先月21日熊本県で初のCOVID-19症例が見つかったが、初期対応に問題があり、発症から5日目、症状が重症化してからようやく入院となった。
この間、車で患者さんの送迎をしていた父親も熊本県2例目の感染者となってしまった。
この症例について何が悪かったのか、どうすればよかったのかを、自分だったらという開業医目線で考えてみた。
どうすれば良かったのか、それを考えることが、COVID-19患者さんの自院来院時のシュミレーションになるはずだ。
熊本市によると、20代女性は17日にせきの症状が現れ、18日に発熱。市内の医療機関Aを受診してインフルエンザの検査で陰性と確認されたが、原因は分からず、父親の車で帰宅した。
19日には体温が39・6度に達し、市内の別の医療機関Bを受診。だが、前日のインフルエンザ検査で陰性だったにもかかわらず、再び同じ検査を受け、再び陰性を確認。この日も父親の車で帰宅した。
女性の症状は20日、さらに悪化。せきや高熱、嘔吐(おうと)、下痢の症状があり、深夜になって医療機関Cを受診した。コンピューター断層撮影(CT)検査で肺炎が確認され、医師が保健所に連絡。検体を採取し、ようやく新型コロナウイルスの検査につながった。だが結果は出ず、この日も医師から自宅待機を指示され、父親の車で帰宅した。
検査で陽性反応が出たのは21日正午。40度の高熱で同日午後、救急車で市内の感染症指定医療機関に搬送された。入院後も肺炎の症状や全身の倦怠感が続き、市は24日、「重症化した」と判断。意識はあるが歩行は困難という。
厚生労働省の検査対象の基準は、感染者との濃厚接触や流行地域への渡航歴があり、37・5度以上の発熱と入院が必要な肺炎が疑われる症状がある場合。ただ、実際には医師の判断に委ねられている。
市によると、医療機関A、Bはいずれも、市や保健所に相談していなかった。ある市幹部は「初めてのケースであり、医療機関にも戸惑いがあったかもしれない。だがAはまだしも、Bの対応には疑問もある」と指摘する。
一方、20日に自宅待機させた経緯について、市は「医療機関と相談センターが協議して決め、家族にも感染防止の徹底を伝えていた」と説明。「結果的に感染が確認され、父親も感染した。今後改めて検証し、次の感染例に備えたい」としている。 (古川努)
医療機関 A、B、Cの対応について考えてみたい。
まず咳、発熱などの症状が出て半日程度で受診した医療機関A インフルエンザの検査をして陰性であったため、原因が分からないまま自宅に帰し、保健所にも連絡しなかった。これは、普通の対応だと思う。これくらいの症例で保健所に連絡しても相手にしてくれないと思います。ただ、反省点があるとすれば・・・症状が続くようなら、帰国者・接触者相談センターに相談の上、帰国者・接触者外来の受診をお勧めします。などと言葉を添えるべきだったのかなとは思いますが・・・・
でも、実際に翌日19日、医療機関Bを受診される前に、もし患者さんまたはご家族が、帰国者・接触者相談センターに相談の電話を掛けたておられたらと考えても・・・・20歳のかたの発症3日目、発熱2日目なので、自宅で様子を見てください、または行きつけの医療機関を受診してくださいとほぼ100%言われたと思います。帰国者・接触者外来の受診を勧められた可能性は限りなくゼロに近いと感じます。熊本県では、それまで発症した方はいなかったのです。その上20歳女性です。
さて、19日に体温が39・6度に達し、市内の別の医療機関Bを受診されました。前日のインフルエンザ検査で陰性だったにもかかわらず、再び同じ検査を受け、再び陰性を確認。この日も父親の車で帰宅した。
と、あります。 前日にインフルエンザ陰性であっても、発症半日後程度でしたから、再検査をするのが常識であって、再検査したことを責めるような書き方は、無知をされけだしている事になります。
そして、市によると、医療機関A、Bはいずれも、市や保健所に相談していなかった。ある市幹部は「初めてのケースであり、医療機関にも戸惑いがあったかもしれない。だがAはまだしも、Bの対応には疑問もある」と指摘する。 との事ですが・・・
この市幹部とやらに、では、どうするべきだったのかはっきりお伺いしたいものです。
Aはまだしも、Bの対応には疑問もある?? 厚生労働省の基準が感度が低すぎる事を差し置いて、何を言いたいのか分からない。具体的にどうしろというのだ!!医療機関A,Bともにインフルエンザ検査を施行しているので濃厚接触者の仲間入りをしているというのに。何故、お上には文句を言う姿勢すらなく、普通に手いっぱいの対応をした一般診療所を責めるのか、全く理解できません。
最後に受診した Cは、それなりの規模の病院で、CT検査もできたのだから、普通の対応だと思います。検査を待つ間、自宅に帰したことを責めるような書き方をしていますが・・・重症化も兆しが見えていたので、入院を考慮すべきだとも思いますが、PCR検査をされていること、肺炎を確かめられていることより、強くCOVID-19の疑いは持たれていたのだと思います。そのうえで、医療機関と帰国者・接触者相談センターが相談のうえで自宅に帰すことを決めたというのです。
それ以前に相談センターに電話をしていても、結果がどうだったか、容易に類推できますよね。
ここから思う事は、 奈良県で初の症例(日本人初症例)をよくぞ2回目の受診で見つけ出したとしそして思うのです。速やかにPCR検査に回して入院、新たな発症者を誰一人出すことなく、無事に退院され、その後も問題ないようです。私は、この患者さんにかかわられた奈良の開業医、そのスタッフ、保健所、入院先の医師、スタッフに奈良県民として感謝するものであります。
熊本の医療機関は、何処も責められない。落ち度はない。落ち度があるのは厚労省の制度です。しかしそれもある程度仕方がないと思います。相手の正体が未だ不明だからです。
運用する側が柔軟に対応し、何より患者を守ることを考えて行動すれば、少しづつでも運用方法を改善していけるのではないかと考えます。
熊本市は5日、新型コロナウイルスに感染した市内の4人の容体を発表した。県内で初めて感染が確認された同市東区の20代女性看護師は、人工呼吸器を装着した「重篤な状態」が続いている。看護師と同居していた50代の父親と60代の母親、父親と同じ現場で働いていた東区の50代男性はいずれも「軽症」。また、父親と50代男性の接触者計18人に対し、県と連携して実施してきた健康観察を6日までに終える見通しを示した。
市は近く、看護師が勤務する熊本託麻台リハビリテーション病院(中央区)に、職員の心のケアにあたる心理相談員らを派遣する。市によると病院の職員の中には、家族が勤め先から自宅待機を命じられたり、保育園などへの子どもの登園自粛を求められたりして、精神的な負担を抱えている人もいるという。(隅川俊彦、久保田尚之)
熊本の患者さんたちの一日も早いご回復をお祈りするとともに、ご家族や職員、関係者たちへの「風評被害」を少しでもなくす方向で考えていただければと切望いたします。
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