WOWOWライブで2020.7.14(火)放送の舞台『唐版 滝の白糸』を録画したものを観ました。
感想を備忘録として書きます。
※ネタばれがありますのでご注意ください。
※文中の敬称は省略させていただきます。
【番組の詳細】
作家 泉鏡花の『義血侠血』に着想を得て、劇作家 唐十郎が書き下ろし、蜷川幸雄が演出した傑作。大空ゆうひ、窪田正孝、平幹二朗が出演して話題となった2013年の舞台。
【ストーリー】
人気のない、廃墟のような街を歩く少年・アリダ(窪田正孝)は、後ろをつけてくる怪しげな男・銀メガネ(平幹二朗)に気づく。銀メガネは10年前に幼いアリダを誘拐しようとして逮捕・投獄された男だった。
人気のない、廃墟のような街を歩く少年・アリダ(窪田正孝)は、後ろをつけてくる怪しげな男・銀メガネ(平幹二朗)に気づく。銀メガネは10年前に幼いアリダを誘拐しようとして逮捕・投獄された男だった。
おぼろげな記憶を呼び起こしたアリダだが、1年前に兄と心中しひとり生き残ったお甲(大空ゆうひ)と会うために彼女を待ち続ける。困窮するお甲は、兄に貸していたお金を返して欲しいとアリダに頼んでいたのだ。
やがてお甲が姿を現わすが、アリダは銀メガネの口車に乗りお金を渡してしまっていた。そんな中、奇妙な男・羊水屋(鳥山昌克)も現われ、かつて兄と事業を起こす約束をしていたことを明かす。
兄との間にできた子どもを育て、日々のミルク代にも困っているお甲は、銀メガネを説得し、お金を引き出そうと決意。自身唯一の技である水芸・滝の白糸を披露する。
【感想】
薄汚い路地裏の安アパートを舞台に唐十郎の世界が広がっている。決して美しくはないのに、その中にキラリ!となにかが綺麗に光る感じがした。
アリダとお甲、銀メガネの三人を中心に、過去と現在、絡み合った人間関係と言葉遊びのような台詞が流れて、迷宮に迷い込んだ気分にさせられる。
漏斗、蛇口、血、衣紋掛け、三面鏡、洋服ダンスが繰り返し台詞に出てきて、別の言葉に転換されていく。そういえば、野田秀樹の舞台も言葉遊びの連発だな。。と。こちらのほうが後発でものすごいスピードで台詞を連射していくのだが。
情が深いがしたたか、誠実でもありふしだらでもある、はすっぱな水商売の女、お甲を大空ゆうひが好演していた。これが宝塚退団後の初舞台とは思えないはまりようだった。
いかがわしくうさん臭い銀メガネを、平幹二朗はさすがの存在感と演技力で体現していていた。
シャイで陰があり、どこかふわふわしている少年アリダを、窪田正孝はひりつくような表情と体で演じていた。
ほかにも芸人のつまみ枝豆、井手らっきょが配達員役で出演していたが、違和感なく自然だったのはいい意味で意外だった。
美術は全体的に暗い。裏路地に建つ薄汚れた廃墟寸前の安アパートがあり、転換もなし。
クレーンやリモート操縦だと思われる補助輪付きの自転車、根太が腐って崩れ落ちる物干し、水芸の水など仕掛けがいっぱい。そういえば、蜷川幸雄は水を使うのが好きだったな~。
パッヘルベルのカノンが流れる中、お甲がお金をいただくために演じる水芸のシーンは哀しく美しい。。
【余談】
観始めてから気がついた!これ、以前にもWOWOWで放送されて録画して観たのだった。。
最近は完全放置にしているフォトチャンネル「観劇の備忘録♪」で確認したら、やっぱり観ていた。まぁ、おもしろかったのでもう一度観てもいいな~と思って観ることにした。WOWOWは何回も同じ映画や舞台を放送するので、時々「あれ?これ観たんだっけ?観てないんだっけ?」となる。
それをなくそうと画像だけのフォトチャンネルを始めたのだけど、観てすぐに画像をアップしないと、これはこれで忘れてしまうのだ。やれやれ。。本末転倒だな~。
これからはできるだけ、簡単にでも感想をアップしておこうと思う。画像だけだとどうも忘れてしまうみたいだし。
改めて、蜷川幸雄さん、平幹二朗さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
【リンク】
観劇の備忘録(録画やDVDを含む) フォトチャンネル「観劇の備忘録♪」