冬でも布団もかけず、ろくに服も着ないで過ごしていた息子は、ひどい風邪をひきました。
「こんな時に布団をかけてやることも、服を着せてやることもできないなんて」
と言いながら,
私はおろおろ息子の周りをうろつくばかりでした。
そんなある日、息子が自分から、
「胸が痛い。病院行く」
と言ってくれました。
私を嫌ってめったに話しかけてくることもなかったのに……。
仕事がちょうど忙しい時でしたが、本当にありがたかったです。
このままでは息子が死ぬのではないかと、本気で心配していましたから。
それ以来、布団はかぶって寝るようになったものの、志望校に提出するはずの課題は出せないまま、
とうとう最終締め切り日を迎えてしまいました。
(高校進学は、無理かもしれない)
と、私は一人で気をもんでいました。私はこの頃ストレスのためか歯を食いしばる癖がつき、
顎が痛かったことを覚えています。
「あなたも慰めてやってよ」
と私は夫に頼みました。
「だって、居間に下りてこないんだもん……」
夫は息子が近づいてこないのが悪いと言いたげです。
「部屋に行けばいいじゃない」
「部屋に入ると、怒られるもん」
子供か、お前は。
「自分が傷つくのがそんなに怖い?
自分の育て方が悪かったんじゃないかとか、親なら思うのが普通じゃない?」
「俺、別に何もしてないもん」
確かに夫は何もしていません。
「何もしてないのが自慢?昔からAばっかりかわいがって、Bにだけ何もしてやらなかったじゃない。
何もしないのが一番いけなかったんじゃない?」
私はもうキレる寸前ですが、
(こいつに言っても無駄だな……)
という無力感で黙り込むしかありませんでした。
たとえ進学できたとしても、この状態では毎日通えるはずもありません。
私は通信制の高校を調べて、なるべく通う日数が少なそうな学校を2校ピックアップしました。
たくさんあると優柔不断になって決められないと思ったからです。意欲が低下している時は、決断力も低下するものです。
「ほとんど通わなくても卒業できる高校もあるよ。こっちの学校はきれいだけど、通う日数は少し多い。どっちがいい?」
どんな形でもいいから居場所を与え、高卒資格を取らせてやりたい一心でした。
わざと高校浪人という選択肢を隠して選ばせると、息子は
「じゃ、こっち」
と渋々、通う日数が少なくて済むほうを指差しました。
「こんな時に布団をかけてやることも、服を着せてやることもできないなんて」
と言いながら,
私はおろおろ息子の周りをうろつくばかりでした。
そんなある日、息子が自分から、
「胸が痛い。病院行く」
と言ってくれました。
私を嫌ってめったに話しかけてくることもなかったのに……。
仕事がちょうど忙しい時でしたが、本当にありがたかったです。
このままでは息子が死ぬのではないかと、本気で心配していましたから。
それ以来、布団はかぶって寝るようになったものの、志望校に提出するはずの課題は出せないまま、
とうとう最終締め切り日を迎えてしまいました。
(高校進学は、無理かもしれない)
と、私は一人で気をもんでいました。私はこの頃ストレスのためか歯を食いしばる癖がつき、
顎が痛かったことを覚えています。
「あなたも慰めてやってよ」
と私は夫に頼みました。
「だって、居間に下りてこないんだもん……」
夫は息子が近づいてこないのが悪いと言いたげです。
「部屋に行けばいいじゃない」
「部屋に入ると、怒られるもん」
子供か、お前は。
「自分が傷つくのがそんなに怖い?
自分の育て方が悪かったんじゃないかとか、親なら思うのが普通じゃない?」
「俺、別に何もしてないもん」
確かに夫は何もしていません。
「何もしてないのが自慢?昔からAばっかりかわいがって、Bにだけ何もしてやらなかったじゃない。
何もしないのが一番いけなかったんじゃない?」
私はもうキレる寸前ですが、
(こいつに言っても無駄だな……)
という無力感で黙り込むしかありませんでした。
たとえ進学できたとしても、この状態では毎日通えるはずもありません。
私は通信制の高校を調べて、なるべく通う日数が少なそうな学校を2校ピックアップしました。
たくさんあると優柔不断になって決められないと思ったからです。意欲が低下している時は、決断力も低下するものです。
「ほとんど通わなくても卒業できる高校もあるよ。こっちの学校はきれいだけど、通う日数は少し多い。どっちがいい?」
どんな形でもいいから居場所を与え、高卒資格を取らせてやりたい一心でした。
わざと高校浪人という選択肢を隠して選ばせると、息子は
「じゃ、こっち」
と渋々、通う日数が少なくて済むほうを指差しました。