まれた宮崎謙介議員。
宮崎議員自身は閣僚ではないし、自民党内でもどちらかといえば下っ端のほうに位置する議員だろうが、この件については思わぬところに波紋が広がっている。自民党の参院議員会長をしている溝手顕正氏が、宮崎氏の件で「うらやましい」と発言して釈明に追われているのである。
うっかりそんなことを口にして「うらやましいとは何事だ」と問題になり、朝日新聞の取材に対して「宮崎選挙区の話だと思った」と釈明。「うらやましい」というのは、選挙情勢で「うらやましい人もいる」という意味でいったと主張している。もう失笑しか出てこない。そもそもこの人は、問題の「うらやましい」発言の後で、ちょっとまずいと気づいてか「冗談だ」といっていて、そのことからも「宮崎選挙区の話」などでないことは明らかである。この無理な言い逃れのほうが恥ずかしいと思うのだが……
三つ目は、電波停止についての高市早苗氏の発言。
この件について、安倍総理は例によって擁護しているが、とんでもない話である。専門家の間では、電波法の規定は倫理規範とみるのが“通説”だというが、ここでもまた安倍政権は、「自分たちが不公平と考える番組には電波停止を命じてもいい」と自分に都合のいいように解釈してみせるのである。
では具体的にどういう場合に電波停止の処分がありうるのかという点について、高市大臣は「テロ参加を呼びかけるような番組を放送した場合」を挙げている。
ここで思い起こしておきたいのは、石破茂氏がかつて「デモはテロだ」といっていたということである。「テロ参加を呼びかける番組を放送したら電波停止」と「デモはテロ」。この二つを組合わせると、デモを報道しただけで「“テロ行為”を暗に呼びかけている」などといって電波停止ということになりかねない。
これは、強引なこじつけでもなんでもなく、まさに情報統制国家ではありふれたロジックなのである。中国などをみればわかるが、情報統制国家は、「国家の秩序を乱すから」という理由で報道を規制するのだ。なにせ憲法解釈を180度ねじまげてなんとも思わないような人たちだから、それぐらいの“解釈”は朝飯前だろう。
さて、高市氏の発言も問題だろうが、私はそれ以上に菅官房長官の発言も問題だと思う。
高市発言にからめて「時の為政者によって恣意的に運用される危険はないのか」と問われた菅長官は、「それはありえないでしょう」と答えているのだが、いったい何の根拠があって、将来の人間についてそんなことがいえるのかという話である。安倍政権の面々がいうことというのは、一事が万事こんな調子で、とにかく無責任なのである。こんなにも無茶苦茶な人たちが政権を握っているということに、有権者はもっと危機感を持つべきだろう。