真夜中の2分前

時事評論ブログ
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日本はもう暗黒時代に入りつつある……安倍政権を止めるのは急務

2016-05-19 18:23:57 | 日本を守るためのアクション 2016
 今月も、19日がやってきた。
 例によって、安保法廃止にむけた運動について書いておきたい。
 この一ヶ月での一番大きな動きといえば、やはり小林節氏が参院選への出馬を表明した件だろう。小林氏みずから政治団体を立ち上げるというのは、相当にインパクトがあったし、無党派層の受け皿になる可能性は秘めている。
 だがこれは、比例での統一名簿構想が思うように進まないために、そうせざるをえない状況になったという側面もある。裏を返せば野党共闘が十分には進んでいないということでもあるのだ。
 正直なところ、参院選の情勢はかなり厳しいということは認めざるを得ない。
 一人区ではほとんどの選挙区で野党共闘が成立しているとはいえ、それでも各種情勢調査によれば、与党が優勢である。野党が健闘して、現状からさらに議席を増やすのを防ぐぐらいが精一杯ということになっているようだ。

 マスメディア、特にテレビに対する政府の抑圧は、思った以上に機能してしまっている。おかげで、報道の自由度ランキングが低下し続けていることや、アベノミクスが完全に失速状態にあることなどが徹底的に追及されていない。十年ぐらい前だったら、これらのことが報道番組で大きな問題として取り上げられ、今ごろ内閣支持率は10%台ぐらいに低迷していただろうと思うのだが、そうならないのである。日本はすでに暗黒時代の入り口に差しかかっているということだ。
 心あるリベラル層は、ここで踏ん張らなければならない。
 マスメディアがその役割をじゅうぶんに果たしていないいま、せめてブロガーたちだけでも、この国を覆う負のエネルギーに抵抗しなければならない。近々、リベラル系ブロガーたちの大規模な集会があるとも聞く。福岡に住んでいる私はそれに参加することはできないが、巷のブロガーのみなさんは奮って参加していただきたい。そして、完全戦闘モードで参院選まで突っ走ってもらいたい。

アベノミクスはもう破綻している

2016-05-18 19:09:24 | 政治・経済
1~3月期のGDPが発表された。0.4%、年率換算で1.7%のプラスである。
 2期ぶりのプラスだが、しかしこのプラスは「うるう年効果」によるものと指摘されている。そもそもごく小さなプラスだが、それもうるう年で一日多かったためにかろうじて出たもので、実際にはほとんどゼロではないかというのだ。また、前期がマイナスだったことで今回はプラスに数字が出やすい環境にあったといえ、そのことを考えれば、見かけの数字がプラスであったとしても、日本経済はとてもうまくいっているとはいえない状態にあるといわなければならない。
 この一年のことを考えると、今回までの4期は、2期がマイナスで、プラスになったのも、その前がマイナスだったためにかろうじてプラスになったというものだろう。もう、アベノミクスの失速はかなり鮮明になってきている。というよりも、事実上、すでに失敗に終わったといっていい状態ではないだろうか。安倍政権が当初掲げていた物価上昇2%の目標はいまなお達成にはほど遠い状態で、目標達成時期を延々と先送りし続けている。これも、実現はもう不可能なのではないか。

 この点に関して、今回は小幡績という人の『リフレはヤバい』(ディスカヴァー携書)という本を紹介したい。
 この本の中で小幡氏は、アベノミクスのよってたつリフレ理論を、全面的に否定している。彼によれば、そもそもインフレを人工的に起こすことはできない。中央銀行にできるのは「インフレが起きたときにそれを抑制すること」であって、インフレを起こすことは不可能である。欧米各国についても、インフレ率それ自体を目標にしている国はまずない。例外はイギリスぐらいのものだが、これはイギリスが金融立国であるという特殊な事情によるものである。リフレ理論は、大雑把な説明だけ聞けばもっともらしいが、具体的にそれをどういう政策で実現するかという議論になるとたちまちボロが出る。だから、リフレ論者はまとも議論はできず、大げさなたとえ話ばかりを繰り返す。経済学者のなかでも、実際に金融の現場に携わった経験のある論者であれば、リフレなど論外と考えている……といった具合である。

 リフレの如何ということについては、安倍政権発足当初からさまざまな議論があったわけだが、それから三年あまりが経ったいま、具体的な数値目標(二年で達成するとしていた目標)を達成できていないという現実がある。そのことは、直視しなければならない。企業業績の数がいいというのも、円安によって円換算での金額が見かけ上増えているに過ぎず、それで日本経済が好調といえるようなものでは必ずしもない。実際、GDPの数値は前述したとおりだ。リフレ論者達も、そろそろアベノミクスの失敗を認めなければならないところにきているのではないか。

自民党稲田朋美政調会長がLGBTに理解を示す……?

2016-05-11 18:35:16 | 政治
 自民党の稲田朋美政調会長が、「LGBTの問題に取り組む」といっている。
 性的マイノリティのイベント「東京レインボープライド2016」を視察し、「理解を広めることが、実は一億総活躍社会そのものだと思っている」といっている。
 またしても、露骨なイメージ戦略だ。
 参院選を前にして、なんとかソフトイメージをかもし出そうとしているのである。

 稲田政調会長といえば、以前当ブログで、週刊誌に対する訴訟の件をとりあげた。
 稲田氏がヘイトスピーチを繰り返す在特会と近い関係にあるとする記事を書いた『サンデー毎日』を訴えたのである。結局その裁判では司法が記事の真実性をみとめて稲田氏の訴えは斥けられたのだが、この訴訟自体が、訴えること自体によってメディアに圧力をかけるいわゆる「スラップ訴訟」と指摘される。
 それからさらに、稲田氏の夫も同じように週刊誌を訴えて敗訴している。
 『週刊新潮』が稲田朋美政調会長に関する記事を書こうと取材していたところ、それに対して代理人弁護士でもある夫が記事を掲載しないよう求める文書を送り続けた。新潮側はもちろんそれに応じず記事を掲載し、問題の文書について「恫喝だと気づかないのなら、世間を知らない弁護士バカ以外の何ものでもない」と書いた。それで旦那のほうが新潮を名誉毀損と訴えたのだが、この訴えも裁判所に斥けられている。
 つまりは、稲田夫婦というのはそういう人たちなのである。夫婦そろってメディアを訴えて黙らせようとする強権的な人物なのであって、有権者は彼らのソフトイメージ戦略にゆめゆめだまされてはいけない。

 そもそも、性的マイノリティに対して稲田政調会長が理解をもっているとは到底思えない。
 稲田氏は、自分は「男は男らしく、女は女らしく」といったことはない、と主張しているが、過去にそのような発言をしていたことはすでにあちこちであきらかにされている。
 そしてそれは、自民党の基本スタンスでもある。
 そのことを示すエピソードとして、たとえば今年の3月に新潟県三条市の自民党市議が「おかまに行政支援は必要ない」と発言した問題が挙げられるだろう。市が番組制作委託料を払っている地元のラジオ局の番組にいわゆる「おねえ」キャラが出演していることについてそのように発言して問題になったのだが、それについての釈明で、この市議は「自民党公認で選挙をしている私としては、党の『男は男らしく、女は女らしく』という伝統的な家族観を広める立場にある」と述べている。この発言を聞けば、あきらかだろう。稲田氏がどう取り繕おうと、これが自民党の基本的な考え方なのである。

 「男は男らしく、女は女らしく」という主張は、自民党の国家観と密接に結びついている。
 それは、障がい者に対する姿勢と同じベクトル上にある。
 当ブログでは、自民党の目指す国家においては障がい者が白眼視されるようになるだろうということを何度か書いてきたが、それと同じことは性的マイノリティにもあてはまる。同性愛者は、「子どもを産まない」というその一点で、「国家に貢献できない存在」とみなされてしまうのだ。障がい者に対する差別はナチスドイツにおいて障がい者の虐殺につながったが、その優生思想が拡大解釈されていく過程で同性愛者もその対象となっていたという歴史上の事実が、それを裏打ちする。

 このように考えてくれば、稲田氏が性的マイノリティに理解があるとは思えない。また、仮に稲田氏が理解をもっているとしても、それは自民党内で主流の発想になることはない。
 今回稲田氏がLGBTの啓発イベントに参加したのも、選挙にむけてソフトイメージを打ち出そうとしているだけとみるのが妥当だ。それにしても、ここまでなりふりかまわずイメージ戦略に走るとは……自民党の劣化ぶりも、いよいよ救いがないところまできているということか。

小林節氏、みずから出馬へ――今夏の参院選は近代立憲主義を守るか前近代的な専制国家に逆戻りするかの二択

2016-05-10 17:29:13 | 日本を守るためのアクション 2016
 憲法学者の小林節氏が、みずから政治団体を設立し、参院選に出馬するという。
 今夏の参院選で比例区での野党統一名簿構想が進まないことに業を煮やし、新たな政治団体を設立して比例区で候補を擁立する。安保法廃止だけでなく、脱原発、改憲反対といったことも訴えていくそうだ。

 驚きの展開だが、じつは、このことについては、以前当ブログで紹介した小林氏の講演会でもそれを示唆するような発言があった。
 あの講演会において、野党が必ずしも一枚岩になれていない状況について小林氏は「誰かが第三の旗を立てる」可能性に言及しており、「東京ではそのぎりぎりのせめぎ合いが続いている」としていた。いまさら新党といってもな……と私は内心思っていたのだが、しかし、それが自ら立っての政治団体設立だったとは、思いもよらないサプライズだ。

 ひとまず、この動きは歓迎したい。
 小林氏が語るように、安倍政権を支持しない人のなかにも「民主党アレルギー」が根強く残っていると思われ、それは名前が変わったぐらいでは払拭されていないようだ。そしてまた、「共産党はちょっと……」という人も少なくないだろう。そういう人たちの受け皿として、この新党は有望かもしれない。

 私は、昨年から続く反安保運動を「日本民主化運動」ととらえ、世界各地で起きている草の根民主主義運動につらなるものと考えている。
 なかでも、日本の場合はアメリカのサンダース旋風に近い。アメリカでも日本でも、表向き「民主主義」の看板をかかげてはいるが、実際にはそれを支える仕組みが形骸化していてとても民主的とはいえない政治状況になっている。そのことに有権者が気づき、それを変えていこうという運動がおきているのだ。

 これはまさに、小林氏のいう「心の独立戦争」である。
 民主主義と非民主主義の戦いであり、立憲主義と非立憲主義の戦いだ。それはまた、安倍政権によってこの国がダークサイドに堕ちてしまうのを防ぐための戦いでもある。その戦場に、いま新たな旗が立てられた。立憲主義という旗だ。いまはとりあえず、この旗のもとに無党派層が幅広く参集することを期待したい。

田母神氏逮捕・起訴……極右バブルの終焉か

2016-05-05 19:43:51 | 政治
 元航空幕僚長の田母神氏が起訴された。
 当ブログが批判の対象としているのは実際に権力を行使する立場にある政府やその与党であって、正直なところ田母神閣下のことなど私にとってはどうでもいいのだが、しかし、これがひょっとすると極右バブルの崩壊になるのではないかという期待もある。そういう期待をこめて、今回はこの田母神氏の件について書きたい。

 逮捕・起訴されたとはいえ、本人は容疑を否定しており、もちろん現段階で有罪ときめつけることはできない。
 しかし一方で、選挙運動員らに現金がわたっていたというのは、本人も認めている事実である。さらに、政治資金のうち3千万円が会計責任者によって私的に流用されていたという話も出ている(今回の逮捕・起訴にいたった容疑と直接の関係はないが)が、これについても本人が認めている。これらについての田母神氏の主張は、あくまでも「違法性の認識はなかった」ということであり、運動員への現金配布や政治資金の流用自体は事実なのだ。これらの資金には、当然支持者からの献金などがふくまれているだろう。その信任を裏切ったということは、はっきり事実ということになる。

 私は、田母神氏の“活躍”を極右バブルとみなしている。
 バブルというのは、みんなの感覚が麻痺していって、紙くず同然のジャンクボンドがまるで高い価値があるかのように流通してしまう状況をいうわけだが、まさにこの十数年の極右論壇がその状況になっている。
 かつての日本のバブルでは、土地の値段がどんどんあがっていき、ふつうであればとても買い手がつかないような土地でも価格が上昇していったという。それと同じように、世間で極右的な意見がまかりとおってフィーバーした結果、田母神閣下のような無茶苦茶な暴論を展開する論者が実際の価値をはるかにはなれて評価されるようになってしまった――これがつまり、極右バブルだ。

 経済におけるバブルは、いずれ必ず崩壊する。
 それは、熱に浮かれていた人たちが紙くずが紙くずだということに気づいたときにおきる。田母神氏の台頭が極右バブルだとすれば、今回の金銭スキャンダルはバブル崩壊の引き金になるかもしれない。
 バブルが崩壊すると、ほかの銘柄も道連れのようにしてめっきが剥がれ、価値がないことがあきらかになっていく。いままで紙くずを有難がっていた人たちが目を覚ますということだ。今回の閣下のスキャンダルによって、そのような極右バブルの崩壊が起きてくれないものかと私は期待している。