やっとのことで息子から高校に行くという言質を取ることができたのは1月に入ってからでした。
高校を決めるのに先立って、私は夫と不登校児のための高校説明会に行きました。
都内のとあるビルで開催された会場に足を踏み入れると、学校名を掲げたデスクがずらりと並び、
それぞれのデスクの前に折り畳み椅子が数個ずつ並べられています。
入口で配られたパンフレットには、学校の所在地や費用のほか、週に何日通えばいいのか、
部活はあるかなど、詳しい情報の書かれた表が載っていました。
「この学校はゲーム制作が学べるって」
夫はまだゲーム制作にこだわっています。
「もはや何を学ぶとか言ってるレベルじゃないってば。Bの様子を見てないの?
週に1日だって通えたら奇跡だと思うよ私は。なるべく通わずに高卒資格が取れることが先決じゃない?」
「ここは卓球部もある。卓球、好きだったじゃん」
「部活までは無理でしょ」
そう言いつつ私も、近郊にこれだけ通信制高校があると知って、未来は明るいような気がしてきました。
表に書いてある情報から何校かに絞って、席が空いているブースから座りました。
「とても落ち込んでいて、ほとんど家から出られないんですけど」
「やはり全く通えないというのでは困ります。最低でも週に2日は来てもらわないと」
「ですよね……」
がっくりと肩を落とす私。
中学に通っていた頃の息子は、学年150人中20番くらいの成績を取っていたのに、
大学はおろか高校すら行くことができないのでしょうか。
学校って何だろう。勉強する所ではなくて、集団生活を学ぶ所なのでしょうか。
集団生活が苦手な子供は、たとえ頭脳が優秀でも勉強する場も与えられず、将来は社会のお荷物になるしかないのか。
それは社会的にも損失ではないのか。などと私が思ったところで、世の中は変わりません。
「お願いしまーす……」
少し自信をなくして私は何校目かのブースに来ました。
「頭はいい子なんですけど、中2の時のクラスになじめなくて、夏休み明けから不登校なんです。
あまり通わなくても卒業できる高校に行かせたいんですけど」
「そうですか、それはご心配でしょうね」
担当の女性は、若くて感じのいい先生でした。
高校を決めるのに先立って、私は夫と不登校児のための高校説明会に行きました。
都内のとあるビルで開催された会場に足を踏み入れると、学校名を掲げたデスクがずらりと並び、
それぞれのデスクの前に折り畳み椅子が数個ずつ並べられています。
入口で配られたパンフレットには、学校の所在地や費用のほか、週に何日通えばいいのか、
部活はあるかなど、詳しい情報の書かれた表が載っていました。
「この学校はゲーム制作が学べるって」
夫はまだゲーム制作にこだわっています。
「もはや何を学ぶとか言ってるレベルじゃないってば。Bの様子を見てないの?
週に1日だって通えたら奇跡だと思うよ私は。なるべく通わずに高卒資格が取れることが先決じゃない?」
「ここは卓球部もある。卓球、好きだったじゃん」
「部活までは無理でしょ」
そう言いつつ私も、近郊にこれだけ通信制高校があると知って、未来は明るいような気がしてきました。
表に書いてある情報から何校かに絞って、席が空いているブースから座りました。
「とても落ち込んでいて、ほとんど家から出られないんですけど」
「やはり全く通えないというのでは困ります。最低でも週に2日は来てもらわないと」
「ですよね……」
がっくりと肩を落とす私。
中学に通っていた頃の息子は、学年150人中20番くらいの成績を取っていたのに、
大学はおろか高校すら行くことができないのでしょうか。
学校って何だろう。勉強する所ではなくて、集団生活を学ぶ所なのでしょうか。
集団生活が苦手な子供は、たとえ頭脳が優秀でも勉強する場も与えられず、将来は社会のお荷物になるしかないのか。
それは社会的にも損失ではないのか。などと私が思ったところで、世の中は変わりません。
「お願いしまーす……」
少し自信をなくして私は何校目かのブースに来ました。
「頭はいい子なんですけど、中2の時のクラスになじめなくて、夏休み明けから不登校なんです。
あまり通わなくても卒業できる高校に行かせたいんですけど」
「そうですか、それはご心配でしょうね」
担当の女性は、若くて感じのいい先生でした。