軽減税率についての自公協議が、合意にいたった。結局のところ、加工食品までふくめることになったようである。
すでにほうぼうで批判が出ているが、これは妥協の産物以外の何ものでもない。
「消費税率を上げる」という公約と「軽減税率」という公約の両方をとりあえず形だけでも成立させるために、こういう形をとり、結局どっちつかずのものになってしまっている。そして、軽減税率の対象を広げたことで1兆円以上の穴が開くことになるわけだが、そこを穴埋めするために、低所得者の医療・介護の窓口負担をやわらげる総合合算制度をとりやめるということになったそうだが、社会保障のために消費税を上げるといっているのに軽減税率のために社会保障を削るというのだから、これも本末転倒とのそしりを免れない。しかも、それで捻出できるのは4千億円程度で、残りの財源はめどがたっていない。
公明党にしてみれ、安保法の貸しを軽減税率で返してもらったということだろうが、こういうのを一般的に“政争の具にしている”というのではないだろうか。ましてや、一部メディアの指摘するところでは、自民党側からの“満額回答”が公明党に対して逆に貸しとなり、それが自民党が目指す改憲の布石になっているともいう。ここをとらえて、橋下徹氏は「これで完全に憲法改正のプロセスは詰んだ」とツイッターで発言しているが、そのような見方が正しいとすれば、現政権は、財政再建と国民の生活がはかりにかけられているというこの深刻な問題で改憲を見据えた駆け引きをしているということになる。つまりは、彼らにとって国民の生活などどうでもよく、自分たちのやりたいことをやれるうちにやっておこうということしか考えていないのだ。前からわかっていたことではあるが、それがますますはっきりしたといえるだろう。
そもそも――私は必ずしも消費税増税否定論者ではないが――消費税自体、本当に財政再建に寄与するのかという疑問はぬぐえない。
机の上での計算ではいろいろな理屈もあるのだろうが、実績を考えてみると、「消費税による財政再建」というのはどうにも胡散臭い。今から25年ほど前に消費税を導入した。3%から5%にした。5%から8%にした。しかし、それでも日本の財政事情は苦しいままだ。そこで、まだ税率が低いだけだ、もっと上げればうまくいく……というのは、ギャンブルで誤った“必勝法”に執着してドツボにはまっていく人の思考回路ではないだろうか。消費税増税が本当に唯一の道なのかというのも、そろそろ本気で考える必要があるのではないだろうか。
すでにほうぼうで批判が出ているが、これは妥協の産物以外の何ものでもない。
「消費税率を上げる」という公約と「軽減税率」という公約の両方をとりあえず形だけでも成立させるために、こういう形をとり、結局どっちつかずのものになってしまっている。そして、軽減税率の対象を広げたことで1兆円以上の穴が開くことになるわけだが、そこを穴埋めするために、低所得者の医療・介護の窓口負担をやわらげる総合合算制度をとりやめるということになったそうだが、社会保障のために消費税を上げるといっているのに軽減税率のために社会保障を削るというのだから、これも本末転倒とのそしりを免れない。しかも、それで捻出できるのは4千億円程度で、残りの財源はめどがたっていない。
公明党にしてみれ、安保法の貸しを軽減税率で返してもらったということだろうが、こういうのを一般的に“政争の具にしている”というのではないだろうか。ましてや、一部メディアの指摘するところでは、自民党側からの“満額回答”が公明党に対して逆に貸しとなり、それが自民党が目指す改憲の布石になっているともいう。ここをとらえて、橋下徹氏は「これで完全に憲法改正のプロセスは詰んだ」とツイッターで発言しているが、そのような見方が正しいとすれば、現政権は、財政再建と国民の生活がはかりにかけられているというこの深刻な問題で改憲を見据えた駆け引きをしているということになる。つまりは、彼らにとって国民の生活などどうでもよく、自分たちのやりたいことをやれるうちにやっておこうということしか考えていないのだ。前からわかっていたことではあるが、それがますますはっきりしたといえるだろう。
そもそも――私は必ずしも消費税増税否定論者ではないが――消費税自体、本当に財政再建に寄与するのかという疑問はぬぐえない。
机の上での計算ではいろいろな理屈もあるのだろうが、実績を考えてみると、「消費税による財政再建」というのはどうにも胡散臭い。今から25年ほど前に消費税を導入した。3%から5%にした。5%から8%にした。しかし、それでも日本の財政事情は苦しいままだ。そこで、まだ税率が低いだけだ、もっと上げればうまくいく……というのは、ギャンブルで誤った“必勝法”に執着してドツボにはまっていく人の思考回路ではないだろうか。消費税増税が本当に唯一の道なのかというのも、そろそろ本気で考える必要があるのではないだろうか。