ノアの小窓から

日々の思いを祈りとともに語りたい

コックピット

2015年04月02日 | 思い出



       コックピットから機長を締め出した副操縦士が、航空機を墜落させて自殺したと
       衝撃のニュースが、毎日のように流れている。

       乗客乗員149人を巻き添えにしたのだから、「恐ろしい」事件です。
       亡くなった方々やそのご家族には、お慰めのことばもありません。

       飛行機は事故の確率のとても少ない乗り物だとか。だからこそ、だれもが安心して乗っているのです。
       ひとたび事故が起きると「一蓮托生!」みたいな気持ちはどこかにありますね。

       航空機に限らず、事故はありうる。
       生きているかぎり、
       不可抗力な原因なら仕方がないと、まあ、だれもが腹をくくっている面はあります。



                    ● ○ 


       
       9.11事件が起きる前の話です。

       なんと、私もコックピットに入れてもらったことがあるのです。
       エコノミーの乗客に過ぎなかったのに、どうしてそんなことができたのでしょう。

       いきさつは、あまりはっきり言えませんね。1995年くらいでしたから、
       規則違反ではなかったでしょうが、
       その航空会社や案内して下さった人に迷惑がかかるといけないと思うのです。

       その日、私は隣に座った素敵な女性と話が弾みました。
       彼女は、その会社の客室乗務員をしていた人か、その日非番で乗っていたか、どちらかでした。

       彼女は現に働いている客室乗務員と楽しげに挨拶もしていました。
       「ビジネスが空いているのだから移りなさいよ」と勧められ、
       「いいの」と気さくに断っていました。

        私はすかさず、「ビジネスクラスには乗ったことがないわ」と言いました。
        ついでに――ずうずうしく――
       「コックピットも見たことがないわ」
       
        すると、その人はなんでもないことのように、
       「あとで連れて行ってあげる」。
        そして、事実、ビジネスクラスを通って、コックピットへ案内して下さったのです。

        生まれて初めて、――今後はないでしょうから――一生に一回入ったコックピットは
        衝撃的でした。おびただしい計器が天井までびっしりあって、
        窓は思ったより小さく、

        機長と副操縦士と、機関士の三人の男性がそれぞれの席に座っているのですが、
        みんな笑顔で楽しそうにコーヒーを飲んでいるのです。

        操縦かんを握らなくていいんだ。
        やっぱり、空の上は進んでいる!と感心しました。

        9.11事件があるまでは、これは私の自慢の思い出の一つでした。
        以後は、誰にも話したことはありません。

        ひとつだけはっきりさせておきます。
        それは、日本の航空会社ではありません。