湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

紅茶の美味しい喫茶店

2018-10-24 18:49:53 | 日記
私が社会に出て
働き始めた頃だっただろうか?

会社のバイトに
1つ年上の男子がいた

その男子がいきなり聞いてきたことがある
『コーヒーと紅茶、どっちが好き?』

当時、私はコーヒーも飲めるけど
好きだったのは紅茶だったので
そのように答えた


数日が過ぎたある日
お昼休みにバッタリとその男子と会った。


『紅茶の美味しい喫茶店があるんだけど、一緒にいかないかー?良い所、みつけたから連れて行ってあげたいんだ』


♪紅茶の美味しい喫茶店♪
なぜか、そんな歌があったなぁ〜と。
歌が頭の中で先行してしまって可笑しくなってしまった。


探してきたんだ〜。
歌みたいなとこ。


当時わたしには、彼氏さんがいたけれど
そのバイト君の熱意に負けて
紅茶だけならいいかと、飲みにいく約束をした。

約束をしたその日
車に乗り込んだのはいいが
日産だったか、ちょっと型は古めの
大きなセダンで
たしかに乗り心地はいいが
何処の社長さんが乗るような車で
その1つ年上の男子がのるには
不釣り合いな感じがした。

その
紅茶の美味しい喫茶店は
川を越え
山道にさしかかり
いったいどこまで連れていくんだろうと
不安になってしまうぐらい遠かった

隣の県境近くだったと記憶してる

山の中から
突如、白亜の建物が見えてきた

まさか!と思いながら
見上げた喫茶店は
中世のお城を模倣したような建物だった。

それはそれは、
シャンデリアが美しく
絵画も飾ってあり
大理石ではないものの
それふうに作られた綺麗なところだった

ヨーロッパを思わせるような場所で
金の縁取りをしたカップ&ソーサー
ポットから注がれる紅茶の黄金色

背中がピンとしてしまうのと
なんだか場違いな雰囲気の中で
若い2人には
到底似つかわしくないと思いながら
緊張の面持ちで紅茶を頂いた


今のようにネット社会ではないころ。


その男子がいかに、そこを探してくれたのかを思うと胸が痛くなったが
申し訳なさの方が先に立って
紅茶の味なんて
今では、もうおぼえてない。

十分にありがとうの気持ちを伝えたあと、
送ってくれるような段取りとなり
先来た道を引き返す。


その途中だっただろうか。

普通に運転して
普通に道を進んでいた

その男子、何を思ったか
ブレーキをかけるのが遅かった!
前の車にぶつかってしまった。

最初に車に乗った時に
ふと思ったこと。

もしかして、
この子、どんくさい?

助手席に乗っているとわかるものだ。

あー、いい車が残念なことに。

そんなに凹んではないけれど。

事が済むまで一緒にいてあげようと思ったら、その男子、近くでタクシーを拾い
私に乗って帰るように指示してきた。

被りを振るうも
タクシーの運転手さんの目が怖い。

それじゃ、後から連絡してと
私はタクシーにのって帰宅してしまった。

タクシー代は、私持ち。

高い紅茶となりました。

胸も痛いし、残念だし。

なんと言っていいのか、
複雑な心境で。

その男子の気持ちを考えると
女の子に良いところを見せたかっただろうに。
まさか、こんなことになるなんてと。

私が最初から、ガンと断っておけば良かったのか。
紅茶の美味しい喫茶店の場所を内緒にされた時点で、構えておかなきゃいけなかったことなのかー。

軽い気持ちでついて行ってしまった私が悪いのよねー。

って、それが教訓となり
それ以後、そんなことを一切しなくなった私。

それにつけても
『紅茶の美味しい喫茶店』って始まる、
『ハローグッバイ』って歌を聞くたびに
思い出す、エピソード。


まさに、
私の都市伝説化したお話(笑)


確か、よく似た名前のお笑い芸人さんいたよね。
『ハローバイバイ』
関さん、好きだったゎ(笑)












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夜の雨に

2018-10-24 10:32:14 | ポエム
夜に降りだす
静かな雨が好き

はっと
降り出した気配に

耳を澄ますと
雨の音を拾う


そっと
目を閉じると
世界も優しく
閉じられようとしている


けれど
閉じられていくから
広がっていく世界を
自分の体の奥底で感じることのできるとき


夏ならば
緑や土の匂い

秋ならば
ただよう枯葉色の匂い


誰にも
心を覗かれることは
できるはずがないと


だからこそ
思いの丈の激しさを
取り出しながら
自分で眺めることができるのかもしれない


限られた空間の
限られた時間


雨が降り続け
止むまでの時間


急に自分を
抱きしめていたい


そんな
時間かもしれない






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